FMV-BIBLO NE6/750 ジャンクマザーPC PS2Linux’
05年8月の引っ越しに伴って、「MovableType」でblogを立ち上げようとしたものの、PS2LinuxサーバーだとMovableTypeで推奨されているデータベース「mysql」がマトモにインストールできていなかったりと、サーバーとして限界を感じるようになってきました。登場時は高性能であったPS2も発売後5年も経つとさすがに性能的に厳しいものとなっています。考えてみれば、CPUは決して高速ではありませんし、メモリが32MB(増設不可)ですからねぇ。今時最低限のPCでもメモリは128Mくらい積んでますもんね。ということで、この機会にサーバーを新調することにしました。
実は次期サーバーとして、XBOXのXebianも用意していたのですが、生憎引っ越す前のマンションに置き去りになっており、取りに戻のが大変なので、とりあえず余っていたジャンクマザーでテスト用サーバーを一台でっち上げることにしました。うまく動くようなら、そのまま次期サーバーにしてしまおうかと。
とりあえず今回の制作目標としてはこんな感じ。
1 シンプルに低コストで製作 以前に予備として購入して余っていた富士通BIBLOのジャンクマザーボードを活用し、シンプルで低コストのサーバーをでっち上げる。 2 光学ドライブ無し、HDDは薄型20G OSのインストールさえ済んでしまえば光学ドライブは不要。WEBサーバーなのでHDDも20Gあれば大丈夫だろう。 3 入出力インターフェイスは必要最小限 サウンド機能等、使わないインターフェイスは敢えて配線せずに作る。 4 低消費電力化、静音化に努める 24時間稼動のサーバーなので、消費電力を低く抑え、動作音も静かなPCを目指す。
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IDEの取り出しには、こんなケーブルを製作してます。以前にネズミーPCを作ったときに切断して余ったIDEケーブルの切れ端に、スリムドライブ用メスコネクタを半田付けしたものです。 このスリムドライブ用コネクタは、市販されていないものですが、今回はBIBLO NCV13のジャンクから剥がした物を利用してます。NCV13は元々8.4インチ液晶取り目的で入手したジャンクノートですが、液晶のフレキとマザーとの接続に同じコネクタが用いられていました。オス側はネズミーPCのケーブルに使い、メス側はこのケーブルに利用してます。半田付けの方法は、PeterさんのknowHowを参考にしました。 インストール時は、ここから自作の2分岐延長ケーブルを使って、HDDとCD-ROMに繋げました。運用時は直接HDDを繋げればOKです。 |
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当初、ケースはテキトーな100円ショップで売っている板でサンドイッチにでもしようかと思っていたのですが、以前にPS2初期型のケースをスケルトンにしたときに余ったガワがあったことを思い出し、こいつに仕込んでやることに決定。上半分しかありませんが、マザーとHDD程度だったらなんとか入りそうなサイズです。 このケース、元々MFクラスのミニマザーとスロットインドライブを組み込んで薄型PCを作るつもりで取っておいたのですが、いつになるか分からんので、今回の製作で使っちゃいます。 |
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まずは、シールド板が電子部品に接触して誤動作や故障を起こさないように、金属部分に梱包用透明テープで保護をしました。尚、シールド板の邪魔になる部分(画像右側)は適当に切り取っています。 |
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こういう部分が出っ張っています。元々は、PS2のヒートシンクと接触する部分なんでしょうが、ジャンクマザーと接触したら壊れてしまいます。念入りにテープで保護します。 |
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NEマザーは結構大型の基板なので、ネジ穴が邪魔でそのままでは収納できません。かといって、ネジ穴を全部取ってしまうと、ボトムプレートを固定する際に困ります。 そこで、ネジ穴の下の方に溝を掘って、マザーを挟み込むように固定することにしました。これでマザーを固定しつつ、ネジ穴を生かすことができます。 |
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下から6ミリの高さで溝を掘ってます。何故6ミリかといえば、マザーの裏側から一番出っ張っているリチウム電池ホルダーの高さが約6ミリだからです。 溝掘りにはハンディルーターの回転ダイヤモンドヤスリを使ってます。ルーターや、回転ヤスリは、最近は100円ショップダイソーでも売ってるんですよね。 |
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反対側のネジ穴は底面から6ミリの高さを残して切り取ってしまいました。こちら側は、マザーから上下にスペーサーを立ててネジで固定します。 スイッチパネル固定用のネジ穴だけはそのままに残しています。 |
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バックパネルの形を切り出して、収納状態をシミュレートしてみました。それぞれのパーツが干渉しないかよく検討してから、HDDや各コネクタの位置を決定します。 HDDは通常サイズのものを収納しようとすると、その下のスリムドライブ用コネクタが邪魔になります。これを取り外して直接ワイヤーを半田付けすることも可能ですが、今回はMaxtor製の3.5インチ薄型(17.5mm)ドライブ「2B020H1(データシートはこちら)」を使い、コネクタを生かしています。HDDは厚さ17.5mmの薄型です。 |
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バックパネルはPS2PCの製作時と同様に、1mm厚のアルミ板を切り出して作成しました。例によって紙を貼り付けて、コネクタ位置を書き込み、これをガイドに穴開け加工して、最後に黒いフィルムシート(ホームセンターで購入)で化粧してます。フィルムシートを張り付ける際には、端をこんな風に裏側に折り込むと良いようです。 CPUクーラーの排気口には、PS2から取った網を両面テープで貼り付けてます。虫(ゴキブリ等)の侵入を防ぐためです。常時稼動しているPCは暖かいですからねぇ。ゴキブリの巣になんかなったら最悪です。 |
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マザーは元々ノートPC用なので、12V出力がありません。3.5インチHDDを使うためには、例によって+12vを作成する回路を必要とします。 いつもは3端子レギュレータで作成していましたが、今回はサーバー用途ですので、低消費電力化を狙って、秋月電子のDC−DCコンバータで作ってみることにしました。これにリレーと低ESRコンデンサを組み合わせています。 当初、左のような1A版のHPH12001Mで作ってみたのですが、何故かHDDがスピンアップしませんでした。調べてみると、採用したMAXTORのHDDはスピンアップ時に2.05Aも要求するらしく、アンペア不足で回らなかった模様。 仕方ないので2A版のHPH12002Mで作ることにしました。 |
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2A版は、ヒートシンクが大きいのが難点。そのままだとケースに収納できないため、やむなくヒートシンクを金鋸で切りつめました。 冷却性能が落ちるので望ましくないのですが、HDDはスピンアップ時以外の定格が260mA程度なので大丈夫でしょう。 |
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作成した電源回路はマザーの手前に配置しました。ヒートシンクを切りつめたのでギリギリ収納できるサイズになってます。ACアダプタから16Vを貰って、IDE用の5Vでリレーを駆動し、DC−DCコンバータで12Vを出力します。 |
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LANカードは、以前に3枚240円で買ったジャンクPCカードの中身を取り出して使いました。元々corega のPCC-TXFだった基板です。加工のしかたは、アルミ箱PCの製作の時と同じ。今回、サーバーのOSとして、Vine Linux 3.1を使ったのですが、インストール直後からPCカードを認識してくれました。恐るべし!Vine。 自分の経験だとWindowsではPCMCIAのLANカードを自動で認識したことは一度もありません。最近のLinuxは進んでますねぇ。 このほかに、バックパネルに取り付けたDC入力コネクタと、メインスイッチ、S端子も配線してます。ちなみにこのマザーには、PCカードスロットが2スロットありますが、残りの1スロットは使わないので、オミットしてます。 |
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加工が終わって、バックパネルを取り付けた状態です。バックパネルはアナログRGB、パラレル端子をネジ止めしただけで十分に固定できています。 ちなみに右端に立てているスペーサーでボトムプレートをネジ止めします。高さはピッタリになるように、ワッシャーで微調整しています。 |
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加工後基板の裏側の状態。左端のスペーサー(高さ6mm)でPS2ケースに固定します。増設メモリは余っていた64Mの144p SO-DIMMを刺しており、オンボードメモリ(128MB)と合わせて192MBとなってます。 |
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ボトムプレートは1mm厚のアルミ板を使ってます。ホームセンターで500円程度。PS2ケースに合わせて切り出しました。これに直接HDDを張り付けて固定してます。アルミなので放熱性が良く、HDDの冷却板も兼ねています。 |
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アルミの一枚板だけだと強度的に弱く、押さえの無い部分を押すとへこんでしまいます。それを防ぐために10mmのアングルを加工してネジ止めしました。コネクタと干渉する部分は、ハンドニブラで囓り取ってます。 |
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全ての加工が終わって、ケースに組み込んだ状態。トップカバーにはネジ穴を2カ所空けてます。黒い皿ビスがあれば目立たなくて良いのですが、手に入らなかったのでクロームメッキの皿ビスを使ってます。意外と黒いネジって売ってないんですよね。 ボトムプレートは、ケースの溝にピッタリ合わせたサイズで切ってますので、押しても簡単にはへこんだりしません。ケースとはネジ4カ所で固定です。 |
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コネクタの配列は、左から PS/2キーボード、パラレル、S映像、(排気口)、LAN、USBx4、メインスイッチ、アナログRGB、DC16V入力の順。IEEE1394は使う予定がないので取り出しませんでした。液晶用LVDS出力も今回はオミット。PS/2マウスもUSBで代用可能なのでオミットしてます。サーバーとして動けば良いので、必要最低限です。 ちなみに、S端子はNTSCモニタをサーバー監視用として使えれば便利かと思って、コネクタ引き出ししました。しかし、実際表示させてみるとテキストベースでは問題なくても、GUI画面になると同期が取れなくなってイマイチでした。まぁ、グラフィカルログインを使わなければ良いだけのことなんですが。 |
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通常サイズのPS2であれば、スタンド無しで縦置きしても簡単には倒れませんが、この薄型PS2ケースだと非常に不安定です。しかし、横置きだと冷却板が下に向いてしまって放熱性能が下がり、HDDの寿命の点から好ましくありません。そこでスタンドを製作して縦置きすることにしました。 素材として純正のPS2縦置きスタンドを加工しても良かったのですが、アレは1500円もするし、簡単に加工できる形状ではなかったので、敢えて自前で製作することにしました。 材料は3角形にカットされた材木と、2mm厚のアクリル板。いずれも100円ショップダイソーで購入したものです。これらをカットして下から皿木ねじで固定しました。 |
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材木はエアブラシで青いグラデーション塗装をしても良かったのですが、papasanに黒で渋く決めて欲しいとご意見を頂戴したこともあり、黒いフィルムシートを張り付けました。バックパネルに張り付けたものと同じものです。フィルムシートだと簡単に材木らしさが消えるので、塗装よりイイ感じかも知れません。 下のアクリル板は白いままでも悪くなさそうなので無塗装です。 |
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こんな感じでスタンドは完成。滑り止めのためのコルク足(これも100円ショップで調達)を張り付けてます。 |
スタンドを取り付けて完成。 一見すると、何かが変なプレステ2。まぁ、見慣れている人なら一瞬で分かると思いますが。 |
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こっちから見ると違和感ありまくり。 ボトムプレートは放熱を考えて、敢えて塗装やフィルムシート張り付けをしていません。アルミむき出しです。 なお、連続稼動では、ボトムプレートのHDD直下が約40℃で安定しています。HDDの定格温度は60度なので、問題はなさそうです。 |
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総評 ということで、現在のページはこのサーバーからお送りしております。当WEBサイトは、2001.12.07〜2005.09.20 の3年9月の間、PS2Linuxを使って「にがHP on PS2Linux」というサイト名で運営しておりましたが、PS2Linuxを止めたことでサイト名を改める必要が生じました。とはいえ、新サーバーもPS2型ということで、手抜きして新しいサイト名はにがHP on PS2Linux' (DASH)と決定。
この記事を書いている時点で3週間ほど連続稼動させていますが、トラブル無く動き続けています。動作音はとても静かで、HDDの回転音くらいしかしません。負荷がかかるとCPUファンが回りますが、10分に一度回る程度の頻度です。回っても5秒程度ですぐに止まります。
テキトーにでっちあげるつもりの製作でしたが、それなりに手間掛けてしまいました。妥協点はいくつもありますが、WEBサーバーという用途を考えたら十分な性能なのではないかと思ってます。
最後にお約束のコストでも計算してみましょう。
パーツ 値段 備考 マザーボード 約2500円
BIBLO NEシリーズ CPUクーラー 100円
アキバETS2 HDD 3000円
GENOの中古 LANカード 80円
ジャンク メモリ 0円
貰い物 コネクタ類 約500円
千石電商 ネジ類 約500円
ACアダプタ 1500円
アキバGENO スタンド 200円
ダイソー PS2ケース 0円
余り物 アルミ板、アングル等 約900円
ホームセンター 12V電源回路 約500円
秋月他 合計 約9780円
だいたい1万円くらい掛かったようです。今時この程度のスペックなら省スペースデスクトップの修理可能ジャンク品が同じような値段で買えることを考えるとやっぱりオトク感がありませんねぇ…。まぁ、PS2ケースに組み込むことに意味があると考えて、ヨシとしましょうか。
ちなみにPS2Linuxサーバー(SCPH-30000)ですが、今はひっそりと押入の中で眠っています。3年9か月の間、よく動いてくれたもんです。元々DVDの読めない機体をムリヤリ活用していたものだったので、当初からピックアップはヘタレまくりで、末期にはCDで作成した起動ディスクの読みとりにも難を生じる有様でしたが、回路部分とHDDは意外と耐久性があったようです。ピックアップさえ丈夫なものだったら良い機体だったのに、と惜しまれますねぇ…。まぁ、製品寿命を規定する弱点が最低1つはあるのが、ソニー製品のソニー製品たる所以なんでしょうけど。
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