以前にCUBE型PCの静音化記事を書きましたが、実はウチには同じようなキューブPCが2台あります。一つが前出記事のFV24マザーが入ったやつで、もう一台がFV25マザーのやつ。最近FV25のほうの動作が怪しく、動作中に突然画面が真っ黒になって、そのまま応答しなくなる現象が多発するようになりました。
FV24やFV25では特定のコンデンサが非常に早く劣化する例が報告されています。ウチのマシンの動作不安定の原因もコンデンサだろうと思われたので、対策してみることにしました。他のマザーボードでも近頃はPCのマザーボードに載っているコンデンサがダメになって動作に支障を来す例が多数報告されています。過度のコストダウンで安物コンデンサを採用したバチが当たったんでしょうな。
バブル機のAV機器では定番故障のコンデンサ劣化ですが、PCのマザーボードでも定番故障になってしまうんでしょうか。
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ということで、とりあえずマザーボードを取り出します。mini-ITXマザーなので小さいですね。これから出る予定のnano-ITXだともっと小さいらしいですけども。必要なインターフェイスはほとんどオンボードで載っているので便利なマザーボードではあります。ケミコンの不良さえなければ。 ちなみに余談ですが、CPUはVIA C3 933MHzを載せてます(C3についてはここのサイトが詳しいです)。以前は河童セレロン800MHz(Cステップ)を載せていたのですが、静音ファンだとMP3を連続再生する程度の負荷でヤバいくらいに温度が上昇するので、死蔵していたC3に載せ替えた次第です。パフォーマンスはかなり落ちますが(だいたいセレロン500MHz相当)、発熱量は少なくなりました。初期のCUBE型筐体って、空気の流れをまったく考えてない設計なので非常に熱が籠もりやすいのです。 問題点を挙げれば、電源ユニットが前面吸気口を塞ぐ形で配置されているし、電源ファンが空気の流れと垂直方向に向いているし、5インチドライブとHDDがCPUからの廃熱をケースファンに逃がすのを妨げているし、CPUファンで発生するの空気の流れが(上から下)ケース内部の流れと(下から上)反対方向だし、ことごとくエアフローを無視した設計となっています。デザインとサイズばかりを重視した設計なもんだから、廃熱の効率をファンの風量で稼ぐことになり、結果的に轟音PCになってしまうんですよ。 メーカーとしてはそれで良いのかも知れませんがね。とりあえず見た目が良ければ売れますからね。どんな轟音PCなのかは実際に組み立てて動かしてみないと分からないし。組み立てた後で轟音PCだったからといって返品もできないし。クレームが多くても対策を施した新しいモデルを作れば、買い換え需要が生じるのでまた売れるわけだし。 ちなみに最近のキューブ型筐体は大型ヒートシンクをヒートパイプで繋いで背面の大型ファンから廃熱する設計になっていて、廃熱と騒音問題については改善されているようです。動作音を聞いたことがないのでどの程度の騒音で済んでいるのかは知りませんけど。最近のCPUは発熱も大きいですからねぇ。 さらに余談ですが、もう一台のFV24のほうのCUBEでは、電源ユニットを外付けにして、5インチベイにスリムDVD−ROMドライブとFDDを組み込み、3.5インチベイは空けて、さらにスマートケーブルを使って配線して空気の流れを確保したところ、廃熱の効率が著しく改善され、静音化したファンでもかなり温度は低下してます。その状態で1GHzのpentium3を使ってます。 |
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だいぶ話が横にそれてしまいましたが、FV25のリビジョンはV2.2です。これまた余談ですが、FV25は鱈(Tualatin)コアにも対応していますが、FV24の場合はV3.1以降でないと対応していないらしいので注意しましょう。とはいえ、ここのサイト(CityLink)のやり方でピンマスク+ワイヤー飛ばせば使えるらしいですけども。 |
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基板上の電解コンデンサをチェックしてみたところ、予想通りヤバげなコンデンサがありました。DIMMメモリスロットの近くにある2個が特に酷い状態。 |
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拡大するとこんな感じ。 脳天が膨らんでおり、隙間から電解液が漏れて腐食しています。 規格は6.3V 1000μF。 |
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同じ規格のケミコンを探してみたところ、合計5個使われていました。見た目で噴いていないものもありましたが、ダメになっている可能性が高いのですべて対策します。 |
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PCIスロットの近くにも1つ。これは脳天が膨らんでいますが、電解液漏れまでは起こしていないようで。 ちなみにFV24の場合はこれと同じメーカーで同じ規格(6.3V 1000μF)のコンデンサが7個使用されていました。 この規格以外のコンデンサは見た目綺麗で大丈夫そうなのでそのままにしておくことにします。 |
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ということでヘタレなコンデンサを取り外します。場所によっては熱が逃げて半田が暖まりにくいところもありますので、できれば出力の大きなコテで作業したほうがやりやすいです。私は30Wのコテでやりましたけど、何カ所かで半田が溶けにくくて苦労しました。 抜き取りの際には力をかけすぎてパターンを剥がしたりしないように注意。 |
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用意した新しいコンデンサは高寿命の低ESR品で10V 1000μF 105℃品。耐圧が少し上がって安心感もアップ。 マザーボードとかスイッチング電源で使うコンデンサには、通常品ではダメで、必ず「低ESR品」を使用する必要があるそうです。普通のコンデンサでも交換直後は動作するでしょうが、またすぐにダメになってしまうとのこと。ところが、低ESR品って普通のパーツ屋だとなかなか売ってないんですよね。仕方ないので私は千石電商の通販で買いました。千石は送料が高いので、何かのついでのある時でもないとなかなか買いにくいんですが…。 |
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てなわけで、5つのコンデンサの張り替えが完了。元々のコンデンサより少し背の高いものを使いましたが、とりあえず干渉などの問題はないみたいです。ヤバげなケミコンが一掃されて一安心です。 マザーを筐体に戻して動作させてみましたところ、とりあえず普通に起動しました。 |
総評 その後しばらく使っていますが、突然ブラックアウトしてハングアップする症状は出なくなりました。やはりコンデンサの劣化が原因だったようです。
ヤフオクを見ると、時々動作不安定な同型マザーを見かけることがあります。おそらく原因はコンデンサでしょうから、値段が安ければ敢えてジャンクを入手して修理してみるのも面白いかも知れません。
それにしても、PCのマザーのコンデンサの劣化による動作不良が最近多発しているようです。とはいえ、ダメになるのは特定の機種の特定のコンデンサだけみたいで、すべてのPCで発生するわけではないようです。バブル期のAV機器みたいに、時期に作られたコンデンサに不良なものがあり、丁度それがダメになってきている時期なのかも知れません。使っているPCの動作が怪しくなってきたらコンデンサをチェックしてみる価値はありそうですね。
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