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〜激安カーナビゲーションシステムの構築〜


 Panasonic CD car navigation system 「CN-V900D」

今回も某オークションで落札。某オクでは5年ほど前のCDカーナビが2〜3万円程度で出品されています。本当はジャンクを1万円くらいで入手して修理して使いたかったのですが、どうもナビのジャンクというものはあまり数が無いようで、ジャンクビデオみたいな感覚では買えないようです。希少なためか、ジャンク価格もあまり安く感じられず、今回は普通の中古で入手することにしました。本音としてはジャンクのよさげなものが出るまで待ちたかったのですが、近日引っ越しが控えており、引っ越し先まで車で長距離(470km程)を運転しなければならず、なおかつ引っ越し先ですぐに動き回れるようにとの考えで取り急ぎ落札しました。お値段は元箱以外の付属品ありで31000円

今回のネタは、パナのCDナビとしては中堅機で、販売当初は20万円以上したものです。販売から5年ほど経過していますが、専用地図ソフトも2000年版までは販売されてますし、メーカーのサポートも良好。普通に使うには十分なクオリティだと思われます。今はDVDナビが主流ですが、5年前にはナビごときに20万円も出す裕福な人々が満足して使っていた機種のはず。上を知らなければ十分満足して使えるはずです。

取り付けですが、ネットで情報を調べたところ、業者に依頼すると作業時間1時間あたり1万円とか結構高額のようです。作業におよそ2時間かかると考えれば2万円。3万円のカーナビの取り付け料で2万円など、バカバカしくてやってられません。ここは当然自分で取り付けることにします。そうじゃないとネタとして面白くないじゃん(爆)。

道具と小物の調達

さて、取り付け前に、取り付けに必要な小物を調達します。電工ペンチあたりはコネクタの圧着に必要なので、この際購入してしまいました。これが無いと圧着がどうしても甘くなってしまいますので。そのほかに、圧着用のコネクタを数種類購入してみましたが、本当に必要なものはそんなに多くありません。最低限後述する配線コネクターがあればなんとかなるような気もします。
ケーブル敷設とGND配線

まずはメインのケーブルをトランクから運転席方面へ敷設します。

後部座席を持ち上げてトランクへ通じる穴にケーブルの束を通し、GNDにクワ型端子を圧着して車の適当な金属部分にネジ止めしておきました。

リバースランプの配線

お次にリバース時に点灯するランプに配線します。車がバックしていることをナビ本体に認識させるためです。

このナビは自律航行システムといって、ジャイロ+車速パルスで車の向いている方位と移動速度を知るシステムになっています。ギヤがリバースに入っている場合はきちんとそれを認識しないといけないのです。

ブレーキランプのハウジングを解放して、リバースランプGNDではない方に配線コネクターで圧着します。間違えてブレーキランプに接続しないように注意。

このとき使ったのがこれ。半田付け不要でケーブルから信号を取り出せます。非常に便利です。道具もプライヤー1本でOK。

リバースランプ以外にもほとんどの配線はこれで可能です。

車速パルスの取り出し

一番の難関がこの車速パルスの取り出しです。自動車は走っている時、エンジンから一定走行距離毎にパルスが発生されるようになっており、これを利用することでナビ本体が移動速度(積算移動距離)を知ることができるようになっています。車速パルス無しでも運用は可能ですが、衛星からの電波だけではかなり位置に誤差が生じ、あまり実用的ではないようです。やはり、ジャイロ+車速パルスの自律航行システムを使わない手はありません。

ところが、この車速パルスの取り出しポイントは車種によって異なり、自動車のマニュアルにも載ってもいません。ナビの取り付けマニュアルによると、エンジンコントロールユニットというものから取り出せるようですが、それが一体それがどこにあるのか分かりません。困りました。ソニーのサイトに取り出しポイントがpdfで配布されているという情報もありましたが、ウチの車は古い車なので載っていませんでした。

とはいえ、ナビの販売店なら取り付け方を知っているはず。ダメもとで、先ほど小物を買ったカー用品店で聴いてみたところ、割とアッサリと教えてくれました。感謝!最初は車種を告げると古い車なので車速パルスそのものが無いかも…と脅されましたが…。

お店には車種毎にエンジンコントローラの位置と、そのコネクタの車速パルスの位置が図解で示されている資料が本になっており、これを見せて貰ったところ、ウチの車にも車速パルス信号があるようでした。あぁよかった。

ちなみにこんな感じの図でした。

また、エンジンコントロールユニットはアクセルペダルの右側にあるとのこと。

調べる際には、エンジンコントロールユニットの場所と、コネクタの車速パルス信号のピンアサイン(オスかメスか)と、ケーブルの色を調べておきましょう。もし、教えてくれない店があったら、その店では二度と買い物をしないことを誓って他の店に行きましょう(爆)。

で、調べたところ確かにありました。写真はカバーを外したところ。こいつが探し求めていたエンジンコントロールユニットです。

ユニットを取り外してみました。日立の製品のようです。こいつが壊れるとどうなるんだろう…。なんか怖いような気がしますねぇ。こいつにドライバーの命を預けているわけですよ。

で、目的のコネクタはどうやらここにあるようえす。10pと20pがありましたが、先ほどの資料によると20pの方から車速パルスが取り出せるようです。

コントローラから直接信号は取り出せないので、これに接続されているケーブルから信号を取り出します。

確かに、黄/緑のケーブルでした。ここから接続コネクタで信号を分岐。ナビの車速パルス入力に接続しました。

ちなみにカー用品店のお兄さんの話では、「ケーブルの色はあくまでも参考程度に」とのことでした。リビジョンによってケーブルの色が変更になることがあるとかなんとか。

電源関連の取り付け

最後に、電源関連の端子を取り付けます。必要な信号は、ACC、Backup、Illuminationの3つです。ACCはキースイッチがACC位置、あるいはオンになっているときに供給される電源ライン。Backupは常時12Vが供給されている電源ライン。Illuminationは前照灯または車幅灯が点灯しているときに供給される電源ラインです。

これはすべてオーディオ用のコネクタから取り出すことができます。

取り外したオーディオユニットにはきちんとピンアサインが印刷されていました。コネクタの5,7,10ピンからこれらの信号を取り出せばOKです。楽勝。
これらも接続コネクタを使って分岐させました。簡単簡単。

配線終了し、オーディオを元に戻します。

ちなみにこれは以前秋葉原で買った9999円CDプレーヤーです。値段の割に、AM/FMラジオ、時計なども内蔵しており、しかも4スピーカー出力まで付いているなかなかニクいやつです。インドネシア産。「あきばお〜」で買いました。

このナビはGPSアンテナをトランクから外に出すようになっていたので、トランクの上に張り付けておきました。マグネットの力で固定性は十分のようです。

このほかにリモコンの受光部を適当に両面テープなどを使って貼り付けておきます。

動作確認のため、適当な液晶テレビを使うことにしました。10年以上前のSTN液晶なので性能は全く期待できません。後ほどTFTのLCDに取り替えることにします。

とりあえず電源オン。まずは取り付けチェックを行います。ギヤをバックに入れたり、ライトを点けたり消したり、車を走らせたりしてそれぞれのケーブルが正しく取り付けられているか確認。

気になる車速パルスですが、車を走らせたところ、パルスの値が増加。どうやらOKのようです。

現在位置も正確に表示されました。これにて本体の取り付けは完了。


LCDモニターの製作

古いSTNのLCDテレビではあまりに映りが悪く、まるで実用に耐えないため、TFT液晶モニタを製作することにしました。

一時秋葉原ジャンカーの間で流行ったパチンコ液晶です。4インチの物が3000円程度で手に入ります。アキバあたりですと、日米商事、たんせい、秋月電子あたりが販売スポットでしょう。今回は「たんせい」で購入。

このLCDは15kHzのRGB接続のみなので、ナビのコンポジットビデオ端子を繋ぐために、秋月電子のRGBデコーダ基板を利用しました。2700円。

LCD裏側。高圧注意と書いてある領域はマジで注意です。バックライト用のインバータ回路ですが、通電中に触ると火花と同時に皮膚から煙りが出ます(過去に触ってしまった)。この煙の臭いは電気メスで皮膚を切開したときと同じ。

でも感電後はキズ一つ残らず治癒しました。痛みも無いのです。不思議ですねぇ。二度と触りたくはありませんが。

RGB信号接続ポイントはここ。コネクタから取り出してもOKですが、基板から直接取り出した方がラクです。これらの端子とRGBデコーダ基板を説明書に従って半田付けして組み立てます。

問題はケース。とりあえず急いで使いたかったため、段ボールケースでしのぐことに…。
とりあえず暫定モデルの完成。コンポジット入力端子と電源入力端子を付けておきました。
車への取り付け
車に取り付ける台座で結構悩みましたが、カー用品売り場に売っていたものを利用することにしました。エアコン吹き出し孔に取り付けるタイプです。

段ボールケースなので、ネジ穴がないため、無理矢理ガムテープで張り付け。

見た目は予想以上にダサダサですが、まぁ暫定版ということで…。

スピーカー取り付け
仕上げに音声案内用のスピーカーを取り付けます。スピーカーもジャンクの150円スピーカーです(笑)。インピーダンス4Ωの物を使いました。きちんと音声案内もされるようになり、ようやく実用運用開始。
詳細版CD

後から北海道・東北詳細版のCDを購入。オークションでの中古入手。定価は1万円程度ですが、中古なので5千円。全国版では一画面100mまでの分解能しかありませんでしたが、詳細版は25mまで可能になります。入り組んだ市街地のナビゲーションには非常に有用。


総評

というわけで、中古+ジャンクLCDを利用することで、激安なカーナビシステムが完成しました。LCDのケースがダサいので近い内になんとかしたいとは思っていますが、多忙のため、いつのなることやら…。

使ってみた感想ですが、思いの外実用的です。最初は少しバカにしていた節もあったのですが、詳細版の地図を入れてからは、かなりきめ細かなナビできるようになり、本当に目的地の近くまで連れて行ってくれます。今住んでいる地域は道が入り組んでおり、斜め交差点や五叉路は当たり前なので、ナビ無しではとても動き回れる気がしません。導入しておいて大正解でした。夜間にどんなに迷っても必ず家に帰れるという安心感というのは大きいです。また、夜間のドライブには特に強力。夜の峠越えなんかでは、カーブの曲率をかなり正確に表示するため、急カーブを事前に知ることができ、安全に曲がることができました。

操作時の応答が多少遅いのが若干気になりますが、5年前の機種なので致し方ないでしょうね。おそらく最新の機種ではレスポンスが早いのでしょうけど、まぁ操作ってものはそんなに頻繁にするものではないのでヨシとします。

モニター込みの最終費用は4万円程度。この値段だったら、オモチャとしても許せる金額じゃありませんか? さすがに20万円だと躊躇してしまいますけど、4万円なら新品S-VHSビデオ一台と似たような値段ですからね。決して贅沢品の値段とは言えないはず。さあ、貴方も導入しましょう!


2001.05.05 追記

自作段ボールケースLCDがあまりにもダサダサであることで、ケースをなんとかしないとならないと考えていたところに、激安な5インチ車載用テレビを発見してしまいました。

あきばお〜の通販で限定五個のブツ。お値段19999円。MAGTONE製ですから、海外の一寸怪しいメーカー製です。ですが、5インチのTFTでこの値段なら損は無いかと。一応テレビ機能もありますので、カーナビを必要としない時にはテレビとして鑑賞可能なので、ただのLCDモニターよりは高機能です。

お値段の割に、中身は割としっかりしていて、必要な物は一通り揃っています。ダイバシティーアンテナと、コントロールボックスも同梱。ちなみにビデオ入力系統は2系統装備。コンポジットのみです。一般のカーナビと組み合わせる場合はコンポジット出力のあるモデルであることが条件。

ということで、これが最終形態となります。前回製作したLCDはまた別の機会に利用しようと思います。ダイバシティアンテナは取り付けが面倒なので付けてませんが、LCDに付いているロッドアンテナのみでも、市街地ならそれなりに映るようです。

取り付け台座は、前回使ったエアコン吹き出し口に取り付けるタイプをそのまま使いました。格好も良くなりましたし、画面サイズも4インチから5インチへ、ステップアップし。見やすくなりました。満足。


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