にがゲーム機

〜ジャンクなPS2を復活させる その7〜


 SONY PlayStation 2 7号機

 今回のPS2は、実はかなり昔に修理したブツですが、デジカメ画像が発掘されたので記事にすることにしました。

ところで、こういうサイトをやっていると修理依頼のメールやらジャンク売りますのメールやらが届くことがあります。しかし、私は他人様の機械の修理は基本的に受けてません。失敗して余計壊したときに責任を負えないからです。今回のブツはそんなメールの中のジャンク売りますという読者の方から改造失敗機を買い取った物です。希望価格は1万円でした。まぁ直ったら儲けモンですね。直らないと損ですけど。知人にまだPS2を欲しがっている人がいたので、買い取ることに決定。そんなわけで、本体のみ10000円でゲット。

で、基板を観察したところ、何カ所か弄られた後を認めます。こういうときは正常に動いている基板と比較するのが一番。チップ部品の欠損などは正常動作の基板を見ないと判断ができないことが多いですからね。

いろいろ弄られてますなぁ

半田の乱れているところを穴の開くほど観察。とりあえずモータードライバICの周辺が結構弄られています。

まず注目すべきはMODチップを付けたり、強制イジェクトスイッチを付けるところとしておなじみの赤丸のところ。チップコンデンサとチップ抵抗が取れかけています。

青丸のところは元々チップダイオードが付いていたところですが、なんと、スズメッキ線でショートされていました。どうやら前オーナーはチップダイオードをチップヒューズと間違えていたようで…。確かに形は似ているんですがねぇ。こりゃヤバイですよ。どこかのICが異常電流でやられてなきゃいいですが…。

チップダイオードの他に、チップヒューズと間違えやすいのはチップコイルとか、一部のチップ電解コンデンサあたりですかね。どれも同じような大きさと形してますが、表記を見ればある程度分かります。ラインが入っているのが極性のあるダイオードか電解コンデンサ。これらは数字や記号の表記で区別可能(容量と耐圧が書いてあるのがコンデンサ)。で、ライン無しは極性が無いコイル。大まかに言えばだいたいこんな感じで見分けます。修理する前に正しい部品の知識を身につけましょう。

正常基板

てなわけで、チップコンデンサ、チップ抵抗のところの半田を直して、チップダイオードをジャンク基板から移植して修正しました。ダイオードは極性があるので要注意。

この写真は修正後じゃないくて正常基板のほうです。写真取り忘れたので…。まぁ似たようなモンですけど。

部品取り基板

ちなみに、私はチップ部品をこの基板から剥がして利用しています。今は亡きディレクTVのチューナー基板です。確か100円くらいで売っていたやつです。今となっては全く使い道の無い基板ですから遠慮なく部品を剥ぎ取れますね。意外といろいろなチップ部品が採れてなかなかオトクです。今回のチップ抵抗、チップダイオードもここから頂戴しています。
チップヒューズの所

前オーナーは当サイトの読者の方ですから、チップヒューズの切れたと思われるところはショートされていました。言っちゃわるいですが、あんまり綺麗な仕事じゃないので修正しておくことに。
修正後

てなわけで、スズメッキ線で修正。回路的には全く変化無しですが気分的なものですな。


ドライブ側も破損

で、メイン基板の修正が終わったので動作させようとしたらトレイが動かない模様。よーく調べたら、なんでか分かりませんが、このチップフィルターが焼けてました。

信号の流れを追うと、フレキからこのチップフィルターを通ってDVDドライブの開閉検知スイッチへ繋がっていました。なんでこんなところが焼けたんでしょうねぇ。メイン基板側の配線を間違えて大電流を流してしまったのでしょうか。

で、修正ですが、ここはフィルターなのでショートしても問題なし。取り外して半田でブリッジしようと思ったのですが、パターンも焦げて使えない模様。

修正後

なもんで、フレキのコネクタのところから直接ワイヤーでジャンパを飛ばしました。コネクタのパターンはかなーり細かいので20Wの細い半田コテ必須。完全に半田付けされたことを確認したら取れないようにホットボンド等で固めるのも良いでしょう。
ピックアップの半固定抵抗

ピックアップですが、改造失敗機だけあって、半固定抵抗が弄られていました。なんと、CD側のほうがめくれ上がってます。ぐはー。PU死亡機から半固定抵抗だけ移植しようかとも思ったのですが、とりあえず抵抗器としては機能している模様なので、ヘタに弄らないことに決定。
トレイのギヤ位相

PS2のトレイにもしっかりギヤ位相があります。これがズレるとトレイが出てこなくなったりします。ドライブのトップカバーを外して動かしたときなんかにズレたりします。

トレイが出るときにはまず白いスライダーが横に動き、ピックアップが下方へ移動。それと同時にトレイが少し出てきます。この動きの流れが出来るように位相を調節します。スライダーをドライバーなどを使って動かすのとトレイを手で出し入れして動作を検証しましょう。まぁ慣れれば簡単です。


総評

てなわけで動作検証。今回はトレイの出し入れもOK。DVDの読み込みも問題なし。どうやら前オーナーはDVD側の半固定抵抗は弄らないでいてくれたようです。ラッキーでした。CDの読みとりには若干の調整を必要としましたが、なんとか読めるようになりました。

それにしてもPS2は毎回毎回いろいろな故障モードで楽しませてくれますね。前オーナーの技術レベルにもよりますが、いろんな弄り方、壊し方があるもんです。改造失敗機はなかなか面白いもんです。

一方、最近多発しているソニィタイマーによる自然死ですが、幾つかの故障パターンはあるものの、大部分がピックアップ劣化によるDVD読みとり不良のようです。原因はおそらくレーザーダイオードの経年劣化によるものと思いますが、どうやらPS2のDVD用のレーザーって出力レベルにあまりマージンが無いためか少しでも適正値から外れると読みとりが悪くなるようです。少しずれて読めなくなった程度のものはオシロスコープによる調整で直ることが多いそうです。

下のリンクのところで修理を請け負っているようなので、読みとりが甘くなった方は依頼されるとよろしいかと。ちなみに当方もオシロスコープを購入し、自力で調整できるようになりましたが、冒頭で書いたように、他人様の機械を壊して被害を拡大しても責任をとれないので私は引き受けていません。

 尚、オシロを使わないで闇雲に半固定抵抗を弄るのはやめておいた方が良いと思います。オシロを見ながら弄ってみると分かりますが、調整はかなりシビアです。ドライバの先端で軽く押しただけでレベルが変化しますし、変化の程度に個体差も大きいため、オシロ無しで適当に弄って調整できるもんじゃないです。出力を上げすぎてあっけなくレーザーが死亡し、二度と読めなくなった例もしばしば報告されています。読みとりが甘くなった、というレベルのピックアップは調整で復活できることが多いようですが、ヘタに弄って完全に死亡したピックアップは二度と生き返りません。自信のない方は被害を拡大させる前に、下記の方にご相談されることをオススメします。

ただし、SCPH-18000以降の機種には、分解するとソニーにバレるシールが貼ってあり、一度分解された機体の修理は受け付けて貰えなくなるようなので、今後のメーカーサービスを受けたい人は大人しくメーカーにだした方が無難でしょう。こういった読みとり悪くなった、あるいは完全にできなくなったPS2をメーカーに修理に出すとピックアップ交換で9450円(税込み)かかります。料金は高いですが、新品ピックアップの方が安心といえば安心。

以上の如く、双方メリット、デメリットありますのでメーカーに出すか、下記の方へ依頼するか、よーく考えてから決めましょう。

ykiki_net
成功報酬3000円で、オシロを使った調整と丁寧なクリーニングがウリで、修理に出された方からの評判も良かったようですが、残念ながら閉鎖されてしてしまいました。こういうサイトがあったということで名前だけ残しておきます。

PS2ピックアップレーザー調整
成功報酬5000円だそうです。ピックアップ劣化の他に、パターン修正やモータードライバICの交換なんかもやってくれるそうです。改造失敗で破壊した方は如何? オシロを使った調整法についても解説あり。

結局1万円ポッキリで一応完全に動くPS2をゲットってなわけで、ビンボーガクセーである後輩のK君に1万円で売りつけてあげました。なんていい人なんだろう俺って(爆。


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