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〜ソニーのCDプレーヤーを修理する〜


 SONY CDP-222ES

今回は当サイトとしては初めてのCDプレーヤーを修理します。実は未公開ネタで、以前ソニーのCDP-553ESDという、超高級CDプレーヤーをジャンク屋で1500円にてゲットしたのですが、それの復活に失敗しまして、肝心のピックアップがダメになってしまいました。そこでそのピックアップ移植のために某オークションでドナーとなる機体を捜していました。

そこで目に付いたのがこの機体です。「トレイ入らず」とのことで880円にて落札。ピックアップが共用かどうかは不明ですが、まぁ、移植できなくても一応ソニー製品の中では比較的信用できる「ES」グループの作品です。単体復活できれば使い道もあるでしょう。

ちなみにあちこちで書いていますが、私はソニー嫌いです。すぐブっ壊れるからです。これは単なる噂ではなく、中身を見ればなるほど確かに壊れやすい設計なのです。ソニータイマーとか、一年タイマー内蔵だとか、わざと壊れるように作っているとか言われても仕方ない作りですよ、マジで。そう言われたくないなら真面目に設計して欲しいのですが、ソニーは言われても全然気にしないようです。やれば出来るはずの会社なのに。

ただし、私がソニーの中でも別格扱いしているのが「ES」と名の付くモデルと、ブラウン管関連です。ESはオーディオマニア向けの商品開発をしていますので割と信頼性は高いようです。ブラウン管はソニーは技術レベルが高いですし、今まで使ってきましたが、ソニーのテレビで悪い思い出もありません。

とりあえず解剖
とりあえず分解して、トレイの動作を見てみます。CDを入れると、トレイが中に入るのですが、その後にCDを固定する「押さえ」が降りてきません。どうもそこで負荷が掛かってベルトが滑っているようです。手でサポートするとなんとか降りてくるのですが、CDを認識せず、回転しません。どうやら問題はトレイだけではないようです。

ちなみに、この機体はオーディオにこだわったESシリーズらしく、ケミコンはオーディオ用を使っているようです。

一応配列を見る限り、ある程度はツインモノの対象回路にしているようです。DACはバーブラウン製のが2つ。左右独立です。

この機種はESシリーズの中でも下位機種のようですが、腐ってもESです。このあたりのこだわりはさすがですね。もっとも、さらに上位機種となるとさらにもっとこだわり方が尋常じゃなくなるのですが。この程度はまだまだ甘い方です。

ただ、全体の作りは結構ペラペラであり、フレームは弱そうな樹脂です。それを補うためか、誤魔化すためか分かりませんが、基板の底部には厚さ2〜3ミリ程の極厚鉄板プレートが張り付いていました。重量のかなりをこれで稼いでいるような気がします。

なんとなく、オモリみたいな…。ちなみに張り付いているのは基板のある部分裏側の部分だけです。ピックアップユニットの裏はただのプラスチックのフレームのみです。

重量のバランスを取っているとも言えるか…。

背面端子は電源端子はこれだけです。廉価機種らしく、デジタル出力はありません。サブコードって一体なんの信号なのだろう…??


メンテナンス開始

肝心のピックアップですが、どうやらお目当ての553ESDのものとは違うようです。さすがに同じESシリーズとはいえ、超高級機との差別化は行われているようで…。とはいえ、ピックアップの移動にはギヤを使わず、磁界に浮いているような構造です。プレステのザコな機構と違い、摩耗も少なくかつ、シークも静かで高速という優秀なメカニズムですね。振動に弱いという弱点はありますが、同じソニーでもやはりESシリーズの設計はよさげです。

今回は553ESDと組織適合しないことが分かりましたので、これ単体で復活させる作戦に変更することにしました。まずはCDを認識しないトラブルですが、トレイ挿入後のピックアップの動きを観察したところ、レンズが上下してCDを探そうとしている様子が見られました。しかし、CDを発見できず、スピンドルモーターが回りません。こういうときには大抵レンズの汚れであることが多いです。

また、トレイ挿入にはモーターを1つ使っており、比較的短めのゴムベルトが1本使用されていました。ここが滑っているのでしょう(矢印)。

レンズクリーニング

さて。ピックアップを清掃するためにカバーをはずしました。

このピックアップは鏡を使わないタイプです。掃除もしやすいです。

ピックアップ裏側ですが、ここからレーザーが直線的にディスクへ向かって照射され、直線的に反射した光を読みとるようになっていました。

プレステなど薄型のピックアップユニットでは、途中でプリズムを用いて光を反射させているのですが、このピックアップのように光を無用に反射をさせない機構の方が透過による光の損失や、透過光の反射による干渉が少なく済み、効率が良いと思います。

物理学の「波動」を思い出しますね。波動はは密度の異なる物体に当たると、反射波と透過する波に分かれて、透過した波は屈折して以下略。

いつものように綿棒にイソプロピルアルコールを浸して、レンズの表裏とその下のガラス?を拭き取りました。レンズ表面はかなりすすけていたようです。クリーニング後はレンズが青々と輝きを取り戻しました。

それにしても、このレンズって見た目がプレステにソックリですねぇ。まぁ肝心のところの設計やレーザーダイオードの品質はこちらの方がずっと良いのでしょうが…。

ゴムベルト研磨

トレイロード不良に関しては、とりあえずゴムベルトのヤスリがけで回避しました。

このベルトは太くて短めなので、伸びの影響よりも表面の劣化の影響の方が大きいようです。よって紙ヤスリを使って劣化層を取り除くだけで十分な効果が得られました。

削った後は全くスムーズにトレイを吸い込むようになりました。手でトレイの動きを邪魔してもかなりの力で抵抗されます。これなら問題ないでしょう。


総評

というわけでテストしてみました。まったく問題なく動作します。CD−Rで再生も問題有りません。実はこの時代のピックアップユニットは現在のものより優秀で、精度が良かったという話も耳にします。案外昔のプレーヤーの方が安定してCD−Rを読めるのかも知れませんね。

さて、完全に直ったわけですが、とりあえず553ESDを直すという目的は果たせませんでした。また新しいドナーを捜さなければ!


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