前回に引き続き、アーム式LCD二号機の製作ですが、今回はPC本体側改造から、ケーブル作成、LCD制御基板の組み込みを行います。
いきなりサーチエンジンから飛んでこられた方は、前回の記事からお読み下さい。
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今回のLCDはLVDS信号でPCと接続するわけですが、接続ケーブルとして、DFP用のものを流用することにしました(ジャンク屋で安く売っていた)。DFPケーブルにはTMDS信号が流れるので、4ペアの差動信号をやりとりできるように作られています。よって同じ4ペアの作動信号を扱うLVDSでも流用が利くだろうと考えました。 PC側のコネクタですが、ウチではPCVA-141LAPと同じ仕様で統一することにしたので、26pのハーフピッチアンフェノールに取り替えないといけません。アキバのラジオデパートのヒロセ代理店でコネクタを買ってきました。コネクタだけで1000円もするんですが…。 |
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DFPケーブルは20pハーフピッチアンフェノールが両端に付いています。 せっかくなのでモニタ側には20pのメスコネクタを増設してこのまま繋げられるようにしました。 |
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メスコネクタは、大昔に買った故ディレクTVチューナー(\100)の基板から収穫しました。この基板、以前からいろいろな部品を取りまくりで、かなり元は取れてます。シリアルEEPROMなんかも採れます。 こんな感じに基板を切断して採ったのですが、3pほど基板上でショートしているパターンがあったので、最終的に基板は剥がしています。ピン数が多いので、無傷で剥がすのは結構骨が折れます。 |
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PC側はPCVA-141LAP仕様に変更するために、20p→26pコネクタに付け替えるわけですが、まず、ケーブルを適当なところでブッた切ってワイヤーを適当に加工しました。 切ってみたらこんな感じにシールドされたツイストペアケーブルが5本出てきました。4ペアのTMDS信号と、EDID読みとり用の電源ライン(+5V,GND)が割り当てられているようです。リザーブのピンもしっかり結線されてました。これは使えますね。 丁度良いので、EDIDの電源ラインとして使われていたシールド線はAudio信号に割り当てました。残り5本のワイヤーのうち1本に、インバータon用の信号を割り当ててます。 |
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ワイヤーの長さを短く揃えてアキバで買ってきた26pコネクタに半田付けしました。動作確認後はホットボンドで固めて殻を被せてます。 4本のワイヤーが余りますが、2本ずつ+12VとGNDに割り当てておくと後々良いことがあるかも…。さらに、8pと18pをジャンパさせておくと、PCVA-141LAP対応のVAIOでも使えるようになると思います。まぁ、今更そんな古いVAIOに繋がっても嬉しくありませんが…。本体持ってないし。 |
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今回のモニタは、ジャンクマザーPC二号機(アルミケース仕様)に繋げて使うので、PC本体側にもLVDSコネクタを増設します。基本的にやっていることはPS2PCの時と同じです。 今回はなんとなくマザー上のコネクタを取り外してみたのですが、結局スルーホールからワイヤーを引き出した方がラクそうだったのでそうしてます。 |
配線部分拡大図。 ここから4ペアの差動信号とバックライトの電源制御信号を引き出してます。使ったケーブルはPS2PC改造時と同じ、シールドされたLANケーブルの切れ端。 シールド線をチップコンデンサのGND側に半田付けして固定し、中の線をスルーホールに半田付けしました。 |
コネクタ側はこんな感じ。差動信号はシールド線も該当ピンに半田付けしてます。音声信号も2芯のシールド線で繋いでます。 |
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バラック状態でテスト中。 以前PS2PC用に改造したPCVA-141LAPを繋いでみましたが、特にノイズもなく、綺麗に表示されてます。 |
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筐体に穴を開けて固定するわけですが、作業中に傷を付けないように、紙で保護しました。アルミの削りカスがケースに取り付けられた部品の隙間に入り込まないようにする目的もあります。面倒臭いですが、これを怠ると傷だらけになってしまいます。アルマイト(酸化皮膜)加工されていればあまり気にしなくても良いのですが、素のアルミはちょっと擦っただけですぐに傷になってしまうもので。 |
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アルミ箱PCにPCVA-141LAP準拠のコネクタが増設されました。これでアナログRGBと合わせてデュアルモニタ対応マシンです。 何故かWindowsMeでないとデュアル出力不可ですが…。 |
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いよいよLCDモニタの筐体に制御回路を組み込みます。こんな感じに制御基板の箱の内側にスピーカーを貼り付けました。確か、千石電商あたりで買った小さなスピーカーです(1個200円くらい)。音質は見たまんまで貧弱ですが、サウンド機能自体オマケみたいなものなのでヨシとします。見えないところなのでホットボンドでテキトーに貼り付けてます。 画像だと分かりにくいですが、制御基板が張り付くところに絶縁用の薄いプラスチックのシート(何かの透明な箱から切り取ったやつ)をダイソーの強力両面テープで貼り付けました。その後DCコネクタとインジケータLEDも取り付けてます。LEDはPCVA-141LAPと同様に緑&オレンジ色の2色LEDとしました(動作時→緑、サスペンド時→オレンジ)。 箱の両サイドに見えるのは、引き戸なんかの隙間に貼り付けるスポンジテープです。ホームセンターで売ってます。クッション代わりに貼り付けました。 |
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制御基板はたまたまアキバのCoCoNetで売られていたPCVA-141LAP内蔵基板を使いました。基板のみで300円。何故かジャンクCPUなどと一緒に一枚だけ裸で出ていたのですが、これの素性を知っている私は速攻で捕獲。使い方さえ分かれば、インバータとスイッチング電源回路、オーディオアンプ回路ひっくるめて300円はお買い得です。電源回路だけでもスイッチングレギュレータを使って組み立てると600円以上はかかりますもんね。 できればVRとLEDの付いたほうの小基板と接続ケーブルも欲しかったのですが、売り場を探してもありませんでした。ゴミとして廃棄されちゃったのかも知れません。仕方ないので、抵抗とVRを付けてPCVA-141LAPと同じ回路を再現してます。おかげでツマミが無駄に大きくなってしまった…。 例によってリレーを使った電源制御回路を増設してますが、以前に記載したPS2PC専用PCVA-141LAPと基本的に同じものなので、詳細はそちらを参照のこと。ちなみに基板はダイソーの強力両面テープ(スポンジタイプ)で貼り付けただけでネジ止めはしていません。このテープ、アルミ箱PCのDVD-ROMドライブ固定にも使ってますが、粘着力はかなり強力なので剥がれることはまずないと思います。 |
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LVDS信号は20pコネクタからLCDパネルに配線してます。IDEケーブルと同じただのフラットケーブルで、長さ15センチほど。中継ケーブルにしてはちょっと長めなのですが、差動信号間にGNDを挟んでいるためか、信号が干渉することなく綺麗に絵が出てます。 この他、20pコネクタからは、Audio信号とバックライトのon/off制御線を基板に繋いでます。 また、リレーを介して取り出した+3.3V電源をビニール線でLCDパネルに繋いでます。 |
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LCDパネル接続部分拡大図。 フラットケーブルを直接LCDの信号処理基板に繋いだほうがスッキリするのですが、面倒だったので動作確認用に取り付けたコネクタ変換基板に半田付けしてしまいました。 見えない部分だし、こんな配線でも綺麗に絵が出るのでヨシとしてます。 |
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全ての配線が終わったので、パネルを被せてネジ止めです。 ちなみにバックライトの冷陰極管のワイヤーが短くてインバータまで届かなかったので延長してます。 |
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両サイド8カ所ネジ止めして、ようやく出来上がりました。透明アクリルを使っているのでパネルの裏側が透けており、バックライトを点灯すると白く光ります。なるべく配線が見えないように配慮しましたが、冷陰極管のワイヤーが見えちゃってますね。 |
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各コネクタやツマミの配置はこんな感じです。表から見えない位置ですが、そんなに頻繁に使うものではないし、正面からの見た目もスッキリするのでこれで良いと思ってます。 上から音声ボリウムツマミ、バックライト輝度調整ツマミ、インジケータLED(Power/Suspend)、DC+12V入力端子、ってな具合。 サウンドは一応ステレオですが、裏面に近接させて配置しているのでステレオ効果はまるでなし。元々が貧弱なスピーカーだし、エンクロージャの作りも全然なってないので、音質はへなちょこです。モバイルノートPCクラスの音ですね。外部スピーカーを繋げられるようにしておけば良かったかも。 |
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LVDSコネクタのところ。20pハーフピッチアンフェノールなので、DFP端子と間違わないように注意せねば。 ここはある程度の力が掛かる部分ですが、コネクタが補強用のアングルと共締めなので強度は十分です。 |
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下から見上げてみたり。 目隠し用のパンチメタルがなかなかイイ感じかも。 |
アームに取り付けてみました。 横から見ると、パネルは1cm厚で薄く見えます。制御基板の箱は、手作業で曲げているのでやっぱり歪みがありますね。真横から見ないと目立たないレベルですが。 アームにぶら下げてみた感じでは、ちょっと重そうな感じでしたが、辛うじて垂れ下がることなく空中にパネルを固定できています。アームは2カ所で調整できるようになっており、一応調整範囲内という感じです。アームを除いたモニタの重量はおよそ1kgです。 |
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アルミ箱PCに繋げて起動してみました。BIOSからキチンと全画面で表示され、旗画面も問題ありません。ツルツル液晶なので、黒い画面だと反射光が目立ってしまいますね。 どーでもいいですが、ツルツル液晶って、MS-DOS〜Windows95あたりの時代には普通にあったんですよね。私は大昔にPC-9801NX/Cとか、PC-9821La10とか使っていたのですが、これらがツルツル液晶に近いものでして、ドットがクッキリ見える印象があって個人的には好きでした。反射防止コーティング処理された液晶は、反射光は確かに目立ちませんが、ドットのエッジが若干ボケてしまう気がして、あんまり好きじゃなかったりします。まぁ、たぶん主観の問題なので、本当にボケているかどうかは分かりませんが。 Windows98あたりの時代から、反射防止コーティング液晶ばかりになってしまって、残念な思いをしていたのですが、最近復活してくれて嬉しい限りです。噂によるとツルツルでも反射光を押さえた加工ができるようになったからだとかなんとか。技術の進歩ですなぁ。 |
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アルミ箱PCと組み合わせてバランスの良いシステムが出来上がりました。テーブルの上を占有しないのであまり邪魔になりません。リビングに設置して使ってみようと思います。テレビの近くに置いておくと、ゲームしながら攻略法をWEBで参照するとか、テレビ見ながら調べ物するとか、結構便利だったりします。 映りですが、さすがに世代の新しいパネルだけあって発色は素晴らしいものがあります。広視野角でないのが残念ですが、この発色に慣れてしまうと、もう旧世代の液晶には戻れない感じ。 最後に、お約束のコストを計算してみましょう。
合計 約18530円 LCDパネルの値段+α程度で作れると思いきや、周辺回路やケースの材料で結構お金掛かるもんですね。 |
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