|
Nextorは、Konamiman氏が開発したMSX-DOS2互換OS。MSX用SDカードデバイス等のOSとして世界中で使われている。MSX-DOS2のコードが流用されているが、Konamiman氏は権利保有者の西和彦氏の許可のもとにオープンソース化と配布を行っており、合法的に入手・利用が可能とされている。ソースはコチラ(MSX RESOURCE CENTER)。 NextorPatcherはゆうくん氏が開発したカスタマイザで、WindowsPC上で動作する。似非RAMDiskなどに直接インストール可能なNextorカーネルとRAM/ROMDiskをまとめたImageROMファイルを作成することがで き、各種ハードウエアに合わせたパッチと機能拡張を行うことができる。ここでは、似非RAMDiskにNextorをインストールして運用するための手順を解説する。 注意! Nextorの運用にはマッパメモリ 128kB以上が必要。ベーシックなMAIN RAM 64kBのMSX2+以下の機種では、本体を改造してメモリを増設するか、空きスロットにマッパメモリカートリッジを装着のこと。本体改造する場合は自己責任にて行うべし。 |
Nextorはディスクカーネル(ROM)とシステムファイル(NEXTOR.SYS)で構成される。これらをKonamiman氏のサイトからダウンロードする。
|
|
まずはNextorのカーネルROMファイルをダウンロードする。MegaFlashROM SCC+SD用のNormal versionのうち、For MegaFlashROM with 2 SD card slotsをクリックすると、ファイル名「Nextor-2.1.0.MegaFlashSDSCC.2-slots.ROM」として保存される。NextorPatcherは他のバージョンには対応していないので注意。 |
|
続いてNextorのシステムファイルをダウンロードする。NEXTOR.SYSのFull versionをクリックすると、ファイル名「NEXTOR.SYS.japanese」として保存される。ダウンロードしたファイル名は「NEXTOR.SYS」に変更しておく。 |
| Nextorの運用にはコマンドラインインタプリタのCOMMAND2.COMが必要となる。MSX-DOS2用のCOMMAND2.COMが流用可能だが、著作権があるためKonamiman氏のサイトでは配布されていない。 MSX-DOS(2)のシステムファイルはFDD(FDC-ROM)の標準添付品という扱いで、単体の製品としては販売されていなかったと思われるが、MSX-FAN誌の付録FDに収録されたため、入手は比較的容易である。左画像のFDにはCOMMAND2.COM v2.31が含まれている。Step3.5/4.5で使用する「MSX-DOS(2)ディスク」もBASICのCALL FORMATで2DDフォーマットしたFDにMSXDOS(2).SYSとCOMMANND(2).COMをコピーすることで作成できる。 |
|
MSX-DOS2のCOMMAND2.COMはNextor用に機能拡張されたv2.44にパッチできる。TNI氏によるパッチャーはCOMMAND2.COMのv2.30とv2.31に対応。SDカードデバイスなどでFAT16対応が必要な場合はv2.44にUpdateしておくことを強くお勧めする。 Konamiman氏のサイトのCOMMAND 2.44 by TNIをクリックし、リンク先のDownloads: COMMAND2.COM version 2.44をクリックしてダウンロードする。ファイル名CMD2-244.LZHとして保存される。 |
| ゆうくん氏によるNextorPatcherは当サイトのサポートページからダウンロードする。 NextorPatcher ver.xxxxをクリックしてダウンロードしたZipファイルを適当なフォルダに展開する。 似非RAMDiskへのインストーラとしてNGLOAD.COMもダウンロードしておく。 |
| デフォルトのNextorPatcherのフォルダ構成はこのようになっている。 ImageROMにはNextorPatcherで作成したインストール用ImageROMファイルが保存される。 MSXFilesはRAM/ROMDiskに入れるファイル置き場。Nextorのシステムファイル「NEXTOR.SYS」と「COMMAND2.COM」をここに入れておく。似非RAMDisk上でCOMMAND2.COMをver2.44にアップデートする場合は、CMD2-244.LZHを展開し、INSTALL.COM、COMMAND2.220、COMMAND2.231、AUTOEXEC.BATもここにコピーしておく。その他お好みのMSX用ファイルもここに入れておくとよい。 NextorROMにはNextorのカーネルROMファイル「Nextor-2.1.0.MegaFlashSDSCC.2-slots.ROM」を入れておく。 SaveObjectFilesはユーザーがNextorPatcherでカスタマイズしたImageROMの構成を、設定を含めて保存しておく場所となる。 |
|
@「...」ボタンを押下し、NextorROMを登録。 ACartridgeTypeには使用する似非シリーズのハードウエアタイプをセットする。ここではアップデートパッチをRAMDisk上で行うため、EseROMは使用不可。 BSRAM/FlashROM Sizeには使用する似非シリーズのSRAM容量をセットする。これによりNextor上のRAMDisk容量が規定される。ハードウエアの容量を超えた設定は不可(少ないのはOK)。RAMDiskのないカーネルのみのImageROMファイルも生成できる。このパッチではRAMDisk上にCOMMAND2.COM v2.44が生成されるため、SRAM 512kB以上の似非RAMが必要となる。SRAM 256kBの似非RAMでパッチする場合は、お手持ちのCOMMAND2.COMのバージョンを調べて、不使用のCOMMAND2.23xを削除する。 CImageSizeには生成するImageROMファイルのサイズをセットする。RAMDiskに入れるファイルサイズが小さい場合にImageSizeを小さく設定することができる。この設定はNextorで認識されるRAMDisk容量とは無関係である。FDDを介した
ファイルのやりとりを行う場合は640kB以下に設定する。 EImageSizeの空き容量に対する使用量がバーで表示される。青いバーは空き容量がある状態。バーが赤い場合は容量を超過しているのでファイルを削除するか、ImageSizeを大きくして調整する。 FCreateImageをクリックすると、「名前をつけて保存」窓が現れるので適当な名前をつけてImageROMファイルを保存する。デフォルトの拡張子は「.8k」になっている。生成されたファイルは「ImageROM」フォルダに保存される。 |
|
似非RAMDisk MAXIMUMを使う場合は、作成したImageROMファイルに合わせた設定にする。Step3では通常の似非RAM(512kB)に設定しているので、DIPスイッチは全てOFF,バンクスイッチは8k側に設定しておく。 |
| 適当なMSX-DOS(2)ディスクを用意し、NextorPatcherで作成したImageROMファイルとNGLOAD.COMをコピーし、MSXのFDDに挿入。似非RAMDiskを空きスロットに挿してMSX-DOS(2)を起動する。 コマンドラインから「NGLOAD filename.ext」にてImageROMファイルを似非RAMDiskにイントールする。 NGLOADはスロット上の似非RAMDiskを自動認識するが、正しく認識しない場合は似非RAMDiskのスイッチ設定を確認する。どうしても認識しない場合は、/Sxオプションをつけてスロットを指定する。詳しくはNGLOADのドキュメントを参照のこと。 |
| MSXをリセットすると、似非RAMDiskにインストールされたNextorが起動し、自動的にCOMMAND2.COM v2.44パッチが開始される。 オリジナルのCOMMAND2.COMはCOMMAND2.OLDにリネームされ、新しくCOMMAND2.COMがv2.44として生成される。 エラーが出る場合はマッパーメモリが不足していないか、不適切なCOMMAND2.COMファイルを使っていないか、似非RAMDiskの空き容量は十分かを確認する。 ちなみに、INSTALL.COMはMSX-DOS1では動作しない。パッチはDOS2かNextor環境で行う必要がある。 |
| COMMAND2.COM v2.44の生成に成功したらAUTOEXEX.BAT、COMMAND2.230、COMMAND2.231、INSTALL.COMは不要なのでDELコマンドで削除しておく。 |
| 再度リセットすると、似非RAMDiskからNextorが起動し、COMMAND2.COM v2.44で動作する。バージョンは「VER」コマンドで確認できる。 ここで生成したCOMMAND2.COMはNextorPatcherのMSXFilesフォルダにコピーしておくとよい。 |
|
似非RAMDisk MAXIMUMの「SUPER似非RAMDisk」モードは従来の似非RAMの容量を拡張したもので、1920kBの大容量(MSXとしては)RAMDiskが使用可能である。システムをインストールするために、NextorPatcherでImageROMファイルを作成する。基本操作はStep3と同様である。 @「...」ボタンを押下し、NextorROMを登録。 ACartridgeTypeにはEseRamDiskMaximumを選択。 BSRAM/FlashROM Sizeは2048kBを選択。 なお、ここで128kBを選択するとRAMDiskのないカーネルだけのROMファイルになる。 CImageSizeは256kBを 選択。ここはインストールしたいファイル容量に応じて増やしてもよい。Unlimitedを選択すると2048kBのImageROMファイルが生成されるが、FD1枚に入らないため、インストールにはMSX用SDカードデバイス等の大容量メディアアダプタが必要になる。 DAdditional filesにはRAMDiskにインストールするファイルを登録する。最低限NEXTOR.SYSとCOMMAND2.COMは必要。COMMAND2.COMはStep3で生成したv2.44を推奨するが、MSX-DOS2用のv2.31等でもとりあえず動作する。ここには容量が許す限りお好みのファイルを追加できる。(root)右クリックで階層ディレクトリも作成可能。ECreateImageをクリックすると、「名前をつけて保存」窓が現れるので適当な名前をつけてImageROMファイルを保存する。デフォルトの拡張子は「.8k」になっている。生成されたファイルは「ImageROM」フォルダに保存される。 |
|
DIPスイッチは@AOFF、BCONに設定する。SUPER似非RAMDiskモードの場合、バンクスイッチは8kでも16kでも構わないが、通常は8k側にしておく。 ImageROMファイルのインストールはStep3.5と同様の手順でNGLOAD.COMで行う。 インストール完了後にシステムリセットするとNextorが起動し、1920kBのRAMDiskにアクセスできる。 |
| Patch Listには使用するカートリッジに合わせて自動的にチェックが入る。 「Disable SD drive reserve ...」は似非SDisk専用オプションで、起動時のSDカードのドライブ確保を無効にする場合にチェックを入れる。通常はA:が似非RAMDisk、B:とC:がSDカードドライブとしてドライブレターが確保されるが、チェックを入れると起動時にSDカードが挿入されていないドライブはスキップされ、使用不可になる。 「turbo boost」はturboRのR800モードにおいてSRAM、SDカードアクセスを高速化するパッチである。MSX2+以前の機種ではチェックを入れても外しても動作速度は変わらないが、turboRをZ80モードで動作させる場合は低速化してしまうため、用途に応じてチェックを外す。 |
| Additional filesの横にある「save/loadボタン」でNextorPatcherの設定項目と登録ファイルをまとめて保存・復帰できる。 それぞれの環境に合わせて基本設定をsaveしておくと編集作業がラクになるだろう。 |
NextorPatcherではNextor kernel v2.1.0によるシステムを構築するが、Nextor kernel v2.1.0は以前のversionのNextorと併用できない模様。SUPER似非RAMDiskと既存のSDカードデバイス(Nextor kernelのvresionが2.1.0より古いもの)を併用した場合起動しない恐れあり。Nextor kernel v2.1.0は2020-8-5リリースなので、それ以前に出荷されたSDカードデバイスが該当する。 対策は、古いNextorがインストールされてるデバイスのUpdateで、ROMDiskの内容を書き換えることになると思われる。各自方法を調べて自己責任で行っていただきたい。 |
謝辞
似非RAMDisk MAXIMUMは多くの国内外のMSXユーザーの作品やアイデア、尽力によって生まれたものです。
似非RAMDiskオリジナルの考案者のつじかわさん、Nextorの作者Konamimanさん、COMMAND2.COMパッチを製 作されたTNIさん、MegaFlashROM SCC+SDの作者Manuelさん、NextorのSRAM対応パッチ等を考案されたOKEIさん、RAMDisk1920kB拡張パッチを考案し、 NextorPatcherを製作されたゆうくんさん、R800高速化パッチを考案された裕之さん、似非RAMバックアップツール等関連ソフトを提供してくださったMikasenさん、いつも何かとサポートしてくださっているれふてぃさん、ありがとうございました。
copyright (C) 2020 Niga.