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〜PS2PC専用LCDの塗装〜


 PS2PC専用LCDモニタ PCVA-141LAP改

以前に製作したPS2PC専用モニタはVAIO専用液晶モニタ「PCVA-141LAP」の流用品でした。せっかくキーボードやマウスにPS2用を使い、外観は全てソニーで統一したのに、液晶がモニタがVAIOカラーだと違和感ありまくりです。

そこで、まず外装を黒スプレーで塗装したのですが、どうせやるならソニーロゴが付いているVAIOカラーの部分をPS2らしい青〜水色のグラデーションで塗装してみたくなりました。

最初は、適当な缶スプレー2色で塗り分けられないか考えたのですが、どうも缶スプレーだと、塗装ミストが荒い上に噴出量が多く、微妙なグラデーションをかけるのは相当難しい、というよりもほとんど不可能ようです。綺麗にグラデーション塗装をするためにはエアブラシが必須とも言えそうです。

ちなみに私は数年前にサルのようにガンプラを作りまくっていた頃があったのですが、当時はエアブラシを使うスペースも装備もなく、全部筆塗り塗装で作ってました。筆塗りのムラが出ないエアブラシは以前から欲しいアイテムだったこともあり、この機会にエアブラシによる塗装環境を構築することにしました。


エアブラシセット

エアブラシについて、いろいろ調べたところ、エアー缶を使うタイプと、コンプレッサーを使うタイプで大きく分けて2種類あるようです。エアー缶は初期導入費用は安いのですが、すぐにエアーがなくなってしまうため、結局は高くつくと評判が悪いようでした。

コンプレッサーの種類はそれこそピンからキリまであるようで、高価なやつだと10万円以上します。模型の塗装程度の用途ならパワーは少なくても良いようなので、初心者向けの安価なセット、AIRTECSの「パワーセットBOY1(定価19425円)」にしました。コンプレッサーは小型で音は静か。安くてもちゃんとしたダブルアクションのエアブラシが付いてます。ネット通販で一番安いサイトを探して、11655円で購入。オマケにシンナーが500ccも付いてました。

塗装ブース材料

さて、エアブラシ塗装を室内で行うためには塗装ブースが必要です。エアブラシの塗装ミストは、かなり細かい粒子ですので、キチンと処理しないと部屋中に塗装ミストが拡散して汚れてしまいますし、吸入すれば人体にも有害です。

塗装ブースは1万円程度で市販されているのですが、調べてみると自作している方も多いようです。ブースの構造としては、手元のほうにファンを置く「押し込み式」と、排気口側にファンを置く「吸い込み式」とあるようです。押し込み式は製作が簡単ですが、ファンの乱気流で塗装ミストの跳ね返りが多くなる欠点があるようですので、吸い込み式で製作することにしました。

材料は、100円ショップの洗面器、升、アルミのダクトパイプ(10cm径)、12cm高風量ファン、ハニカムフィルターです。

排気ファン

まず、メインの排気部分を製作します。多くの自作例を見た感じでは、小型の換気扇を流用するのが一般的でしたが、私は12センチの高風量タイプのファンを使ってみました。これは以前にGENOで1000円程度で買ったものです。サンヨーのSanAce120シリーズで、電源は12V 定格0.98Aです。12Wくらいありますので、よくある20W程度の換気扇よりは出力が落ちますが、この手のファンとしてはかなりのパワーです。

吸い込み式で作るためには、ファンを適当な容器に収納し、空気漏れの無い状態でエアダクトパイプを接続する必要があります。ここが製作で面倒な部分なのですが、100円ショップで容器を探していたらこんなを発見。サイズを計測してみたら、ミリ単位でピッタリ一致! 押し込んだだけで隙間無く綺麗に固定できました。

ジョイント製作

排気部分はダクトパイプに直接接着しても良いのですが、取り外しが出来ないと収納するときに不便です。粘着テープで張り付ける方法もありますが、後で糊がギトギトになりそうでイヤです。そこでジョイント構造を作って取り外し可能にしてみました。

まず、ダクトパイプの内径を計測し、升にジグソーで同じ口径の丸い穴を開け、0.5mmのアルミ板を内側に釘付けしました。

パイプを接続したときにユルユルだと空気が漏れますし、ギチギチだとパイプが繋がらないので、計測と微調整は正確に行う必要があります。

上から見たところ。

アルミ板を丸く曲げて内側から釘7本で留めてます。

右下のはACアダプタを挿すコネクタです。

パイプ接続

パイプを繋ぐとこうなります。ある程度の固さと重なり部分があるので、多少の力が掛かっても外れることはないようです。
洗面器接続

洗面器側の接続はこうしました。最初は洗面器に穴を開けて差し込むだけとしようかと思ったのですが、より安定させるために、100円ショップの電子レンジ用蓋を加工して繋いでみました。これで空気漏れすることなく、十分な強度で固定できています。

また、排気側のアルミ板と升をホットボンドでシーリングしました。

フィルター装着

吸い込んだ塗装ミストをそのまま排気するのは環境に優しくありませんので、フィルターを装着しました。100円ショップでエアコン用フィルターとして売られているものを切り取ってマジックテープで張り付けたものです。100円で5回分くらい使えてオトクです。
完成

最後に、洗面器にハニカムフィルターを装着して完成。このフィルターは「Mr.スーパーブース(GSIクレオス)」のための交換用フィルターとして500円程度で売られているものです。これを半分のサイズに切って洗面器に押し込みました。紙製なので、押し込むだけで洗面器にピッタリな形状に成型できます。

ハニカムフィルターは粗いので、これ自体で塗装ミストを捕まえる能力はありませんが、気流をイイ感じに整える効果があるのだとか。

使う時には、こんな感じで窓枠にファンを固定します。北海道の家は二重窓になっているので、割とイイ感じで固定できました。

洗面器の下には新聞紙か段ボールでも敷いておけばOKでしょう。


エアブラシセット

いよいよ塗装に取りかかりるわけですが、エアブラシを購入してから塗装ブースの製作に取りかかるまで時間がかかりすぎて(実は1年以上)、スパイラルホースのウレタンがすっかり劣化しておりました。うーん、シンナーと同じ箱にしまっておいたのがマズかったかも。

ホースがブチブチにちぎれてどうしようもないので、通販ショップでホースその他を購入。エアブラシのスタンドは、100円ショップの折り曲げ自在のアルミ棒でテキトーに作ってみました。こんなんでも意外と使えます。

エアブラシ

セットに付いていたエアブラシはAIRTECSのXP-727というもので、定価9240円のマトモなものです。後でコンプレッサーを買い換えてもそのまま使えます。
塗料

塗料は以前にガンプラを作る際に購入してストックしてあったものを利用しました。

模型店で購入したクレオスのミスターカラー(油性)です。用意した色は、スカイブルー、コバルトブルー、青の3色です。

ちなみに一番右の瓶が「青」です。意外と濃い塗料で、蓋や中身が黒く見えますが、吹いてみるとちゃんと青い塗料が出てきます(当たり前)。

塗装完了

まずサフェイサーで下地処理の後、スカイブルーで全体にベースを吹き、PS2スタンドを色見本にしながら、段階的に スカイブルー+コバルトブルー→コバルトブルー単色→コバルトブルー+青→青単色という具合にだんだん色を濃くしてグラデーションさせました。色階調はだいたい8階調くらいです。

最初は慣れなくてムラになってしまいましたが、噴出量を多めにして、対象から少し距離を離すように吹いたところ、綺麗なグラデーションになりました。

ちなみに塗装ブースですが、こんな自作物でもちゃんと機能するようで、ブース前で空打ちするとミストがみるみる吸い込まれて行きました。


色調

マスキングを剥がして、組み立ててみたところ。横に置いてあるのが、色見本として使ったPS2縦置きスタンドです。違和感なく同じような色調に見えると思います。

デジカメ画像だと光の加減で色の濃さが大分変わってしまうのですが、明るいところで拡大して見るとこんな具合です。
ソニー&PS2で統一

ということで、デザインがPS2で統一されました。例によってキーボード、マウスはPS2Linuxキットに添付されていたものを用意しました。ちゃんとPS2ロゴが入ってます。


総評

 これが完成型です。塗装によって一気にPS2らしくなりました。画面はハメ込み合成ではなく、例によってWin2kに起動画面の元データの色を反転させて、PS2ロゴ等を組み込んだものです。PS2PCを作り始めてからおよそ2年でようやく最終形態となりました。長かったなぁ…。

ちなみに、以前に入っていた液晶パネルは縦線の入るジャンク品だったので、今は日立のパネルに入れ替えてます。元々入っていた三菱のパネルと比べてコントラスト比の高いものだったようで、発色が良くなってます。

最後にお約束のコストでも計算してみましょう。

パーツ 値段 備考
エアブラシセット

11655円

パワーセットBOY1
スパイラルホース

2000円

エアブラシスタンド

100円

自作
塗料&シンナー

300円

黒スプレー買っただけ
洗面器

100円

ダイソー

100円

ダイソー
電子レンジ用蓋

100円

ダイソー
エアコン用フィルター

100円

ダイソー
アルミ板

0円

余り物
ファン

1000円

アGENO
ダクトパイプ

1500円

ホームセンター
ハニカムフィルター

500円

ヨドバシカメラ
ACアダプタ

1000円

秋月電子
12V電源回路

約500円

秋月他
その他消耗品等

約500円

合計

約19455円

エアブラシのセットで1.5万円塗装ブースの製作で5千円ほどですね。市販品を買うよりも安く塗装ブースを作れたので、この点は満足しています。合計2万円とは、この液晶モニタを一台塗装するだけの用途だとすればバカみたいな出費ですが、ご心配には及びません。この環境を使って、今後しばらく模型製作に没頭し、塗装技術を磨いてみようかと思ってます。


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