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〜東京ネズミーPCの制作 その1〜


 Lifebook FMV-645MF6C/W ジャンクマザーPC 

2004年の9月に東京ネズミーリゾートに行ってきたのですが、そこのショップ(イ○スピアリだったかも)に目を引くケースを見つけました。小さいお煎餅が一枚ずつ無駄に小袋はいったものが詰め込まれていた箱(\1000)だったのですが、お菓子の入れ物にしては珍しく半透明のプラスチック製で、ご丁寧に蝶番で開閉できるように作られていましたので、PCケースに使えるかも、と考えて捕獲。このケース、実際にマザーやCD−ROMドライブを入れてみたら笑っちゃうくらいジャストフィットしてました。ということで、今回は東京ネズミーPCの制作ネタです。

ちなみにどうでもいいことなんですが、ディ○ニーは妙に著作権にウルサイところのようです。検索でヒットしたりして載ってる画像に対してイチャモン付けられたらイヤなので、ここではあえて2ch風に「ネズミーランド」等と呼称します。単にオフィシャル商品の画像を載せているだけなんですがねぇ。

とりあえず今回の制作目標としてはこんな感じ。実は廃品と妥協の産物だったり。

とにかく低コスト できるだけ余っているパーツを使って新たにパーツを買わないようにする。必要な部品もできるだけジャンク基板などから収穫したものを使う。
光学ドライブはスロットイン CD−ROM 以前に変換コネクタ目的でヤフオク落札したiMacのスロットインCD-ROMドライブが余っているので、これを利用する。本当はDVD-ROMのほうがよかったけど、光学ドライブなんてソフトのインストールくらいでしか使わないので妥協。
HDDは3.5インチIDE 8.4GB RAMチップ取り目的で入手したジャンクXBOXから取り出したHDDが余っているのでそれを利用。容量は小さいけど我慢。
入出力インターフェイスは必要最小限 いまさらのロースペックマザーだし、入出力インターフェイスも無理して増設せず、必要最小限で妥協。
静音化に努める エアフローを考えてパーツを配置し、ファン回転数を最適化して静音化する。


マザーは300円ナリ

04年夏頃にアキバのGENO(QC-PASSだったかも)で捕獲した富士通Lifebook MF6系マザーです。私が行った時には同じ系統のマザーが10枚くらいありました。いずれもセレロン450MHzが載っているようでしたが、よ〜く観察すると、なぜかサウンドチップがYAMAHAのものと、SIGMATELのものがありました。YAMAHAが載っている板を選んで(XG音源が使えそうだから)2枚購入。ロースペックだけど、サイズが小さいのが最大の強み。コンパクトPCをでっち上げるのには最適です。

お値段たったの300円。安いけどオンボードメモリが無いのが弱点かも。SO-DIMMって買うと結構高いので。

加工前表面

類似形状のマザーには、ビデオチップの違いでTrident版とRage版がありますが、これは世代の古いTridentのほう。noridaさんの「壊してます」ではTrident 小基板と分類されてます。

各コネクタの配置とピンアサインについては、「壊してます」と「Peter's Works」に詳しい資料がありましたので活用させていただきました(多謝)。ちなみにPeterさんのJukeBoxPCはこれとほぼ同型マザーを使った作品であり、ファンレス&LCD一体型&バッテリ内蔵で非常に完成度は高いです。同じ形のマザー使っても、作る人によって全く違うPCになるのが面白いですね。

マザー裏面

メモリは144pのSO-DIMM(PC100)が必要です。05年6月現在、128MBでマザー10枚分の値段(およそ3000円)ですが、こればっかりはどうしようもないので、128Mを入手しました。

メモリスロットの下には極小ピッチ50pのHDD用コネクタが見えますが、ここを攻略するのが、このマザーでは最大のヤマです(慣れるとどうってことないんですが)。

右側の縦長のコネクタはモバイルマルチベイ用。変換コネクタを介して光学ドライブやPCカードが繋がるようになってますが、今回は使いません。

サウンド入出力端子とボリウムつまみがマザーに実装されているので、そのあたりの加工はラクでいいですね。USBは1基しかないのがちょっと残念。

主要なチップ

まずはチップセットから。インテルの440MXですが、IDEがプライマリのみで、ATA33で遅いのがボトルネックでしょうか。名作440BXのモバイル版みたいなもののようです。

発熱は大したこと無いだろうと思っていたのですが、意外と発熱するようです。ヒートシンク無しでは熱くて触れなくなりました。

次はCPU。基板直付けなので、交換不可です。2000年製造のセレロン450MHz(カッパーマインコア)ですので、大分前のものですね。今時のPCに比べたら化石みたいなもんですが、ネットサーフやメールチェック程度ならばまだまだ使えます。その気になればDVD再生もギリギリOKでしょう。

ビデオチップはTrident Cyber9525DVDというもの。98年の製品みたいなのでかなり古いですね。

出力はアナログVGAと、デジタルRGBに対応しているようですが、LVDSには非対応。直接液晶を繋げる際にはデジタルRGBのパネルが必要です。

コネクタ外し

このマザーを使う上でネックになるのが、IDEとVGAの配線です。いずれも0.5mmピッチのコネクタから信号を引き出さなければなりません。左画像がIDEコネクタ。幅は15mmほどです。

コネクタが付いているままだと信号を引き出すのが非常に困難なので、これをサンハヤトの面実装IC取り外しキットで剥がしました。パターンを剥離させるとほとんど再起不能なので慎重にやりましょう。

こちらはモニタ出力サブボードに繋がるコネクタ。

ここからはメインスイッチとアナログVGAの信号を取り出します。LCD用のデジタルRGB信号もここから出ていますが、今回は使いません。

こいつもコネクタが付いていると半田付けが難しいので、コネクタを取り外しておきます。


IDE結線

IDEの50pコネクタを剥がしたら、これを一般的なピンヘッダ40pコネクタに変換します。普通にパーツ屋で売っているコネクタに配線しても良いのですが、今回は壊れたHDD(ウエスタンデジタル製)から取った制御基板を利用することにしました。ちょうどこの基板に開いている穴が面白いくらいにMFマザーの穴と一致するもんで。
配線

HDDから取った基板を、ネジ穴を残してギリギリのサイズで金鋸で切断して、チマチマとIDEのパターンへ配線しました。画像では隙間に挟まれて見えませんが、0.5mmピッチのパターンから0.16mmのポリウレタン線で怒涛の配線をしております。どのくらい細かいかは以前のBIBLO 6600MF8/Xの復活記事をご参照のこと。

ちなみに、HDD基板にはMaster/Slave/CableSelect設定用のジャンパピンが付いており、8pのピンヘッダコネクタを挿せる構造になっていましたので、これも利用しました。メインスイッチとPS/2キーボード&マウス用の信号をここへ誘導してます。

PS/2マウスと+5V電源取り出し

PS/2マウスはポートリプリケータ用のコネクタからも取れるのですが、トラックパッド用のコネクタから信号を引っ張ったほうが簡単です。

また、+5V電源は、HDDもPS/2もトラックパッドもCD-ROMドライブもすべてこの電源ICから取っているようです。結構電流容量はありそうなので、ここからHDD、CD-ROM、PS/2、リレー、LEDの電源を取り出しました。

電源入力&アナログVGAの配線

モニタ出力サブボード用コネクタの部分です。ここからはアナログVGA、パワースイッチ、リセットスイッチ信号を取り出してます。

実はケチって半田取り外しキットを使わないでコネクタ外しをやってみたら、パターンが何カ所か剥がれてしまいました。幸い、今回使わないデジタルRGB信号のパターンばかりだったので特に問題にはなりませんでしたが。やっぱり持つべき物は道具ですなぁ。

電源は太めの被覆線で配線してます。オレンジが+16V入力、白がGNDです。富士通の16V 3.36AのACアダプタを繋げてます。

アナログVGAは0.16mmのポリウレタン線で取り出し、10pのピンヘッダソケットへ誘導しました。一応ノイズ対策としてGNDとツイストペアで配線してます。XGA程度の解像度だと特に目立ったノイズも出ず、表示良好です。

PS/2キーボード信号の取り出し

キーボードはOSが起動してしまえばUSBでも良いのですが、BIOSメニューに入るためにはPS/2で接続する必要があります。よって、パターンは細かいのですが、ここから信号を取り出しました。ポートリプリケータ用のコネクタでこれまた0.5mmピッチだったりします。コネクタを剥がすのは結構大変なので、ここは敢えてこのままポリウレタン線を配線しました。かなり細かいので半田がブリッジしないように注意が必要です。

このコネクタからは他に、シリアル、パラレル、FDD信号も取り出せるのですが、いちいち配線するのは非常に面倒だし、今時はUSBで代用できることも多いので、今回はPS/2キーボードだけにしておきました。

ちなみにPS/2のミニDIN6pコネクタですが、先日改造したVAIO LX専用モニタの台座に仕込まれていたものを外して使いました。

+12V作成回路&中継コネクタ

元々LANやモデムのサブボードが載っていたはずのスペースに、こんな基板を取り付けました。M2のネジ穴が用意されたので、それに合わせて基板を加工しました。

回路はいつものようにHDDやファン用の+12V作成回路です。IDEの+5Vを貰ってリレーを動作させ、+16Vから3端子レギュレータで+12Vを出力するようになってます。

前述のように左側のピンヘッダソケットがアナログRGBの中継コネクタです。手前の4pコネクタは電源LED、アクセスLED、パワースイッチの中継コネクタです。アクセスLED用の信号はIDEの39pから取ってます。

スロットインCD-ROMドライブ

iMac用のスロットインCD-ROMドライブが余っていたので、今回はこれを使いました。

スロットインドライブは何故か背面のコネクタが普通のトレイ式のものと上下逆さなので、普通に市販されているスリムドライブ用変換コネクタは使えません。

元々iMacではこの変態コネクタを50pのピンヘッダに変換する基板が使われているのでそれを利用するのが簡単ですが、やや入手に難がありますので、今回は手配線で信号を引き出すことにしました。

林檎マークが付いてますが、別にMacでないと使えないということはなく、中身はただの24倍速のCD-ROMドライブです。おそらく松下のOEMだと思います。

HDDはジャンクXBOX(修理不能部品取り機)から取り出したものを使いました。ウエスタンデジタルの8GBのもので容量は小さいですが、とりあえずネットサーフ目的のPCになら十分でしょう。動作音が静かで発熱が控えめなのがイイ感じ。

ちなみにノーマルなXBOXではHDDがパスワードロックされており、そのままではAT機に転用できません。XBOXを改造した上で起動してパスワードを調べ、しかるべき方法でロック解除する必要があります。このジャンクXBOXは起動不可でしたが、実は入手した時点でロックが解除されてました。ラッキー。

起動しないXBOXからHDDのパスワードを調べるのは至難の業です。パスワードのデータ自体はXBOXに載っているシリアルEEPROMに書かれているのですが、暗号化されているので単に読み出すだけではダメです。

HDDをケースに固定するために、1mm厚のアルミの切れ端でこんなステーを作成しました。
筐体の加工

スロットインドライブのディスク挿入口に合わせてスリット状の穴を開けてます。ドライブを入れてみると、笑っちゃうくらい横幅がピッタリです。ドライブ側面のネジ1個で十分に固定されてます。

他に、マザーボードに合わせて、音声入出力コネクタとPCカードスロット用の穴も開けました。

HDDをその上に重ねて入れるとこんな感じ。HDDもネジ1個で固定です。

CPUクーラーの制作

自作ケースでのPC制作で一番面倒かつ重要なのが冷却機構の設計です。ここが腕の見せ所とも言えましょう。十分に冷却できないと動作が不安定になったり、最悪壊れてしまいます。

このPCで発熱が大きいチップは、CPU>>>Tridentチップ>440MX>3端子レギュレータチップの順です。CPU冷却のためにファンを1つ使い、その空気の流れで他の石も冷えるように考えました。上手に空気の流れを作れば、静かで良く冷える空冷システムが作れるはずです。CPUクーラーは市販のものでサイズの合う物はまず期待できないため、アルミ板を加工して自前で作成することとしました。まずは計測に基づいた設計図をボール紙に書き、それを切り取って模型を作って微調整&位置関係をシミュレートし、さらにそれをバラしてアルミ板に張り付けました。

切り出し

切り出したアルミ板です。0.5mm厚なので、金切り鋏で簡単にザクザク切れます。これをベンチバイス等に挟んで目的の形状へ曲げ加工します。
ヒートシンク接着

クーラー内部にこんな感じのアルミ製ヒートシンクを張り付けました。普通のシリコングリスだと中で動いて浮いたりしてしまう恐れがあるため、サンハヤトの「固まる放熱用シリコーン」を使いました。シリコングリスの接着剤みたいなもので、接着力はなかなかのものです。

ヒートシンクは汎用の小さなもの((30x30mm)ですが、今回のCPUだとこんなんでも十分みたいです。

こっちはカバー。これを被せてファンを張り付けると、横吹出しタイプのCPUクーラーとなります。、土台とカバーはリベットで4カ所固定、ファンはホットボンドでテキトーに貼り付けました。

出来上がったCPUクーラーをマザーの穴を利用してCPU上にネジ止めしてます。

とりあえず動作チェック

とりあえず、テストとしてケースに組み込んで動作チェックしてみました。マザーはアルミのアングルでステーを作って3カ所で固定してます。とりあえずファンは大昔にGENOで99円で買った安物の4センチファンを付けてみました。

ケースには多少の通気口を開けて、耐久テストしましたが、ファンが低音の唸りをあげてイマイチな上に、ケースを閉じると内部に熱が籠もってヒートシンクが熱くて触れなくなりました。また、Tridentチップと440MXチップが思ったより発熱します。これらにヒートシンクを取り付けて、吸気口を開けて空気の流れを誘導する必要がありそうです。ファンの騒音もなんとかしたいところです。


予告

とりあえず動作は可能になりましたが、まだまだ空冷性能の向上と静音化が必要です。また、この段階でHage88さんの画像BBSに制作報告したところ、内部をLEDで照らしてみてはどうかという提案を頂きましたので、イルミネーション改造も施すことにしました。

てなわけで、次回に続きます。


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