Promise 社 「Ultra66 」改 「UltraTrak66」 RAIDって知ってますか? 2台以上のHDDを1台のHDDと見なして、ファイルを分散してアクセスすることで高速化するか、あるいは、1台のデータをそっくりそのままもう一台にミラーリングして片方がクラッシュしてももう一台でデータが保証されるというシステムのことです。まぁ詳しいことが知りたかったら「RAID」をキーワードにネットで検索でも掛けてくださいな。鬼のようにヒットするはずです。
で、私、ホビーユーザーとしては、高速化のRAIDがひじょーに気になる存在なのでした。折しも「ゲームラボ」2000年1月号36ページにPromise社のATA66インターフェイスボード「Ultra66」を「FastTrak66」相当に改造する方法が掲載されてしまったこともあり、「とっととやらねばメーカーが何らかの対策をするんではないか?」という危機感が生じていた頃、折りも折り、近所の九十九電機札幌店でUltra66を扱いだしたので試しにカードを買って改造してみました。 |
「Ultra66」を「FastTrak66」に改造して何が楽しいかっつーと、Ultra66が6000円以下で売られているのに、FastTrak66は17000円くらいするから。その価格差は1万円以上。改造っていっても抵抗一本載せるだけ。コスト的には10円ですよ、10円。いぃや、安い抵抗使えば5円。ジャンク抵抗使えば0円。限りなくタダですよ、タダ。基本的にこの2者は同じ基板、同じ部品を使っています。違うのはEEPROMに書かれているBIOSとEEPROMの下に隠れているチップ抵抗の位置一つ。こんだけ。よってチップ抵抗をずらしてBIOSを書き換えてしまえば身も心もFastTrak66に生まれ変わる訳ですな。
まったく同じ部品を使い、製造コスト的にはまったく同じだけかかっているこの2者でこれだけの価格差を付けるPromise社。これをどう考えるかはその人次第ですが、改造すれば安く済むってことで、改造系ユーザーとしては黙っている訳にはいかんでしょう。安くカードが手に入るってことで有り難く改造させてもらいましょう。
改造そのものは拍子抜けするくらいあっさり成功したので今度はHDDを2台購入。IBMのDPTA372050 (ATA66 7200rpm 20GB)です。合計40GB。「んな容量誰が使い切るんだ!?」という意見は速攻却下(笑)。良いんです、未だに10以上余ってますが、容量はあって困るモノじゃないですし速度も速くて困ることはありません。なにより大事なのは自己満足です(爆)。私は目的よりも手段が先行することが多いです。今回のRAID化も「改造したいからやった」的なところがありますね。「手段のためには目的を選ばず」って感じ(爆)。
HDDの選択としては。アクセススピードではSeagate社のバラクーダに定評があったようですが、7200回転のHDDを2台入れることを考えるとかなりキンキンうるさいことが予想されます。よって静粛性で定評のあるIBMドライブの選択としました。まぁ、あんまり難しいことは考えてませんでしたが。
結果として、Mark I は40GBのRAIDシステム装備となりました。アクセススピードは特にチューニングしなくてもベンチマーク上40MB/secの読み込み速度が出ています。RAID化する前は4MB/sec程度でしたからエラい進化です。まぁ、体感的には10倍速って訳には行きませんが。HDDアクセスが速くなってもその他システムそのものはそのまんまですから。
さぁ、あなたもRAIDしましょってことで、生け贄君として、にがATシリーズの末っ子「Mark VIII」を所有の相方君にRAIDを勧めたところ乗ってきました。しめしめ、フフリ(C)悪代官。ということで、今回は相方君Mark VIIIのRAID化のレポートといたしましょう。
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今回の生け贄(笑)。私の後輩の相方君のマシン。99年3月誕生。 どうでも良いけど一応参考までにスペックは、 AOpen AX6BC Type R , Celeron 400MHz , RAM 128MB , Voodoo Banshee AGP 16M , Melco Ultra SCSI , Monster Sound MX200 , MPG-VC1 , HDD IBM 5400rpm 10G , MO 640M ATAPI , CD-R CW7502 , TEAC CD-532S , 3mode FDD , Power 250W って感じ。割と贅沢なマシンかも。 どうでもいいけど、サイトを見て回っていると自分のマシンのスペックをズラズラ表にして書き連ねている人を多く見かけますが、あれって意味あるのかなぁって思います。単なる自慢にしか見えないんですよね。見ていて何も得るものが無いっていうか。逆に、「これを使ったらこんなトラブルで苦労した!」とかそういう話なら見ていて非常に参考になるのですが。 |
買ったもの Ultra66 ボード5700円、HDDはIBM DPTA372050 (7200rpm 20.5GB)19500円 を2個。300W電源6800円。 占めて51500円ナリ。決してお遊びにしては安くない価格。これの他にATA66用のIDEケーブルも購入。1000円くらい。 |
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電源 とりあえず、電源を交換。すでにスロット4つと5インチベイが3つ埋まっているマシンなので250Wでは超不安。何しろ7200回転のHDD2台入れるわけで、それなりの発熱量と消費電力があると予想されます。安定度を考えるとやっぱ300Wは欲しいところ。転ばぬ先の杖ということでいきなり300WにしてからRAID化することにしました。 |
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フツーのリテール品です。どうせ改造するのだからバルク品でも良かったのですが、相方君はよく分からなかったらしいのでリテール品を買ったそうです。クリスタルオシレータが乗っているバージョン。ASUSブランドでクリスタルが載っていないバージョンもあるようです。 |
改造前に動作確認
これ基本。改造後に動かなくて「実は初期不良だったかも」なんて言ったら死んでしまいます。
元の10GのHDDを繋げて起動。どうやらうまく認識しているようです。OSのブートも問題なし。初期不良問題はクリアー。これで心おきなく改造が出来るってもんです。
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で、BIOS書き換えです。専用の起動フロッピー(システムのみで何一つドライバを組み込んでいないもの)を作ってここの中のどこかからダウンロードしたファイルを展開しておきます。なんかやたら見つけにくいような気がするのですが、根気よくftpの中とか探してください。私が見つけたのは「ft66b108.zip」というファイルでした。バージョンによって変わると思うし、場所も移動しそうだから敢えてリンク先は書きません。ご自分でお探しください。 ちなみにこのバージョン以降では改造対策が施される可能性があります。後から欲しがっても手に入らなくなるかも。改造するかも知れない人、ダウンロードマニア等は今の内にダウンロード必須でしょう。 書き換えは「ptiflash.exe」 を実行して、BIOSファイルに 「ft66b108.bin」 を指定すればOK。楽勝。 |
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Ultra66を改造!その2 (身も心もFastTrak66へ)
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いよいよ、ボードに半田コテを当てます。まぁ、チップ抵抗をずらすとか、やりかたはいろいろあるんですが、現在の所このやり方が最も簡単ということで紹介します。100Ωの抵抗をEEPROM の16pと23pの間に挟むだけ。これだけで、回路的にはFastTrak66と等価になります。この写真の通りにやれば間違うことはないでしょう。 くれぐれ隣のピンと間違ったり、隣のピンと半田で繋げた(ブリッジ)まんまスロットに差し込んだり、半田カスを基板にくっつけたままにして使おうとしたりしないように。ボードやPCが死んでも知りませんよ。ってゆーか、このページを見て改造に失敗してもわたしゃ知りません。改造は自分の責任で行わないとならんのです。そもそも失敗して他人に文句を言う奴は改造する資格が無いのです。 厳密な回路ではこれで全くFastTrak66と同じになったわけではないのですが、デジタル回路では両者の微妙な抵抗値の違いは区別されません。BIOSレベルで「これはFastTrak66だ」とまんまと騙すことが出来ます。これで身も心もFastTrak66へ生まれ変わったはずです。巷ではこうして改造されたUltra66を「UltraTrak66」と言うことが多いようです。 |
とりあえず起動試験
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さてさて、改造が終わったボードをPCに挿して元のHDDを繋げてみます。 おぉ! BIOSはすっかりFastTrak66だと騙されているようです。しめしめ。ドライブの割り当てが済んでいないので「ctrl+f」を押してセットアップします。適当に「auto setup」を選んで設定したら再起動。 |
どうやらうまく元の10Gドライブを認識しているようです。 ちなみにまだRAIDにはなってません。一台のドライブをFastTrak66ボードを使って使えるかどうかをチェックしているだけ。 OSのブートもアクセスも全く問題なく出来ました。 |
「UltraTrak66」の作成に成功したら新しい2台のHDDをUltraTrak66へ繋げて領域確保、フォーマットを行い、ブートドライブとして使用可能にします。元のドライブを繋げた状態だと、どっちをブートドライブとして使用するかとか、パーティションの状態をアクティブ(ブート可能領域)にするとかしないとかで問題が生じるので、RAIDシステムをブートドライブとして認識するまでは古いドライブは外しておいた方がやりやすいと思います。
SYSコマンドでシステムファイルを転送して、RAIDシステムからブート(コマンドプロンプトレベル)が出来るようになったら、古いドライブを繋げて古いドライブから昔の環境でWINDOWSをブート。FastTrak66のドライバをインストールしたらあとはせっせせっせとファイルのコピー。古いドライブから新しいRAIDのはじめのパーティションに「c:\windows\system\win386.swp」以外のファイルを全部コピーします。ちなみに「win386.swp」はOSのスワップファイルなので、読み込みがロックされており、WINDOWSからコピーは出来ません。しかし、このファイルはOS起動時に存在しなければ勝手に作られるのでコピーしなくても問題なしです。
これで以前使っていたWINDOWSの環境はそのままにRAIDに移行することができました。速度ですが、特に細かい最適化をしなくてもreadで40MB/sec出ています。それまで8MB/sec程度であったことを考えるとやっぱり速いです。マニアの方はいろいろ試行錯誤して60MB/secみたいに最高の速度が出るまでチューンしているようですが、まぁ、大事なのは実効速度ですから私はあまり気にしません。っていうか、細かいチューンナップが面倒っていう話もありますが。
ちなみに古いドライブは遅いし電源を喰うし余計な音も出るのでお蔵入りです。ウチのMark IのドライブはRAIDにする前までMAXTORの17.9Gが付いていたのですが、現在箱の中で休眠中。まぁ次に新しいマシン(Mark IX?)を組むときに利用されるでしょう。相方君のIBM 10GBのドライブもとりあえずお蔵入り。
2000.9.17追記 BBSにて、メーカー配布による最新のBIOS、書き換えユーティリティでは正常に書き込めないという情報を頂きました。2000.9.17現在、PROMISE社に登録されているユーティリティは1.08と1.30bxxの数種類がありますが、いずれも(たぶん)PTIFLASH.EXEに改造対策が施されており、Ultra66のBIOSを書き換えることができません。従って、Ultra66のBIOSを書き換えるには、現在アップされている1.08ではない旧1.08BIOSに添付されているPTIFLASHを使う必要があるとのこと。
そこで問題になるのが、旧BIOS+ユーティリティの入手ですが、下記の方法があります。
FTPSearchを使い、FT66b108.ZIP(全部半角英数)で検索する
ftp serch:
2000.9.17現在、下記サイトにて入手することができます。が、リンク切れの場合は上記のFTPサーチしてください。
これらのに含まれるユーティリティを使えば、とりあえずハードウエアのリビジョンに関わらず書き換えができるようです。今のところハードウエアにプロテクトが掛かっているという情報はありません。
引き続き何かプロテクト情報ありましたらBBSまでお願いします。
irongateさん、ともちゃんさん、kitasanさん、BBSでの情報ありがとうございました。
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