VAIO LX専用LCDモニタの一部のモデルで黒い横線が入る故障が頻発しています。症状はLCD右側から伸びる中途半端な長さの黒い横線が現れるというもので、ある日突然出現し、使っている内にだんだんと横線の数が増えてゆく傾向があるとされています。この故障にはいろいろ黒い話があり、メーカーの対応に「えげつなさ」を感じたので、思うところを記事にしてみました。
VAIO LX液晶不良 関連サイト VAIO LXの液晶不良を訴えよう この問題のポータル的サイト http://blog.livedoor.jp/pcv_lx/ VAIO LXと不可解な横線達 ヤフオク出品されていた画像を多数掲載 http://www.geocities.jp/vaiolxuser/ ソニーご都合主義のサポートについて(2ch) http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/sony/1107643711/l50 VAIO L/LXシリーズ パート6 (2ch) http://hobby5.2ch.net/test/read.cgi/sony/1106188276/l50 VAIO LX液晶不具合の無償修理を一方的に打ち切り(2ch ニュース速報) http://news19.2ch.net/test/read.cgi/news/1109439293/l50 〜通常想定される故障原因では説明のつかない現象〜 一般によくあるライン抜けはLCDのガラス基板とフレキの接点の不良から発生するものが多く、一列全てのドットが欠損します。このようなライン全欠損はLCDの構造上、どのパネルでも起こりうることで、欠陥とは言えません。しかし、LXモニタの故障の場合、黒い横線が長短不揃いで、LCD右端から左側へ伸びているように見えるのが特徴です。これはフレキの接点不良では説明の付かない現象で、原因としてはLCDのガラス基板上のパターンの断線と言われています。これは日立製の一時期製造されたS−IPS液晶特有の現象のようで、VAIO LXモニタの他にも、日立のpriusシリーズ、ナナオのGAWINでも発生例が多数報告されています。(ちなみにGAWINシリーズはH17.5.6に無償修理対応と正式にアナウンスされました)
TX38D14VC0CAA (画像クリックで拡大表示) 特有の横線欠損が発生したLCDパネルの例
日立prius デスクトップ液晶一体型モデルからの取り外し品
〜実は無償交換対応だった〜 この故障については各メーカーとも修理に持ち込まれたケースに限り、保証期間外であっても無償でLCDパネルを交換対応としていたようです。事実、私が所有するタブレットモニタ「PCVA-TXSA1」も2004年5月くらいにメーカーによってパネル無償交換となっています。故障を起こすパネルは特定のパネルの一部のロットと言われていますが、発生頻度は相当高いようで、ネットの掲示板でも多数の事例が報告されており、ヤフーオークションでも同じ故障を抱えるモニタがジャンク品としてコンスタントに出品されていました。
〜正規登録ユーザーにも告知のない「闇改修」〜 通常の使用でガラス基板上のパターンの断線が起こり、症状が自然に悪化する故障は過去に例がなく、発生報告が特定機種に限定されていることから考えて、明らかに欠陥と思われ、持ち込み修理が無償交換対応であったことがそれを裏付けていると考えます。しかし、いずれのメーカーでも一般向けにアナウンスはしておらず、あくまでも水面下での闇改修でした。ソニー直販の「SONY STILE」で購入したVAIOの正規登録ユーザーに対してもなんの連絡も無かったそうです。タダで直せるとは知らずに捨ててしまったり、ジャンクとして安く手放してしまったユーザーも多かったろうと思います。
〜転売ヤーの暗躍〜 私は04年1月くらいから1年以上ヤフオクのLCD出品状況をマメにヲッチしていますが、VAIO LXやpriusの横線入りジャンク品ばかりを多数落札している人を見ましたし、「液晶新品」と謳ったメーカー修理済みモニタばかりを多数出品している人も見かけました。私にはどう見ても情報を聞きつけて手当たり次第にジャンク品を安値で買い漁り、メーカーにタダで直させた後に出品して高値で売るという悪質な転売ヤーにしか見えませんでした。相場としては、ジャンクモニタが5000円〜1万円前後、改修後モニタが3万円以上だったので、1台に付き2万円以上の利益を上げていた模様です。VAIO LX専用モニタは、無改造では他機種への流用が利かないので、こういう転売ヤーから改修済みモニタを買っていたのは、欠陥による故障で泣いているVAIOの正規ユーザーたちがほとんどであっただろうと思います。メーカーはユーザーへの告知を怠ったばっかりに、結果として正規ユーザーから転売ヤーへの不条理なカネの流れを作ってしまったのです。余談ですが、転売ヤーたちの影響で、横線欠損ジャンクLCDの相場は徐々に上がり、04年5月に5000円前後だったものが、末期の04年12月には13000円ほどまで上がっていました。
〜突然の闇改修の打ち切り〜 まぁ、そんなこんなの水面下での騒動でしたが、例え闇改修でも無償でやってくれる内はまだマシでした。私も自分のモニタを無償で修理して貰っている手前、このままメーカーが無償で修理を続ける内は事を荒立てることもなかろうと思って黙っているつもりでした。しかし、2005年1月頃より突然ソニーだけが、この故障に対する修理を有償扱いに切り替えてしまったのです。元々闇改修だったので、有償に切り替わる際にもなんのアナウンスもなかったようです。実際、05年1月に知人が該当機種を修理に出したのですが、パネル代金55000円+技術手数料を請求されました。7万円前後の合計金額を考えたら余裕で新品の17〜19インチ液晶モニタが買える値段です。普通の人なら修理を諦めて新しいLCDモニタを買うに違いありません。しかし都合が悪いことに、知人のモニタはタブレット付きの「PCVA-TXSA1」でした。タブレット付きモニタは、パネルの構造が特殊なので、自分で適当なパネルに入れ替えて修理することが困難だし、市販品はワコムの製品しか流通しておらず、これを普通に購入しようとすると10万円くらいするのです。修理しても地獄、新品買っても地獄です。
〜ソニーへの疑惑〜 これら該当機種は1年の保証期間が切れて年数も経過していることを顧慮して、技術手数料が発生するまではなんとか理解できなくもありませんが、部品代までユーザーに負担させるのはどうも腑に落ちません。そもそもこの欠陥は日立製の特定のパネルでしか報告されていないことから、パネル製造元である日立のミスであることは明白です。従って、おそらくソニーは日立から無償か、それに近い形で交換用パネルの提供を受けていると推測します(あくまでも推測です)。だとしたら修理の際にユーザーからパネル代金を取るということは、元々発生していないコストをユーザーから徴収していることになり、ソニーは不当な利益を得ているのではないかという疑惑が生じます。タダで貰ったパネルを高値で売っているとしたら、それは転売ヤーと同じレベルの行いです。いや、売値が高額なだけ転売ヤーよりタチが悪いかも知れません。これは大問題ではないでしょうか。そのあたりのカネとモノの流れは一体どうなっているんでしょう。ソニーのサービス窓口に聴いても、知ってか知らずか誰も本当のことは教えてくれないみたいです。日立に電話した方の話(ウチのBBSでの書き込みより)では、日立はパネル返品を認めていて、あとは製造メーカー各社の対応に任せている、ということのようでした。
故障頻発パネル 私が把握している限り、この欠陥を持つパネルは日立の以下の型番のものですが、実際に欠陥品かどうかはロットにも寄ると思います。どの機種で採用されているか、他に欠陥を持つパネルやロットの情報等あればBBSかメールでお寄せ下さい。
TX38D21VC0CAA 日立 15インチ XGA S-IPS液晶パネル パネル裏側にペンタブレットのセンサー基板が仕込めるような特殊構造になっており、PCVA-TXSA1やPCVA-TXSA2/A等で採用。
不良ロットは情報は明らかにされていません。
TX38D14VC0CAA 日立 15インチ XGA S-IPS液晶パネル 2000/4〜2001/5頃出荷のロット No:0094H〜1044Hが不良という情報があるが、2000番台でも発生報告例あり。
このパネルは 0112Hなので該当しており、現に横線が多数発生中。 今後のメーカーの対応は? メーカー各社はこの欠陥について闇から闇へ葬り去りたいのでしょうが、被害ユーザーの声が大きくなれば対応も変わる可能性があります。この欠陥騒動は元々日立のミスで起こったもので、ソニーには責任のない問題のはずです。ある意味ソニーも被害者と言えましょう。こんなことで企業イメージを落とすのはバカらしいとしか思えません。ソニーはPSPの□ボタン欠陥回収騒動もありましたし、ここ最近ブランドイメージは落ちる一方です。こんな対応を続けているようでは一般人の抱いているソニーに対する幻想的なブランドイメージもいつまで持つか分かりません。ブランドイメージだけでモノが売れる時代も間もなく終わるでしょう(既に終わっているかも)。ソニーの偉い人は一体どう考えているのでしょうか。欠陥による故障を起こしたモニタはサックリ直してあげたほうがソニーにとっても有益であろうと思いますが、如何でしょうか。
昔ある人が言っていましたよ。「偉い人にはそれが分からんのです」 と。
2005.04.09追記 2chや関連サイトの情報によると、どうやら05年4月から無償交換対応を再開した模様です。まだ地域や担当者によって対応が異なるかも知れませんので修理代を請求されても引き下がらず、一度はゴネてみる価値はありそうです。2chの書き込みによると、無償交換を再開した理由は「ネットで叩かれ出したから」とも言われてますが、真偽は不明です。
それと共にヤフオク無償修理転売屋も復活した模様です。正規ユーザーの方はそういう輩に引っかからないようご注意を。
ちなみに、案の定ソニーのサイトではこの件について公式には発表されていないようです。このまま永久にされないような気もしますが。ここのページについては、今後もソニーサポートの黒歴史として残しておくつもりです。
2005.04.26追記 とうとうソニーが欠陥品として認めました。メーカーサイトにて正式にアナウンスされています。
メーカー公式見解:
パーソナルコンピューター「バイオLX」シリーズ専用液晶ディスプレイ 無償点検・修理のご案内(2005/04/26)
日頃よりソニー製品をご愛用いただき、誠にありがとうございます。
弊社の「バイオLX」シリーズにおいて、本体に付属の液晶ディスプレイ画面に、長期のご使用により黒色の横線や縦線が表示されたまま消えなくなるといった症状が確認されております。解析の結果、当該製品に使用している液晶パネルの一部に品質上の不具合があることが判明いたしました。
このたび、該当症状が発生した液晶ディスプレイにつきましては、弊社規定の保証期間を過ぎておりましても、無償にて点検・修理させていただくことをお知らせ申し上げます。つきましては、対象製品をご使用で該当の症状が確認されるお客様につきましては、下記窓口までご連絡いただきますよう、お願い申し上げます。
このたびお客様にはご不便、ご迷惑をお掛けいたしますこと、また過去の対応で一部不備がありましたこと、お詫び申し上げます。今後はより一層の品質向上に努めてまいりますので、引き続きご愛顧のほど、お願い申し上げます。
なお、カスタマー登録の際に電子メールアドレスをいただいているお客様には順次、電子メールでも同様のご案内を申し上げます。
ソニー、バイオLXシリーズ液晶無償点検/修理〜画面に黒色の横線や縦線が表示される不具合
ソニーは26日、同社のバイオLXシリーズ付属の15型液晶ディスプレイにおいて、長期間の使用で、表示画面に黒色の横線や縦線が表示される不具合があると判明し、これに伴い無償点検/修理を行なうと発表した。
対象ディスプレイは、PCV-LX96G/BPをはじめとするバイオLXに付属する15型液晶で、型番が「PCVA-15XSA1」/「同SA2」/「同SA2/A」および「PCVA-15TXSA1」/「同SA2/A」のもの。
Webサイトのほか、カスタマー登録の際に電子メールアドレスを登録した同シリーズユーザーに対し電子メールで案内するとともに、専用対応窓口を設け、同現象が発生したディスプレイを無償で点検/修理対応を行なう。
欠陥品であることは一年以上前から判明していたはずなのに、発表が遅すぎました。この対応でソニーに対して不信感を抱いたユーザーは多かったことでしょう。ソニーの犯した最大のミスは、不具合情報を隠し通せると甘く見ていたことです。インターネットが普及していない時代だったらなんとでもなったでしょうが、、現在は不特定多数の個人が情報を共有できる時代です。多発している不具合であればユーザー同士の情報のやりとりですぐにバレます。
元々は製造元の日立のミスですが、一番損をしたのはVAIOの正規ユーザーでした。一番儲かったのは転売ヤー諸君。ソニーも信用を失い、顧客を失うことで損をしているでしょう。欠陥品として認めるのだったら、最初から欠陥品としてアナウンスしていれば被害を最小限にすることができたはずです。
とりあえずこれにて一件落着といったところでしょうが、製造メーカー各社はこれを教訓にして、今は傾向的な不具合を隠し通せる時代ではないと肝に銘じるべきでしょう。
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