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〜東京ネズミーPCの制作 その2〜


 Lifebook FMV-645MF6C/WジャンクマザーPC 

前回までの制作で、とりあえずPCとして動作できる状態になったネズミーPCですが、第二回目は内部の熱処理対策と、LEDを使ったイルミネーション改造を施します。
ファンコン制作

まずは低音の唸りの酷いファンの静音化のためにファンコントローラを制作してみました。

以前の制作例では可変レギュレータのLM317を使って電圧コントロールをしていましたが、今回はタイマーIC555を使ったPWM(Pulse wave modulation)で組んでみました。高速に電源をスイッチし、on/offの比率(duty比)によって回転数を制御する方法です。利点は低速時にトルクが落ちにくいことと、発熱によるロスが少ないことです。

この回路で5〜100%まで回転速度を調整できますが、実は回転数を落とすにつれ、ファンからの発振音が酷くなります(発振しにくいファンもあるようですが)。PWMの発振周波数が1kHzで可聴域なのが問題かも(20Hz未満、または15KHz以上ならヒトにほとんどは聞こえないらしい)。ヘタすると発振音がファンの動作音より酷くなって本末転倒だったり。出力側にコンデンサを噛ませるとある程度改善しますが、制御範囲が落ちる上に、電圧が平滑化されるので、低速回転時のトルクが落ちてしまう欠点もあります。

回路図はこちらのサイトのものをそのまんま利用させて貰いました(多謝)。

灯台(イルミネーションLED)取り付け

Hage88さんのご提案であったイルミネーションLEDですが、とりあえず自動点滅タイプのものを3色配置してみました。ケースに書かれた絵柄の隙間から見えるように場所を決めて、灯台のように立ててます。
加工後マザー(表)

ファンコンと自動点滅LEDを増設した加工後のマザーです。Tridentチップと440MXチップにもヒートシンクを張り付けました。

なお、マザーとケースは自作のアルミのステー3つでネジ止めするようにしてます。マザーとケースのサイズがピッタリなので加工がラクでした。

ちなみにヒートシンク上の黒いゴムみたいなのは、ダイポルギーシートです(PC雑誌のオマケについてきたもの)。振動を吸収する素材らしいですが、残念ながらこの貼り方では効果薄でした。

加工後マザー(裏)

加工後裏側。IDEケーブルはこんな感じに加工してます。普通のIDE用すだれケーブルを切断して、スリムドライブ用のコネクタを手作業で半田付けしました。コネクタはジャンクなノートPCから剥がしたものです(FMV BIBLO NC313のLCD接続部)。このコネクタはそこそこピッチが細かいのですが、PeterさんのサイトKnowHowとして載っているやり方で半田付けしてます。ピンアサインはHage88さんのサイトに載ってます(多謝)。


吸排気口の最適化

前回のテストでは、ケースを閉じてしまうと内部に熱が籠もりまくりの状態であり、明らかに換気が不足していました。とはいえ、闇雲に穴を開けまくれば良いというわけではなく、熱を持つ部分に効率よく空気の流れを作る必要があります。

Tridentチップと12V用レギュレータのヒートシンクが結構発熱するので、これらのヒートシンクに空気が流れるように吸気口を開けたところ、こんな感じになりました。

側面排気口

自作CPUクーラーと直結した排気口です。最初はドリルで細かいパンチ加工もどきにしてみたのですが、それでは不十分だったので、思い切って四角くくりぬいてしまいました。これでかなり空気の流れが良くなりました。

排気口に指を入れるとヒートシンクに触れることができ、温度チェックにも有用だったりします。連続運用テストでは負荷をかけても手で触れる程度の熱で収まっています。

どーでもいいですが、側面はネズミーリゾートのアトラクションが絵柄になってますね。

右側面

右利きの人(自分)が使うことを考慮してスロットと音声コネクタ群は筐体右側に配置しました。しかし、実際使ってみるとCDの出し入れ時にPCカードや音声出力に繋がったケーブルが邪魔になってイマイチだったり。

横長の穴は、ドリルである程度穴を開けて、棒ヤスリで削った上で、鋸でゴリゴリ切って開けてます。PCカードスロットの上がザラザラして見えるのはパンチ加工もどきの穴を開けた部分ですが、こういう細かい穴だと必要な気流が確保できませんでした。ちなみにこのケース、細かく穴開け加工しても割れることがなく、加工はしやすい素材でした。

蓋の部分の吸気口は、アルミのパンチシートをガイドにしてドリルで開けてます。ここからTridentチップを通してCPUクーラーへ空気を流す仕組みです。

背面端子群

普段あまり抜き差ししないコネクタは背面に配置しました。メインスイッチと、PS/2マウス、キーボード、アナログRGB、ACアダプタ入力が並んでいます。

背面も蓋の部分にドリルで吸気口を設けて、3端子レギュレータのヒートシンクに空気が当たるようにしました。

アナログRGBの下に見える穴がUSBです。背面にあると使いにくいのですが、引き回すと面倒なのでマザー直付けのままにしてます。

前面スイッチ&LED

Iなるべく前面はシンプルにするために、できるだけ穴を開けないこととしました。空冷を考えたらチップセットに風が当たるように吸気口を設けたほうが良いのですが。

右上にあるのが、HDDアクセスLED、電源LED、電源スイッチです。値段は高いですが、見た目重視でブラケット入りLEDを採用。後から考えたら、クリアケースなんだから電源/アクセスLEDは内部にテキトーに固定して灯すだけで良かったのですが、当初は内部イルミネーション化する予定は無かったもので。


静音ファンへ置換

チップセットへのヒートシンクの取り付けと、吸排気口の加工によって、排熱効率は飛躍的に改善し、ファンの回転数を落としても十分な冷却がされるようになりました。しかし、ァンの唸りだけは低速回転にしても改善できず、どうしてもファン自体を交換しないとダメみたいでした。

ファンって普通に新品を買うと結構高いので、できるだけジャンクで済ませたかったのですが、ジャンクファンは回してみないと素性の分からないものが多いし、大抵五月蠅いのばっかりなので仕方なくヨドバシカメラでこんなファンを買ってきました。4センチ薄型となるとかなり選択の幅が狭く、札幌駅周辺のショップでは静音タイプのものはこれしか見つけられませんでした。

このファンに交換したところ、実に静かで程良い回転速度でありましたので、12Vのまま回すことに決定。ファンコンは撤去しました。お値段なりの効果はあったようです。

フリップフロップ回路の制作

自動点滅LED3つだとちょっと寂しい気がしてきたので、イルミネーションLEDを追加しました。

追加LEDは高輝度タイプの青緑の4つです。ただ点灯させるだけでは面白くないので、トランジスタ4石を使ったフリップフロップ回路を作成し、LEDが2個ずつゆっくりと点滅するようにしました。LEDの明るさのばらつきは、電流制限抵抗で調整してます。

Macの電源LEDみたいにフワーっと交互にゆっくり点滅します。

回路自体は、梅沢無線で売っている電子ホタルキットのものをそのまんまユニバーサル基板に再現したものだったりします。

著作権があるかもしれないので、敢えて回路図は載せませんが。

実装

ファンコンを撤去したスペースにネジ止めして、4つのLEDを対角線上に配置しました。合計7LEDのイルミネーションとして完成。


完成!

最終的に内部はこんな具合になりました。それにしても、このケースはマザーに縦横サイズともにピッタリだし、ケースの開け閉めも簡単でメンテナンス性が抜群ですね。まるでMFマザーのためにあるようなケースです。

ちなみに、05年にも東京ネズミーリゾートに逝ってきたのですが、同じケースは見つけられませんでした。シーで同じ形のアリ○ルのものと、ランドで若干形状の異なるティ○カーベルのものがあったので、予備と将来の制作用に確保しておきました。無駄に個包装された煎餅が詰まって1個1000円もしますが。


総評

しばらくネットサーフ専用機として使ってますが、実に動作音が静かなのが良い感じです。体感的にはPS2の静音タイプ(SCPH-50000)と同程度のノイズレベルです。LEDが光っていなければ電源が入っているのを忘れてしまうくらい。

ただ、マシンパワーは今更のセレロン450MHzなので、動画ファイルの扱い等の負荷のかかる作業は辛いものがありますが。

Spec 備考
チップセット i440MX ATA33 プライマリのみ
ビデオチップ Trident Cyber9525DVD VRAM 2.5MB内蔵
Sound YAMAHA YMF型番失念 XG音源可
CPU Celeron 450MHz 河童コア
Memory 128MB 144p SO-DIMM PC100
HDD 8GB IDE XBOX junkより部品取り
光学ドライブ Slot in CD-ROM iMacより部品取り
利用可能インターフェイス
PS/2 マウス、キーボード
アナログRGB
USBx1
PCMCIA TypeII
Sound in/out/Mic/Optical
電源 16V AC Adaptor

さて、お約束の制作コストです。

部品 コスト 備考
マザー

300円

BIBLO MFシリーズ
メモリ

3000円

128MB SO-DIMM
ケース

1000円

煎餅付き
HDD

0円

XBOX Junk
CD-ROM

0円

iMac Junk
冷却用部品

約2000円

その他材料

約4000円

合計

約10300円

マザーやストレージデバイスはジャンクなのでタダみたいなもんでしたが、メモリと加工に必要な部品を揃えるのにそれなりにコストがかかってしまい、最終的に1万円を超えてしまいました。細かい部品でも数が多くなると意外とお金が掛かるんですよね。

今時この程度のスペックだったら、メーカー製の省スペースPCの中古品が1万円以下で買えます。そう考えると、自作は手間が掛かる割にちっともオトクではないことが分かりますね。自作の過程を楽しみ、自己満足に浸れる方以外は普通に中古PCでも購入されたほうが良いでしょう

ちなみにこのマザー、OS起動時にアナログRGBモニタが繋がっていないと、出力を勝手にLCD側に切り替えてしまいます。後からアナログモニタを繋いで再起動しても表示出来ず、LCD側に固定されてしまうので、そういう時にはセーフモードでVNCをインストールして、外部からリモートコントロールする必要があったりします。やり方はHage88さんのサイト記載されています(お世話になってます)。

ところで、予備に購入した同じマザーがもう一枚余ってしまいました。どう料理してやろうか思案中です。ケースも予備があるので2号機でも作ろうか…。液晶一体型タッチパネルPCとか、いろいろ構想はあるんですが、先に処理しないとならないネタが山積しているもんで、いつになることやら。


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