PC-9800シリーズ実機を保守する上で避けて通れないのがFDDの確保である。内蔵のHDDが壊れた時やCF化するとき、システムの起動ドライブとしてFDDが必要になる。
ウチのPC-9821La10は1999年頃にインターネットのfjの個人売買で買った覚えがある。CD-ROMやIDEインターフェイスカード、Qvisionの86音源+SCSI複合カードがついて5万円くらいだったか。買った当時からFDDは欠品していて、後から買えばいいかと軽く考えていたが、専用のFDDはオークションでも割と高値がつくようで、入手しないままズルズルと20年以上経過してしまった。
本体の電解コンデンサは10年ほど前に交換済み、その時にHDDをCF化したので2023年現在でも問題なく動作する。FDDがなかったため、PC-9801NX/C(FDD内蔵機)を利用してかなり苦労してCFカードにシステムインストールした覚えがある。
今回10年ぶりの保守として、CFの内容が消える前にバックアップを取ることにした。そこで必要となるのがFDD、ということで2023年現在ネットに出回っている情報でIBM PC/AT互換機用のFDDを接続してみることにした。
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98にAT互換機のFDDを転用するためには、歴史的経緯による違いを知る必要がある。ザックリ解釈すると、元々98とAT互換機のFDDのフォーマットとディスク回転数、記録密度信号の関係はこのようになっていたらしい。双方機種でディスクの回転数が異なっており、2HDフォーマットに互換性がないため、AT互換機が普及してくるとデータをやり取りできなくて困るようになった。 |
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今回の改造対象であるMITSUMIのD353M3Dは国内では割と普及したモデルと思われ、2023年現在でもヤフオクで入手するのは難しくないだろう。 基板のバリエーションが複数あるようだが、制御ICにNCL039が使われていれば同様に改造可能と思われる。 |
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おふがおさんの記事の内容をザックリ解釈して図示してみた。まずは2DD/2HD切り替えの仕組みだが、改造前のAT互換機仕様では2DD/2HDの識別はメディアのHD検出孔のセンサー(スイッチ)で行っている。98では本体がメディアにアクセスしてフォーマットを読み取って2DD/2HDの切り替えを行う仕様なので、センサーを取り外してかわりにFDDコネクタ2pに98からのDEN信号を入れる。 AT互換機仕様ではディスクの回転数はNCL039の制御下だが、98では本体がモータードライバを直接制御する。ただし信号を反転する必要があるので、FDDコネクタの1pから反転信号をモータードライバの回転数制御ピンに入れる。 |
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AT互換機と98ではFDDコネクタのピンアサインが微妙に違っているので、これらを入れ替えつつ、READY信号を生成してFDDコネクタ34pに入れる。READY信号のロジックについては、過去記事で解説した通りである。 |
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成功!
結果は一発で動作OK! おふがおさんが書いておられるように、2DD(8セクタ/9セクタ)、2HD(1.2MB/1.44MB)いずれも読み書きフォーマット可能であり、起動ドライブとしても使用可能であった。先人の知見に感謝! これで次のステップ(CF化HDDのバックアップとリストア)に進めるだろう。
今回の工作には試運転さん、おふがおさん、工作室の記憶さん、HAMLINさんの記事を活用させていただきました。ありがとうございました。
お約束ですが、この記事を見て改造などを行い故障やその他問題が発生しても責任は負えません。各自の責任において情報を広く集めて行うことをおすすめします。
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