にがゲーム機

〜ジャンクPS2でWEBサーバーを〜

作戦その3<サーバーマシンを交換セヨ!>


 SONY PlayStation 2 Linux kit

 前回までの記事で、Swap trick用のMODチップを使ったディスク交換でSCPH-10000でのPS2LinuxのブートCD-Rでの起動には成功しました。しかし、PARやUSB-MODを使ったSCPH-30000での起動には失敗。別の方法を模索してネットで情報を集めていたところ、DVD−Rなどのバックアップを起動するには最近ではPARと強制イジェクトスイッチなるものを使ったディスク交換で行うことが一般的だということが判明。

その方法を調べたところ以下のようにやればOKとのこと。ちなみにPAR2では下記5)の「ディスクの回転が止まる」ところが止まらないようになっており、簡単にディスク交換できないように改変されたそうです。

1)PAR 1.6Jを起動
2)メインメニューで普通にイジェクトボタン押して適当なDVDゲームに入れ替える
3)ディスクを認識して回転が安定するまで待つ
4)メニューで「ゲームスタート」>「コードツカワナイ」を選択
5)ディスクの回転が止まるので強制イジェクトスイッチでDVD−Rに入れ替える
6)×ボタン押下で起動

 で、以上のやりかたを参考にやったらなんと、起動できちゃいました。なんだ、MODチップなんて要らないんじゃないか…。わざわざ作って損したような…。分解さえしてしまえば本体も改造する必要も無しです。いやはやPAR1.6J恐るべし。これでDVDの読めないジャンクSCPH-30000も有効に活用することができるってもんです。SCPH-10000でも同様のやり方で起動できました。

サーバー入れ替え大作戦開始

てなわけで、本格的にLinuxサーバーをジャンクPS2に入れ替えるために、サーバーを止めてHDDユニットをジャンク機へ移植しました。ちなみにサーバーを止めている間、来訪者の方が迷子にならないように、久々に第一サーバーを起動しておきました。

 まずはこの写真のように、ドライブの蓋を開けっ放しにして、PAR 1.6Jを入れてブートします。尚、ディスクの軸のところにはドライブのトップカバーから外したディスク固定用の白い丸いパーツを付けておきます。載せるだけで磁石でピタっと張り付くようになっています。

PARを起動

 理由は分かりませんが、HDDが付いた状態のSCPH-30000ではPARの起動画面を拝むまでに結構時間がかかります。正常に起動すると、こういう画面になります。

PARを排出

 正常にPARが起動したら、ディスクイメージにASA Patcherでパッチを当てるときに指定したブートイメージのディスクに入れ替えます。

.尚、ここでは、普通にイジェクトスイッチを使って本体側にディスクを交換したことを認識させます。

起動用ディスク挿入

 私はユーティリティ1.00のイメージでパッチを当てましたので、これに入れ替えます。ディスク固定用の丸いパーツもお忘れなく。イジェクトスイッチを使って普通にトレイをロードすればOK。

コードツカワナイ

 ディスクを入れ替えると、PS2本体が入れ替えを認識してプロテクト領域のチェックを開始します。当然正規ライセンスされたユーティリティディスクなので問題なく認識するはずです。ディスクの回転が安定したら、PARのメニューから、「ゲームスタート」→「コードツカワナイ」を選択します。
ユーティリティディスクを取り出す

すると、おもむろにディスクの回転が止まります(ここ重要)ので、イジェクトスイッチを使わずにドライブから直接ディスクを取り出します。あらかじめドライブの蓋を開けて置いたのはこのためです。

強制イジェクトスイッチがあればそれを使う方法でも構いません。

ちなみにPAR2ではここでディスクの回転が止まらないので交換するのが難しいようです。

ブート用CD-Rに入れ替える

イジェクトスイッチを使わずに、あらかじめ焼いておいたPS2LinuxブートCD-Rに入れ替えて固定用の丸いパーツを載せておきます。イジェクトスイッチを使わずにディスク交換したため、PS2本体はディスクを交換したことを認識しておらず、今入っているディスクはユーティリティ1.00だと思いこんでいるわけです。

Xボタン押下

画面の指示に従って×ボタンを押すと、PS2LinuxブートCD-Rの読み込みが始まります。

起動!!

 無事に起動できました。ちなみにこの画面は家庭用テレビのものです。あらかじめPS2Linuxの映像出力をNTSCで出力するように設定したメモリーカードがあれば、起動時からNTSCで出力されます。特に設定していない場合や、メモリーカードを挿していない場合には強制的にNTSC信号はカットされ、Snc On GreenのVGA出力になります。

機能は完全

Bootを選んで、メモリーカードのカーネルを選択すると、きちんとHDDへのアクセスがされ、コンソールのログイン画面が表示されました。

サーバーとしての機能は正規のDVDでブートしたときと全く変わりません。


組み立て

PS2Linuxが起動しましたので、PS2を動作させたまま組み立てます。動作した状態の機器を組み立てるのは非常に慎重な作業が必要。ネジは金属なので、ヘタに本体内部に落とすとショートの原因となって本体を破壊するおそれがあるからです。ドライブの蓋の固定に使う小さいネジを取り付ける際には決して落とさないように要注意。

スイッチパネルのパーツをトップカバーに取り付けました。このフレキは補修後のもの。

作業中に誤ってリセットボタンを押さないように注意。押してしまうとまた振り出しに戻ってしまいます。これはあらかじめトップカバーに取り付けておいた方が良かったと後から思ったり。

ここまでくればだいたい安心です。トップカバー固定用のネジを締めてネジ隠しを填めれば完了。

HDDが回転しているのであまり衝撃を与えないように静かに作業します。

運用開始 

ということで、無事にサーバーマシンの入れ替えが完了しました。所定の位置に戻して完了。DVDの読めないPS2での本格運用開始です。とりあえずエラーで止まるまでこのまま稼動させてみようと思います。前回の機体は4ヶ月弱で一度エラーを起こしてダウンしましたが、今度の機体はどうでしょうかね。

 ちなみに以前の記事でも書いてますが、写真のキーボードはコナミのビートマニア打打打!に添付されているUSBキーボードです。ゲームはクソゲーチックなので全然遊んでいませんが、キーボードは小型でPS2Linudでも使えますのでウチではこのサーバー専用にしています。


USB-MOD を使った起動法

 後日談ですが、ある詳しい方に今回の一件を相談してみましたところ、PS2Linuxは起動用ドライバーファイルでディスクチェックを行っているということでした。そのファイルをちょっと書き換えることでブートできるだろうという情報を頂きましたのでやってみました。具体的には下記のようにします。

ルートディレクトリのファイル「PBPX_955.01」をバイナリエディタで開き、アドレス0001F034から始まる「0000628C」を「12000224」に書き換える。

これで、SCPH-10000/30000で、PAR1.6J/PAR2 + USB-MODを使った起動ができました。以上のように書き換えておけば、わざわざ本体を分解してドライブの蓋を開けて置かなくても、強制イジェクトスイッチを付けなくてもOKです。単にUSB-MODを取り付けた状態で、PARを使って普通にディスク交換するだけで起動できました。


総評

ということで、SCPH-10000、SCPH-30000でのCD-Rを使ったPS2Linuxの起動法をどうにか確立できました。今までの方法を総括すると下表のようになります。

SCPH-10000

手段

必要な物
single swap puceps2.hex 等のMODチップ取り付け
PAR利用double swap PAR 1.6J、強制イジェクトスイッチまたは分解
PAR利用single swap PAR 1.6J/PAR2、Neokey.hex 等のUSB-MOD
SCPH-30000

手段

必要な物
PAR利用double swap PAR 1.6J、強制イジェクトスイッチまたは分解
PAR利用single swap PAR 1.6J/PAR2、Neokey.hex 等のUSB-MOD

MOD作成環境のある場合は、SCPH-10000ならsingle swapのMODチップを焼くのが一番安上がりですが若干配線が複雑なので、改造に慣れていない人は、お金はかかりますがPARとUSB-MODを使った起動が一番簡単かも知れません。MOD作成が出来ない人はPAR1.6Jを利用したdouble swapで起動させるのが良いと思います。

これで、どうにかDVDの読めなくなったPS2にも未来が見えてきました。そもそもPS2Linuxサーバーなんて、DVDドライブはインストール時にしか使いませんからね。起動さえしてしまえばDVDドライブなんてまったく必要ないわけです。そんな使い方ですから、PS2LinuxのマシンにはCDしか読めないジャンクで十分です。正常なPS2を使う事自体が勿体ない話です。

PS2Linuxよ、お前にはDVDの読めない機体がお似合いだぜ…


おまけ:4ヶ月稼動したPS2のお掃除

H13年12月〜H14年3月の間稼動し続けたPS2ですが、ひとまずお役ご免となったので分解清掃することにしました。4ヶ月も動きっぱなしでしたのでかなりホコリまみれになっていました。この機体は元々分解歴があるジャンクでしたので容赦なく分解してクリーニングします。こんなにホコリだらけの機体をそのまま使うなど、精神衛生上好ましいことではありませんからね。

尚、一度本体を分解すると、あの忌まわしき分解禁止シールを剥がすことになりますので、今後一切のメーカーサービスを拒否されることになります。一度もカバーを開けたことのない人は近い将来タイマー発動により故障することを考慮して開けない方が良いと思います。メーカーはユーザーによるクリーニングすら認めない方針のようですので、アフターサービスを受けたい方は残念ながらホコリが被ったまま我慢するしかありません。ただし、分解禁止シールは剥がすとダメですが、切ってはいけないと書いていないので、そのあたりでダダをこねてみるのも面白いかも知れません(藁。

クーリングファンは空気中の微粒子を吸い付けてごらんの有様。綿棒とイソプロパノールで綺麗にします。

ドライブも開けてみましたが、案外トレイ周りやピックアップは綺麗でした。実際に読み込み不良も起きていませんし、ここの気密性は案外悪くないのかも知れません。

クリーニング後ですが、見違えるように綺麗になりました、新品同様といったら言い過ぎかも知れませんけどそれに近い感じです。写真の右端には分解禁止シールを剥がした痕跡が残ってますね…。

こいつを剥がしたら修理拒否だなんて…。ユーザーに掃除くらいさせてくれたっていいじゃないか。それに内蔵のリチウム電池が切れた時はどうすればいいんだよ…。


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