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〜ビデオカードの画質改善改造〜


玄人志向 

Radeon 9600SE ビデオカード RD96SE-LA128C

実はウチのメインマシンは先日(H16.4月末)まで440BXチップセットのマザボ(AOpen AX6BC TypeR V.spec)に、Pentium3 の550MHz版をクロックアップして733MHzで動かしているというショボいスペックのマシンでした。マザボもCPUも4年前に買ったやつだったりして。陳腐化の激しいPCパーツの世界で、よくも4年もメインの座に居座れたもんだと自分でも感心してしまいますが、HDDだけはATA100の60GBx2台をRAID(ストライピング)で使っていたので、体感速度はまぁまぁで、実はあんまり不満を感じていなかったのです。

で、先日久方ぶりにアップグレードなどしてみましたのですが、その理由は我が家に有り余る液晶資源を利用してマルチモニタ化するためでした。が、その際に入手したビデオカードの画質があまりに悪かったので、画質改善の改造をしてみました。


RD96SE-LA128C

コストパフォーマンスに優れる玄人志向製品の中から、ATiのカードをチョイス。これまで使っていたATiのAll in wonder128の画質が気に入っていたのがその理由。その中で、アナログRGBとDVIの2系統出力が可能で、ビデオメモリがそこそこ(128MB)あり、ファンレスでしかも安い(丁度2000円のキャッシュバックキャンペーンが実施中だった)カードという条件で絞ったら、この製品になりました。

しかし、残念ながらアナログRGBの画質は最悪。XGA(1024x768)程度までは普通に表示できるのですが、Quad-VGA(1280x960)あたりから輪郭の右側にゴーストが発生してきて怪しくなってきます。UXGA(1600x1200)あたりだと文字がボケボケになって見ていられません。これまで使っていたAll in wonder128ではUXGAでも綺麗に表示できていただけに、むしろダウングレードした気分。私はメインモニタに19インチのCRTをUXGAで使っているので、アナログRGBの高解像度モードが綺麗に表示できないとダメなのです。

能書き

パッケージ拡大。

ビデオメモリ128MBでRGB、DVI、TV出力まで対応しているのでスペック的にはマルチモニタのためのカードとしては十分なのですが…。

ロープロファイル対応で、バックパネルも2枚付いています。まぁ、それが一因でアナログRGBの配線がいい加減になっているわけですが…。

バックパネル

アナログRGB端子を付けた状態のバックパネルはこんな感じ。至って普通です。S端子は7pですが、普通の4pのコネクタがそのまま刺さります。
アナログRGB中継ケーブル

これが問題の中継ケーブルです。フラットケーブルでピンヘッダコネクタを介してカードに繋がっております。

何の配慮も無い配列

して、そのピン配列なのですが、Dサブ15p三列コネクタのピンナンバーそのままの配列になっていました。

本来、RGB信号はそれぞれシールドできるようにピンが割り当てられているのですが、それがまったく生かされていません。信号の干渉を避けるためにRGBの各信号の間にはGNDを挟むべきなのですが、この配列ではRGBが隣接してしまっています。ダメダメです。

RGB信号取り出しポイント

そこで、元々の経路をカットして、ビデオチップに近いところからシールド線でバイパスを飛ばすことにしました。

テスターで信号を追いかけてみたところ、このあたりからRGB信号が出ていました。

縦にRとCとLとCが三列並んでいますが、左からB、G、Rの順に並んでいます。

一番上のチップ抵抗が75Ωの終端抵抗、その次がコンデンサ、その次がフィルター、一番下がコンデンサ。

フィルターやコンデンサは高周波成分を通しにくくするものですので、信号を劣化させる原因になります。そこで、L51〜L53を取り外しここからRGBコネクタへバイパスを飛ばすことで、LとCを回路から切り離すことにしました。

シールドケーブルを配線

中継ケーブルの黒いプラスチックのカバーを少し加工してシールド線を三本通し、片方をビデオカードに配線しました。

信号取り出しポイントはこんな具合。L51〜L53を取り外し、RGB信号をL51〜L53のビデオチップに近い方のパターンから取っています。

シールド線のGNDはC404〜C406のGND側に繋げました。

元々配線されていたフラットケーブルを適当にちょん切って、ピンアサイン通りに半田付けします。これで本来割り当てられていたRGB信号シールド用のGNDが生かされます。
改造終了

RGBコネクタを元通りネジ止めして、フラットケーブルをピンヘッダに戻せば改造完了。これで、信号を劣化させるフィルター&コンデンサが除去された上に、ワイヤーがシールドされたことで外来ノイズや干渉の影響を受けにくくなったはず。


総評

改善前の写真を取り忘れたので、比較写真はありませんが、以上の改造により画質は劇的に改善されました。UXGAで表示させてもほとんどゴーストは出ていません。これで実用的に使える状態になりました。

それにしても、この程度のちょっとした改造で大幅に画質が改善できる余地のある設計をする意図ってなんなのでしょうか。製造コストの違いなんて微々たるもんでしょうに。もしかすると、上位モデルとの差別化をするために敢えて画質を悪くしているのではないかと勘ぐってしまいます。こんだけ酷い画質ならば、速攻で上位モデルに買い換える人も多いでしょう。同じメーカーの製品に買い換えてくれるとは限らないけど。

仮に、すだれケーブルで配線するのが仕方ないにしても、GNDの配列を考えれば少しはマシになるはずです。少しでも良いモノを作ろうとしたらこんな設計にはならない思うんですがね。

ということで、画質が実用レベルに到達したので、先日アップしたアームモニタを利用して、メイン環境をデュアルモニタ化しました。数年はこの環境で使い続けるんじゃないかと思います。


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