にがAV

〜ジャンクなPSoneを復活させる〜


 SONY PlayStation 「PSone」

今回も某オークションで落札。本体のみで3900円でした。オークション条件では、依頼出品で詳細は分からないが壊れている。本体のみということでしたが、落札後にMODチップを取り付けようとして失敗した機体であると判明。まぁ、今回は直せるかどうかはともかく、中身が見たかったのでそのまま取引成立としました。チップレベルでの死亡が無いことを願いつつ…。

ちなみに本来は付属品としてACアダプタ、コントローラ、AVケーブルが付くはずなんですが、それぞれ代用品を使えば適当になんとかなります。ACアダプタは7.5Vのセンター<+>の物を用意します。汎用の電圧可変ACアダプタ(最大600mA)を使うことにしました。ちょっと大きな家電店とかホームセンターなんかで売ってます。使う時にはくれぐれも極性に注意。間違うと繋げた機器が簡単に死亡しますんで。

SCPH-100

今回はPSoneですから、型番はSCPH-100です。さて、この「開封済」の文字。元の状態がどうであったのかは知る由もありませんが、おそらくこのネジの上にシールが貼ってあり、一度でも剥がすと「開封済」の文字が残って元に戻せなくなるカラクリでしょう。たぶん、そのシールにはシールを剥がした機体は修理お断りという意味の言葉が書いてあったのかと推測されます。イヤな感じですねぇ。ユーザーの自己修理を認めないというその姿勢が。これはソニーの挑戦状と受け取ります。何が何でも自力修理してやろうじゃないか! 頼まれたってソニーに修理になんて出すもんか!(どうせ修理代高いし;本音)

ま、ソニーの本音としては、安易にMODチップなんかを取り付けようとして失敗した機体の面倒までは見ないぞということなんでしょうがね。つーか、「MODなんか付けるな」という意思表示でしょう。

でも普通に使って壊れた場合で自己修理ができなかった場合でも修理お断りなんですかね。後述しますが、「壊れるように」作っておいて、開けたら修理お断りだなんて、あんまりだと思いませんか?


まずは解剖

さて、火を入れる前に目で見える異常をチェックします。電源ラインなどのショートなどがあった場合、電源投入によってチップが死亡することがあるからです。まぁ、そういう場合は大抵前のオーナーが既に破壊しているでしょうが…。

まずはトップカバーを取り外します。このような感じです。至ってシンプルです。

基板(表)

ピックアップを取り外し、シールドカバーを外すとこれが現れます。トップカバー用のネジ6本と共締めになっており、基板を取り出すために外すネジは6本のみです。メンテナンス性は良いと言えましょう。あのシールさえ無ければ、ですが。

それにしてもシンプルです。コネクタは全面のコントローラ、メモリーカード用が2つの他に、背面にACアダプタ(7.5v)とAV出力のみです。当然のように、I/Oポートは無くなっており、PAR(プロアクションリプレイ)が使えません。これは痛いなぁ…。私はゲームで遊んでる時間が無いので、大抵PARでズルしておいしいところだけ味わう人なもんで。

また、従来のPSはスイッチング電源が内蔵されていましたが、PSoneは電源を外付けにしたことで、バッテリでの駆動が可能になったとも言えます。まぁ、大食らいでしょうから、大容量なバッテリじゃないと辛いでしょうが、車載用なんかには良いかも知れませんね。

基板(裏)

基板裏面には何一つ部品が実装されていません。結構設計が煮詰められているようですね。基板の設計については合格点。


故障ポイントの検索

MOD取り付け失敗の機体ということなので、基板を穴が空くほど観察し、前オーナーが手を付けたところを探します。

まずこのチップ抵抗が弄られています。写真は修正後ですが、このチップ抵抗同士がショートしてました。

このチップ抵抗に半田コテ(30W)を当ててみたところ、割とアッサリチップ抵抗が基板から取れてしまいます。結構熱伝導がよろしいようで、MODの配線時には手早くやる必要がありそうです。

ということでひとまず修復完了ということにして、電源投入してみたのですが、音楽CDが再生されるにも拘わらず、ゲームCDが起動せず。音楽CDが読めると言うことはピックアップのコントロールは完全だが、プロテクトチェック機構がうまく動いていないことが考えられます。まぁMOD取り付け失敗ということなので実にありがちな壊れ方ではありますが。

故障ポイントその2

で、さらなる故障点を探すため、前オーナーのいじった跡を検証します。

いくつか弄られた形跡を認めたのですが、気になっていたのがこの「C718」のパターン。Cということはコンデンサが載っていたと推測されますが、この基板には実装されていませんでした。まぁ、基板のリビジョンによって、パーツナンバーが書いてあっても非実装ということはよくあることなのですが…。

で、元の状態がどうであったのか調べるために、MOD取り付けを解説したサイトを検索しました。その手のサイトであれば、配線ポイントの拡大写真が掲載されているだろうと推測したからです。

ここのサイトを調べた結果、その写真にはC718のパターンにチップコンデンサが実装されていることが判明。

ということで、適当なコンデンサを取り付けてみました。チップコンデンサは手持ちに無かったし、容量もよく判らないので適当に0.1μFにしておきました。まぁ、多少容量が違っていても壊れることはないでしょう。

ちなみに、取り付けた後は決して部品を揺すってはいけません。アッサリとパターンが剥がれて泣きます。

ということで、2カ所の修復を施し、ゲームCDで電源投入したところ、見事にゲームのオープニングが始まりました修復成功です。前オーナーは熱の加えすぎでチップコンデンサを剥がして無くしてしまったんでしょうねぇ。チップ抵抗のショートもそのまんまであったことを考えると、半田コテの扱いに習熟していない人だったんでしょう。改造ってのは諸刃の剣ですね。破壊した場合の修復ができてこそ、です。不測の事態に対処出来ない人間は安易に改造に手を出すべきではないのです。改造する前にまず修復技術を習得すべきです。物を直せない人には改造は無理と考えた方が良いでしょう。

ピックアップの構造

さて、お約束のソ○ー叩きのコーナーです(爆)。

それではピックアップの設計を見てみましょう。まずは裏側から見てみます。あらあら、またですか。いわゆるソ○ーのお家芸ってやつですか? ピックアップユニットはアルミダイキャストのようですが、レールがまたもや樹脂ですよ。従来モデルよりは多少は固そうな樹脂のようですが、ソ○ーは従来モデルから一体何を学んだんでしょうねぇ。

プラナリアでさえすると言われている「学習」能力が欠如しているとしか思えません。それとも「わざと」やってるんですか?確信犯ですか?

ちなみに「プラナリア」っていうのはこんなのです。

そのレール部分。アルミダイキャストの足がこの白いグリスが塗ってあるところを忙しく往復するのです。経年すれば摩耗して動作不良を起こすのは火を見るより明らか。

幸いこの機体は購入後間もなく改造失敗したようで、ほとんど使われていません。まぁ私は使用頻度が低いので簡単に摩耗させたりしませんが、ヘヴィなゲーマーならすぐ摩耗させちゃうんでしょうねぇ。

こんな設計だからソニータイマーなんて言われるんだよ。とりあえず動けばいいってもんじゃないだろ。


総評

というわけで、ちょっとした基板の手直しにより完全動作品のPSoneを手に入れることが出来ました。チップレベルでの破損が無かったのが幸いでした。逆に言えば、チップが壊れていたらお手上げでした。MOD取り付け失敗という条件でのジャンク入手はチップのラッチアップ(破壊)の可能性が大なため、リスキーと言わざるを得ないですが、PSoneの場合、発売後間もないため、出回っているジャンクはほとんどMOD取り付け失敗のようです。現時点では無闇に手を出すべきジャンクではないと思いますね。相場も従来機と比べて割高ですし。

それにしてもソニーは期待通りっつーか、またもやってくれました。樹脂製のレールはいい加減勘弁してくれよ。まったく。憤慨するやら呆れるやら…。

最終入手費用は本体3900円+送料手数料云々=5000円程度でした。動作品の値段としてなら相場より大分安いので一応成功ということにします。


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