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〜Panasonic ジャンクVTR NV-BX10 を修理する〜


Panasonic BS内蔵S-VHS Hi-Fi Video NV-BX10

 久々のような気がする往年の名機シリーズ第17回です。今回入手の機体はNV-BX10ですが、丁度BX25の一つ下の弟分のようなデッキです。BX25、BX10、SX10の3兄弟ですね。外観も中間型。フロントパネルの素材はSX10と同じですが、このモデルにはSX10に無いサイドプレートが一応付いています。まぁ、BX25同様に見た目だけのペラペラ樹脂製ですが。

今回の機体もオークション入手。松下Gメカ搭載Sデッキ(初期の低速メカは除く)の修理コンプリートのために探していたのですが、丁度1000円にて出品されていたのでゲットしました。もうここまでくると修理しても使うことなんてどうでも良くなってきています(爆)。ちなみに本体、電源ケーブルのみで、リモコンその他付属品は無しでした。リモコンが付くのならプラス1000円くらい出しても良いんですがね。

お顔を拝見

さて、届いてみたら程度はかなりよさげです。トップカバーにはキズがほとんど無く、内部も綺麗。タバコの臭いもしませんし、割と大事に使われていたようです。こういう機体だとやっぱり入手したときに嬉しいですね。使い込まれて壊れた機体と違って、ある日突然壊れた系は比較的直しやすいことも多いです。

パネル内部

この機体には、操作パネルにガイド用のシールが残っていました。たぶん、購入時に説明書などと一緒に封入されていたんでしょうね。ちなみにこのシールの下にはキチンとチャンネル合わせ等のボタンが隠れています。「この下には他のボタンがありますのでボタンの出ていない所は押さないでください」と書いてあります。下のボタンの配列はSX10と同じです。

また、SX同様に音声レベルのメーターは無しです。ちょっと寂しいですね。ヘッドフォン端子もビデオイコライジングも無いので、パネル内部はSX10と全く同じです。

背面端子群

背面端子左側。

BS内蔵機ですのでそれなりに端子数は多いです。一応廉価機種ですが、デジタル光出力は装備してますね。当たり前ですが、この端子はBSの時しか有効になりません。

背面端子右側。

BX25と同じ配列ですが、BX10は設定メニューを持たないのでS-VHS/VHSの切り替えをここでやるようになっています。あんまり使わないスイッチでしょうけど、使いにくい場所ですねぇ。

責任病巣の抽出

内部の作りは、BX25やSX10とほとんど同じなので今回は割愛。ちなみに外観の程度と同様、メカの状態もかなり良かったです。ほとんど整備不要でしたのでホコリを掃除するのみ行っています。

で、この機体の不具合ですが、時々画面が乱れるという感じでした。キチンと絵が出るときは出るのですが、コンディションによってベターっと滲んだりしています。今までの経験から行って、まずHICの故障でしょうねぇ。

ということで表面実装のケミコンが載っているこれら3つのパーツを抽出。ケミコン張り替え作戦を行います。

VCR0349
まずは、このシールドケースに入っているやつから。SX10で採用されている物と同じで、表面実装のケミコンは5つ。
で、早速剥がしてみたのですが、まるでダメです。なんと、パターンが「全て」剥がれました。剥がし方はいつもと同じで、足と平行にニッパーを入れてコンデンサを破壊する方法ですが、この基板は極端にパターンが弱くなっていたようです。

剥がしたコンデンサです。左の写真のように、一度ニッパーの刃を入れただけでアッサリと剥がれました。右の写真が剥がしたケミコン全5つ。全て足にパターンが付着したまま。

張り替え強行
しかし、そんなことでめげる私ではないのであった。テスターで剥がれたパターンを追いかけて張り替えを強行しました。
裏側。取り出しポイントはあっているかどうかよく判りませんがとりあえず張り替え完了。

GNDに注意
シールドケースに入れるとシールドケースと張り替えたコンデンサの足が接触してしまうので、今回はケース無しです。取り付ける際にはGNDに気を付けます。基板両端のパターンにスズメッキ線を付けてシールドケースの足が刺さるところに半田付け。

VCR0327

お次にクリスタルの載った小型のやつ。BX25やSX10と同じICですが、これもパターンが剥がれやすく、片方を剥がしてしまいました。

テスターで追いかけて信号取り出しポイントはチップトランジスタと判明。ここまで足を延ばして半田付けしました。

念のため…
今までの経験からすると、このHICのケミコンは大丈夫であることが多いのですが。一応表面実装のケミコンが多用されているので念のため対策しておくことにします。

手持ちに0.47μFが無かったので、それ以外を張り替えました。

定格は2.2μx2、22μx1、1μx2、4.7μx1、0.47μx1です。今回もこのHICについては全然噴いていなかったです。このHICに限り、対策しなくても大丈夫っぽいです。

しかし…

ダメでした。以前よりも増して色のにじみが酷くなっています。うーん、VCR0349の張り替えがうまく行ってないのでしょうか。これ以外には原因考えられないので。でもこの手のHICは補修パーツを買うと4000円以上するんですよねぇ。どうしようか迷ったのですが、このままゴミっていうのもあんまりなので注文してきました。

仕方なく購入

部品番号 VCR0349
品名 デジタルY/CSEPH
価格 4600円

で、届いたブツがこれ。品名が今までと異なり。デジタルY/CSEPHとなってます。3ラインのデジタルロジカルコムフィルタのICですからね。お値段はやっぱり高めの4600円。

型番が微妙に違うような気がします。末尾に「-1」が付いているのが新しい方ですが、何らかの改善がされているかも知れません。コンデンサが噴かない奴になったとか?だと嬉しいんですがね。

完了!

ということで、張り替え&補修部品へ入れ替えが完了。パターンを剥がしたHICは悔しいですが、これできちんと動けばまぁいいでしょう。

で、動作確認してみましたが、綺麗に再生画像が出ました。これにて修理完了。


総評

程度の良い機体で、性能はそこそこ。一般家庭での使用であれば十分に満足できる機種でしょう。この機種は画面での設定メニューを持たないので、チャンネル設定はフロントパネル内のボタンで行います。しかし、予約や時計合わせはリモコンが必須。まぁ、古いバーコードリモコンでも出来るようですが、今時バーコードリモコンっていうのもアレですよね。

BX25のコストダウンマシンなので、所有欲を満足させるデッキではないですが、普通に使う分には十分なクオリティでしょう。今時のペラペラのBS内蔵Sデッキを買うよりよっぽど良いお買い物じゃないでしょうか。最終費用は1000円+4600円=5600円となりました。

さて、半年に渡って続けてきた往年の名機シリーズですが、残すところあと2機種となりました。NV-BS50SとNV-CX1です。BS50Sは一台ゲットして修理を試みたのですが、失敗。デジタル映像基板に表面実装のケミコンが31個も載っていたので全て張り替えたのですが、ダメでした。映像が乱れまくり。一体どこが悪いのだか分からないので、ニコイチ診断目的でもう一台入手する必要がありそうです。CX1はチューナー部分とセパレートなコンパクトデッキでした。滅多に見かけませんので結構レアかも。果たしてコンプリートはいつの日か。


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