SONY PlayStation 2 2号機、3号機
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案外PS2のジャンクは直しやすいのではないか、と考え、性懲りもなくまた入手してきました。今回のジャンクは某オクにて本体のみ希望落札価格20000円。標準添付品希望の場合はプラス4000円での出品。 本体価格2万円はやや高いような気がするものの、添付品といえば、やや入手困難なユーティリティディスク(しかも今回のものは比較的レアとされているver 1.00)と、コントローラ(Dual shock2)、メモリーカード等です。メモリーカード、コントローラは新品でそれぞれ3500円、ユーティリティはオークション相場が3500円程度であることを考えると、付属品が4000円相当という部分がかなりお得です。まだPS2は本体しか持っていなかったので、付属品目的で落札してみました。ま、本体の故障はなんとかなるっしょ。 ちなみにこいつもお約束的な改造後に何故か分からないが壊れたという、改造がらみのジャンクでした。 |
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てなわけで、早速分解します。この2本だけは長いネジを使っているので、再度組み立てる時に備えて覚えておきましょう。とりあえずメイン基板をメンテするだけなら底部の6本のネジを外すだけでOK。 |
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今回は正常動作基板があるので、ニコイチな診断法が使えます。てなわけで、チップヒューズと思われた部品について正常動作品の抵抗値と比較してみたりしました。 |
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てなわけで、このチップヒューズの断線を確認。S7と表記されていますが、どうやらこいつもチップヒューズのようです。規格としては一体何Aなのでしょうねぇ…。ご存じの方、教えてくださいまし。 で、例によって例の如く、こいつをジャンク基板から移植して完了。 BBSにてこのチップヒューズについて情報を頂きました。 30や45等の数字が書いてあるものは、興亜(KOA Corporation)という国内メーカーの「回路保護素子」というもので、型番はCCP2Exx (xx=表記されている数字)というものらしいです。定格は以下の表の通り。ちなみに物はこちらの商社さんで購入できるようです(しかし、少数注文だと結構なお値段です)。
また、S7などとS数字で表記されているものはROHM社の「過電流保護素子」というものだそうで、型番はICP-Sxxです。
この表から、表記されている数字を単純に1/10した電流で切れるようになっているようです。S7なら0.7Aのヒューズで代用可能かと。 これらの規格表を参考にすれば、市販の管ヒューズなどでの代用も可能だと思われます。スペースの問題さえなければ、ですが。秋葉原でリードタイプのヒューズを買ってきても良いでしょうね。 「通りすがりの制御屋」さん、貴重な情報ありがとうございました。 |
で、動作確認してみたところ、不思議なことに画面が緑っぽいです。何かなぁと思って基板を確認してみたところ、なんか弄った跡が…。前オーナーの仕業? しかし、導通やチップ部品の破損などチェックしてみるも異常を認めず。 よくよく調べてみたところ、我が環境では、ソニーのテレビにRGB接続しているのですが、どうやら本体側でコンポーネント出力の設定になっていたようです。コンポーネント出力時にRGB接続すると緑な画面になるようです。これは単なる設定の問題であり、故障ではなかったという訳です。 でも、この弄った形跡が解せないなぁ…。音声出力とか取りだそうとしたのか、はたまたチップ取り付けのGNDをここから引っ張ってきたのか…。 |
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てなわけで、2号機、アッサリと復活。今回はパターン切れなどもなく、非常に程度良好でした。1号機と重ねて記念撮影。 |
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さらに味を占めて3号機を落札。こいつはケーブル、マニュアル付きで17000円。徐々に価格が安くなってきたような気がしますね。まぁ、今までがジャンクのくせに高すぎたような気もしますが。そもそも「ジャンク」っつーのはもっとゴミみたいな値段であるべきなような気もしますが、まぁそこは需要と供給のバランスってやつですか、欲しがる人がそれなりにいるから価格も上がるのでしょう。 ちなみにこの機体も改造失敗ジャンク。型番はSCPH-10000。で、早速逝かれポイントをサーチしたところ、どうやらこの石の足がやられているようです。 |
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拡大写真ですが、チップの足が複雑に絡み合っています。合計3本の足に被害が及んでいる模様。どうやら前オーナーはこの足から出ている基板上のパターンへの半田付けが困難と判断して足に直接ワイヤーを付けようとしたのでしょう。しかし道具と腕が無かったためにこのように足を破損してしまったと推測されます。 この3本の足はかなりグニャグニャと内側に折り重なるように変形しており、発掘するのが非常に難儀でした。作業中に根本からポッキリ折ってしまうとアウトです。この石のパッケージを削って中から端子を堀り出すのは並の道具では出来ませんので。 |
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なんとか掘り出しに成功し、ワイヤーで基板上のパターンにジャンパしておきました。基板そのものの破損はありませんでしたが、この足を基板まで誘導していたらおそらく根本からポッキリと折れてしまうと判断されたからです。それだけグニャグニャにされていたわけです。「金属疲労」という言葉がいつぞやの航空機事故の時に取り沙汰されましたが、この足でそれが起こっているわけです。そもそもこういうQFPは足を加工することを想定して作ってはいないので、足の強度としては非常に脆いですからねぇ。 万が一ポッキリ折ってしまった場合は、根性で発掘するしかないですね。とある達人に言わせると、端子掘り起こしには「ミニター」という道具が使えるそうです。んが、結構高価な道具です。これだけの為に買うのはコスト的に割りに合わないですねぇ。 |
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てなわけで、3号機はQFPの足3本の補修にて完了。元気に動いております。と、思いきや、なぜだかPS2の特徴の一つであるイジェクトボタンの青色LEDが光りません(この写真でも光ってないことが分かります)。で、回路をチョッピリ解析してみました。正常動作する状態のPS2にて、リセット、イジェクトボタンへのコネクタの端子の電圧を測ってみました。 |
これがそのコネクタですが、左から1P〜7Pと勝手に命名すると、3Pにおいて、電源断にて+6V、電源投入時に0V、イジェクト操作時に0Vと+6Vを交互に変化する電圧を示しました。PS2ではイジェクト時に青LEDが点滅するので、間違いなく3PがLEDに関与した端子です。青色LEDの光らない基板ではここの電圧が常時5V程となっていました。そこで、このパターンを追いかけていったところ、先ほど修復したICの足の隣に繋がっていました。隣接するICの足同士の抵抗値を計測してみたところ、どうやら足がショートしていたようです。見た目では全然分からなかったのですが、奥の方でショートしていたというわけです。肉眼的な確認だけでは不十分であるという良い例です。 今回は該当する部位に一度微量の半田を盛って、改めて吸い取り線で吸い取りました。半田吸い取り線は毛細管現象を利用しているので、流れを誘導するための半田がある程度ないと上手く吸い取れない為です。修復した部位をテスターで確認したところショートは改善されました。 ちなみに、1Pはイジェクトボタン、2Pはリセットボタン、4,5Pは赤、緑色LEDに関与しているようです。 |
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てなわけで、改めて動作確認。うむ、今度は完璧だ。(写真は修理前なので光ってませんけど)。デッドオアアライブ2で遊んでみたりします。ちなみにデッドオアアライブ2はメモリージャグラーがあるとヌードキャラが使えたりなんかしてある意味おいしいソフトなわけです。ハードコア版の発売後は値崩れが激しく、ショップでも在庫がダブついているようなので買って損はないでしょう。近所の店での最安値は1780円でした(2001.6 現在)。 |
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DVDプレーヤーはパイオニア製の専用機を持っているので敢えて入手する必要は無かったのですが、興味半分に買ってみました。お値段3500円。リモコン+プレーヤーソフト付きなのでまぁお値段としてはそんなもんでしょう。ちなみに私にしては珍しく新品です。中古買ってもほとんど値段変わらんので。 |
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パッケージ中身はこんな感じ。DVDプレーヤーのCDが一枚封入されています。このプレーヤーのバージョンは2.01でした。 疑問に思ったのは、このリモコンがリリースされたときのネットの情報。このCDを使って本体をアップデートすると、SCPH-18000相当になる?という怪情報があったのです。 しかし、よくよく考えるとどうも胡散臭い。その情報が本当ならば、PS2本体にフラッシュROMが搭載されており、ディスクを使って簡単にBIOSがアップデートできるということになってしまいます。プロテクトに五月蠅いソニーがそんなに簡単にBIOSを変更できる仕様に設計するでしょうか? そんな設計にしたならば、コピーソフト起動されまくりなBIOSに書き換えられてしまう恐れがありますからねぇ。 |
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そこはやっぱりソニー。そう簡単にBIOSは変えられません。しっかりとリモコンの箱の裏に書いてあります。DVDプレーヤーはやっぱりメモリーカードが無いとダメのようで、プレーヤーのソフトが本体に内蔵されているSCPH-18000相当になるというわけではないというわけです。 ちなみにこのDVDプレーヤーver 2.01は、画質音質操作性等の基本性能が向上された(らしい)代わりに、非常にウンコな仕様に変更されています「赤い囲み参照」。DVD再生時にはRGB信号が出力されない仕様に変更されてしまいました。これは、RGB信号にはアナログコピープロテクト信号であるマクロビジョンをかけられないという制限によるもので、一時期このRGB出力とコンバーターを利用したプロテクト解除が問題になったことを受けての対策でしょう。それにしても、この仕様変更は私みたいにRGBで常用している人にとっては嫌がらせ以外の何者でもありません。また、このリモコンは、DVDプレーヤー2.01以下には対応していません。基本的な上下左右○△□×LRボタン他は対応しているので絶対使えないというわけじゃないですけど。従って、DVDプレーヤーver 1.00/1.01でのRGB出力で使いたい人は、サードパーティ製のリモコンを買った方が良いかも知れません。 それにしても、この囲み内の文章…、実に回りくどい表現です。RGB出力されないならそうとハッキリ書けばいいじゃないか。これでは分かっている人じゃないと何が言いたいのか分からないぞ>ソニー。 っていうか、どうせマク○ビジョンなんて、解除装置自作すればどうにでもなるはずです。今更こんなセコいプロテクト(になってないけど)掛けなくてもいいじゃないか…。クソ○ー逝ってよし! |
総評 てなわけで、2号機が24000円、3号機が17000円で入手でき、いずれも完全動作品とすることができました。とりあえず3台あっても仕方ないので知人にこのうちの1台を2万円(本体+ケーブル+取り説)で売却しちゃいました。儲けなんて全然ありませんが、そもそも営利目的で修理しているわけじゃないですからね。まぁ、知人価格っつーことで。
さて、これまでに4枚の改造失敗系ジャンクを修理してきたわけですが、いずれも難易度の差こそあれ、完全に復活することができています。これは運が良かったのかも知れませんが、これまでの経験を総括すると、どうやらPS2の基板はチップヒューズでゴテゴテに守られているために、カスタムチップの破損という可能性は比較的低いような印象です。ひょっとすると、わざとヒューズを切れやすく設計して、改造失敗時に動かなくしてしまうというメーカー側の意図があるのかも知れません。
しかし、このような設計はジャンカーとしてはむしろ歓迎です。カスタムチップの破損では修理しようもありませんが、ヒューズの断線であれば最悪ショートすれば済むので、「修理しやすい」ということになるからです。しかも壊れやすければそれだけジャンクと化す率も高くなり、ジャンク市場に出現する機体が増えます。つまり、「入手しやすい」ということになるわけです。「入手しやすく」「修理しやすい」だなんて、なんともジャンカー向けな設計じゃありませんか。素人さんな改造ユーザーにとっては嫌がらせな設計ですがね。
とはいえ、PS2の基板はかなり細かい配線が入り組んでおり、パターン損傷の修復難易度がかなり高いケースもあります。半田コテに習熟していない人がいきなり挑戦されて上手くいくものでは無いと思っていた方がよろしいかと。単に安くPS2を入手したいだけなら手を出さない方が賢明です。ある程度修理技術を習得した方が、腕試しとしてやってみるには非常に面白いとは思いますけど。
4台(4枚)のPS2を修理したらひとまず満足してしまったので、これにて一旦PS2ジャンクからは手を引こうと思っています。何しろ入手するためのコストが、ビデオデッキや他のゲーム機と比べると、半端じゃなく掛かりますからねぇ。が、価格的においしいジャンクを見つけた場合はその限りではありませんけど。
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