にがゲーム機

〜ジャンクなプレステを改造しまくる〜


 SONY PlayStation SCPH-9000

SCPH-9000

 散々PS1やらPSoneやら、PS2だのを入手して修理してきたというのに、またPS従来機をゲットしてしまいました。というのも、まだPS従来機の最終モデルであるSCPH-9000を弄ったことが無かったからです。

このモデルは背面のI/Oポートが廃止され、内部の基板にかなりの小型化がされているという話でしたので、どんなものか見てみたいという興味から、ついつい入手してしまいました。尚、廃止されたI/Oポートは秋葉原界隈で売られている拡張端子増設キットにて増設可能で、このキットをある方から頂いていたので、使ってみたかったというのも入手の理由の一つです。

SCPH-9000

9000番レッテル

ということで9000番台です。美濃加茂工場製らしです。今はPS2を造ってい所になっていると思います。ちなみに消費電力は9W。PSoneと同じ。

ちなみに今回も当然ジャンクです。オークションにて、本体のみ1900円で落札。PS従来機もかなり相場が下がってきていますね。SCPH-9000といえば、確か発売が1999年の9月頃でしょうか、丁度不正競争防止法案が施行された時とほぼ同時期であったと記憶しています。当時は「PARが載せられないPSが販売になるので、早くMOD付きPARと7500番を買っておいた方が良い」とか先輩と話していたような気がします。

PSoneが発売されるまでは現役バリバリに販売されていたモデルなので、この機体も製造後ちょうど1年程度しか経っていないと思われます。

削減された背面端子

アッサリした端子群

この極限までにシンプルになった背面端子群がSCPH-9000たる所以です。前にも書きましたが、MOD機能付きPARによるコピープロテクション解除を問題視したSCEが敢えてこういう設計にしたと思われます。結局最後までI/Oポートを利用したSCE製の製品はリリースされませんでしたから、SCEとしても、廃止するに当たってなんの障害は無かったのでしょう。まぁ、有る意味当然の対策かも知れません。PARとかVCDプレーヤーとか使っているユーザーにとっては腹立たしいことですが。

当時は本当に誰でもコピーソフトに手を出せる時代でしたからねぇ。今や一部の職人にのみに到達できる領域となってしまいましたが。

ちなみにSCPH-9000ではまだ通信ポートが残っています。PSoneまで行くとこれすら無くなってしまい、DC入力とAV出力のみとなってしまいます。


とりえずバラす

トップカバー取った
 さて、とりあえずトップカバーを外します。基本的な構成は同じですが、電源基板やフレキケーブルのコネクタの位置など、これまでのモデルとの違いが散見されます。

ピックアップ

ピックアップは程度良好
 さすがに新しめの機体ということで、ピックアップの程度は良好。グリスも白いままであり、レールの摩耗はほとんど無しです、前オーナーはライトなユーザーだったと思われます。ちなみにフレキの長さがまた変更になっています。長さ的には5000番以前より長く、5500番以降より短いという感じですので、ニコイチなどで利用する時には注意が必要です。

基板

コンパクトな基板

 ピックアップユニットを取り外し、シールド板を取り去りました。いやー、確かにメイン基板はかなりコンパクトにまとめられています。初期型ではコントローラのコネクタの下のところまでメイン基板が来ていましたからね。サイズ的には半分近くまで小さくなっているような気がします。このコンパクトな設計がそのままPSoneに生かされているのだと思います。チップの構成はだいたい同じようですし。

ちなみに7500番以前の機種で見られた基板上のシールド版は今回は無くなっています。コストダウンの煽りかも知れませんが、改造系ユーザーとしては弄りやすいので歓迎です。

補修

切れてます

今回の機体は、ゲームは起動するが、コントローラが利かないという故障モード。その上、メモリーカードも認識しません。メモリーカードに増設したアクセスランプが光らないことから、どうやらコントローラ用の電源が逝っちゃっているようです。

電源系統のトラブルとしてお約束的な故障としては、やっぱりチップヒューズが一番疑わしい。ということで調べたところ、この2つが逝っちゃってました。

チップヒューズ
15、とS0と表記された2つです。15の方はジャンクの不動7000番から移植しましたが、S0の方は規格不明。よく判りませんが、とりあえずスズメッキ線でショートなんぞしてみたりしました。保護機構を失うことになりますが、まぁ動けばいっか、などと適当にやっちゃったりします。

復活!

ヒューズ移植&パターンショート後はコントローラの機能も復活。キチンとデュアルショックのLEDとメモリーカードの増設アクセスランプが点灯しています。

前オーナーはブッ壊れたコントローラを挿したりしたのかも知れませんね。

てなわけで、これにて補修は完了。以後、改造モードへ移行します。


拡張端子増設君

拡張端子増設君
本体が正常に動作するようになったので、まずは拡張端子から増設してみます。秋葉原のゲーム屋(あきばお〜、あきばんぐ、ゲームスアークなど)で売られている9000番専用の拡張端子増設キットです。お値段は1000円チョイです。

基板取り付け

逆ICソケット

まずは基板を取り付けますが、写真左上のM534031E-07と表記されているICに上からかぶせるように押しつけるだけです。一度取り付けると簡単には取り外せませんので注意。パチっと奥まではめ込みましょう。固定性はなかなかよろしいようです。

それにしてもよく考えましたねぇ。ICソケットを上から被せるなんて、「逆転の発想」ってやつですね。この基板の出来もなかなかよく、アジアンパワーも侮れたもんじゃないです。

パチっとはめ込み
基板を取り付けるとこうなります。ケーブルはATA66のIDEケーブルと同じ太さでピッチの細かいすだれケーブルです。

ケースを加工
ケーブルが外にはみ出すので、ボトムカバー側をこのように削っておきます。私は小刀で内側の出っ張りだけを削りました。ケーブルは細いので、これで十分のようです。

配線

配線配線〜
 取り付け説明書に従って、合計6本の配線をします。そんなに細かいパターンへの配線は無いので、比較的難易度は低めです。美しい配線をモットーに作業しました。

美しい配線を目指して

私がよく使う方法ですが、ICの足の内側に配線を這わせて、見た目を綺麗にしています。附属のケーブルだと、2本まで行けるようです。ジュンフロン線ですと3本くらい行けます。

まぁ、ただそれだけなんですが…。「見た目なんて気にしない」という方はどうぞご自由に配線して下さいまし。

増設端子
配線が済んだら拡張端子を附属のネジで固定。まずキリで穴を掘り下げてからネジ込めばOK。

PARを取り付けてみた

増設端子にPARを挿してみました。コネクタが外側へ飛び出しているのでちょっと不格好ですが、実用上は差し支えないようです。

きちんとPARのBIOSが起動し、入力した改造コードも機能しています。とりあえず成功。


M@Dチップの取り付け

PICライター

 今までは特にネタにはしていませんでしたが、我が工房ではPS(2)にM@Dチップを付けるのが既にデフォルト的常識であり、当然この9000番にも取り付けるわけです。

とはいえ、M@Dチップは不正競争防止法案によって、現在売り買いすると犯罪になってしまうので自分で作るしかありません。作る分には合法なので堂々と取り付けます。私はチップ製作に秋月のPICライターを使っています。お値段6000円程度。M@D以外にもワンチップマイコンを利用した工作で使えるので一個持っておいて損は無いかと。この秋月のキットは安定してPICが焼けますし、汎用性もなかなかです。PCのシリアルポートに接続してPICにプログラムを書き込むようになっています。

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MODの素

 これがM@Dチップの素。一個120円程度。恐ろしいほど簡単にM@Dが焼けます。10秒くらいで。考えてみれば、不正競争防止法案が施行される前には、こんなのが一個2000円前後で売買されていたんですよねぇ。4個も売れば十分設備投資分が回収できます。ローリスクハイリターンな、まさにボロ儲けだったわけです。

法案施行後M@Dチップを主力商品にしていた店がバタバタと閉店してしまいましたが、分かるような気がします。

配線

禁断のMODチップ

 てなわけで、焼けたPICを本体に取り付けました。3ワイヤのタイプなので楽勝です。面倒なので今回はスイッチなどは取り付けず。RHPがあったらPARで解除すればいいこととします(分かってる人じゃないと何を言っているのだか分かりませんね)。

ちなみにM@Dの焼き方とか、取り付けポイントとか聴かれてもお答えしませんので、そのあたりは各自調べてみてください。ネットで探せば解説サイトやHexコード配布サイトは沢山ありますから。また、チップ売ってくれと言われても絶対に売りませんので悪しからず。

青色LED

おー、明るい!

 電源ランプをPS2で特徴的だった青色LEDに置換してみます。青色LEDはまだまだ高価で一個300円以上しますが、まぁ、今回はコスト度外視です。完全に趣味の領域です。

普通に取り付けると頭が支えますので、板ヤスリで適当な高さに削ってから取り付けましょう。

ご覧のように、かなりの輝度で光っています。眩しいくらい明るいです。


総評

動いている〜

というわけで、ジャンク機を利用して手を加えることで、「最強」とまでは言いませんが、「かなり使える仕様」のSCPH-9000に仕上げることができました。基板が小型化されているおかげで、その気になれば幾つかの増設回路等を仕込むことができそうで、なかなか改造しがいのあるモデルでした。

これにヘッドフォンアンプとか、MOD動作インジケーターとか、スイッチとか付ければ最強ですね。まぁ、そこまでは気合いが無いのでやらないでしょうが…。ちなみに光DAIは残念ながらD/Aコンバーターがカスタムチップに内蔵されてしまったようなので簡単には取り付けられないらしいです。

 SCPH-9000販売当初は、最大の泣き所が拡張端子の廃止であったのですが、このように増設キットを利用することで、7500番台相当の仕様に戻すことができるわけです。ただ、VCDアダプタなんかだと、AV出力のコネクタが上手く刺さらないので使えません。VCDプレーヤー側でI/OポートとAV出力の位置関係が決められているからです。VCDプレーヤーのユーザーは気を付けましょう。

ちなみに拡張端子増設キットのコストを考えると、わざわざ9000番台を入手して取り付けるよりは最初から拡張端子が付いている7500番以前のジャンクを入手した方がお得だったりすると思います。今回は貰い物の増設キットがあったので敢えて9000番を入手しましたが、PARやVCDプレーヤーを使いたい人は大人しく5500番〜7500番ジャンクあたりを入手することをオススメします。

ということで、当サイトお約束となっている今回の機体のコストを算定。本体1900円+送料云々1400円程度+拡張端子増設キット0円(貰い物)+青色LED380円+PICチップ120円=3800円程度ということになりました。これだけ機能アップした機体のコストですからまぁお得なのでしょう。使うかどうか分からないけど(笑)。


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