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〜ソニーのCDプレーヤーを修理する その2〜


 SONY CDP-338ESD CUSTOM FILE

当サイト2回目のCDプレーヤー修理を行います。近所のリサイクル系ショップへ逝った折り、1000円でこんな高級機を見かけました。商品説明札には「少し音飛びがする」と書かれていました。少し程度の音飛びならレンズクリーニングでなんとかなるだろうと思い、迷わずゲット。

ソニーのESシリーズといえば、ソニー嫌いの私が信用する数少ないブランドであります。今時のESは分かりませんが、少なくともバブル時代のESはまともなものを作っていたと思います。それは中を見てみれば一目瞭然。やはりメカ物は中をみてナンボの世界。普通の人は商品を購入検討する際にメーカーが発行しているカタログを貰ってきてあーだこーだ各メーカーのスペック表とかウリ文句などを参考にすると思いますが、私はカタログに中身の写真を盛大に載せて欲しいと思いますね。買ってからでないとどんな設計が分からないなんてハッキリ言ってバクチですよ。

ちなみに某オークションでもソニーのバブル期のソニーESシリーズCDプレーヤーがよく出品されていますが、結構高値が付いています。このクラスでちょっとした手直し程度で動きそうなものは5000円弱とか。1000円でこんなのを見かけたら捕獲するしかないでしょ。

とりあえず解剖

とりあえず分解してみます。この時代のCDプレーヤーはベルトが伸びてトレーの動きが悪くなっている物がほとんどなのですが、このプレーヤーは奇跡的にベルトは大丈夫の模様。出し入れにまごつくことはありませんでした。ていうか、そもそもトレイの出し入れにあまりトルクを必要としない機構のようです。普通のプレーヤーだと、トレイをロードした後に、上からディスクを固定する「押さえ」が降りてくるようになっており、その切り替えでメカが重くなってベルトの滑りを生じさせたりするのですが、このプレーヤーの機構は違っていました。トレイを奥に差し込むだけで自動的にディスクが固定されるメカニズムになっています。トレイ挿入口にもゴムが貼られており、蓋が閉まったときの音も静か。この機構に「ACOUSTICIALLY SEALED LINEAR-SKATE DISK LOADING」と名付けられています。ソニーらしい仰々しいネーミングですねぇ。

ツイントランス電源

電源も仰々しいです。なんせツイントランスです。どちらかは判りませんが(調べてない)デジタル/アナログか、L/Rで分離していると思われます。

それにしてもツイントランスとは、贅沢な設計ですねぇ。ビデオでは松下のV10000がそうでしたが、よっぽどの高級機でないとここまで電源にお金を掛けませんね。

ツインモノ対称回路

ESシリーズらしく、ツインモノの対称回路となっています。使用されているケミコンも茶色のたぶんオーディオ用だと思います。

DACはバーブラウンの石です。L/Rにそれぞれ1個ずつ。

基板もガラスエポキシのようで、前回扱った222ESより高級ですね。

背面端子群

背面端子は結構充実してます。ライン出力が2系統。一方はレベル固定。もう一方はレベル可変。これは前面のボリウムツマミにシンクロしています。

デジタルは光、同軸の両方を装備。CDプレーヤーとしては必要十分な出力系統です。

電源ケーブル

見よ!この極太ケーブル。松下のNV-V10000より太いくらいです。

オーディオには太い電源ケーブルが良いらしいのでこのくらい太いと安心ですねぇ。

極太ケーブル拡大図。300Vまで耐えるんだそうな。凄いですねぇ。年代判定では1988年産のようで。

ボトムプレート

このプレーヤーは外装がかなり重厚です。何せ重量が10kg程あります。たかがCDプレーヤーに10kgですからね。

そのボトムプレートですが、両面共に黒く塗装されています重さもかなりのもの。メチャメチャ重いです。ボトムプレートに両面塗装だなんて、かなりの高級機でないと普通はやりません。コストかかるから。

インシュレーター
インシュレーターも勿論モノホン。FINE CERAMICSとわざわざラベルが貼ってあります。

内側に見えるのが白いのがセラミックですかね。足の部分にはゴムシートが貼ってありました。

しかし残念ながら4つの足の内3枚が剥がれて欠損。貼り直しておかなければ…。なんとなく特殊なゴムなような気もしますが。

サイドウッド無し…
本体外装横にはこんなラベルが貼ってありました。化粧側板と書いてあるところを見ると、元々サイドウッドがあったものと思われます。前オーナーは外して使っていたようで…。一緒に捨ててくれればいいのに。チッ。
ちなみにサイドウッドが付くとこんな感じになるらしいです。某オークションで出ていた画像から勝手に拝借(^^;;;。やはり結構な高級機であったようで。定価はいくらだったのだろう…。

裏側

ボトムプレートを解放。意外や意外。高級そうな外装でしたが、電源を除くと基板はメインの一枚だけです。特にデジタルとアナログを分けていたり、信号系と制御系で基板を分けていたりしていないようで。


レンズクリーニング

さて今回の機体の不具合と思われるピックアップの清掃を行います。

見たところ、あんまり高級っぽくないピックアップです。樹脂製パーツも多用してますし、作りは前回扱った222ESと同等です。

ピックアップのカバーをはずしました。なぜかカバーは2カ所で接着されていました。

解放したところ、やはり222ESと同等ですね。プレステのピックアップにソックリです。まぁ、移動機構はリニアモーターなので、摩耗の心配は要りませんけど。

ちなみにこの機構には「LINEAR MOTOR TRACKING /SERVO STABILIZER CIRCUIT」とか名前が付いています。ソニーらしい仰々しいネーミングですねぇ。

というわけで、前回同様レンズ内外の清掃を施行しておきました。

出力可変機構

背面端子の可変出力端子とヘッドフォン端子の出力レベルを調節するツマミですが、モータードライブ機構が内蔵されています。赤いのは発光ダイオードが仕込んであり、リモコンでボリウムを弄るとこれが点滅します。カッコイイ!

これがリモコンのボリウムボタン。これが付いているリモコンと付いていないリモコンがありますんで、なかなか付いているジャンクは見つかりにくいです。

ちなみにこのリモコンは別の店でゲット。300円でした。

カスタムファイル

カスタムファイルシステムとは、CDをデータベース化するものらしいいです。CDを入れて、そのCDの名前を入力したり、いろいろと出来るようなんですが、使い方がイマイチ分からなかったりして。まぁあんまり使いたい機能とも思えませんが…。


総評

さて、一通りの整備と調査が終わったので使ってみました。若干シークに手間取ることもあるようですが、頻度低いようですし、再生時に音が飛ぶことも無いようなので実用上はほとんど問題にならないでしょう。当時のピックアップらしく、CD−Rメディアでの再生も問題ありません。ということで追加投資無しで復活できました。

後輩のオーディオマニアに売りつけようかと思ってます。1050円(消費税込み)で(笑)。


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