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〜CSチューナーに光DAIを増設する〜


AIWA スカイパーフェクTV! CSチューナー「SU-CS5

アナタは自分の使っている機械の新製品が出たときはどう思いますか? 悔しいですねぇ。新しい機械が欲しいですねぇ。いろんな機能が追加になって、羨ましく思えますねぇ。しかし、いちいち買い換えていていは財布が持ちませんし、古い機械を処分するのにも面倒です。第一、地球に優しくありません。

答えは簡単。新しい機能が欲しければ、自分で付けてしまえばいいのです。今回はアイワの廉価CSチューナー「SU-CS5」に光デジタル音声出力端子を増設するお話です。

このチューナーは最近(2000年10月現在)2万円程度で投げ売られており、しかも加入すると1万円のキャッシュバックがあったりして事実上1万円程度で手に入る超廉価モデルです。最廉価機種だけあって、機能もそれなり。もちろん光デジタル音声出力なんてありません。私もこれを買った時点では光音声出力なんて要らないや、と思って買ったのですが、我が家の光デジタル音声対応デバイスが増えるにしたがって必要になってきました。たとえばパソコンの光入力対応オーディオデバイスからデジタル録音するときとか、AVアンプにダイレクトでデジタル入力したいとか。最近はこれの上位機種が登場し、それには光出力が付いています。しかし、いちいち買い換えていてはたまりません。そこでこいつを改造して光音声出力を増設してしまいました。

早速解剖です。

左側にスイッチング電源があり、右側がメイン基板。2枚構成ですね。メイン基板の左側は主にモデムを担当する回路。真ん中とやや右にある大きめのチップがmpeg2のデコーダー。右側は主にチューナー部といった構成のようです。

今回の目標であるデジタル音声を扱っているチップは真ん中の上部にあります。かなり小さいICです。

これが、今回の目標のチップ。バーブラウン社の「PCM1723」という型番ですが、これはデジタル音声信号をアナログ音声に変換する機能を持っています。こういうチップをD/Aコンバータ(DAC)と言います。

このチップにはデコーダーからのデジタル音声信号が入力されていますので、今回のデジタル光音声出力を得るにはこのチップから信号を取り出せば良いということです。

今回のD/Aコンバーターの製造元であるバーブラウン社ではチップのデータシートをWEBサイトにてpdfファイルで配布しています。これを利用すると、ピンアサインは左の如くと判明。

欲しい信号は 2p:SCKO 16p:BCKIN 17p:DIN 18p:LRCIN 21p:VDD(+5v) 22p:DGND の合計6本です。

ちなみにD/Aコンバータのメーカーとして、バーブラウン社は一流の部類です。マニア向けのD/Aコンバータとしても定評があり、高級アンプにも同社のチップが採用されています。

さて、取り出すべき信号が判明したのでこれを光デジタル信号に変換する回路が必要です。汎用ICを使って自前でも作成可能ですが、今回は手抜き(爆)として満開製作所から販売されている「光DAI出力化キット(2700円)」を利用しました。これを使えば6配線のみで増設することができます。

満開製作所のサイトにアクセスすれば通信販売で購入することが可能ですが、数に限りがあるようなので入手する際にはお早めに。

ちなみに光DAI改造キットのピンの名前はD/Aコンバータのピンの名前とは異なります。

2p:SCKO=MCLK 16p:BCKIN=BCLK 17p:DIN=DATA 18p:LRCIN=LRCK 21p:VDD(+5v)=Vcc 22p:DGND=GND と読み替えればOK。

メーカーサイトから得られたD/Aコンバータのピンアサインを元に、SU-CS5 の基板から信号を取り出しやすいポイントを探してみました。こんな感じになります。写真では拡大しているので大きく見えますが、実はかなり細かいです。

実際に配線するときにはこの情報を鵜呑みにせずに、一応テスターでチップのピン番号に対応しているかどうかしっかりと探ってみてください。基板のリビジョンで変更になる可能性もありますので。

さて、取り付け方法が分かったのでケースの加工です。これが一番面倒。しかし、美しく仕上げるためには手間を惜しんではいけません(笑)。

私はデータ出力コネクタの上にドリルで穴を空けて板ヤスリで削って加工しました。鉄板なので結構気合いが必要です。

また、元が鉄板なので削りカスが回路に入り込むと誤動作、故障の原因になりますので、全ての基板を外してシャーシのみの状態で加工します。繰り返しますが、手間を惜しんではいけません。もちろん削った後はカスを掃除機で念入りに吸い取りましょう。

こーいう時には電動ドリルがかなり重宝しますね。一本6千円程度ですし、工作野郎には必須のアイテムでしょう。

配線 配線〜。

キットの端子から先ほどの信号取り出しポイントへ6本配線するだけです。信号取り出しポイントと言っても、結構細かいので、細い半田コテは必須。私はGNDは太めのビニール線で配線。それ以外は細いジュンフロン線(0.26mm)で配線しました。

誤動作を避けるために、なるべく太く、短い配線が良いようです。長く引き回すとノイズの原因になります。特にGNDは太い方がよろしいようです。

最終的にこのようになりました。

スカイパーフェクTV!は48kHzなのでジャンパピンをそのように合わせます。

GNDの配線どころがさっきの図とは違いますが、気にしない気にしない。(取り出しポイントは一つとは限らない)。

このキットには固定用のネジ穴がありませんので私はエポキシ系接着剤でシャーシと接着してしまいました。

完成!

これで光信号が背面から取り出せるようになりました。光入力端子付きのAVアンプに接続したところ、綺麗に音が出ています。ノイズも無く、非常にクリアーな音でした。うーん、満足。


録音テスト!

早速パソコンに接続してデジタル録音できるかどうか試してみました。実は、この満開製作所の光DAIキットには一説によると、「99年10月出荷分からコピービットを立てている仕様にしている」という話があるのです。99年10月といえば、あの忌まわしき「不正競争防止法案」が施行された時です。簡単に言うとコピーガードを外すことを主目的とするデバイスの販売を禁じた法案です。この法案のために、ビデオのコピーガードキャンセラーや、プレステのMODチップ、MODリプレイ、デジタルオーディオ用のシリアルコピーマネージャー等々、市場から闇へと消えていったデバイスは数知れず(製作は可能なんですが)。しかしながら、今回の光オーディオ取り出しの場合は別段コピーガードを外すデバイスではいので、わざわざコピー禁止にする必要はないものと思われます。

うぬぅ…満開製作所め!余計なことしやがって!

と思って、ダメもとでパソコンに繋いだローランドのUSBデジタルオーディオデバイス「UA-30」を繋げて光ケーブル経由で録音したところ、なんか全然問題なく録音できるんですけど…。UA-30はSCMS(二世代目以降のデジタルコピーを禁止する規格)に対応しているので、コピー禁止信号入りのソースからは録音できない仕様のはずですが…。もしかするとこのキットでは実際にはコピーが禁止されていないのかも知れません。それともUA-30のバグ?ご存じの方、教えてくださいませ。

ちなみにUA-30とはこれ↓です。(いきなり解剖図;笑)

さて、この光DAIキットには、東芝の「TC9271F」という変調ICが使われているのですが、実はこいつの仕様も東芝のサイトからpdfファイルで入手することが可能です。コピー禁止か否かを決定しているのはこのチップなので、もし禁止されているのならば、チップにコピー禁止解除の配線プログラムをしてやればOKなのです(フフリ)。その資料によると、コピーの許可、不許可を決定しているのが、TC9271Fの9pです。ここがHレベルでコピー不許可、Lレベルで許可です。現状ではVccと繋がっているようなので、この足を浮かせるか、パターンカットしてGNDに繋げればLレベルになるはずです。万が一デジタル録音が出来ない場合は試してみる価値はあるでしょう。まぁ、今回は問題なく録音できたのでそのまんまにしてありますけど。

関連サイト

衛星放送で楽々デジタル録音ライフ CS放送からソースをパソコンにデジタル録音し、資源を有効活用する方法。かなり実践的な方法が記されています。オススメ!
ねこの部屋 パソコンのサウンドボードに光デジタルアウトを増設する方法など。
UYOの部屋 各種デジタルデバイスに光デジタルアウトを増設する記事多数。


免責(お約束)

アナタがこの記事を利用して改造して、失敗したとしても当方は一切の責任を負いません。正しいハードウエアの技術と知識を習得し、ご自分で各サイトからデータシートを入手して、回路をに理解した上で改造に着手してください。

うまく行かなかったときの相談には応じますが、それ以上のサポートは当方ではいたしかねます。当然失敗してCSチューナーを再起不能なまでに破壊する可能性もありますから、そのあたりは覚悟の上改造に着手してください。そもそも改造に失敗して他人に文句を言う人は改造する資格が無いと私は思います。

この記事は不正コピーを助長する目的のものではありません。あくまでも個人的用途で許されている一度目のデジタル録音を可能にするために敢えてSCMSプロテクト解除の方法を掲載しています。音楽業界の圧力は分かりますが、彼らにも個人の法律上認められた権利を侵害する権利は無いからです。

また、この記事に関して、各関連メーカーへ問い合わせるのはご遠慮下さい。


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