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〜Panasonic VTR ジャンクNV-BS900を修理する〜

第五回 「エピローグ」


Panasonic NV-BS900(2号機)

完全に動く状態になったBS900二号機ですが、その後より完全な状態にするためにいくつかの整備を追加しました。


2000.11.23追記分

BSチューナー部の端子を交換しました。やはり汎用品で代用。基板用は比較的特殊なパーツになってしまうので。プラスチックのカバーに固定して接着してしまったのでこれが錆びたらもう二度と交換できないでしょうね。いや、二度と錆びさせるものか! 取り付けた後、本体に組み込むのにかなり苦労しています。何しろ、本来は基板を本体に取り付けてからカバーを後方から差し込むように設計されているので。底からカバーを付けるために切ったり削ったりといくつかの加工を要しました。

折れたヘッドチップ

正常なヘッドチップ
デジカメが帰ってきたので折れたチップを撮影しました。ちょっとピンぼけでアレですけど、先端の黒いチップが折れてあさっての方向を向いているのが分かるでしょうか。ヘタにクリーニングしようとするとこうなるので注意が必要です。まぁ、今回はこれ以外にもヘッドが摩耗していたので、自分で折ったとしてもあまり悔しくなかったのですが。


2000.12.16追記分

あらゆるバブル期の松下製Sデッキで不具合を起こしているHICの数々ですが、見た目で何ら異常を認めないFS800のコンデンサも実は壊れていたことが判明し、ますます表面実装タイプのコンデンサは交換すべきだという気持ちが強くなってきました。今大丈夫でも将来必ずダメになるでしょう。より完全に仕上げるためには、このBS900二号機のハイブリッドICも対策しておかなければなりません。

今回は、可能な限りコンパクトに仕上げることに重点を置きました。まぁ、これは職人としてのこだわりってやつですね。こうまで苦労してやる必要もないような…。

第一のHIC

これがそのHICのうちの一つ目。FS800の時のものと全く同一型番の「VCR0320」です。乗っているコンデンサは合計8つ。

今回はジャンクではなく、パーツ屋で調達した新品の小型電解コンデンサを使用します。

背の低いこのコンデンサならシールドケースに入るかも。ということで早速作業に着手します。

張り替え前。見た目では、何ら異常を認めません。しかし壊れるのは時間の問題かと思われます。

張り替え後。実はかなり根気の要る作業です。取り付ける順番を考えないと隙間に半田コテが入りません。

ちなみにこのセラミック(?)製の基板は熱伝導が良すぎて、すぐ熱が拡散してしまいます。20Wのコテだと半田が十分暖まらないので。最低30Wが必要。それでも熱が逃げます。コテ先は細い方が有利ですが、30Wのコテ先でも太いくらい。

足は極限まで短くしています。でないとケースに入らないので。一つだけはどうしても元の位置にレイアウトできなかったのでこのように変な位置に付いています。

なんとか押し込むことに成功しました。まさにギッチギチの状態。コンデンサは垂直ではなく、やや斜めです。そうしないと狭くてコテ先が端子に当てられないからです。

はみ出した端子が有る場合、くれぐれもシールドケースと接触しないように注意。でないとコイルが焼けたりします(経験あり)。

第二のHIC

次に第二のHICを直します。映像サブ基板のY/C PACKらしい基板に取り付けられています。

シールドケースを外し、HICを取り外すのですが、この基板は一部スルーホールとなっているので取り外しには注意が必要。写真の矢印の付いたところです。

(写真は外した後)

交換前。

これも何ら異常を認めません。まぁ、普通に使えてしますしね。

交換後。

取り付け後のことを想定しながらレイアウトします。でないと、基板に取り付けられているVRを回せなくなるからです。空中配線になるので、端子が他の部分(クリスタル表面など)と接触しないように注意します。

ちなみにこの基板はFS800、FS700でも使われていますが、異様にパターンが剥がれやすいです。剥がした場合は、切ったパターンを修復するのも忘れずに。

組み込み後。

きちんと蓋も出来ますし、VRも回せます。このHICはノイズ除去に関連したICのようです。VRを回すとノイズレベルが変わるような気がします。あまり大きな変化はないですが。

コンデンサ交換後も全く問題なく動作しています。特にVRの調整は必要ありませんでした。まぁ、たまたまのような気がしますけど。よく見ると、前より絵が綺麗になっているような気もしますが、比較できないのでよく分かりません。まぁ普通に使えれば良いので満足です。ていうか、わざわざシールドケースに収めること自体、自己満足の世界ですねぇ。


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