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〜Panasonic ジャンクVTR NV-SX10 を修理する〜


Panasonic S-VHS Hi-Fi Video NV-SX10

 往年の名機シリーズ第14回です。ちなみに何をして「往年の名機」と呼んでいるかといえば、当サイトでは松下製第二世代以降のGメカを搭載したデッキということにしています。無論、他社製でも往年の名機と言うに十分なデッキも多数ありますし、松下製の非Gメカ機にも素晴らしいデッキもありますがね。

さて、今回の往年の名機は、松下NV-SX10です。以前扱ったNV-BX25と同世代の下位機種であり、BX25のいくつかの機能を削減してBSチューナーを取り去ったような設計です。すでにコストダウンの影響が色濃く表れており、名機としては末期のモデルですかね。むしろ名機というにはちょっと厳しい感じもありますが…。

ちなみに某オークションのあのお方から落札で、お値段は2500円でした。作りを考えると2000円くらいでも良いような気がしますが…。まぁいいでしょう。同じ人からまとめて落札すると一台あたりの送料や振り込み手数料などの諸経費が安くなるので(気のせい)ついでに入札してしまいました。別に大して欲しくはなかったんですけど(爆)。外観の程度はかなり良い方でした。

故障状況

さて、中身を拝見しましたが、メカ的に壊れている様子はとりあえず認められませんでした。BX25と同じ基板を使っているようですので、例のHIC不良かと思って動作確認してみましたが、全然再生画像は乱れていませんでした。

ところが、ちょっと本体に衝撃を与えたところ絵が出なくなってしまいました。あぁ、アレかと思って調べたらやはり半田クラックです。

映像関連基板がメイン基板左側にぶら下がっていますが、ここの半田がいくつか割れていました。やっぱりBX25時代の機種は半田クラックが多いようですねぇ…。特にこのサブ基板はぶら下がっているので揺すったりすると半田付けされた部位に負荷がかかりますし。

直す

さて、とりあえず使えれば良い的修理であれば、半田クラックを修正して終わるところなんですが、BX25と同じ基板を使っている以上、壊れやすいHICがあるに決まっています。そこで壊れる前に対処ということで張り替えます。

病巣の抽出

逝かれやすいHICを分離。

サブ基板はBX25と同じだったのですが、実はこのシールドケースに入った方は微妙にBX25用と違います。ちなみにBX25用はVCR0328です。

ちなみにBX25同様、足の長いHICにも表面実装のコンデンサが載っていましたが、手持ちに十分なストックが無いのと、経験的にここは噴きやすいわけではなさそうなので今回は見送りました。

VCR0349 / VCR0328

SX10用のVCR0349

下のBX25用と比べてみませう。

BX25用のVCR0328

載っているコンデンサの数が違いますね。基板のパターンは似ているんですが。ちなみに補修部品を買うと4600円。

ちなみに足の付け根のところに塗ってある黒いのは、なにやら樹脂系の物体らしいのですが、半田付けをした際に足が取れてしまわないようにという配慮のようです。BS30SのHICにはこれが塗っておらず、足が簡単に取れてしまいました。

VCR0349の補修

ということで、早速作業に取りかかります。

全てのコンデンサを破壊して取り外したところ、そんなには噴いている様子はありませんでしたが、赤丸のところで足が錆びてました。やっぱり噴いています。機能上は問題なかったですが、交換しておいて正解でしょう。

シールドケースに収めるために、やや不格好ではありますが、横にコンデンサを寝かせて配置しました。縦に取り付けると結構高さを喰いますので。
余裕でケースに入っています。

補修後

補修後のサブ基板。シールドケースに入ってしまったので外からはケミコン張り替えたなんてバレません。万が一メーカー修理に出すときに、サービスマンに張り替えたケミコンを発見されると、不具合無くてもICごと交換されることがあるようなので要注意です。小さい方はさすがに張り替えコンデンサが見えてしまいますが、気を付けてみなければ分からないかも。

スカスカなメイン基板

本体左側の基板ですが、BX25とパーツ共用のようです。ただし、張り付いているパーツはかなり省略されています。ちなみにこの写真は映像サブ基板取り付け前。

音声サブ基板
音声サブ基板ですが、この時代になると、かなり集積されてしまっていますね。一応音響用のケミコンも使っているようです。

ヘッド回り

ヘッド回りですが、かなり綺麗でした。ピンチローラーの摩耗の仕方とクリーナーアームの汚れ具合を見ると、一度くらいメンテに出されたような印象なのですが…。

あるいは極端に走行時間が短い機体だったか…。松下は補修の記録をシールにして本体に貼らないようなので真偽のほどは不明ですが。

背面端子群
背面端子ですが、BSチューナーが無いので、右側のチューナーブロックの基板は非常にスカスカでした。

コネクタ類ですが、松下機は廉価機種でも端子数が多くてイイ感じですね。

外部入力3は本来WOWOWのデコーダー用なのでS端子が省略されていますね。S端子が欲しかったところですが、削除されなかっただけでもヨシとしますか。

また、S-VHSの切り替えスイッチがこんなところに…。使いにくいじゃねぇか! たぶん、BX25はメニューで設定する仕様になったので、パーツ使い回しの関係で、設定メニューを持たないこの機種では前面にスイッチを設けることができなくなったんでしょうねぇ。

お顔を拝見

補修後の動作確認はOKでした。揺すっても叩いてもOKです。

前面パネルはBX25では金属製ヘアライン入りでしたが、SX10はコストダウンされて樹脂製でした。とはいえ、以前扱ったFS800類似の丈夫な樹脂です。蓋を開けるとBX25とよく似た顔つきなのですが、よく見るといろいろ削除されています。

このあたりはBX25と大体同じです。基本操作ボタンは全く同じ。ただ、表示管のところに電源ランプ(BX25ではBSランプ)とか、音声レベルメーターが無いために右下に赤いLEDで表示とか細かい違いはあります。

前面操作パネル

パネル内部左側。

BX25ではビデオイコライジングができるようになっていましたが、削除されているので非常にシンプルです。また19ミクロンヘッドも非搭載なので切り替えスイッチがありませんね。

しかし内部にはしっかりとソレ用のパターンがあるのでした。基板は共用ですからね。

ヘッドフォン端子が削除されたのは痛いかも。

パネル右側です。BX25で見られたレベルメーターの独立FL管が削除されてしまっています。

また、この機種は設定メニューを持たないので、本体でチャンネル設定がえきるようになっています。丁度、アフレコ、インサート、BSモニターのボタンが削除されたところを利用しているようです。

メニューが削除されたからとはいえ、本体側でチャンネル設定が出来るのは有り難いです。リモコンが無くても利用可能ですから。

しかし予約は本体では不可能。バーコードリモコンがあればなんとかなりますが。


総評

あんまり入手するつもりの無かった機体でしたが、やっぱり同世代最上位機種のBX25と比べてしまうといろいろ削除されている機能が目に付きますね。まぁ廉価機種なのでそんなものでしょうか。定価はいくらだったのかな?

今回は程度の良い機体だったので、とてもアッサリ直ってしまいました。所要時間は上の工程でだいたい2時間です。お値段は2500円+コンデンサ90円程度=だいたい2600円というところでしょうかね。このクラスのデッキですからまぁまぁですね。直ったところで使い道が無いのでよくお世話になってる人にさしあげようかと思ってます。ダビングの受け側とかの用途には十分ですしね。


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