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〜ジャンクなドリキャスを徹底洗浄〜


 SEGA Dreamcast

 某オクで「ジャンク」をキーワードに彷徨ったときたまたま見つけたドリキャスのジャンクです。開始価格3500円で、条件としては、「送料込み」、「電源が入らない」、「かなり使い込んだため汚れている」、「ビジュアルメモリ付き」、「コントローラ無し」とのことでした。

本体の復活が出来なくても、送料込みで、コントローラとビジュアルメモリが動けばまぁいいかというお値段でした。結局終了間際になっても誰も入札していなかったので軽い気持ちで入札してみたら、最後まで他に誰も入札してきませんでした。ということで送料込み3500円。ちなみになぜだかよく分かりませんが、落札後にコントローラもつけてくれる事になりました。

発送時にトラブルがあったようで到着に異様に時間がかかりました(2週間)が、なんとか到着。着いてみれば、「湯川専務」の箱を含め付属品は全部ありますし、ドリームパスポート3、ケーブル類は未開封でなかなかだと思いました。

今回の入手も3000番台ということで初期のリビジョンのようです。前回ゲットのものと違う所で製造されたようですが、中身はだいたい同じのようです。

鬼汚ネェ筐体

さて、本体ですが、ご覧の通りです。前のオーナーはかなりのヘヴィスモーカーだったようですな。完全に本体は薫製にされていました。かなり強めのタバコ臭と煮染めたような色が何よりの証拠です。

こんな酷い状態では気持ち悪くて仕方がないので完全に洗浄することにします。

タバコの煙はかなり細部にまで到達します。ドリキャスはクーリングファンで内部を換気しているため、当然ケース内部にも濃いタバコの煙が通過するわけです。従って内部もご覧の有様。見えない部分とはいえ、イヤなタバコの臭いの元となりますので放ってはおけません。

それにしても副流煙でコレですよ。前オーナーの肺はどれだけ黒くなっていることか…。って余計なお世話か。


故障状況の検証

トップカバーを開けて電源を投入してみたところ、一瞬ですが、電源ランプが点灯。おおっ!と思いましたが、1秒くらいで切れました。再度電源を切って入れ直してみましたが、今度はランプも点きません。どうやら電源が保護モードになって落ちているようです。しばらく時間を置いて電源を入れると、スイッチング電源の保護モードが解除され、またランプが点きましたが、同じように1秒で落ちます。

まず、責任病巣として、まずスイッチング電源基板を疑ってみました。この電源は3.3V,5V,12Vの3つの電圧を作っていますが、テスターで電圧を測ったところ、それぞれ電圧は出ているようでした。ただし、3.3Vと12Vの電圧はあんまり安定していないようで、テスターの針が左右に振れます。しかし、前回ゲットの正常な電源でもそうでしたのでこれは仕様のようです。

どうも電源が原因ではないようなので、確認の意味で今回の電源基板を正常な本体へ移植して検証してみました。これは正常に起動しています。従って責任病巣は電源ではないと診断。どこか他の所に故障があるようです。

試しにピックアップユニットを取り外して電源を入れてみました。きちんとパイロットランプが点灯し、クーリングファンが回りました。放っておいても電源が切れません。

どうもピックアップユニットのどこかが怪しいようです。

発煙危険!

ピックアップのコントロール基板を分離して、こいつをメイン基板と連結した状態で電源を入れてみました。するとこの赤丸の石から発煙し、樹脂の溶けたイヤな臭いが漂い、1秒で電源が切れました。

どうやらこれが焼けているのが故障の原因のようです。

BA5986FM

おそらくこれが責任病巣。「BA5986FM」という石ですが、ROHM社のスピンドルモーター制御用のチップだそうです(情報提供:BABAXさん)。焼けて表面が盛り上がっています。

秋葉原界隈のパーツ屋でも扱っていないだろうということで、残念ながら一般には販売されていないようです。敢えて入手するのならこれが使われているジャンクなCD−ROMドライブなどから外す必要ああるだろうとのことで…。

結局、この石が手に入らない限り、復活は出来ないと言う結論に達してしまいました。こんなチップ一個目当てでもう一台ドリキャスを手に入れてニコイチするのもあまりにもバカバカしく思えます。なんとかしてチップを入手したいとは思いますが、難しいでしょうかねぇ。とりあえずこの特殊チップを入手するまでこの機体は凍結ということになってしまいました。原因がおよそ判明しただけに残念。頼むからこの石「だけ」売ってくれ!>セガ

ちなみにPSでも似たような石を使っており、同じくスピンドルモーターをドライブしているようです。ただし、型番が異なり、PS(7000番台)のは「BA5977FP」というものでした。パッケージは同じでしたが、残念ながら互換性は無いようです。クソ。

どなたかこの石の入手に関して心当たりのある方がおられましたらBBSかメールにてご連絡お願いいたします。

チップの情報はここにあります。

http://www.rohm.co.jp/products/databook/opt_mag/optd_ic/ba5986fm-j.html


筐体の洗浄

さて、復活はしばらくお預けですが、この煮しめた筐体は何とかしたい物です。放っておくのも気持ち悪いので徹底的に洗浄しました。

ちなみにアルコールで拭く程度では完全に綺麗にはなりません。ここまで着色されてしまうとアルコールでは役不足なのです。

洗浄後ですが、見違えるような白さです。イヤな臭いも消えました。

洗浄グッズ

今回大活躍してもらった台所用品。

どちらも塩素パワー全開の洗剤ですが、スーパーホーミングの方は研磨剤が入っており、より強力です。ただし、つや出し加工の部分に使用するとキズが付くという弱点があります。

短時間での洗浄を行うにはスーパーホーミング、じっくり時間を掛けて綺麗に仕上げるのならキッチンブリーチがオススメです。

今回は本体ケースをスーパーホーミングで洗ってみました。見る見るうちにヤニの色が落ちました。こいつはスゲェや!

ちなみにこのような塩素洗剤を素手で扱うと、表皮が溶けだしてヌルヌルしてきます。手袋着用のこと。

コントローラの洗浄

コントローラも煤けていたのでこいつも完全にバラして洗浄しました。このような細かい部品が多い場合はクレンザーで洗うよりも、さらし粉に浸しておいた方がラクだし、効果も抜群です。

濃いめに溶いたキッチンブリーチ(洗面器に大してキャップ1〜1.5杯)に沈めておきました。濃度が濃いので数時間で十分な効果が現れますが、一昼夜浸しておきました。

洗浄に時間を掛けられる時にはこの方法は手間がかからず、ラクでいいです。十分に浸した後は軽く水洗いするだけでOKです。

ちなみに洗浄液は何度か使い回せるので、この後コップとかの漂白に再利用できます。


一応ピックアップレンズも洗浄

あれだけ筐体が薫製にされているわけですから、当然ピックアップレンズも無事では済まされないと思います。よってレンズクリーニングも一応しておくことにします。

ユニットを外してここのネジを外すとギヤが外れて、ピックアップが取り出せます。

取り出したピックアップ。樹脂製のカバーを取るとレンズ部分へアプローチできます。

このレンズ部分は軸から取り出せますので、このようにすると裏側も綿棒で拭き取ることが出来ます。内部にはPS同様にプリズムが入っていますのでここも拭き取っておきましょう。

ちなみにこのピックアップはレーザー光照射部分と読みとり部分が違う場所に着いているようで、片方はプリズムを貫通して直接光、他方が反射光となっているようでした。これらの表面もある程度汚れているとは思いましたが、綿棒の入り込める隙間が無いので簡単には掃除できません。


ちなみにあんまり関係ありませんが、ヒートシンクの下はこうなっていました。左側の小さい方がCPU、右側の大きいのがグラフィック用のチップだと思います。


とりあえず総評

機能の復活には至りませんでしたが、とりあえず見た目は随分綺麗になりました。ビジュアルメモリも薫製にされていたので同様に分解洗浄しています。ご覧のように見違えるような白い綺麗なドリキャスに生まれ変わっています。塩素パワー、恐るべし!です。

本体は相変わらずの不動品ですが、ビジュアルメモリとコントローラが完全だし(定価なら合計5000円相当)、ドリームパスポートやケーブル2本が未開封の新品だったので、送料込みの3500円としては、まぁ上出来でしょうかねぇ。

それにしても、返す返すも悔しいのが、あの特殊IC。なんとかして手に入れたいものです。


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