にがAT

〜ジャンクマザーでフルアルミケースPCを制作 その1〜


 FMV BIBLO NB7 ジャンクマザーPC 2号機

先日PS2のケースにBIBLOのジャンクマザーを組み込んでWindowsが動くPCを制作しましたが、破損時の予備として同じマザーボードをもう一枚購入していたのでした。このまま死蔵してしまうのも勿体ないので、このマザーを使ってもう一台作ってみました。

とりあえず今回の制作目標としてはこんな感じ

フルアルミケースでデザインにも凝ってみる PS2ケース程度のサイズの立方体のアルミケースを使い、前面にアクリルの化粧パネルを貼って市販品のような仕上がりを目指す。
光学ドライブはスリムDVD−ROM PS2PCはCD−ROMだったが、やっぱりDVDも読めるようにしたい。CD−Rを焼く必要はないのでDVD−ROMで十分。
HDDは3.5インチIDE 60G 圧倒的にコストパフォーマンスに優れる3.5インチドライブは必須。今回は手持ちの余っている60Gのドライブを使う。
可能な限り入出力インターフェイスは豊富に オンボードインターフェイスは可能な限り引き出し、さらにUSBハブを内蔵させてUSBは合計7ポートに増設する。
静音化に努める エアフローを考えてパーツを配置し、ファンに抵抗を噛まして適当な速度で回し、静音化する。

まずはパーツ屋で売られていた 300x200x50mm の箱形のアルミケースを調達しました。蓋が無いタイプではありますが、お値段が1280円と比較的安価です。このケースの開口部を底面にして、ボトムプレートは1mm厚のアルミ板で制作することにしました。板は300x200x1mm厚で550円程度。


レイアウトの検討

このケース、かなりイイ感じでマザーを収納できます。幅や奥行きに程良い余裕があるため、パーツ同士の干渉をあまり考えなくて済みます。完全な箱形なのでスペーサーを使って固定するのも簡単。PS2PC制作よりも大分ラクができそうです。

まずはマザーの上下にスペーサーを立ててみました。マザーの上下にはCPUファン、スリムDVD−ROMドライブやHDDを収納するのでそれなりのスペースを空けています。

ちなみにデザイン上、ケースの上面にネジ頭を出したくないので、マザーはボトムプレート側にネジ止めして固定することにしました(上方に立てたスペーサーにはネジ止めしない)。そのためにスペーサーにワッシャーを噛ませて正確にケースの深さに合わせています。

光学ドライブの配置

DVD−ROMドライブはケースのほぼ中央の上面(画像は底面から見ています)に張り付ける形にしました。ちなみにマザーに立てたスペーサーと干渉しないように、中央からは少しズレています。

マザー、HDDなどの配置

で、DVD−ROMドライブの下側にマザーを置いて、さらにその下にHDDを配置します。このHDDもマザーと同様にボトムプレートにネジ止め固定します。

ちなみに普通のCPUクーラーを使うと高さ的に厳しいものがあります。私は大昔に買った薄型のソケット370用のヒートシンクと6cm径1cm厚のファンを使うことにしました。(※画像のものはCOOLER MASTERの1Uラックマウント機用の銅製薄型クーラーですが、今回は使いませんでした。銅製ヒートシンクは非常に重いので結束バンドでは十分な固定が得られないと考えたからです。)

エアフローについてですが、CPUクーラーにPS2PCのように横吹出しタイプのものを使う場合、前面に吸気口を設けないとなりません。今回のケースでは、前面の加工はなるべく最小限にしたかったので、ボトムプレートに吸気口を空けて、底面吸気→CPUクーラー→ケース内部を換気→ケースファン→背面排気という形にしました。

ケース加工の下準備

レイアウトが決まったのでケースの加工に取りかかりますが、その前に傷防止&図面書き込み用に適当な紙を両面テープで貼り付けてコーティングします。張り付ける紙には印刷に失敗したプリンタ用紙を使ってます。

前にも書いてますが、このように紙を貼り付けておくと、基準線や穴空け位置などを鉛筆で書いたり消したりできるため、作業効率が飛躍的に向上する上に、傷防止にも効果絶大です。加工してみると分かりますが、アルミ板ってのは驚くほど簡単に傷が付くのですよ。ツメでカリカリ擦っただけでも傷がつくくらいで。

コネクタ外し

マザーをケースに合わせるために、余計な出っ張りとなっているコネクタを外しておきます。具体的には側面に付いているIEEE1394端子、メインスイッチ、DC入力とUSBコネクタ1つ。IEEE1394端子とUSBコネクタはGNDでガッチリ半田付けされているので外すのが大変です。USBは半壊させた状態で外しました。IEEE1394は後でコネクタを再利用するので破壊しないように慎重に抜きました。

これらのコネクタ、スイッチは後でケーブルを引き回して、ケースの然るべき所に誘導します。


ケースの穴空け加工

ということで、最初にVGA、パラレルポート、USBの穴を空けてマザーを固定したら、あとはひたすら現物を合わせで基準線や穴空け位置を書き込みながら穴空けです。各々が干渉しないように注意しながら位置決めします。
加工終了

最終的にはこんなんなりました。あっという間に終わったように見えますが、ここまで加工するのにはかなりの時間を掛けています。

左から、SPDIF、パラレルポート、アナログ音声(in/out/mic)、内蔵4ポートUSBハブ、PS/2(マウス、キーボード)、IEEE1394、ケースファン、オンボードUSB、10/100base LAN、DC入力、VGA、メインスイッチ、てな具合。PCカードスロットは、LANカードを1枚挿しっぱなしにするので残りの1枚分だけ穴を空けています。

前面&裏側

反対側裏から見たところ。前面にはDVD−ROMドライブの穴の他、電源ボタン、トレイイジェクトボタンの穴と、前面USB(1ポート)の穴も空けてます。サイドにはボトムプレート固定用のL字金具を4個ネジ止めしてます。
音声コネクタ

今回もジャンクパーツから流用しました。PCショップのジャンク箱に99円で大量に入っていたサウンドブラスター(ISAバス)のコネクタを金鋸で切り出しました。

なんだか勿体ないような気もしますが、今更ISAバスのサウンドボードなんて使わないし、コネクタをパーツ屋で買うより安いのでヨシとしましょう。

USBハブの加工

内蔵用のUSBハブですが、スペースの都合でできるだけ奥行きが小さいものが必要でした。

PC売り場で探したらこんなのを発見。サンワサプライ4ポートミニUSBハブです。基板がかなり小さく、組み込み用には最適でしょう。定価2580円、実売価格は1900円くらい。

中身だけ取り出し、ケース固定用に5mm厚のアルミ板でステーを作りました。

直接ケースに接着することも考えましたが、コネクタを押し込む動作を繰り返していると剥がれてしまいそうなので、ステーをネジ止めする方法にしてます。

ステーをホットボンドで接着し、ケーブル+コネクタを半田付けして加工完了。
10/100base LAN カードの加工

PS2PCではミニPCIのLANカードを使いましたが、アレは入手困難なので今回はPCカードを使います。ちなみにUSB1.0/1.1のLANアダプタは接続が簡単ですが、100baseのものでもUSBの速度上限が12Mbpsであるため非常にパフォーマンスが悪いです。こんな速度では使い物になりません。

入手したのはcorega PCC-TXFのPCカード。これ、ヤフオクでメディアカプラが壊れて欠損しているジャンク3枚セットを240円で買った物です。1枚あたり80円と激安。ジャンクマザーに内蔵させるカードにメディアカプラなど不要。基板を取り出して配線を引き出して利用することにします。

昔のPCカードは簡単に中身が取り出せるものが多かったのですが、最近のは鉄板が凶悪に溶接されているものが多いようです。これでは中身だけ再利用しにくいではないか!

しかし、3枚も買ってしまった手前、へこたれる訳にもいかないので金切りハサミでムリヤリ開けました(笑。中の基板を痛めないように注意。

ある程度金切りバサミで切ったらラジオペンチで溶接部分を揺すって剥がして行きますと、こんな風に基板が出てきます。

で、ケーブルを引き出してRJ45コネクタを付けるわけですが、メディアカプラが無いのでピンアサインが不明です。

etherカードではトランスから信号が出ているのが一般的なので、まずはメディアカプラのコネクタからの配線を追いかけて4本のピンを同定しました。

どれがどれだか分かりませんが、たいてい1-2-3-6の順番で並んでいることが多いみたいなので、とりあえずこんな風に繋げてみたところキチンと通信できました。

マザーに内蔵固定するために、基板を少し切断して短くしてます。ワイヤーは半田付けしてホットボンドで固定しました。ちなみにワイヤーはノイズ対策のために1-2と3-6をツイストペアにしています。

LANコネクタはUSBハブと同様、自作のアルミ板のステーでケースにネジ止めします。

DVD−ROMドライブの加工

デザインに凝るために、DVD−ROMドライブのベゼルも自作します。素材はケースに合わせて、アルミ+アクリルを使うことにしました。よって。PS2PCと同様に、イジェクトボタンとアクセスランプを移設しないとならないわけです。

今回は3pのコネクタを使って、LED(アノード側)、GND、イジェクト信号の3つを取り出しています。

このマザーではATAPIのブートデバイスはプライマリ側に繋げないといけないので、DVD-ROMをプライマリスレイブに設定する必要があります(当然ながらプライマリマスターはHDD)。

スリムドライブにはマスター、スレイブのピンの規格がなく、各社まちまちです。今回のドライブにはLGのDVD−ROMを使用しましたが、こんなスイッチがシールの下に隠れていました。鉄板にうっすらとCS SL MAと刻印されているのが分かるでしょうか?

PS2PCの時と同様に、ドライブの底面に絶縁用のブラスチックシートを両面テープで貼り付けておきました。何かの拍子でピンが接触しても安心です。

電源基板の制作

3.5インチHDD用に+12Vが必要なので、例によってリレーと3端子レギュレータを使った電源回路をユニバーサル基板に組んでみました。

画像では各種信号を中継するためのコネクタが沢山見えますが、実は後からHDDと干渉することが分かったので減らしてます。

当初はHDD、ファン、USBハブ電源(5Vのレギュレータ使用)もこの12Vのレギュレータから取っていましたが、かなり発熱が大きいことが分かったので後から外してます。

ヒートシンクの手前に見える抵抗はCPUファンの減速のために付けてみたのですが、意外と発熱が大きく、速度調節も利かないので、後からファンコントローラを自作してそっちに繋げてます(後述)。USBハブ電源の+5Vレギュレータもそっちに移設。

よって最終的に+12VのレギュレータはHDDの電源供給だけに専念するようになってます。結果、発熱は許容範囲まで落ちました。

基板裏から見たところ。まぁ参考程度に。

ボトムプレートの加工

300x200x1mm厚のアルミ板をケースに合わせて切断、穴開けをするわけですが、マザーに立てたスペーサーの穴開け位置がズレないように、まず底面に厚紙だけ貼り、スペーサーの上を鉛筆で擦ってネジ位置を浮き上がらせました。これを型紙として板に貼り付けて穴を開けると誤差がほとんど出ません。細かい計測が不要なのでラクチンです。

底面吸気口

CPUクーラーの直下に吸気口を設けるわけですが、エアフィルターとして6センチファン用の金網を利用することにしました。市販のPCケースで使うものらしく、PCショップのパーツ売り場で売っていたものです。

当初は、この画像のように金網の形に合わせて四角い穴を開けたのですが、これだとプレートにCPUファンの羽根が接触することが判明したため、ファンの径にあわせて丸く開け直してます。

穴開け完了

吸気口は結局こうなりました。金網を固定するための穴も4カ所開けています。

しかし、この固定法が問題です。ファンの高さがボトムプレートに接触するくらいギリギリまで来ているので、ファンとプレートの隙間にビスが入らず、ネジ止めすることができません。

よくよく考えたらなんのことはない、リベットを使えば良いのでした。これだとほとんど高さの心配なく固定できます。

補強用アングル取り付け

最終的にこうなりました。実際に組み込んでみると、マザーの支柱が無い部分が弱く、押すと簡単にへこんでしまうため、画像のように補強用のアングルをネジ止めしました。10x10x1mm厚のものです。

あと、HDDを固定するためのネジ穴x4も開けてます。これにてボトムプレートの加工は完了。


予告

ここまでで完成度60%くらいです。一番手間の掛かるアルミケースの加工はほとんど終了していますが、アクリルの化粧パネルの制作と、各種インターフェイスの配線が結構残ってます。

てなわけで、次回に続きます。


ご意見、ご感想、ご質問はにがBBSまで!

Top pageへ戻る

copyright (C) 2004 Niga.