Panasonic BS 内蔵S-VHS Hi-Fi Video NV-BX25(二号機)
久々の往年の名機シリーズ第12回です。以前修理したBX25とは別の機体です。なんとなくゲットしてしまいました。というのも、純正リモコンが欲しかったからだったりしますが…。リモコン欲しさに本体までおまけに入手してしまうとは我ながらバカですねぇ。ちなみにお値段は本体+リモコン+ACケーブルで5000円でした。お値段としてはまぁまぁですかね。もちろんノーチェックジャンク扱いです。
この機体にはこんなラベルが残っていました。やや色あせていますが、鈴木保奈美です。オリンピックイヤーに合わせて製造されましたので、マラソン美録などという愛称が付けられています。そしてBS900の「録画王」という名称が「BSビデオ画王」に改められました。私は録画王の方が好きだったのですが…。 |
これが発売当時のカタログの表紙。 松下は例年オリンピックのスポンサーをやってましたね。オリンピック公式記録ビデオとか謳っていました。スコッチが公式記録テープ作ってたり、当時はいろいろ公式グッズがあったような気がします。コカコーラボトリングが何故かヨーヨーを作ってたり、オリンピックには謎なグッズが流行ります。 カタログのトップを飾る機種ですから、当然民生普及型デッキとしては最高機種です。標準価格は16万円。一つ前のBS900が15万円でしたから実質値上げですね。BS900に比べると、機能的には確かに豊富になったのですが、削られた部分もいくつか散見されるんですよねぇ…。本体側のボタンとか、新快速メカが廃止されたとか…。 個人的には新快速メカはもっと多くの機種に採用されても良かったメカだと思います。高速なためにテープ挿入に失敗したり、クラッチ固着するとメカを破壊しやすいという欠点はあるものの、あの快速な操作性は捨てがたいです。それに欠点とは言え、我が家で9年動き続けているBS900は未だ無故障で動いていますから、ほとんど欠点とは言えないくらいのものです。 |
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今回のブツの最大の目的であるところのリモコン。純正リモコンですから、以前改造して増設したボタン類も最初から付いています。このリモコンがなかなか手に入らないんですよねぇ…。 この機種はメニューでいじらないと、チャンネル設定だの、時計合わせだのが出来ないので困りものです。予約も本体では出来ず、リモコンが必須ですし。 ただ、予約と時計合わせはバーコードリモコンがあればなんとかなるのですがね。チャンネル設定だけは、これがないと如何ともし難いです。 |
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さて、ジャンクですから当然壊れています。私は電源を入れる前に一通りチェックしますが、早速障害発覚。カセットが入っていないにも関わらず、ローディングポストが上に上がっちゃってます。ちなみにカセコンは挿入位置に降りてませんでした。よって間違いなくこのメカは位相ズレを起こしているわけです。 |
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位相ズレで考えられるのはギヤ破損です。ギヤ破損で一番壊れやすい部分といえば、メカ裏のメインカム。ここに焦点を絞って調べることにします。 |
早速問題箇所と思われる部分を解放しました。
ご覧の通りギヤが欠けています。以前にBS900で見られたメインカムの損傷と同じです。
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拡大図。完全にギヤの山が無くなってしまっています。ちなみにここと噛み合っている遊星ギヤの方は全く欠けていませんでした。やっぱり素材の違いですかね。メインカムの素材はちょっと弱いのかも知れません。 |
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さて、新しいギヤを組み込みます。BS900二号機の記事で記述した通りですが、新快速メカとの違いを確認する意味で改めて記述しておきます。ちなみにメカ合わせはカセコンを解放した状態で行います。カセコンを組み込んだままでは無理な力がかかって位相が合わせられませんので。 まず、写真の赤丸の位置に気を付けてこのようなギヤ位置にしておきます。 |
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次に新しいメインカムツキギヤーと、遊星ギヤ(パーツ名:リテーナハグルマ)を組み込みます。赤丸のところの穴とギヤ同士の合わせマークに注意します。 |
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上から白いギヤを差し込んでみます。穴の位置と合わせマークに注意。メインカムツキギヤーの溝にモリブデングリスを塗り、アームを装着。そしてCリング2枚とOリング一枚を取り付けます(矢印)。 |
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最後にコックドベルトを巻き付けてテンショナー+ブレーキアームの載ったプレートを取り付けてネジ止め。これでとりあえずギヤ位相は大丈夫のハズ。あとはカセコンの位相に気を付けて組み込めばメカ修理は完了。 こうして組み込んでみたところ、BS900の新快速メカと組み込み方に違いはありませんでした。 |
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さて、メカ異常が解決したところで、回路異常を調べます。少なくとも以前のBX25修理で壊れていた表面実装のケミコンが載っていたHICは対策しないとならないでしょう。 で、その映像基板ですが、当時のカタログに載っていました。ご自慢の回路なんですねぇ。 |
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その基板ですが、メイン基板のパターンを見る限り、一度外されたような感じです。もしや過去に壊れて交換されているのかも! |
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と、思いきや、単なる半田クラックを直しただけのようで、載っているHICなどには手を付けられていませんでした。残念…。まぁ、仕方ないので面倒ですが、コンデンサ張り替えすることにしましょうか。 |
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ということで、一通りヤバそうなHICを外してみました。合計3つです。表面実装のケミコンは合計14個。あぁ面倒だなぁ…。 |
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まず、最初にこの簡単なやつから。22μが一つです。この基板もセラミックなのでパターンが剥がれやすいです。コンデンサを破壊して外しました。 |
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お次は、シールドケースに入ったやつですが、当時のカタログに載っていました。3ラインデジタルロジカルコムフィルタだそうです。要するにY/C分離をしているというものでしょうか。今時のデッキは3次元デジタルY/C分離ですので、時代的には古い物です。3ラインのY/C分離は画面の連続した3本の走査線の相関を計算してY/C分離しますが、現在の3次元のY/C分離は前後のフレーム同士で相関を計算します。細かい部分のY/C分離を行うには後者の方が優れています。 ご自慢のHICのようですが、載ってるコンデンサがクズなばっかりに故障の原因になり下がっていますねぇ。 |
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ということでシールドケースから取り出しました。ご多分に漏れず、噴きまくっていました。噴いた電解液でシールドケースまで腐食している始末。ひでぇ…。 使用されているケミコンは、47μが3個、10μが3個です。 それにしても、FS700、BS900(FS800)、BS30S等でも似たようなHICが使われているのですが、それぞれ微妙に違うんですよね。噴きやすいのはどれも同じなのですが。 |
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今回もシールドケースに入れることを目標としました。縦に取り付けると高さで支えるので横にしてみたりしました。 微妙にはみ出しているような気もしますが、まぁシールドケースを微妙に変形させたら入りましたのでヨシとします。もう少し小さなケミコンを使えば余裕で入ると思いますが、手持ちにはこんなのしかないので。 |
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もう一つの足の長いHICも調べておきます。 ご丁寧に表面実装のケミコンが7つも載ってやがります。 1μが2個、4.7μが1個、0.47μが1個、2.2μが2個、22μが1個でした。 |
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しかし手元に22μと4.4μしかなかったのでとりあえずサンプル的にこれらを取り外して調べてみましたが、一応噴いている様子は無かったです。 その他が噴いていないとは限りませんが、まぁとりあえず大丈夫そうだったのでその他は放っておきました。いつかは交換した方がいいと思いますが…。 |
総評 さて、一通りの補修が終わったので、火を入れます。完全整備したつもりだったので、目論見通り、初回動作確認時から完動品でした。画像もメカ動作も問題なし。
さて、最終的な価格を算定。本体5000円+ギヤ100円+コンデンサ200円程度=5300円といったところですね。純正リモコン付きの価格ですんで、まぁまぁでしょう。以前修理したBX25はメーカー純正の新品HICを買ったので、パーツ代が6000円かかってしまいましたが、コンデンサを張り替えれば200円程度なのでアホみたいにお得です。一度張り替えを覚えてしまうと、バカバカしくて純正パーツなんて買ってられませんねぇ…。たぶん、今回の機体もメーカー修理に出した場合、これらのICを交換され、技術料をプラスすると15000円くらい請求されたでしょうね。
手元にあっても使う当てがないので、いつも世話になっている友人にプレゼントする事に決定しました。電源がやや心配ではありますが、その友人はハードウエアが私より遙かに出来る方なので、不具合が発生した折りには、ご自分で直されることを期待していたりして(^^;;;。まぁ大丈夫でしょう。いやはや、まったく。
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