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〜待ちこがれたポータブルmp3対応CDプレーヤー〜


Handpc.com MP3 CD Player MCP-2000

全体像解剖図


シリコンオーディオの台頭

ここ最近のパソコンデバイス関連売り場で徐々に幅を利かせてきた印象のある「mp3プレーヤー」を代表とする、いわゆるシリコンオーディオ。古くはMpman、Rioといった老舗のプレーヤーから、最近はソニー、富士通など大手も一応は参入しているようです。アナタはこれを欲しいと思いますか? 

メモリデバイスを使用するために、可動パーツが一切無く、音飛びから解放され、なおかつコンパクトサイズ、というのがウリ文句のようですが、そのデメリットも忘れては行けません。何しろメモリが高いのです。32Mでも8千円くらいしますし、CD一枚分のデータが入る64Mとなると軽く一万は越えます。1万円以上出して高々CD一枚をmp3に圧縮したデータしか入らないのです。曲を入れ替える手段としては、1)曲を収録したメモリを複数持ち歩く2)ノートパソコンを持ち歩いて随時曲を入れ替える、の2通りの方法が考えられますが、1)は経済的に現実的でなく、2)は折角のコンパクトなプレーヤーの携行性が失われてしまいますし、いちいち書き換えってのも結構面倒です。しかも、最近の大手メーカーのプレーヤーは「本当のMP3」に対応していなかったり(何らかの著作権保護手段が講じられたフォーマット等)データ転送に何らかの制限が掛けられていたりして、汎用性に不満が残ります。制限はユーザーにとって邪魔な存在でしかないのです。音楽業界の圧力は分かりますが、このように使い勝手の悪い機械に魅力はありません。例え買っても結局面倒くさくなって使わなくなるのが目に見えています。

そういう理由から、私はこれら「シリコンオーディオプレーヤー」にはハッキリ言って興味はありませんでした。しかし、記憶デバイスをメモリーチップからCDメディアに変えることで、それはそれは素晴らしいものができあがるのです。CD一枚にはMP3にして10時間余りのデータが入ります。普通のmp3ファイルであれば何ら使用に制限はありません。手持ちの音楽データをmp3に圧縮したう上でCD-Rに焼いて保存している人も多いと思います。しかもCD-R一枚のコストは100円程度(同容量のメモリなら10万円以上)。その保存したCDをそのまま再生出来るプレーヤーであれば、シリコンオーディオプレーヤーのようなデータ転送の手間から解放されるのです。しかもかなりの長時間の収録が可能。つまり10枚のディスクチェンジャーを内蔵しているのと同じ。一枚のCDを持ち歩くだけで数日の旅行程度ならば十分対応できます。

MP3対応CDプレーヤーの登場

海外メーカーから、パソコン用のCD-ROMドライブを利用したMP3対応CDプレーヤーは早い内から登場していました。しかし、それは5インチのCD−ROMドライブをSCSIケースのようなものに入れて使うゴッツいものだったり、ノート用薄型CD−ROMドライブをmp3デコーダー付きのケースに入れたアメリカンサイズなAC電源を必要とするものだったりと、イマイチな感じでした。プレステのI/Oポートに繋げるタイプ等々いろいろ出ていましたが、いずれも持ち運べないものばかり。屋内での再生を前提としたものではパソコンで再生するのと大差はありません。はい。

最近ようやく国内メーカーであるKENWOODから車載用のmp3対応CDプレーヤーが発売されるようになりましたが、あくまでも車載用であり、携行性はありません。まぁ、ディスクチェンジャー代わりといったところでしょうか。余談ですが、この車載用プレーヤーは相当売れているようですね。やはりこの手の商品の需要は相当高いもののようです。しかし、標準価格47000円と値段が高いのが難点だと思いますが…。まぁ、国内メーカーが作ったということには大いに意義のあることだと思いますのでその点は評価したいです。ちなみに私は新品9999円で購入のカーCDプレーヤー(インドネシア産)を車の配線に自前で半田付けして取り付けて使っていますが、非常に快適です。さらに余談ですが、一般に車載用プレーヤーは強気の価格設定であり、未だに時代錯誤の価格付けが横行しているような印象を受けます。

脇道にそれましたが、このようにポータブルなmp3対応CDプレーヤーの登場を私は心待ちにしていたのです。できれば個人的に好きなパナソニックブランドで作って欲しいと、メーカーにメールまで出したのですが、サックリ無視されました(爆)。おそらく普通のCDプレーヤーが作れるメーカーであれば、これにmp3デコードチップと制御用のファームウエアを付けるだけなので技術的には全く問題ないと思うのです。何しろ、技術力の有る方なら個人でも作れるくらいです(しかもキットあり\9800)。問題は音楽著作権でしょう。このようなデバイスが広く出回ってしまっては、タダでさえコピー問題に頭を炒めている音楽業界が黙っているわけがありません。憶測ですが、大手メーカーには何らかの音楽業界の圧力が掛かっていると私は見ています。その証拠に大手メーカーから販売されているシリコンオーディオプレーヤーにはなんらかの著作権保護の制限(プレーヤーへの転送回数や手段の制限)が付いていることが大半です。

待ちに待った携帯機の登場

そういう理由で、なかなか私が待ちこがれているポータブルmp3対応CDプレーヤは世に登場しませんでした。そのうち、ボチボチと海外メーカーがそのようなプレーヤーを販売しだしました。マンボーX(MANBO X)というプレーヤーです。非国産品であることと、値段がまだ3万円と高いこと、通販が面倒なのでちょっと敷居が高いです。初物にトラブルは付き物(あくまでも一般論ですが)ということもあり、購入は見送っていました。

そんな折り、2000年夏に韓国へ旅行に行った時のことですが、なかなかナイスなポータブルMP3対応CDプレーヤを発見したのです。それが今回のネタであるhandpc.com製のMCP-2000。2000年10月現在、このモデルは国内ではまだアナウンスされていないようです。実際韓国でも新発売だったようで。現地価格170000ウォンだったので日本円にして約17000円。まぁ、この手のものにしては安い方でしょう。1年保証はあるようですが、壊れても保証が事実上受けられないので若干迷いましたが、後で欲しくなっても絶対に買えないと思って購入を決意しました。余談ですが、そのとき手持ちにウォンが足りなく、ショップの店員に拙い英語で掛け合って1万円を10万ウォン換算で1万円+7万ウォンで買いました。日本円は強いので海外旅行でお金が足りない時には結構使える手です。そういえば、台湾でもこの手使ったっけ。


お約束の解剖

主な外観等はメーカーサイト(ハングル語ですが…)ご覧になっていただくとして、早速解剖してみます。

解剖図表拡大

特に何の変哲もありません。液晶表示が小さいです。普通の7セグメント表示なので数字と簡易的なアルファベットしか表示できません。当然曲名、ファイル名の表示は不可。

チップの型番は結構謎。たぶん、真ん中がメモリでしょう。

ちなみに電源は韓国プラグ220V用のACアダプタが附属していました。国内では使えませんので別途5V程度のACアダプタが必要。たまたま持っていた4.5v松下ポータブルCDプレーヤーのものが使えました。

液晶表示

その液晶表示部。ちょっと写真が暗いですけど。

乾電池の残り容量とフォーマット、そして曲番号と時間を表示できるだけ。mp3の詰まったCDを入れると勝手にソートしてあとは曲番号、ディレクトリで管理されます。曲をサーチするときには曲の通し番号か、ディレクトリの移動で行います。

解剖図裏

裏側です。

手前のMP3と書いてあるシールが貼ってあるチップがありますが、シールを剥がしても型番はよく分かりませんでした。デコーダーなのかな。真ん中ほどにあるチップには松下ブランドである「Technics」のロゴが入っていました。奥のチップはDACかな。解析してないんで適当に言ってますけど。

半田付けの品質はあんまり良くないようです。made in Chinaですし。

このプレーヤーの特徴の一つである録音機能。

マイク端子とモード切替スイッチが付いています。500秒の録音が出来るようになっています。あんまり使わなさそうですが、一応使えます。

録音機能


使ってみましょう

早速手持ちのmp3詰め込みCDを再生してみました。おお!きちんとmp3ファイルを認識してソートしています(当たり前)。ソート終了すると全曲数を表示して再生開始。エフェクトは5段階。低音強調や高音強調などのモードがあるようですが、詳しいことはハングルのマニュアルしかないので不明。シンバルやハイハットドラムが多く鳴る曲ではシャコシャコとmp3特有の解像度の悪さが出てしまいますが、まぁそんなものでしょうか。ちなみにサーボ系のノイズは聞き取れませんでした。DIRボタンがあってこれを使えばディレクトリ間移動ができました。記録できるファイル数やディレクトリの階層には制限があるようですが、マニュアルがハングルで不明。この件は買うときに売り子のおねーさんに英語で説明してと頼んだのですが、残念ながら英語の出来ないオネーチャンでした。

あぁ面白いなぁ、と思いながらいじっている内に、障害発生! いきなり電源落ちて死にました…。何度ボタンを押しても電源が入りません。ま、まさか初期不良〜!?そりゃないぜ次元〜(ルパン)。ひどいや姉さん!(カツヲ)。何しろ韓国に戻らないと修理なり交換なりできないのです。ひどい、ひどすぎる。ちなみに旅行の連れ2人も同じプレーヤーを買ったのですが、もう一人のものも電源落ちて死んだらしいです。一晩寝かせたら復活したとのこと。もしかすると、不適切なmp3ファイルを再生してデコーダがバグってハングアップしたのだろうかと思われました。このプレーヤーにはレジューム機能が付いており、メモリに余計なデータが残って電源が入らないのかなぁ、とか憶測が飛び交います。

私のものも一応一晩寝かせていじったら動くようになりました。連れのものは一晩寝かせた後は元気に動くようになったとのこと、今後二度と症状が現れないように祈るのみ。日本語ファイルとかロングファイルネームがいけないのかと思ってCDを焼き直してテストするも、度でも同じような症状出んですけど…。しかも次第に長時間寝かせても電源が入らなくなったり状況は悪くなる一方。何故だぁぁあぁぁぁぁぁぁぁああああああああ!!!!ハァハァ。ブチ切れそうになりましたが、冷静に状況を検証することにしました。どうも何かの操作をしているときに電源が落ちやすいようです。


犯人はおまえだ!(じっちゃんのナニかけて)

蓋をあけたところ

一度安定して再生されれば、本体を放っておく限り再生し続けています。しかし、ボタン操作をしたり、ACアダプタのコネクタを触ったりしたときに電源がよく落ちます。

また、このプレーヤーには乾電池の容量モニターが付いているのですが、新しい電池を入れてもレベルが低いことがあります。

となると疑わしいのは接触です。特に乾電池ボックスの中の電池を回転させるとかなりの確立で死にます。そこでよーーーーっく観察すると…。

この写真でお分かりになると思いますが、メッキです。電池の接触板にメッキがされているのですが、剥がれていますね。これは対策後の写真なのですが。頻繁に電源が落ちていたときにはこのメッキが剥がれ掛けて電池と端子の接触を妨げていたのです(見た目では分からない程度というのがタチが悪かった)。ラジオペンチでグリグリ板をいじっているうちに気づきました。何しろボロボロ剥がれて来るんですから。なんて安っぽいメッキなんだ!

乾電池接触版

メッキを剥がして接触性を良くしたところ電源が切れにくくなりました。これでも切れることもまだありますが。

接触版の曲がり方がヘンだ!

電池を入れた状態。

接触板の曲がり方が不自然です。本来想定されている接触板の突出した部分に乾電池がうまく接触していないのです。この設計不良が接触不良を助長しているのでした。

やはり、海外のよく分からないメーカーの製品は油断できません。こんな素材を使うとは明らかに設計ミスです。いやはや、まったく(c)某。


総合評価

良いところ

・CD−R無交換で10時間再生できるのは素晴らしすぎる。

・この機能で1.7万円ならまぁ納得。

・あまり使わないけど500秒録音機能あり。

・アンチショックは余裕の50秒

悪いところ

・リモコンが無い。

・デコーダーのクオリティはあまり良くない。

・乾電池接触版は明らかに設計不良。せっかくのアンンチショックもこれでは生かされない。

・本体に充電機能があるが、乾電池と充電池を区別しないのでを乾電池いれたままACアダプタを挿すと乾電池に充電をしてしまって危険。

・ファイル名や曲名が表示できない。

・電池の消耗が激しい気がする。マニュアルには連続再生可能時間が書いていない(ような気がする)。

まぁ、値段を考えると設計不良は別として、悪いところはある程度当然かも知れません。早く国内有名メーカーでもこういうプレーヤーを作ってくれるといいですなぁ。無理か。松○さん、お願いしますよ。パ○ソニックが作ったら絶対売れると思うんだけどなぁ…。


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