SONY PlayStation 2 Linux kit
|
|
|
||||||||
|
|
さて、使えることが分かりましたので、ハードウエア的にどういうものか検証してみましょう。 HDDユニットとPCカードですが、どうやら後から発売された単体のHDDと同じもののようです。 HDDユニットの裏側には、小さなスイッチが付いており、DEVICE0/DEVICE1の切り替えが出来るようになっています。これはIDEのマスターとスレイブの切り替えのようです。これを見た瞬間、ハードウエア野郎の血が騒いでしまいました(笑)。 |
|
PCカードはPCMCIA TypeIII。直接LANケーブルが接続されます。HDDユニットには特殊なコネクタで繋がるようになっていました。 要するにIDEインターフェイスとLANの複合カードというわけですね。 |
|
HDDユニット背面には小さなクーリングファンが顔を覗かせています。ちょっと小うるさいファンです。電源はACアダプタで供給。電源電圧は12V単一です。3.5インチのHDD自体は5Vと12Vの2系統の電源が必要なはずなので、内部で5Vを生成しているものと思われます。 で、ここにラベルが貼ってありますが、相変わらずですねぇ。シールを剥がすと保証が切れるという内容が書かれています。 |
|
ちょっと光の反射で読みにくいですが… 「このラベルをPlayStation2専用HDD本体から絶対にはがさないでください。ラベルが一度はがされた製品は保証期間の内外、有料無料等を問わず、一切の修理をお断りいたします。」 …だってさ。いつもながら実に素敵なシールを貼ってくださいますねぇ。表現はソフトですが、要するに「剥がしたら修理拒否じゃぁ!ゴルァ!」ってことです。ケッ、頼まれたって修理になんて出さねーよ。 壊れたら自分で直すからな。 てなわけで容赦なく…ラベルを…切りました。はがさなけりゃ良いんだろ、はがさなければ。文句あるか。 |
修理お断りシールの障害を越え、HDDユニットをバラすとこのようになっていました。IDE規格のドライブです。形からするとSeagate社の製品のようです。Seagate純正の場合にはドライブの回りにゴムのようなものでプロテクトがされているのですが、これは付いていません。しかもSONYーのロゴと、SCPH-20401なる型番がかいてあります。いわゆるOEMってやつでしょう。よくある話です。 ユニットに内蔵されている基板はコンパクトですが、どうやら電源管理とクーリングファンの制御をしているようです。本体からのHDDの電源投入、切断の信号を受けて、HDDとクーリングファンに電源を供給したり、止めたりする他、12V単一電源から5Vを取り出す回路も付いています。 |
|
model ST340823AとなっているのでやっぱりSeagate社の製品だと思われます。 ちなみに増産されたLinuxキットではIBMのドライブが採用されているという話です。私としてはMAXTORが静かで好みなのですが…。このSeagateのドライブはアクセス時にカリカリと結構な騒音を出します。 |
|
HDDのジャンパピン設定。デフォルトではマスターの状態になっています。 |
|
実際には、ここにコネクタが取り付けられており、ユニット裏側のDEVICE0/DEVICE1 のスイッチに繋がっていました。 |
|
|
さて、前置きが長かったですが、ここからが本題です。DEVICE0/DEVICE1の切り替えスイッチを見た瞬間、思いつきました。IDEのスレイブに何かデバイスを繋ぐとどうなるのか。実に興味がでたわけです。 とりあえず実験として適当なATAPIのCD-ROMドライブを繋げてみることにします。用意するものはIDEの延長ケーブルと圧着コネクタ(メス)1つ。あと適当なATAPIのCD-ROMドライブです。 ちなみに最初からDVDドライブを持っているPS2Linuxに外付けのCD-ROMドライブを繋げて何が楽しいのか疑問に思う人もいるでしょう。内蔵ドライブはPS2ライセンスされたディスクしか認識出来ないのです。即ち、Linux関連の雑誌に付いているCDや、ユーザーが用意したディスクを使えないことを意味します。PS2のコピーソフトプロテクションが思わぬ所で障害となっているわけです。そこで、外付けのドライブを付ければプロテクトの問題は回避出来そうだと考えたのです。 |
|
てなわけで、適当なところに圧着コネクタを付けておきました。本当は圧着用の専用工具があるのですが、そんな物はないので適当にプライヤーで付けてしまいました。かなりの力が加わりますので、コネクタを破壊しないようにタオルとか挟んだ方がいいです。 |
|
そのまんまではHDDユニット付属のコネクタに刺さらないのでピンを1本折る必要があります。 |
|
材料が揃いました。これらを組み合わせてPS2に繋いでみましょう。尚、HDDはマスター、増設CD-ROMはスレイブにする事をお忘れなく。また、電源は容量の問題がありそうなので、PCの電源から拝借することにしました。とりあえず実験ですので適当にやっちゃいます。 |
|
てなわけで、適当なATAPIのCD−Rドライブとして、MITSUMIのCD−R「CR-4804TE」を用意してみました。 余談ですが、このドライブはファームウエア次第では99分メディアにも対応できるというDCリッパー御用達の4倍速CD−RWドライブだったりします。実はそのためにわざわざ購入したものですが(フフリ)。 |
|
上から見たところ。 電源はPCから取り出し。IDEケーブルは付属していたものを作成したケーブルに繋いでそこからパラレルに2つのドライブに繋げています。ハードウエア的な接続はそれだけです。 んで、電源を入れてLinuxを起動。増設CD-ROMをマウントしようとコマンドを打ち込むも応答無し。どうもデバイス自体を認識していないようでした。チッ。 しかしそんなことで諦める私ではないのであった。サイトで情報を集めた結果、ATAPIのデバイスはデフォルトでは認識できないようになっているようで、使うためにはカーネルの再構築が必要らしい。 |
てなわけでカーネルを設定して再構築します。具体的には右のような手順でやればOK。 カーネルの再構築に当たっては、PS2Linuxで遊ぼう! というサイトを参考にさせていただきました。このサイトでは、USBの外付けCD-ROMドライブをPS2Linuxで使用する方法が記されています。 |
Linuxを起動してrootでログイン。 cd /usr/src/linux で、カレントをカーネルのある場所へ移動。 make menuconfig を実行してカーネルの設定。 Block devices の項目で、include IDE/ATAPI CDROM surpport のところ を[M]にして、ATAPI CD-ROMを使用可能にする。 make dep clean modules modules_install を実行(時間掛かる)。 reboot を実行して再起動。 rootでログインして、mount /dev/hdb /mnt/cdrom を実行。
|
|
カーネルの再構築が終わってリブートしてみたところ、ブート時の表示でhdbとして認識していることが表示されました。やったぜ! 当然ながら、PS2ライセンスされていない普通のCDだろうがCD−Rだろうが認識できますし読みとりもバッチリです。 |
|
さて、実験が成功したので、今度は少しマジメにDVDドライブを接続することにします。材料の調達ですが、いろいろ検討した結果、手持ちの東芝製ノート用スリムDVDドライブと、ジャンク箱にあった5インチ用のドライブケース(IDE用)を使うことに決定。電源がやや不安なので、一応大容量の12V電源基板も用意。 問題は薄型DVDドライブと3.5インチHDDをこの5インチ用ケースに固定する方法ですが、この写真にあるようなPC用の薄型ドライブ+FDDドライブの5インチベイ用のマウンターを使うことにしました。 |
|
マウンターはオウルテックから販売されているものです。こんな鉄板を適当に加工しただけの物のくせに、2980円もします。次に記す変換基板も付いていますがちょっと高いです。秋葉原某店で購入。 |
このスリムCD-ROMドライブ用コネクタ変換基板は1年前にはなかなか手に入らなかったのですが、今時は秋葉原のパーツ屋でよく見かけるようになりました。この基板単体の値段は1000円〜1500円程度。 |
|
|
問題はマスター/スレイブの切り替えですが、騙されました。変換コネクタに思わせぶりなジャンパピンが立っているのでてっきりそれかと思ってって試行するもスレイブにならず。 ドライブ側のピンアサインを参照すると、47ピンがマスター/スレイブ切り替えのようですが、どうも変換基板上には切り替え用のジャンパは存在していないようでした。それまで散々弄っていたのはオーディオ端子と判明。変換基板にはオーディオ用の端子が2つもあったというわけです。紛らわしい…。 |
変換基板上に設定用ジャンパピンが存在していないので仕方なく47ピンを半田を使ってGNDに落とすことにしました。隣の45ピンがGNDなので半田を使ってブリッジ。簡単です。 ちなみにマスター/スレイブの設定用ピンは製品によって47Pでないかも知れないので、ドライブ毎に確認が必要になると思います。 |
|
|
てなわけで、それぞれを組み立ててみました。電源は2又ケーブルを使って分岐。IDEケーブルは、スリムドライブでは上下反転しているので方向に注意します。ケーブルの1Pが赤く塗ってあるのでこれをコネクタの1pに合わせればOK。 |
|
とりあえずケースに組み込んでこんな感じになりました。HDD前面の窓が開きっぱなしですが、いずれここにダミーのFDDの顔でも張り付けようかと思っています。 背面のケーブルの処理がいい加減ですが、まぁ後で直すことにしておきます。 |
|
最終的にこうなりました。 Linuxを起動してDVDのマウントも成功。当然非ライセンスなディスクでも大丈夫。 ふと思ったのですが、このシステムを使ってLinuxでブーターを書けば複製したソフトでも動いてしまうのでは…??? まぁ、そこまでしなくても某チップを作れば済む話ですがね。 |
|
ついでなので、SCPH-30000もLinux化してしまいます。 PS2Linux系情報サイトでは、SCPH-30000のHDDユニットでもLinuxがインストールできて使えるという話がありましたので、やってみました。 丁度HDDユニットが希望落札価格15000円で出ていたので即落札。なぜかHDDユニットはオークションでも2万円前後で取り引きされており、ほとんど定価と変わらなかったり、むしろ定価より高かったりするのですが、15000円はオトクでした。 たぶん、HDDユニットがPlayStation.comのみの通販で、比較的品薄、かつ購入にクレジットカードが必要なことが高値を呼んでいるのでしょうねぇ。中古ドライブを定価以上の値段で買うなんてバカバカしい話ですが。 |
ドライブ自体は初回出荷版PS2Linuxで採用されていたものと同一nSeagate製のようでした。カリカリ五月蠅いので他のドライブが良いんだけどなぁ…。 |
|
付属のHDDユーティリティディスクver 1.00。フォーマッタや、ファイル操作ユーティリティ、DVDプレーヤ2.10も入っているようです。メディアはDVDではなくCDでした。 |
|
以前のアダプタはPCカードtype IIIで提供されていましたが、SCPH-30000はPCカードスロットが廃止されているのでこのようなアダプタとなっています。電源は本体側から取り出し、HDDに直接供給しているようです。HDD用のACアダプタが不要になり、ドライブ自体が本体に内蔵できるため、非常にコンパクトにまとまってますね。 |
|
HDDを本体に差し込むとこうなります。マウント用の金属が左右に付いていますのでこれらを差し込んでロックします。この上からアダプタを取り付けてネジで留めれば増設完了。 |
|
最終的にはこうなります。本体から出るコネクタはLANコネクタのみ。旧式のACアダプタ、IDEケーブルの引き回しが無くなってスマートです。 やや心配なのが放熱の問題。HDDは回り続けると結構な熱を持つはずなので、熱が本体に籠もらないかどうか。通風口は前面に開いてはいますが、構造上ここに空気の流れが出来るとは思えず。まぁ、HDDベイ自体が金属フレームで覆われているのでそこから放熱しようという設計なのでしょうけど。 |
|
従来型PS2Linuxと増設ドライブの隣に配置してみたりしました。この本体サイズだけでLinuxサーバーになってしまうというのは非常にコンパクトでよさげです。 ちなみにLinuxの起動には、起動用DVDが必要ですが、これはブート時にしか要求されないので、片方を起動した後に入れ替えてもう一台を起動すれば2台の同時使用が可能です。また、マウスとキーボードはPCのUSB用のものがそのまま使えますので、Linuxキットが1つあれば、あとはHDDユニットと本体を買い足して何個でもLinux環境が構築できるってわけです。ソフトは1台に付き1ライセンスとは書いていないのでこういう使い方もアリかと。そもそもLinuxは元々フリーのOSですしね。 |
総評
|
てなわけで、Linuxサーバーが2つ出来上がりました。片方を自宅WEBサーバーとして稼動させる予定なのですが、なかなかADSLが開通しないために公開できないでいます。もう一つはメンテナンス用予備+メールサーバー、FTPサーバーにでもしようかと思案中。 チマチマとデバイスを買い足していった結果、総額8万円ほど掛かっていますけど、Linux環境x2の値段と考えればまぁまぁでしょうかね。普通に新品のPS2を買えば一台4万円弱なわけですし、全て定価で買えば13万円ほどかかるわけですしね。 ということで、既に環境構築は完了し、このLinuxシステムはいつでもWEBサーバーとして稼動出来る状態になっています。我が家にADSLが開通次第、当サイトをこのPS2で運用しようと思っています。 |
copyright (C) 2000 Niga.