にがAV

〜Panasonic VTR ジャンクNV-BS900を修理する〜

第二回「大逆転」


Panasonic NV-BS900 (2号機)

前回涙を飲んで屈辱のメーカー依頼となったBS900二号機。修理に出してから約一ヶ月、ようやく修理依頼したお店の方から連絡がありました。留守電のメッセージを聴くと、「大変申し訳ないんですが…メーカーさんの方から部品供給不能ということでして…かなり探してはくれたんですが修理不能で帰ってきてしまいまして…」と非常に申し訳なさそうな感じの声が入っていました…。

うそ? 最終手段であるメーカーサービスでも直らないの? じゃぁ、この機体はゴミ?部品取りにしかならないの?

まぁ、元がジャンクなので別にお店の方が申し訳なさがる(ヘンな日本語)必要はないのですが、なんとも勿体ない話です。どのパーツが供給不能なのか分かりませんが、とりあえず機体を引き取りに行きました。

帰ってきた伝票を見ると、「年数経過のため、部品供給不能(入出力端子)、キバン供給不能」とだけ書かれていました。入出力端子はともかく、「キバン」とはどの基板なのだろう。一応聴いてみましたが、受付の方は分からないようでした。うーん、症状から考えてシスコン基板だろうか…。ちなみに修理見積もり料云々は請求されませんでした。

こんないきさつがあって、この機体にはすっかり諦めモード入ってしまい、帰ってきた機体はビニールシートをかけたままジャンク部屋に放っておきました。ところがある日、思い出したように電源を繋いで見ると…。

電源が復活してるっ!!

そう、前回苦汁をなめた最大の敗因である電源のトラブルが直っているのです! 普通に電源が入り、エラーが起きない限り切れないじゃありませんか。うむっ!行けるかもしんない!私は俄然やる気が出てきました。トラブルが多いほど萌える…じゃなくて燃える!ってあるじゃないですか、まさにその心境ですよ。

故障状況の再検証

さて、電源が入るようになったので状況を再検証してみました。当然以前壊れていると確認した所は(相変わらず壊れています(電源以外)。前回メカ異常と診断したところの欠けたギヤはここです。欠けた左側のギヤは「メインカム」という名称ですが、テープ挿入エラー等で過負荷がかかったときに一番壊れやすいギヤのようです。これとギヤ内側に子ギヤのある「リテーナハグルマ」の噛み合わせのところでズレていました。んで、再検証したところ、メーカーから帰ってきた機体は以前より欠け具合が酷くなっています。まぁ動作検証を繰り返せば酷くなるのは当たり前なので仕方ないですね。

故障状況の再検証2

それに加えて、帰ってきた機体ではこの写真のフレキが完全に逝っちゃってました。元々切れかかっていたのですが、根本で数本のパターンが剥離。完全に使えなくなっています。

うーん、サービスマンの人でもやっちゃうんだなぁ…。ま、自分でも数回抜き差しすれば切れそうだなと分かってはいましたけど。

動作検証再び…

とりあえず、直せるかどうか動作検証が必要です。きちんと再生画像が出せるかどうか見るためにはこの切れたフレキを復活させなければ行けません。

まず、切れたフレキを再接合できるかどうかチャレンジしてみました。削って半田付けをしてみたのですが、テキトーに手を抜いたせいか、全然ダメでした…。熱の当てすぎでパターンが剥がれて使えなくなってしまいました。まぁフレキを買えば良いのですが、使えるかどうか分からない機体だし、注文してから届くまでの時間が惜しいので写真のようにすだれケーブルで直付けしてしまいました。ちなみに直付けのためにはメカを完全にシャーシから分離する必要があります。

この状態で、欠けたギヤを騙し騙し動かして動作を検証したところ、綺麗に再生画像が出ました! よっしゃぁ!これなら行けそうだ!

修理開始! 背面端子の交換

とりあえず動かせることが判明したのでできるだけ完全にに直すことに決定。

当然、あの錆び錆びの背面端子をどうにかしないとなりません。メーカーには交換パーツが無いとのことですが、よくよく考えたらRCAピンコネクタなんて純正パーツでなくともいくらでもパーツ屋に売っています。そこで必要なパーツを汎用品で代用することにしました。

そう、自作の工作と同じ感覚で、穴を空けたり接着したりすれば良いのですよ。分かってしまえば簡単なことです。

まずは音声用端子から交換します。この端子は一見汎用品を使っているように見えますが、行きつけのパーツショップには置いていませんでした。

しかし、そんなことでへこたれては行けません。無いなら加工すればいいのです。汎用品を無理矢理接続することにしました。

そのまでは刺さらないので突起などをナイフで削り、端子をネジできつく固定した後、動かないようにエポキシ接着剤でネジ山を潰し、配線しました。

ご覧のように見違えるような美しい端子に生まれ変わりました。しかも金メッキです。元々の端子は金じゃないです。この方が純正パーツより良いじゃないですか。

音声端子は割とあっさりと付けられましたが、問題は映像端子。こいつがクセモノで、パネルと一体型になっているのです。とりあえず錆びた端子を外してみましたところこうなりました。無理矢理ラジオペンチで引き抜きました。

残ったプラスチック部分は山になっていてこのままでは汎用のコネクタがつけられないので山をニッパーでむしり取り、ドリルで穴を広げて取り付けました。

S端子も交換予定だったのですが、シェル以外はさほど腐食していないようだったので今回はシェルを研磨するだけにとどめました。

交換後の背面端子群。音声端子パネルに関しては、コネクタを汎用品に取り替えたために、端子が若干後方に飛び出してしまい、基板との半田付けには注意が必要でした。基板に半田付けしたあとにシャーシに組み込もうとしても、端子がシャーシに引っかかって出来ません。端子パネルをシャーシに固定した状態で基板に半田付けしなければなりません。

仕上がりですが、黄金色の美しい輝きです。うーん、満足。ちなみにこの時点では、BSチューナー部の端子は交換しておらず、前回のように磨いただけになっていますが、いずれ交換予定です。


つづく!

メーカー修理不能状態から奇跡の復活を果たしつつあるBS900二号機。とりあえず端子交換が無事完了したので残りはギヤ欠けの修理です。Gメカのギヤ位相は長い間アマチュア修理家の間では謎とされており、位相合わせにはサービスマニュアルが必要とされていました。しかし、一度法則性が分かれば実はそんなに難しいものではありませんでした。次回はこの「Gメカ位相合わせ」について記述予定です! ドキドキの第三回へ続く!


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