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〜Panasonic ジャンクVTR NV-G45 を修理する〜


Panasonic VHS Video NV-G45

松下Gメカ搭載Sデッキはいい加減ネタも尽きてきたところなので、今回はノーマルVHSで、モノラル音声という実にチープなVTRを弄ってみることにします。一度Gメカを搭載した廉価機種の中を見てみたかったので、行きつけのジャンク屋にて「テープ回らず」で350円でゲット。ヘタすると、喫茶店のコーヒー一杯より安いですねぇ。さて、このようなモノラルビデオにも、あの強固なGメカが本当に採用されているのでしょうか。

さて、お約束の操作パネルですが、80年代後半の古いデッキなので当然本体のみで一通り設定可能です。時計合わせ、チャンネル設定、予約操作も自由自在。デジタルトラッキングもありです。たぶん、トラッキングがオートになりだした頃のモデルだと思います。

ちなみにこの機体は年式に割に程度は極上。窓から覗いたアッパードラムも綺麗でしたし、背面端子もまだまだ光り輝いています。トップカバーもキズが少なく、操作パネルにもほとんどすり減りやホコリが付着していません。

まずは解剖

とりあえず、カバーをはずして顔を取りました。表示管がススけていたのでクリーニング。

メカですが、確かに一応Gメカのようですが、いままで弄ってきた高級機とは違っていました。それにしてもこのような廉価機種にも関わらず、アルミダイキャストベースですよ。さすが松下ですねぇ。

外装が極上でしたが、中身もやはり極上。内部にはほとんどホコリが無く、走行系もあまり汚れていませんでした。使用頻度の低い「箱入り娘」だったと思われます。

カセコンを解放しました。カセコンはとりあえず今まで弄ってきた上位機種と同じもののようでした。350円なら部品取りとしても利用可能ですね。上から見た図ですが、どこが今までのメカと違うか分かるでしょうか?

ちなみにこのデッキは4ヘッドです。モノラルなので、Hi-Fi用ヘッドは無し。ヘッドチップは2個。よって、ヘッド回りが非常にシンプルです。

メカ裏側。違いはコックドベルトの本数その他。なんと、「モーター」というものはシリンダーのモーターを除き、このデッキでは一つしかないのです。今まで弄ってきたGメカにはもう一つモード切替を高速にするためのモーターがありましたが、このデッキでは省略されています。キャプスタンモーターを使って、テープ挿入からモード切替まで全ての動作をまかなっているのです。よく考えたものですねぇ。

それにしても、このクラスにも関わらず、オールギヤ、コックドベルト採用ですよ。ゴムベルトや、ゴム製アイドラなど、走行系に摩耗部品が無い設計です。相変わらず素晴らしい設計思想ですね。このデッキで経年的に摩耗するものとしてはブレーキ、ピンチローラーが挙げられますが、普通に使っていても約10年持ちます。

ちなみにこれがFS800の「新快速メカ」です。違いを見比べてみましょう。

高級Gメカにはここのピンチローラの上部にモーターがありましたがこの低級Gメカには搭載されていません。

ちなみにその他の違いとしては、巻き戻し再生用にブレーキが増設されていることが挙げられます。

故障個所の検証と修理

値札にはテープ回らずと書いてありましたが、とりあえずテープは走行していました。

しかし、テープ取り出しでテープが絡んで損傷してしまいました。原因はこれ。ハーフローディングアームのうちの一本が固着して動きが渋くなっていました。Gメカに限らず、使用頻度の低いデッキでは結構よくある故障です。

ナットを外して軸をクリーニングし、CRCで洗浄して戻しました。ナットは樹脂を使った「ロックナット」になっています。緩く締めても緩みにくいものです。

その他は特に故障が認められませんでしたが、一応整備として、走行系のクリーニングと、ピンチローラの研磨、SSブレーキアームの洗浄をしておきました。ブレーキ関連はさほど摩耗していませんでした。さすがGメカ。ブレーキは異様に丈夫です。使われているメインブレーキは高級機と同じ物でした。

回路系調査

さて、一応回路系もチェックしておきます。コンデンサが噴きそうなハイブリッドICがあったりすると不安なので。

しかし、このデッキではとりあえずそのようなハイブリッドICはありませんでした。

とはいえ、怪しげなコンデンサはいくつか認められます。以前、FS70のサーボ系の故障のケースで噴いていたコンデンサと同じ色の奴です。水色の怪しいコンデンサが2つ使われていました。とりあえずこの機体では噴いている様子はありませんでしたが…。将来噴くかも知れません。まぁ、この機体はマトモに使うつもりがないですし、第一面倒なので(爆)今回は放っておくことにしました。


総評

さて、整備が完了したので動作チェックしてみました。一通り動かしましたが、一応支障はありませんでした。にしても、動作が異様にトロいです。さすがにキャプスタンモーター1つで全ての動作をさせているため、いちいち動作モードの切り替えに時間が掛かっています。新快速メカを常用している身には非常にストレスな動作。とても使ってられませんねぇ。再生から巻き戻し再生に至るまで数秒待たされますし、停止させて早巻きするときにも数秒待たされます。一般のローディングモーターを使う他社製機と比べても遅いような気がします。まぁ耐久性としては比較にならないほどこちらが優れているのですが…。

画像ですが、お値段相応のチープな絵です。ザラザラ感は結構強いです。音に関しては言うまでもなくノーマル音声ですのでお話になりません。まぁ、これらの結果は最初から分かってましたけどね。

ということで、とりあえず350円追加投資無しで完全に動作させることができました。ま、値段を考えれば「オモチャ」としては良いかも知れませんね。ハッキリ言って使い道がないので、どこかに寄付しようかと思います。


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