にがMSX

FS-A1Fメモリ増設キット 実装WEBマニュアル

詳細改造記事はコチラ(前編後編




キット内容
1 メモリ増設基板
2 DRAMソケット(18p)
3 CPUソケット(40p)
4 F4レジスタ(74HC173)
5
74VHC32
6
1000uF 6.3V 電解コンデンサ
7
配線用ジュンフロン線
 
 難易度は高めのキットなので、本体改造未経験者にはオススメしません。失敗すると本体を破壊するリスクがあります。このWEBマニュアルを最後まで見てから着手するかどうか判断してください。

キットは松下MSX2 FS-A1F専用で、それ以外の機種には適合しません。A1F本体のメインボードを改造し、本基板を実装することでRAM容量を4MBに拡張できます。マッパーメモリを構成する部品が基板に実装済みであり、動作確認済みです。DRAMはSIMMメモリから取り外した中古品を使っています。メモリはNO WAITで動作、PAUSEにも対応しています。内部増設なのでスロットのリソースを消費しません。

MSX2+化改造に応用できるようにF4レジスタ(74HC173)を添付していますが、基板には非実装です。MSX2+化する場合は別途VDP換装とシステムROM交換が必要です。MSX2+化しなくても拡張メモリはMSX-DOS2等で利用できますが、過去に市販されたゲームで遊ぶだけならMSXにメモリ増設を行う意義はほとんどありません。

FM音源を構成する部品は添付しませんが、部品を集めて実装すれば鳴らすことができるようになっています。FM音源をシステムから認識させるためには別途システム上にROMが必要です。

詳細を知りたい方は改造記事を参照してください。

手順1:本体メインボードの改造

 

 FS-A1Fメインボードを取り出し、Z80 CPUを引っこ抜きます。基板のスルーホールやパターンはとても繊細なので痛めないように注意しましょう。Z80は再利用しますので丁寧に作業します。

ちなみに上画像ではシステムROMをフラッシュROMに交換していますが、メモリ増設のみの場合はこの処置は不要です。

 CPU、DRAMを引っこ抜いた後はICソケットを実装する前に、強い光源で透かしてパターンの損傷が無いか確認しておきましょう(表裏とも)。この時点でスルーホールの抜けや断線が発見できた場合は適当なワイヤーで補修しておけばOKです。ICソケットを実装してしまうと確認や補修が困難になるので注意。十分に確認できたらソケットを実装してください。

なお、Z80 CPU単体はオークションや通販ショップなどで500円程度で手に入ります。自信がなければ足パチ(ニッパーで切断)でCPUを破壊して取り外し、基板に残った足を1本ずつ抜いたほうが安全です。






IC13IC15に実装されている64kBのDRAMも引っこ抜きますが、面倒であれば/CAS0(16p)のみ足パチして跳ね上げVcc(+5V)を接続(2個とも)しておけば無効化できます。DRAMを引っこ抜いた場合はZ80同様に光に透かしてパターンの損傷が無いか確認しましょう。ここには部品を実装しないので関係ないと思うかも知れませんが、隣のIC14の信号を流用するため断線があると動作に支障を来たします

IC14はホールが半田で埋まっているので、半田吸い取り機で吸ってからキット添付のソケットを実装します。


CPU左下のC46コンデンサはたぶん直径10mmのものが実装されていると思うので、これをキット添付のスリムなコンデンサに交換しておきます。

添付の74VHC32S1985の下の方に貼り付けます。電源ピンの取り出しポイントはコチラ。



 添付の74VHC32の足を水平に広げるように加工してメインボードに貼り付け。回路図の通りに配線します。



 実際に取り付けた状態がコチラ。S1985のピンピッチが細かいので難易度はそれなりです。

Vccはメインボードに直接半田付け、GNDは適当なスズメッキ線で接続するといい感じに固定できると思います。

74VHC32の未使用ゲートの処理は、回路図の通り3-4-5p、9-10-11p、12-13-14pを適当にショートさせればOKです。6p,8pはどこにも接続しません。



 74VHC323pから引き出したワイヤーはDRAMソケットを載せたIC14の16pに接続します。

このピンはゲートアレイの/CAS1に接続されているので、左画像のところでパターンをカットします。これを忘れると信号が競合するため故障の原因になります


手順2:メモリボードの実装

 増設ボードのソケットにCPUを挿し込み、メインボードのICソケットにプラグインします。引っこ抜いたZ80は足が半田で汚れているので、なるべく吸い取ってIPA(イソプロパノール)等で洗浄し、綺麗にしておきましょう。反対向きに取り付けないようにも注意。

ちなみに上画像はF4レジスタ、FM音源フル実装の状態ですが、キットでは省略されています。




MSX2 起動画面

MSX2+ 改造後 起動画面
 正しく改造できていれば起動画面が現れます。メインメモリの容量が表示されるのはMSX2+化改造した場合のみです。MSX2のままであれば改造前と同様にVRAM容量の表示になります。

電源を入れても画面が真っ暗なままであればメモリを認識してていませんので、手順を見直して配線が正しく行われているか確認してください。

メモリにエラーが無いかどうかをチェックします。

こちらのアーカイブ(藤本氏による1MBメモリカートリッジ製作記事)に同梱されているメモリチェッカーを利用できます。00-FF全てのセグメントでエラーがでなければOKでしょう。

完成したあなた、おめでとうございます。キットは基本ノンサポート(返品・返金・補修といった物理的なサポートはしない)とさせて頂きますが、どうしても動作しないとか、更なる改造のヒントが欲しいといった要望がありましたらBBSに書き込んでみてください。





MSX2+化する場合

MSX2+化改造をする場合はU1474HC173を実装します。▲マークが1pになっているので反対に実装しないように注意。



SONY系のMSX2+BIOSを流用する場合はそのままROMを焼きこめばOK。Panasonic系MSX2+BIOSの場合は下記のようにROMパッチが必要です。詳細は改造記事参照のこと。
Panasonic MSX2+ MAIN ROM  
146Ch: 2Fh -> 00h
146Eh: 2Fh -> 00h






FM音源を増設する場合

 

 空きパターンに上記回路図の通り部品を実装することで、IOポート#7Ch〜#7Dhを通してOPLLにアクセスできます。必要な部品は適当に調達してください。システムからFM音源を認識させるためにはROMが必要です。詳細は改造記事参照のこと。



 フル実装するとこのような状態になります。オペアンプ用の±12V電源と音声信号は左下の4本のピンヘッダからジャンパー線で接続します。


 HICの7pがGND、18pがオプション用の音声入力端子になっているので、ピンヘッダのGND,SOUNDからワイヤーで接続します。

±12Vについては、スロットの48pが+12V、50pが-12Vになっているので適当なところに接続してください。







回路図


(画像クリックでフルサイズ表示)
 参考資料として回路図を公開します。上回路図は改造記事で判明した不具合を修正したバージョンになっています。


 お約束ですが、この記事を見て修理・改造などを行い故障やその他問題が発生しても当方は責任を負いません。各自の責任において情報を広く集めて行うことをおすすめします。

この記事の内容は個人の憶測や見解の誤りを含んでいる可能性があります。内容についてメーカー各社に問い合わせるのは止めましょう。


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