にがゲーム機

〜PS2 のコンポーネント出力を強制RGBに改造する〜


 SONY PlayStation 2

怪文書
メイン基板のAVコネクタに程近い48ピンのフラットICCXA3525R(A3525の表示)≠フ♯28ピンにL(0V。GNDと接続)を突っ込むとRGB。H(3V〜5V)を突っ込むと色差(Y、Cb.Cr)モードになる。スマートに切り替えられるよう各自工夫せよ

 事の始まりはこの怪文書。何故かネットオークションでこの文書が出回っていました。出所は不明なるも非常に気になる内容です。

この文書の内容が真実であれば、RGB出力が出来ないように仕様変更されたDVDプレーヤVer2.01以降でも、RGBモニターで使えるという話になります。

RGB端子で常用している私にとってこれは非常に有用な情報! ということで今回はPS2の強制RGB出力化改造のネタです。

そう、「〜ジャンクなPS2を復活させる その3+4〜」の時に話題にしましたが、DVDリモコンキットに付属しているDVDプレーヤーver 2.01(以降)では、DVDビデオ再生時にRGB出力ができないようにソフトが「改悪」されてしまっていたのです。

RGB信号はマクロビジョンの制約を受けないために、RGB出力を許してしまうと、RGB→ビデオ信号コンバータを使ったVTR録画ができてしまうため、ソニーとしてのコピー対策と思われます。

しかし、普通にRGB信号を使ってソニーのテレビ「WEGA」等のRGB入力できるモニターを使っているユーザー(私もその一人)にもいわれのない苦しい制約を課す結果ともなったのです。DVDビデオを見るときにはわざわざケーブルを繋ぎ替えるか、ケーブルの途中にビデオ信号を取り出すアダプタを入れて両方繋げる等の処置が必要になったのです。

パッケージ裏にはこんな感じに書かれていましたが、すっげーわかりにくいです。まぁ要するにRGB出力信号は出ねェから別の方法で繋げゃ、ってな意味です。テメーでわざわざRGBが出ないようにプログラムの改悪をしておいて、何が「RGB入力のみ対応したAVマルチ入力端子のあるテレビで、DVDビデオをご覧になるときは…あー長いんだよ!!  ともかく、RGB常用ユーザーに制限をかけてまでやることじゃないだろ!(プンプン)

ソニー逝ってヨシ! ここは是非ともこの制限を解除してやろうじゃないですか!

とりあえずバラす

つーことで、早速改造に着手。まずはバラしてみます。CXA3525Rを探してみますが左上の映像出力端子の近くにはありませんでした。どうやら表側にあるようです。

CXA3525

ということで基板を取り外して表に返します。怪文書に記されていたCXA3525はメイン基板表側の映像出力端子の近くにありました。

拡大図
さて、問題のチップはここです。48ピンのICです。

さらに拡大。28Pからパターンが一本伸びているのが確認できますね。この裏側はどうなっているんでしょうか。

こうなっていました。盲端で終わっているように見えますが、基板の内層でどこかのパターンと繋がっているのかも知れません。いずれにせよ、ここのパターンは使えそうです。要するにこのパターンをGNDに繋げればOKっぽいです。


とりあえず測定〜

さて、怪文書の信憑性を確認するために、CXA3525の28Pの端子電圧をそれぞれの条件で測定してみましょう。

怪文書が真実であれば、RGBモードの時には0V、コンポーネント出力モードの時は+3V〜5V程度になるはずです。

測定結果

出力をRGBにした状態で、CXA3525の28Pの電圧を測定。0.00Vですので、GNDと接続された状態であると分かります。当然、RGBモニターには正常に色が表示されています。

今度はコンポーネント出力に変更してみました。CXA3525の28Pの電圧は2.63Vを示しています。明らかに出力信号の変更によってこの端子の電圧は変わるようになっています。RGBモニターには緑がかった色で表示されています。DVDプレーヤver 2.01でDVDビデオを再生した時もこのような緑っぽい絵になってしまうのです。

いざ、改造

CXA3525の28Pが出力方式の決定に関与していることが判明したので、怪文書の示す通りに、ここをGNDの状態にしてみます。本当はピンを跳ね上げてGND以外と繋がらないようにすれば確実ですが、面倒なのでとりあえず裏側に現れているこのパターンをスイッチを通じてGNDと繋いでみることにしました。信号の取り出し箇所はこのようにしてみました。

基板に現れているパターンはコーティングされており、そのままでは半田のノリが悪いので、カッター等で少し削って金属面を露出させます。その後、ワイヤーを半田付けします。

スイッチで切り替えてみる

こんな感じです。

で、実験してみました。本体設定メニューでは、コンポーネント出力を「Y Cb/Pb Cr/Pr」に設定。RGBモニターを接続して、このスイッチを切り替えたときにどのような画面表示になるか検証してみました。

すると、スイッチを入れたときには色が正常。スイッチを切ると画面が緑になりました。

試しにDVDプレーヤーver 2.01でDVDビデオを再生中に切り替えたりもしてみましたが、やはり、スイッチを入れれば正常な色合い、切れば緑な腐った色あいになっています。

ということで実験は成功。このスイッチを使えば本体メニューでの設定に関わらず強制的にRGB出力モードに変更できることが確認できました。

SCPH-15000でもやってみました

SCPH-15000(BIOSはver.1.00)でも試してみました。スイッチを付けるのが面倒だったので、隣のGNDとスズメッキ線を使って直接短絡してしまいました。適当なワイヤーを載せてブリッジさせればOKです。半田が乗りにくいのでちょっと難しいかも知れませんけど、ほんの1ミリジャンパさせるだけでOKです。RGBしか使わないユーザーはこれだけでも十分です。


総評

私がゲームマシンとして常用しているSCPH-15000での改造もアッサリ完了。動作確認してみたところ、設定でコンポーネント出力に変更してもRGB出力のままになりました。DVDプレーヤーver 2.01でもOKです。副作用として、コンポーネント出力が使えなくなりますが、私はRGBで常用しており、コンポーネントは使わないのでこれでヨシとします。

余談ですが、コンポーネント端子なんてのは、S端子と比べてほとんど画質が変わりませんし、画質が良いとかいうのはメーカーに踊らされているだけだと思います。新しい規格を作るとそれに合わせていろいろな製品が作れますからね。自分で違いの分からない物に対して散財するのは愚かなことです。

DVDプレーヤーVer 2.01の強制コンポーネント出力の仕様はハッキリ言って嫌がらせでしたが、ようやくこれで使い物になるようになりました。何しろ我が家ではPS2をRGBで常用しているものですからね。

余談

RGB出力を禁じた理由は言うまでもなくマクロビジョンがらみです。DVDビデオにはマクロビジョンによるコピープロテクトが掛かっているものがほとんどです。要するにVTRに録画することができなくなっているわけですが、RGB信号にはマクロビジョン信号を混ぜることができません。そこで、RGB信号をS端子などに変換するコンバータを使ってビデオに録画する方法が編み出されました。マクロビジョンを解除するためのデバイス「コピーガードキャンセラー」は現在販売すると法に触れますが、信号の変換デバイスであれば主目的がコピープロテクションの解除ではないので合法的に売買できるのです。そこに目を付けたソニーは、この方法でDVDビデオをVTRに録画されるのを防ごうと、DVDプレーヤーのバージョンアップに伴い、DVDビデオ再生時にRGB信号の出力が出来ないように仕様変更してしまったのです(推測)。この変更によって被害を受けるのは、RGB出力端子で常用しているユーザー達です。私もその一人だったわけですが、実に腹立たしい仕様変更(改悪)だと思います。PS2でDVDビデオを見るためにわざわざコネクタを差し替えるなんて面倒くさくてやってられません。高価なコンバータを使ってまでVTRに録画しようとする人が一体世の中にどれだけ居るというのでしょうか。そんなセコい方法で録画しようとすることを防ぐ目的で、RGB端子で常用しているユーザーに不便を強いるなど、間違った行為であると私は思います。次のバージョンアップではRGB出力が出来るように仕様を改めて貰いたいものですねぇ。まぁ、RGB信号常用ユーザーを容赦なくアッサリ切り捨てるような発想ができるメーカーには無理でしょうけどな。

どうせマクロビジョンなんてキャンセラーを自作すればいくらでも解除できるんだからさ…。


2001.06.17追記

この記事を参考にSCPH-30000での改造に成功された方がおられました。下記をご参照のこと。

tam Network PS2をDVD-VIDEO再生時にも強制RGB出力にする加工


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