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〜PS2型PCの製作 その3〜

PS2ケースへの組み込み


F通  BIBLO NB7マザー

SONY PlayStaion2 (SCPH-10000) ケース

前回までの作業で、とりあえずマザーがケース内部に収納され、各種インターフェイスのコネクタが繋がりました。あとはバックパネルの作成と音声入出力の配線をすれば完成です。しかし、これが意外に大変でして、バックパネルの加工が一番手間が掛かってます。

音声入出力コネクタ

音声入出力コネクタは普通にパーツ屋で買っても良かったのですが、一個100円以上するので手持ちの基板に張り付いていたものを利用することにしました。

確か、100円で買ったジャンクFDDになぜか添付されていた基板です。ゲームポート用おDサブ15ピンも載っているので、たぶんサウンドブラスター系のサブ基板だと思われます。

基板を金鋸で切断してこういう部品にしました。バックパネルに穴を開けて接着固定します。


バックパネルの設計

いよいよ設計なわけですが、まずは取り付けるべきコネクタの配置とファンの配置を考えます。ケースファンは空気の流れを考えて、CPUクーラーの背後に配置させ、各種コネクタは、できるだけ縦置き時に下のほうに集中するように配置させることにしました。そのほうが縦置きした時に本体が安定しますので。

当初はPS2から切り出したファン吹き出し口とレッテルが貼ってある部分を再利用して、隙間をアクリル板で埋めるつもりでした。

とりあえず開けるべき穴は、マザー直付けのパラレルポート、VGA、USBの他、LAN、PS/2(2個)、メインスイッチ、ACアダプタ、LANコネクタです。

アクリルの加工

PS2の背面をスキャナーで取り込んで白黒反転させたものを印刷して、型紙を作ってみました。こうすると細かい計測をしなくて良いのでラクです。
しかし…

一応こんなアクリルパネルを作ったのですが、VGAコネクタの穴を開ける課程でアッサリと割れてしまいました。

アクリルは結構な硬度がありますが、逆に「粘り」の無い素材なので割れやすいみたいです。そういう点はガラスに似てます。ちなみにPS2ケースはABS樹脂で出来ており、プラスチックにゴムを混ぜて「粘り」を出し、割れにくくした素材です。

このパネルに開けなければならない穴は密集しているため、作り直してもまた割れてしまいそうです。よってアクリルでの製作は断念。


アルミ板の加工

ということで、アルミ板で新規に作成することにしました。レッテルの貼ってある部分が使えないのは残念ですが、一枚板の方が強度的にも有利でしょう。

素材は1mm厚の板です。0.5mmだと薄すぎて強度が足りません。1.5mm以上だと厚くて加工が大変になってきます。1mm程度が加工しやすく、強度的にも丁度良いと思います。

アルミ板をいきなり切り出しても誤差が出て隙間が開いたりすると思われるので、まずは丈夫な厚紙で型紙を作り、現物合わせしながら微調整し、それを正確に書き写した紙をアルミ板に両面テープで貼り付けて金鋸で切り出しました。金鋸で切れない微妙な部分は棒ヤスリでひたすら削ります。

ちなみに、こんな風に型紙を作って張り付けると、切り出した際に誤差がほとんど出ませんし、表面の傷防止にもなり、さらに型紙に基準線を書き込んだり消したりすることができ、非常に作業効率が向上します。型紙に穴を開ける部分を書き込んだらそこをカッターでくりぬいてしまえば、型紙がガイドになって分かりやすいです。

切り抜き完了

そんな感じでひたすら穴開けです。いきなり開け終わった画像なので簡単に終わったように見えますが、今回の工作ではこの行程に最も時間を掛けています。狭いケースにいろいろ組み込むのでお互い干渉しないように位置決めするのに気を遣いました。一度開けてしまった穴は塞げませんからね。

こういう加工には「ハンドニブラ」を使えばある程度ラクなのでしょうけど、私は持っていないので、電動ドリルで内周に沿って穴を開けまくり、穴と穴の間をニッパでパチパチ切り取ってからデコボコを棒ヤスリでならしました。

ちなみにケースファン用の穴は丸く開けた方が作業としてはラクですが、パネルの強度に問題が出そうなので、こんな風に柱を残す形で加工してます。

フィルムシート張り付け

バックパネルはアルミ板の素材そのままでも格好は悪くないのですが、やっぱり違和感ありまくりなので、黒いフィルムシートを張り付けてみました。ホームセンターで買ったつや消し黒のシートです。張り付けてからカッターで穴をくりぬいています。
とりあえず張り付けてみた

ということで、仮組みしてみました。あまり違和感なくはまってます。マザーとはコネクタに付いている4カ所のネジで固定しますが、ケースとバックパネルをどうやってくっつけるかを考えなくてはなりません。うーん。
コネクタを固定

ACアダプタ入力、音声入出力コネクタはホットボンドでガチガチに接着しました。メインスイッチはバネが付いているので外側からはめ込むだけでOK。

PS/2コネクタは基板用のものを使ったのですが、ホットボンドだと強度が足らないと思い、エポキシ接着剤を使ってパネルに張り付けてみました。しかし、それでも強度が足らず、数回の抜き差しで取れてしまいました。結局マザーのUSBコネクタの隣にホットボンドでガチガチに固定しています。

あと、PS/2の信号ですが、前述の信号引き出しポイントを使うと何故かエラーが出て使えませんでした。よって、トラックパッド用の信号を使っています。アサインについては「壊してます」に載ってます(Celeron500-B大その3)。


CD−ROMドライブの固定

CD-ROMドライブを然るべき位置に固定しなくてはならないわけですが、これが案外厄介でした。ちょっとでもズレるとトレイの取り出し口が支えて出なくなったり、はみ出したりして格好悪くなったりしてしまいます。

0.5mm厚のアルミの薄板でステーを作ってマザーにネジ止めする形にしました。とりあえず例によってボール紙でシミュレートなどしてみたりします。

このボール紙と同じ形でアルミ板を切り出します。

で、こうなりました。

それぞれ、マザーにネジで固定、電源基板にネジで固定、コントローラ端子のプラスチックを少し削って下に潜り込ませてコントローラ端子と共締め、スイッチパネルと共締め、ってな具合で4カ所を固定してます。


バックパネル固定用金具の接着

バックパネルとPS2ケースを固定するために、ケース側にL字型金具を接着しました。合計8カ所です。本当はネジで固定したほうが良いのですが、そうするとどうしても美観が損なわれるので、エポキシ接着剤で付けています。ちなみに真ん中の2つx上下のネジはケースファンと共締めになってます。また、L字金具にはナットを接着してあります。ネジ山を切ってあるL字金具があれば丁度良いのですが、サイズの良いものが無かったもので。

あと、CD-ROMドライブの上にあたる部分に、ドライブを上から押さえて安定させるための出っ張りを張り付けています。とは言ってもセロテープで貼り付けただけですが。これも0.5mm厚のアルミを利用して作成してます。

HDD固定

一通り材料の加工が終わったので、最終の組み立て作業にかかります。

HDDはL字金具を用いて少し底面から浮いた状態にしています(左の赤丸のところ)。HDDの底部にIDEケーブルを這わせる為です。固定については、PS2ケースに挟んでネジ止め(画像右の矢印の裏側にあるネジ穴)するだけで十分でした。

ちなみにここに写っているプライマリIDE用のコネクタですが、前に作ったものとは違い、コネクタの付いた側にケーブルを半田付けしています。上面を平面にしないとCD-ROMドライブと干渉するので。

HDDの電源コネクタですが、L型のコネクタをさらに加工してます。前にも書いてますが、ケーブル留め具のプラスチックを外して、ホットボンドで固め、出っ張りを少し削りました。これで奥行きが減るのでギリギリケースに収納可能になります。
マザーの固定

マザー自体は基本的に乗っけているだけだったりしますが、一応スペーサーで2カ所ほど底上げしてます。マザーはバックパネルに対して、VGAコネクタ、パラレルポートのネジで固定されるので、バックパネルさえケースに固定されれば固定性としては十分です。

ちなみにPCカードスロットですが、当初は穴を開ける予定でありましたが、主に縦置きで使う予定+穴開けが面倒になったので、今回はオミットしています。

斜め前から見たところ。HDDの上には多少の隙間があり、ケースファンによる通気もあるので、廃熱に関しては大丈夫そうです。


音声入出力信号の配線

マザーの音声入出力コネクタを剥がして、直接ワイヤーをハンダ付けしました。

ピンアサインについてはnoridaさんの「壊してます」中の記事に記載されています。

私は物理的なVRは使わないので、伽藍堂さんの記事に倣って、抵抗とジャンパで、物理的なボリウムは固定としました。ボリウムはOSでも調整可能です。

私はジュンフロン線をツイストして配線したのですが、これだと結構ノイズを拾ってしまうようです。各々を2芯のシールド線で配線したほうが良さそうです。

ついでに電源回りの配線をして完了。電源スイッチはLEDが仕込んであるタイプなので抵抗を介して電源を繋げています。


バックパネル取り付け

全ての配線が完了し、バックパネルも取り付けました。あとはトップカバーを被せるのみ。こうして見ると、意外と追加配線したところって多いもんですね。

ちなみにケースファンの電源はコントローラ用に作成した+7.8Vを使っていますが、実に程良い回転数が得られてます。

完成!

ようやく出来上がりました。前から見ると普通のPS2にしか見えませんよね? 余計なものは何一つ見えないように作ってあります。

背面をみればさすがに違うのが分かります。上の方はシンプルですが、ファンから下はコネクタを近接させたため、ケーブルがゴチャゴチャしてます。

電源ボタンを押せば起動するし、イジェクトボタンを押せばCDのトレイも出てくるし、コントローラを差し込めばゲームもできます。エミュレータをフルスクリーンにしてコントローラでゲームしているところを見たら普通の人はゲーム機としか思わないかも。普通のテレビに繋げないところが実に残念なところではありますが。

ちなみにJoyToKeyというソフトを使うと、コントローラでキーボードやマウスエミュレーションが可能になります。マウスの代わりにコントローラで操作できて面白いです。PS2のPADはボタンが多いので、WEB見るときなんかには、スクロールや「進む」、「戻る」をL/Rあたりに割り当てると結構使えます。


総評

製作期間2ヶ月以上かかりましたが、ようやく完成しました。PS2のケースが余った時点で製作を考えていたのですが、構想に1年以上掛かってしまいました。作り始めの時には軽く考えていたのですが、現物合わせしながらゴリゴリ削ったりする作業は想像以上に面倒なものでした。ケースにマザーをあてがって作業するので、いつマザーを破壊するかヒヤヒヤものです。同一形状の不動品でもあれば安心なんですがね。やっぱり今回のように予備のマザーは入手しておくべきだと思いました。

テレビ出力端子が取り出せなかったのは残念でしたが、実はこのDuronマザー、システムバス200MHz、HDDはATA66対応だったりして、同時期のインテルマザーより地味に高性能だったりします。おまけにチップセット的にはUSB2.0に対応しているはずで、チップベンダーからドライバも出ているのですが、このあたりは対応デバイス持ってないのでよく判りません。

メモリ増設してWindows2000で使っていますが、起動も速く、動作も機敏でサクサク使えています。とはいえ私の現在のメインPCがPentium3の733MHzなのでそう思えるだけかも知れません。クロックだけで言えばメインPCの速度を超えてしまいました。動画編集等の負荷のかかる作業をしなければ十分に実用的だと思います。

熱問題については、空気の流れが良いためか、低速なファンでも問題ないようです。まぁ、元々ノート用のシステムですから、デスクトップPC用のヒートシンクと2個のファンを使えば十分でしょう。動作音ですが、ファンx2を低速で回しているので気になるほどの騒音にはなっていないと思います。

何しろジャンクマザーPCを使った制作は初めてだったもんで、いろいろと反省点はありますが、それは次回作以降に生かしてゆこうと思います。


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