にがゲーム機

〜ジャンクなPS2を復活させる その5 〜


 SONY PlayStation 2 4号機

もういい加減PS2は要らないなぁと思っていたのですが、お値段のお手軽感に吊られて落札しちゃいました。初期型PS2で、メモリーカード無し、取り説無しですが、それ以外の付属品は有り17000円でした。ユーティリティディスクはレア度の比較的高いver.1.00が付属。これだけでもオークションでは平均3500円程度で取り引きされていますし、中古のコントローラも2000円の価値はあります。電源ケーブルとAVケーブルも付属してますので、本体の価格としては、11000円程度と考えられますので、私がPS2ジャンク修理したとき(本体のみ19000円)よりもかなり安くなってきました。とはいえいわゆるゴミとしてのジャンクとしては相変わらず高額です。直すことが目的な人以外は、直らなかった時のダメージが大きいので無闇に手を出さないことを強くオススメします。単に安くPS2が欲しいのだったら、安売り中古店かオークションの普通の中古を3万円弱で買った方が良いと思います。

ちなみにこの機体はお約束の改造失敗機。前オーナーの情報だと、CD/DVDを認識せず、イジェクトボタンを押すとリセットがかかる、といった故障状況でした。チップが取れていると質問欄に書かれており、一抹の不安がよぎりますが、まぁなんとかなるような気もします。

SCPH-10000(4号機)

今回も初期型SCPH-10000でした。千葉の木更津工場製。購入はほとんど発売と当時の3/5だったようで。工場のお膝元で販売されていた機体のようです。


半田ブリッジ

今回の機体も改造失敗機でした。基板をよーく肉眼で確認し、破損している部位を探します。

電源ボタンへのコネクタ近傍が弄られており、チップフィルターがブリッジしていました。ここはPS1用のMODで、リセットボタンを一定時間押してチップの機能を有効にする場合に弄るパターンです。

前オーナーの情報によると、トレイオープンを押すとリセットがかかるとか。確かにこれではイジェクトボタンとリセットボタンのパターンがショートしていますから納得です。

てなわけで、一旦フィルターを取り外して再度半田付け。どうですか? 弄ったのが分からないくらい綺麗に付いていますよね?

フラックスリムーバー

綺麗に半田付けする秘訣がこれ。フラックスリムーバーというやつです。主成分はジクロルメタン。かなり強力に半田に含まれるフラックス(ヤニ)を溶かして流します。改造で散々弄ったパターンもこれを使えば形跡を消せるかも…。まぁ、パターンを剥がさなければ、の話ですがね。

ちなみにこの液体はかなり強力で、ゲーム機本体のガワに垂らしたりするとアッサリと樹脂が溶けます。これでガワをクリーニングしようと思ってはいけません。使うときには飛沫が飛びますので樹脂製品を遠ざけておいた方が良いです。いつのまにか水滴がケースに飛んで斑点を作ってしまいます(経験者)。

チップ抵抗破損

さて、お次はいつものROHMの石近辺です。トレイの速度を制御するために使うパターンですが、104と書かれたチップ抵抗(100kΩ)が破損していました。BA5810FPの足も汚くなっていたので、一旦半田吸い取り線で綺麗にした後、フラックスリムーバーでクリーニング、半田付けしなおしておきました。破損した100kΩの抵抗は手持ちにチップ部品が無かったのでリードタイプに付け替え。

半田ブリッジ+パターン破損

DVDドライブへ繋がるコネクタのいくつかがブリッジ。何故こんなところがブリッジするのだろう??あと、PS1MODを取り付けるときに弄るパターンが大胆に剥離しています。ブリッジは半田を除去すればいいとして、剥離したパターンには何か部品が載っていた可能性があります。

正常品との比較

そこで手持ちの正常動作品と比較してみました。右はSCPH-15000の基板ですが、設計は同じはず。赤い部品は1kΩで代用できそうです。あと、10kΩのチップ抵抗が紛失していることを確認。

補修後

てなわけで、最終的にこうなりました。ブリッジを除去し、チップ抵抗とリードタイプの抵抗を取り付け。抵抗の一端は先をニッパーで尖らせてDVDドライブ用のコネクタに直接半田付けしてます。鬼細かいパターンなので、細い半田コテと細かい配線技術が必要です。パーツを取り付けた後は、決して部品を揺すったりしないように。さらにパターンを剥がして被害を拡大してしまいますので。

フレキ破損

で、動作確認してみたのですが、どうもDVDドライブの動きが妙です。動いたり動かなかったり。よく調べたらフレキが破損しています。コネクタ内部で端子と接触している部分が剥がれています。よって、先端1ミリだけ切り取って接触部位を少し奥にずらすことで解決。

おそらく前オーナーが無理矢理引っこ抜いたためにこうなったのでしょう。

某チップ取り付け

これで一応動作するようでしたので、お約束の某チップを取り付けてみたりします。とりあえずPS1用のやつだけ一個焼きました。

配線数は2本。楽勝です。起動時にリセットスイッチを4秒くらい押し続けることで有効になるタイプです。

絶縁

チップ増設など、本体に何らかの部品を増設するときに気を付けるのが絶縁処理。改造失敗のかなりの症例が実はシールド版への端子接触だと私は思っています。要するに取り付けたICの足がシールド版へ接触→回路がショート→保護素子が断線、ということではないかと。私は必ずゴムシートをシールド版へ貼り付けて増設回路を保護するようにしています。ホームセンターで売っている1ミリ厚のシートと両面テープがあればOK。ゴムシートはいろいろな用途に使えるのでジャンカーなら1枚や2枚は用意しておきたいものです。

クーリングファン汚損

清掃前

清掃後
この機体はそこそこ使い込まれた物のようで、クーリングファンが煤けていました。うっすらとタバコの臭いもしやがりましたので清掃してみたりします。ブラシとアルコール綿棒を使って綺麗にしました。これで外観上は新品同様になります。


補修完了!

てなわけで、完全整備完了。動作確認しましたが完璧に動いています。写真はコナミのビートマニア打打打!付属のキーボードです。このソフト、クソゲーの烙印を押されているのかどうかは知りませんが、USBキーボード付きにも拘わらず異様な安さで売られていたりします。近所のYESではなぜか1980円でした。USBキーボードの単体の値段と考えても良いくらいの値段かと。まぁ、確かにゲームそのものは面白くないんですが…。ていうか、難しすぎ。普通、タイピングゲーって、意味のある単語を打ち込むことがメインですが、このビートマニア打打打!はほとんどランダムに流れてくるアルファベットをタイミングに合わせて打つという無茶苦茶な設定で、ブラインドタッチの達人でも全然歯が立たないような超難易度の高いゲームだったりします。ゲームとしては良いのかも知れませんが、タイピングソフトとしてはクソゲーでしょうねぇ。

ちなみにこのキーボードは、PCのUSB端子に接続すればそのままミニUSBキーボードとして使用可能。PS2Linuxでもちゃんと使えました。でも、ビートマニア打打打!はハードウエアプロテクトされており、このキーボード以外のキーボードをPS2に接続してもソフトが遊べないようになっています。ユーザー好みの打ち慣れたキーボードは使っちゃいかんというわけです。さすがコナミ、余計なプロテクトだけは超一流です。折角のUSB規格が泣いています。とはいえ、このUSBキーボード、サイズの割にはマトモです。PC用のミニサイズUSBキーボードを探している人には良いかも。1980円ですし。


総評

てなわけで、もう要らないと思っていたPS2も4台目です。何台直せば気が済むんだ>俺。いや、安く出品されていたからつい…。

PS2ジャンクも、私が修理を始めた時よりも徐々にお値段が下がってきてお求めやすくなってきました。しかし、当サイトで修理方法を公開してからか、なんとなく出品そのものが減ってきたような気がしないでもないような…。とはいえ、こんな一日に200アクセス程度のサイトがそんな影響力があるとも思えず、ヤフオクが有料化された影響が主体だとは思いますけど。まぁ、こうやってサイトで情報公開しているのはみんなで情報を共有して幸せになろうというのが趣旨ですので、それでジャンクの出品が減ったとしても、私はそれで良いと思っていますが。

ところで、この機体でPS2はいい加減打ち止めにしようかと思っていましたが、実は最新型のSCPH-30000を入手してしまいました。1ヶ月前に購入された機体のようでしたが、改造失敗で一瞬でゴミと化した機体らしいです。既に復活に成功していますので、次回レポートします。SCPH−30000は大幅に設計変更されており、随所にコストダウンがされていました。メンテナンス性にも難あり。どっちかっていうと初期型の方が良いかも。


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