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〜続・お茶の間ゲームPCの構築〜


前回までのあらすじ

テレビアウト端子を増設し、大画面テレビで省スペース型PCを使うことに成功しましたが、完全なる遊び環境とするためにはゲームポートを増設するというのがスジというものでしょう。今回の生け贄君のFIC社「SAHARA2000」には、シーラスロジック社の「CS4280」というサウンドチップが搭載されており、このチップにはきちんとゲームポートの機能が組み込まれています。しかし、SAHARA2000自体は元々企業向けの省スペースPCなのでそんな遊びポート用意されていません。ですが、PC改造系ユーザーとしては大人しくUSBジョイパッドなんて使っていてはいけません。そんなものを使うのは堕落というものです!(笑)。てか、ほとんど自己満足の世界ですが…。

ということで、前回予告したこのサウンドチップの加工を行います。足の間隔は0.65mm 細かい半田付け技術が要求されます。

このためにわざわざセラミックヒーターの20Wの極細半田コテを調達してきました。失敗してマザボを殺してしまうと取り返しが付かないので。やはり道具は良い物を買うに限ります。

前回増設したコネクタですが、テレビアウトと同時にゲームポートが取り出せるように考慮してD-SUB 15p (三列)を採用しています。

んで、前回製作した変換ケーブルですが、映像端子と共に、D-SUB 15ピン(2列)を取り出せるように作ってありました。

D-SUB 15ピン(3列)から、D-SUB 15ピン(2列)+映像端子を取り出すわけですが、なぜ15Pから15P+αが取り出せるかと言えば、ゲームポートの15本の端子には電源ラインで共用線があるからです(1=8=9=+5V , 4=5=GND)。この変換コネクタでは共用の線を映像用にアサインしています。


資料の調達

シーラスロジック社のサイトからPDFファイルをダウンロードし、このサウンドチップのピンアサインを調べます。

このようにエンドユーザーにも仕様を公開するメーカーは好感が持てますね。

で、欲しい端子はゲームポート関連。ジョイスティックとMIDIのポートが取り出せます。

この図では52〜59Pがジョイスティック用。60,63PがMIDI用です。

ちなみにSAHARA2000では、51〜55がGNDへ、56〜60Pが抵抗を介してプルアップされていました(63Pはオープン)。よって、端子を増設するためには基板から該当ピンを引き剥がさなければなりません。これが一番厄介です。

これが具体的な回路図。これもPDFファイルに載っています。このように回路を組めば必ず動くはず。


作業開始!

早速作業に取りかかります。問題のチップの端子をまず引き剥がしますが、ここで焦ってはいけません。慎重にやらないとピンがポッキリ根本から折れてしまうかもしれません。細いアイスピックのような道具で端子にコテを当てながら慎重にピンを起こします。これを51〜60pまで10本やりました。

端子を剥がすことに成功したら、基板側を半田吸い取り線でクリーニングしておきます。各端子同士がショートしているといけないので。

ピンはあまり揺すらないように注意します。根本からポッキリ折ると後の処理が大変。もし折った場合は、巧妙にパッケージを削ると修復できることがありますが…(でもかなり大変)。

クリーニングしたら、今回使用しない51p(TEST)を元通りに基板に半田付けして、その他のピンが基板と接触しないようにテープでマスクします。

引き剥がした端子はお互い接触しないように互い違いに上下に曲げておきました。これで端子への半田付けがラクになります。

付加回路を適当なユニバーサル基板に組みます。回路図の通りやるだけですが、レイアウトを工夫しないと後でハマります。

組み付け後の状態を想定しながらレイアウト。

回路図にあった、5.6nFという規格のコンデンサが無かったので、1nF+4.7nFで代用しています。コンデンサは並列に組めば足した容量のコンデンサになりますで。正確には5.7nFになりますが、まぁ許容誤差でしょう。

サウンドチップへの配線はジュンフロン線(0.26mm)を使いました。このくらいの細さでないと、隣の端子と接触してしまいます。

増設基板の固定には、1mm厚のゴムシートを両面テープで貼り付けて行いました。

斜めからみたところ。

問題は+5V電源ラインの取り出しポイントですが、テスターで適当に探りながら決めました。

ストレージデバイス用の「赤」の端子が目安になります。ちなみに「黄」は+12V。これと間違えないように注意。

全体像。

追加回路はコンパクトにまとまっています。基板の空きスペースにうまく載せることができました。増設端子への誘導はすだれケーブルを使用。

最終的にこうなりました。右側が今回増設したゲームポート関連。左側が前回増設したテレビアウト関連。ひとまとめにしてD-SUB 15p三列から取り出します。

元通りケースに固定して増設は完了。


総評

さて、増設完了したのでテストです。失敗してマザボを破壊する危険もあるので作業は非常に慎重に行いましたが、世の中100%というものはありません。電源を入れる瞬間はドキドキです。電源投入、OSの起動まで問題なし。そこでおもむろに手持ちのゲームパッドを接続。コントロールパネルを開いて、ジョイスティックのプロパティを設定。

バッチリ認識しています!

上下左右、1234ボタンを操作。これも問題なし! 一発成功でした。やった! 試しに格ゲーを遊んでみましたが、きちんと遊べました。やはり自分で増設した端子だと、最初からある端子に繋いで遊ぶのとはひと味違いますねぇ。いや、機能や操作性はまったく同じなんですが、なんとなく気分的に。

ということで、SAHARA2000をベースとしたお茶の間PCは完全なる遊びマシンへと進化を遂げたのでした。めでたしめでたし。


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