Lifebook FMV-6600MF8/X タッチパネルPC
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2006年春に子供が生まれ、将来子供が大きくなったらお絵かきできるようにタッチパネルPCの製作に着手しました。材料とコンセプトはこんな感じ。
完成した暁には「タカラのせんせい」なんか目じゃないぜ! ということでカミさんに伺いを立てたところ製作許可が出たので、2006年6月にプロジェクトを発動した次第。
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2006年頃にCoCoNet(Aitendo)で購入したタッチパネル用の制御基板です。あんまり昔に買ったもんだからお値段覚えてません…。 シリアル接続で、Hage88さんの情報によると、クロスケーブルでCOMポートに接続する仕様。制御チップはGUNZE AHL−51A。Peterさんの情報によると電源電圧は+5Vとのこと。 |
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タッチパネルというのは、パネルと制御基板とドライバが全部揃って初めて機能します。これ用のドライバはGUNZEのサイトにノンサポート版として登録されていたものをゲットしました。2010年4月現在、OSはWindowsMe〜VistaとLinuxにも対応しているようで、制御チップもGUNZE製のものなら大概対応していそうです。プリクラなどから外したジャンク品をゲットした場合、それにGUNZEの制御ICが載っていたらかなり使える確率高そうです。 とりあえずテストとしてジャンクなノートPC下半身を利用して、シリアルポートにクロスケーブルで制御基板に接続し、+5Vを入れてドライバをインストールしたところ、正常に動作しました。ペンでタッチするとマウスの左トリガをクリックした状態になり、ドラッグ&ドロップやダブルクリックもできます。右クリックができないのが難点ではありますが、タスクトレイに左→右クリック変更アイコンが出るのでなんとか使えなくもありません。 |
フレームは2層構造としました。まずパイン材で内側の枠組みを作りました。この内側にタッチパネルのガラス板がほとんど隙間なく収まるサイズになっていますが、木は乾燥収縮したりするので縦横2ミリ程度のクリアランスは設けておいたほうがbetterです。 接合は木工ボンドと木ねじ併用です。3mmの木ねじですが、2mmくらいの下穴を開けておかないと木が割れて使い物にならなくなります。このネジは外側の板を貼り付けると見えなくなります。 ちなみにの内部フレームは高さ30mmです。この高さにタッチパネル、LCD、マザーなどのすべての構造物を入れることになります。 |
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フレームの外側を5mm厚、高さ50mmのアガチス材で囲みました。アガチスは比較的硬い材木なので、外装には向いていると思います。接合は木工ボンドで貼り付けただけです。 木工ボンドによる接着強度は表面の平滑度と密着性に依存するので、接着時にクランプで丸1日圧着固定しています。よって上下貼り付け、左右貼り付けで2日に分けて作業しています。 これで内部フレームを20mm底上げしたことになりました。放熱路確保のため上下に隙間を設けてます。なお、タッチパネルのフレキを逃がすために内側のフレームに溝を掘っています。 |
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額縁も5mm厚のアガチス材で作成。やや難易度の高い斜め45度接合にチャレンジしてみました。タッチパネルが上下左右不均等なため、それに合わせて額縁も上下左右不均等となっています。おかげで形状がやや複雑になってます。 | |
ひっくり返してみたところ。四隅に100円ショップで売っていた三角の棒材を貼り付けました。これだけ接合部位が多いとフレームの強度は結構なものです。 なお、額縁のアガチス材は僅かに外にはみ出すような大きさで切断して接着しています、貼り付けてからカンナで面取りしました。ただし、このやり方はカンナで硬化した木工ボンドを削ることになり、刃を痛めるそうなのであまりオススメできません。仕上げに板ヤスリでカドを丸めました。 接合部にわずかに出来た隙間にパテ埋めをしましたが、色に「タモ白」を使ったのが失敗で、白く目立ってしまいました。ニス塗り仕上げの場合はあまりパテ埋めはするべきではないですね。 |
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パテ埋めの後、320番のペーパーで磨いて下地を作り、ワシンペイントの油性ウレタンニス(けやき)をエアブラシで重ね吹きしています。1回目の塗装後は1日乾燥時間をおいて、400番ペーパーで表面のザラツキを均し、再度ニス吹き、これを繰り返して4回くらいニスを薄く重ねてます。厚塗りは塗料のタレに繋がるので厳禁。逆に薄すぎると塗膜が曇ってしまいます。このあたりのサジ加減は塗料によって異なるので経験してみないと分からないです。タレる直前で止めるのがベストですが…。タレを発生させる度に無重力状態で塗装できればいいのにと思います。 エアブラシには模型用の「プロスプレーMk1(クレオス)」を使い、屋内の自作塗装ブースで塗りました。結構綺麗に塗れますが、エアブラシを使うと道具の手入れが結構大変なので普通の人は同じワシンペイントの缶スプレータイプのウレタンニスを使ったほうが良いと思います。ただし、缶スプレーはエア圧が強いのでミストが広範囲に拡散するし、ウレタンは吸い込むと有害なので室内では使いにくいのが難点です。かといって、屋外で使うとミストが風で流されるし、塗膜にゴミが付着しやすいという問題もあり、なかなかベストなコンディションで使うのは難しいです。 今回使ったワシンの油性ニスは乾燥後の塗膜強度はかなり強いのですが、塗料の伸びが悪いので刷毛目が出やすく、特に着色ニスは塗膜の厚みのムラがダイレクトに色ムラとして現れてしまいますので、刷毛塗りはあまりお勧めしません。どうしても刷毛塗りしたい場合はステイン着色→透明ニスの重ね塗りの方が失敗が少ないと思います。 塗膜の強度は落ちますが、刷毛で簡単に綺麗な仕上がりを求めるのならば、水性ステインで好みの色に着色し、ワシンの水性ウレタンニス「ツヤありクリア」を塗り重ねると良いでしょう。水性ウレタンニスは塗料の伸びが良いのでムラになりにくいです。仕上げに同じ水性ウレタンニスの「つや消しクリア」を上塗りすると刷毛目もほとんど分からなくなります。お値段はやや高いのですが、ほとんど無臭で、乾燥時間も早く綺麗に仕上がるので初心者にお勧めのニスです。 なお、今回の木工とニス塗りに関してはVIC'sDIYというサイトを参考にさせていただきました。自分の知りうる限り国内で最強のアマチュア向け木工指南サイトと思われますので木工を志すのならば必見です。 余談ですがこのプロスプレーmk1、自分は模型のサフェーサー専用として使ってます。エアブラシというよりスプレーに近い商品で、手元で吹き出し量の調整はできず、細吹きやグラデーション塗装には向きません。あくまでも全面べた塗り向けです。とはいえ、スプレーよりは低圧で細かいミストで吹けるので、入り組んだ場所などスプレーの苦手な部分にも吹きやすいです。2chのエアブラシスレでは「ゴミ」とか「うんこ」とか散々言われてますが、スプレー代わりと割り切れば結構使えます。 |
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フレームにタッチパネル、LCDパネルを組み込みましたアルミアングルにドアの隙間テープ(5mmくらいの厚みでちょっと固めのやつ)を張り付けたもので枠を作り、LCDパネルを押しつけるようにフレームにネジ止めしています。パネルは上下左右隙間がありますが、隙間テープがクッションになるので固定性は問題ないようです。 |
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内部フレームをタッチパネルのサイズで作ったため、LCDパネルはタッチパネルのガラス板よりも小さいものが必要でした。ちょっと古いパネルだと縁取りが大きくてダメです。ヤフオクで外形寸法の小さいものを物色したところ、バックライトの劣化したLTN121XU-L01(SAMSUNG)を発見したので捕獲。別の表示不良LCDから収穫した陰極管に交換して復活させました。型番から推察してそれなりに新しいもののようでしたが(入手した2006年現在)、残念ながら高輝度高コントラスト比のものではなくて、普通のノート用パネルでした。 |
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LCDの信号はLVDS 1ch 6bitですが、コネクタはポピュラーなJAE20pではなくて小型のものでした。これを手持ちのJAE20pコネクタに変換しました。 コネクタは富士通のジャンクLCD制御基板(不動品)から収穫したもの。 |
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タッチパネルコントローラはアルミアングルにスペーサーを立てて、可能な限りLCD側の位置に配置しました。そうしないとボトムプレートに張り付けた構造物と干渉する恐れがあるからです。 |
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さて、製作開始から2ヶ月弱でこのような状態になりました。一見完成しているようにも見えますが、単なるタッチパネルモニタの状態であり、中にCoCoNetのB-200Kを入れて先ほどのジャンクノート下半身を繋げてテストしています。タッチパネルの表面が白っぽいので画面も白っぽくなってしまいますが、これは致し方ありません。 ワコムのペンタブレットと違って筆圧は検知できませんが、専用ペンを必要としませんので試しにNintendo DS用のスタイラスペンでお絵かきしてみました。 |
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額縁の角はこんな感じに丸めてます。作った時点では電動トリマーを持っていなかったので、木口は板ヤスリで、それ以外は主にカンナで丸めて紙ヤスリで仕上げてます。ちなみに一番出来の良かった角を撮影していますが、出来の悪い角は多少の隙間をパテ埋めした痕跡があります。額縁が上下左右不均等なので、こういう形状で組み合わせています。 ニスの色はヴァイオリンの色を目標にしました。ニス塗りの表面の平滑度ですが、「ピアノ塗装」とまでは行かず、いわゆる柚子肌ですが、それなりに光沢は出ています。 |
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さて、フレームが完成したところで、子供の夜泣きで疲労がたまったり、急に意欲が萎えたりで3年以上も制作を中断してしまいました。その間にこの「にがHP」もしばらく運休。運休中は細々とプラモ作ったりしてました。WEBサイトは2009年11月に復旧し、お絵かきPCは2010年4月に製作再開しました。
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IDEは以前に手配線で引き出したものをそのまま利用。その他に必要なインターフェイスは、メインスイッチ、LVDS+バックライト、COMポート、PS/2、USB、スピーカー端子です。これらを40pのピンヘッダコネクタに引き出しました。コネクタはユニバーサル基板(サンハヤトICB-288)に載せてマザーのネジ穴にスペーサーを立てて固定してますが、この位置が基板のネジ穴と見事に一致してます(斜めだけど)。LVDS信号はワイヤーを等長とし、差動信号をツイストペアにしました。ピンヘッダコネクタまではシールドしていませんが、ノイズは出ませんでした。 ほとんどの信号が、0.5mmピッチのパターンに並んでいるので、いつものように配線には0.16mmのポリウレタン線を多用してます。パターンは一見非常に細かいのですが、不思議なことに慣れるとどうってことなくなります。LCDの電源ラインなど太めの配線が必要なものについてはジュンフロン線を使ってます。 |
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今回はケース放熱とするので、マザーの発熱する石(CPU、440MX、Rage)からボトムプレートまで上手く熱を伝えなければなりません。基板から一番飛び出しているものはUSBコネクタでしたが、これは利用しないので撤去。2番目に飛び出しているリチウム電池ホルダーの高さが6mmでしたので、6mmのスペーサーでボトムプレートに固定することにしました。 こうすると、CPU上の板からボトムプレートまでは3mm、440MX、Rageとは4mmほどの隙間が空きます。そこで、CPU上に3mm厚のアルミ片を貼り付け、440MXとRageには1mm厚の熱伝導ゲル+3mm厚のアルミ片を載せ、ボトムプレートにシリコングリスで貼り付けることにしました。元々のノートPCではCPUの上にヒートパイプを貼り付けたアルミの薄板をネジで留める構造になってましたので、ネジ穴はそのまま生かすことにしました。これで隙間が空くことなく安定してボトムプレートに熱が伝わるはずです。 このアルミ片はサンハヤトの「固まるシリコングリス」でボトムプレートに接着するつもりだったのですが、開封して3年以上経過していたのでチューブ内で完全に固まってました…。結構高かったのにネズミーPCで使っただけでダメになってしまった。仕方ないので普通のシリコングリスで貼り付けましたが、CPUはネジ止めだし、熱伝導ゲルは意外と粘着性があるから後からズレたりはしないでしょう。 |
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内部構造が全て完成してこうなりました。筐体側とは、LVDS、バックライト、タッチパネル電源、シリアルの4本のコネクタで繋がります。メンテナンス性を考えてできるだけ着脱出来るようになってます。 この画像で言えば、マザーはできるだけ右下寄せで配置してます。PCカードコスロットを生かし、タッチパネル制御基板との干渉を避けるためです。コネクタ類は比較的余裕のある左下にまとめました。スピーカーはアキバのどこかで1個100円で売っていた安物で、ホットボンドで貼り付けてます。インバータは100円ショップなどで売っているクッションテープで貼り付けました。これ、粘着力はかなりのものです。 なお、基本ファンレスなのですが、マザーに載っていたファンは温度アラームとしてそのまま残してます。今のところ連続使用してもボトムプレートの温度は40度台で、ファンが回り出すようなことにはなっていませんが、夏になったらどうだか分かりません。 HDDはゼロスピンドル化してSSDを使いたかったのですが、まだまだ高価ですし、CFのIDE化も実用速度のCFがまだ高価なので先送りにしてます。 ちなみに試験的に手持ちの無線LANカードをミニPCIバスに刺してみたのですが、認識しませんでした。この無線LANカードはジャンクなASUSの専用ボードから収穫したものですが、どうやら相性があるようで。無線化する際にはPCカードを内蔵すれば良い事にします。 |
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余計な機能は省いたので、背面はいたってシンプルです。左からUSB2ポート、ヘッドフォン、メンテ用PS/2コネクタ、電源コネクタ、メインスイッチの順で並んでます。 スピーカーの穴は例によって100円ショップのアルミのパンチシートで位置決めしてから開けてます。 ゴム足は付けないつもりでしたが、ACアダプタを差し込んでみたら思ったより背面に飛び出すことが判明。仕方なく付けました。 |
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この真下にCPUがあります。温度チェックの時に触ってみるのですが、肉厚(2mm)のアルミ板を使ったおかげで、局地的に熱くなることはなく、熱が広範に拡散しているような感じです。 今回、マザーを固定するネジにステンレスの低頭ネジ使ってみました。お値段は高かった(8個で240円)ですが、見た目が少しスッキリした感じになりました。 |
総評 とりあえすWindowsXpをインストールしてみましたが、ネットには繋がないので、msconfigで自動更新やセキュリティ設定などの余計なサービスを停止して軽量化を図りました。また、アイコンやタスクバーなどのボタンが小さいとタッチペンでクリックしにくいので、表示の設定を全体的に大きくして子供向けにカスタマイズしています。PeterさんのTouchPCの記事に書いてあるように、スタートメニューのアクセサリ/ユーザー補助/ユーザー補助の設定ウイザードと画面のプロパティを併用して設定しました。
ソフトについては、Vectorデザインのサイトに幼児用知育ソフトのカテゴリがあり、そこからいくつかのソフトをダウンロードしてインストールしてみました。お絵かきソフトをはじめ、あいうえお学習ソフトなど、グラフィックとサウンドを使った楽しいフリーソフトが登録されており、丁度ひらがなを覚え始めた4歳児に使わせてみました。
マウスを使いこなすのは幼児にはちょっと難しいようですが、タッチペンならばそれなりに扱えるようです。乱暴に扱ってタッチパネルを割ったりしないか心配ではありますが、楽しく遊んでいるようですのでしばらく使わせてみようと思います。飽きたら新しいソフトを入れれば良いですし、末永く使えるかも知れません。
スペック的には下記の如く今更なマシンですが、子供の知育ソフトを使うだけなら十分なクオリティかと思います。
Spec 備考 チップセット i440MX ATA33 プライマリのみ ビデオチップ Ati Rage Mobility VRAM 2.5MB内蔵 Sound ステレオスピーカー内蔵 背面出力なので音質は悪い CPU PentiumIII 600MHz 河童コア Memory 128MB 144p SO-DIMM PC100 HDD 20GB IDE 元々のHDD 光学ドライブ なし 必要時はUSBで接続 利用可能インターフェイス
PS/2 キーボード ミニPCI USBx2 PCMCIA TypeII ヘッドフォン ミニPCIはカードに相性あり
PCカードはサイズに制限あり
電源 16V AC Adaptor 富士通純正 さて、お約束の制作コストを計算したいところですが、部品調達したのがあまりに昔すぎて、既に何にいくらかかったのか分からなくなってしまいました。まぁ、いつものように普通にタッチパネルPCのジャンクを買った方が安いという結果になることは目に見えておりますので、いつものように普通の人には普通に製品を買うことをオススメいたします。
その後HDDをSSD化するためにいろいろあえいでみましたが、現在試行中ですのでご報告はまた後日。
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