2010年2月アーカイブ

郷里の父に孫の写真をみせてあげたくて、デジタルフォトフレームの購入を検討してみた。実家は遠いため、ここ数年はお互い年に1度程度しか行き来できていない状況である。そこで写真のやりとりとなるわけだが、これがついつい億劫になりがちだ。デジタルフォトフレームに画像データの入ったメモリーカードを添付してプレゼントすれば、最初の内は楽しめると思うが、画像データの差し替えが面倒になって、いずれ見飽きた写真ばかりになるのは目に見えている。しかし、最近のフォトフレームには無線LANを内蔵したものがあり、ネットから画像データをダウンロードできるものもあるらしい。幸い実家には無線LANを含めたネットワーク環境も整っている。そこで、これらを生かして、ネットワーク経由で自動で写真を差し替えられるフォトフレームが欲しいと考えた次第だ。

コンセプトはこんな感じ。
・フォトフレーム側は設置したら24時間電源入れっぱなしで触る必要なし
・画像データはウチで用意してサーバーにアップロードする
・フォトフレームは無線LAN経由で自動でサーバーにアクセスして写真を差し替える

つまり、あらかじめ画像保存用に自宅サーバーやレンタルサーバーのアカウントを用意しておいて、ウチでは何かイベントがあったときに画像ファイルをサーバーへアップロード。実家のフォトフレームは定期的にそこにアクセスして差分をダウンロードして表示画像を差し替える、というのが実現できればよい。やりとりするのは家族のプライベートな写真なので、画像ファイルは非公開とし、パスワードで保護できないと困る。また、フォトフレームは完全にメンテナンスフリーとして、電源も入れっぱなしにしたいので夜間消灯する機能は欲しいし、できれば劣化が少ないLEDバックライトが採用されているほうがいい。

そこで、デジタルフォトフレームで無線LANを装備しているものを検索したところ、以下の4つがヒットした。

・Buffalo PF-50WG(メーカー公式) レビュー

pf-50wg-wh.jpg 

これのいいところは、まずお値段の安さであり、amazonでは15000円程度だ。また、液晶の大きさが8インチと大きいし、映りも割と評判が良い。ただ、バックライトの種類はメーカー公式を見ても書いておらずLEDなのかどうかは分からなかった。何も書いてないなら冷陰極管だろうか。
画像サーバーはPicasa(公式)(wikipedia)と、flickr(公式)(wikipedia)に対応とのことであるが、ftpには対応していない。

ちなみに、Picasa(ピカサ)だのflickr(フリッカー)といった耳慣れない用語が出てきたが、いずれもネットワークで画像ファイルを共有するサービスらしい。画像ファイルにはプライベートポリシーの設定が可能であり、非公開にしたいものはパスワードロックすることもできるとのことだが、なんと、PF-50WGの公式サイトに「※パスワード保護されているアルバムにはアクセスできません。」と書いてありレビューのサイトにもそのように書かれている。ダメダメである。家族のプライベートな写真を全世界に公開するというのはまったくもってありえない、ということでこの製品は却下。アップデートでftpに対応するか、パスワード保護に対応するまで買わない。あと、バックライトはLEDにしなさい。

ということで次いってみよう。
・SONY VGF-CP1(メーカー公式) レビュー

sony2_1.jpg

液晶は7インチで、クオリティも悪くないようだが、デジカメデータが4:3画面なのに対してLCDがワイドスクリーンというのが無駄な気がする。公式サイトではデジタルフォトフレームというよりも、VAIOの周辺機器としての位置づけのようだ。しかし、既に販売は終わっているようで、メーカー直販ですら取り扱いなし。実売価格は3万円程度だったらしい。なかなか高機能で、ニュースや天気予報を自動で取得して写真に重ねて表示したり、WEBブラウザも内蔵していて、ちょっとしたPCみたいなもののようだ。コンセプトはよろしいのだが、現在後継機の発表もなく、ソニーなにやってんの?て感じ。ぐずぐずしているとまたAppleに市場を食われてしまうぞ!画像サーバはpicasaとフォト蔵に対応しているらしいが、マニュアルを読んでもパスワードロックに対応しているかどうかは分からなかった。バックライトについては、スペック表で何も表記されていないから冷陰極管?まぁ、いずれにせよ販売していないのなら購入を検討しようもない、ということで必然的に却下。

気を取り直して、次サムスンの製品。
・SAMSUNG SPF-86V (メーカー公式レビュー

spf86p_m.jpg

LCDパネルメーカーの製品であり、バックライトにLEDを採用した点は評価したいが、表面は煌びやかさに欠けるノングレアであり、あまり評判はよくない。実売価格は3万円以上と割高。また、フレームはウッド調のみで、なんとなくシニア向けな感じ。まぁそれは今回問題ないとしてもこの製品、いろいろ難点があるようだ。

ネットワーク機能としては、なんとftp"サーバー"を内蔵しているらしい。リモートでPCからフォトフレームに直接アクセスできるのは一見便利そうだが、実はこれがクセモノ。IDとパスワードが乱数で生成され、毎回本体画面でこれらを確認してからPCでアクセスしろ、という仕組みのようだ。データ差し替えのために、いちいち実家に電話してIDとパスワード(グローバルIPアドレスも)を聞き出すなんてまったくもってナンセンス。こういうのはコッソリやるからいいんじゃないか。また、画像用の内蔵メモリがたったの32MBであり、今時信じられない低容量である。SDカードやUSBメモリも使えるとのことだが、ftp経由でこれらにアクセスできるかどうかはマニュアルにも書いていなかったので多分ダメだろう。

外部サーバーへのアクセスはどうなっているかマニュアルを見たが、少なくともPicasaやflickrがどうとかは書いてなかった。とりあえずパスワード保護したファイルにはアクセスはできなさそうである。よってこの機種も却下。使えないftpサーバー機能なんていらないからftp"クライアント"機能の方を付けてくれよ。

最後にサンヨーの製品。
・SANYO HNV-M70 (メーカー公式) レビュー1 レビュー2
03_01_HNVM70_G.jpg

これは、SANYO的にはデジタルフォトフレームではなく「ホームネットワークビューワ」という位置づけらしい。デジタルフォトフレームで検索をかけてもヒットしないので、危うくスルーするところだったが、通販ショップでフォトフレームのカテゴリで販売されていたところを発見した。無線LANだけでなく、携帯電話との赤外線通信機能や、電子メールの送受信機能があったりして、離れた家族のコミュニケーションツールとして使うことが想定されているようだ。そこそこ高機能なだけにお値段も安くはなく、実売3万円弱といったところ。
液晶が7インチワイドというのはちょっと微妙ではあるが、映りに関しては評判は悪くない。バックライトがLEDかどうかは記載されていないが、タイマーによるON/OFF機能と、部屋が暗くなったら自動的に消灯する機能が併用できるため、無駄な消耗は極力避けられるようにはなっている。
気になる画像サーバーとの接続方法だが、Picasaとフォト蔵(公式)に対応しているらしい。Picasaでは相変わらずパスワードロックには非対応でダメダメだが、フォト蔵では非公開扱いのファイルも展開できるらしい。このあたりはマニュアルには明記されていないのだが、上でリンクしたレビューのサイトにそう書いてあるからたぶん大丈夫なんだろう。
公式サイトを見ると、おもいっきり田舎のジジババに孫の写真見せたりすることも想定して作っているようで、これこそまさに自分のやりたいことができるもののようだ。ただ、フォト蔵のサービスが終わってしまうと一気に使えなくなるリスクがあるだけに、やっぱりftpサーバーからのダウンロードには対応して欲しいと思う。

buffaloの製品も結構イイ線いっていたんだが、あと一歩だった。今後のファームウエアアップデートに期待したい。父の日までに改善されたらbuffaloのものに乗り換えるかも知れないが。

子供の頃、札幌の雪祭りといえば憧れのイベントだった。開催時期は毎年この時期の1週間。冬休みでもなんでもない時期であるため、関東に住んでいた自分は、学校をサボって飛行機にでも乗らない限り決して行けるようなイベントではなかった。今はどうだか分からないが、当時は「学校をサボる」などということは身内の不幸でもない限りありえないことだったし、北海道までの旅費だって簡単に親にねだれるものではなく、毎年ニュースで報じられる度に「どうしてこんな時期に!しかもたった1週間しかやらないのだろう!」と恨めしく思ったものだ。

自分が北海道に来たのはバブル経済が崩壊し、景気が悪化傾向にある頃だった。学生の頃は大通り公園の近くの賃貸マンションに住んでいたので開催時期には徒歩で気軽に行けるようになり、毎年散歩がてら見に行っていた。その頃の自分には雪祭りに対して子供の頃ほどの憧れはもうなくなっていたが、細部まで緻密に作り込まれた雪像はなかなか見所のあるものだった。大学を卒業する年には部活の後輩たちと市民雪像作りにも参加した。でも、残念ながら景気の悪化とともに出来のよい大雪像の数は少なくなってしまったように思う。大きな雪像にはスポンサーが必要なので致し方ないことだとは思うが。

あいにく今年は土日と祭日に仕事が入ってしまっていた。それでも子供に雪像を見せてやりたかったので平日の夜に仕事を終えてから行ってきた。夜は寒いという難点があるものの雪像がライトアップされており、昼間よりも立体感が強調されてよく見えるというメリットもある。この日は夜にしては比較的暖かい方ではあったのだが、子供には堪える寒さだったようで、終始鼻水を垂らして不機嫌モード。会場には屋台がたくさん出ており、熱いカニ汁だとか甘酒などで温まることができ、それが楽しみの一つでもあるのだが、子供は極端な猫舌なのでそれができず、寒くてたまらなかったようだ。

yukima01.jpg
地下鉄大通駅で降りて、西2丁目から地上に上がり西方面へ歩いた。これは途中の動物園雪像。旭川の旭山動物園と札幌の円山動物園のイメージらしい。毛並みなどがなかなか細かく作りこまれている。近くに両動物園の出店があり、白いお焼きを売っていたのでみんなで食べた。

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東京デゼニーランドのイメージのようだ。三月磨臼の背景にシンデレラ城らしきものが見える。子供対象のカラオケ大会みたいなのをやっていた。

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氷の建造物。こういうのは、氷のブロックを積み上げて削って作るらしい。雪と違って大量に氷を作る必要があるからそれなりに手間もかかりそうだが、透過光を利用して美しいライトアップが可能となっている。

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ドイツのどこだかの建物を再現したものらしい。今回の雪像で最大のものらしいが、細部までは作りこまれておらず大雑把な印象だった。

寒くて子供がぐずるので、西6丁目くらいまで歩いて引き返すことにした。どーでもいいが、帰りに通りがかった初音ミク雪像の前にはカメラを構えた人だかりが出来ていた。人気者のようだ。
帰ってきてから子供(3歳児)に「楽しかった? それとも行かない方がよかった?」と聞いたら「行かない方がよかった」といわれてガッカリ。

PS3ジャンクのお話

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このblogを読み返すと自分がPS3を購入したのが2006年11月になっているから、PS3はいつの間にか発売から3年は経過したことになる。既に小型化&低消費電力化された新型も出ており、初期型のジャンクはそれなりに安価に出回ってはいるようだ。試しにヤフオクでジャンクPS3を検索すると、40件ばかりヒットした。その中には完全動作が期待できるようなものも含まれているのだが、不動品はだいたい4000円~6000円程度が相場のようだ。

で、行きつけの情報サイトで、こんな記事が採り上げられていた。
PLAYSTATION 3 YLOD(Yellow Light of Death)

YLODってナニ?と思ったが、動画で見たところ、電源投入時に一瞬黄色いLEDが点灯し、その後赤点滅になり起動しないという症状のようだ。上の記事を見ると、故障の原因はCPUの半田割れということらしい。

BGA_package_sideview.png画像はwikipediaより引用

PS3のCPUはBGAパッケージになっていて、上図のようにパッケージの裏側に多数の半田によるボール状の電極が付いているとのこと。これをリフロー炉といわれる装置の中で半田を溶かして基板の接点に溶着させるらしい。なお、電子部品のパッケージについてはwikipediaが参考になる。BGAパッケージはすべての電極がチップの裏側に隠れているため、手作業で半田付けをしたり修復したりすることは不可能であり、半田付けに不具合が生じても個人レベルで確実に修復する手段は存在しないのだが、上でリンクしたサイトによると、CPUそのものを外部から加熱して半田割れを起こした半田を溶かし、修復することができるらしい。

ee01.jpgPS2のCPU
ee02.jpgパッケージの裏側

ちなみにBGAパッケージのCPUはPS2でも既に使われていた。PS2でも稀にBGAの半田不良が発生する事例もあったようで、これを外から加熱して修復する話は過去にも聴いたことがある。とはいえ、自分のジャンクPS2の修理経験では半田不良に起因する故障例には当たったことがないし、BBSや他のサイトでの報告例でも非常に稀だったように思う。まぁ、PS2の場合は先にピックアップが死んだり、保護素子が断線することが多いので、半田不良が表面化しなかっただけと考えることもできるのだが。

ではなぜPS3になってこのような故障事例が目立つようになったのだろう。関連サイトを見ると諸説あるのだが、ひとつはCPUの発熱量が大きくなったことで、発熱&冷却を繰り返すことによる膨張&収縮の影響が無視できなくなったという説。とはいえ、PS3は廃熱システムもそれなりに設計されているだろうし、相当な熱量を発生するBGAの石なんて昔からあって、別に珍しいモノでもなんでもない。熱が原因なら他のBGAの石でもで同様の問題が多発していてもよさそうなものだ。よって熱問題単独では説得力に欠ける。

もうひとつは鉛フリー半田の物理特性に問題があるという説。鉛は不適切に処理されると環境を汚染することから、世界的に半田の鉛フリー化が進んでいる。欧州連合で2007年「RoHS」なる規制で鉛半田の使用が禁じられたのを皮切りに、各国でもRoHSに準じた規制が進んでいるそうだ。これにより欧州への輸出を前提とした製品では鉛フリー半田を使用せざるを得ない状況に陥っており、その流れでPS3でも鉛フリー化されているだろう。ただ、ホントかウソかは知らないが、wikipediaによると鉛フリー半田の問題点として「鉛含有はんだに比べて経年劣化や接続信頼性など、対環境性が低下することがある」という記載がある。本当であれば半田の鉛フリー化が故障の原因になっている可能性は大いに考えられる。

もし鉛フリー化により、故障、廃棄される製品が増えるようであれば環境に対する負担は鉛含有半田を使った時よりもむしろ大きくなるかも知れない。穿った見方をすれば、「鉛フリー化」というのは「わが国(社)は環境問題に取り組んでますよ」という国や企業のパフォーマンスに過ぎないんじゃないのか?とも思える。メーカーには耳障りの良い環境対応を謳うよりも、鉛フリー半田の耐久性についてキチンと検証して頂きたい。

なお、こういう修理系記事が出回るとその症状の機体は治す方法が確立されたことになり、蘇生できるジャンクを入手しやすくはなるのだが、自分としてはどうも食指が動かない。もちろん、たまたま手元にそういうジャンク品があれば修復を試みるとは思うが、わざわざジャンクを買ってまでやりたいとは思わない。理由はいくつかあって、ひとつは修復方法が不確実であること。修理には外部から熱を加えるわけだが、ヘタをするとCPUを熱破壊したり周囲の面実装部品を破損したり剥がしてしまう恐れがある。仮に修復できたとしても、根本原因が対策されたわけではないのでまた同じように壊れる可能性も高い。

もう一つの理由は、初期型PS3の消費電力の問題。初期型は定格380Wというふざけた消費電力であり、無負荷で起動しておくだけでもかなりの熱(150w前後)を放出する無駄食い野郎だ。こんなものは家に1台もあれば十分で、2代目が欲しいとはどうしても思えない。(新型PS3ジャンクが安いなら欲しいかも知れないが。)ちなみにPS3の消費電力については、ここの記事が参考になる。

torne03.jpg

ところで、最近のPS3の話題として地デジを録画できるオプション「torne」が大変期待されていて、かなり売れそうな雰囲気である。家電のブルーレイレコーダーとは違って光学メディアには記録できないが、外付けHDDが使えるからこれを造設したり交換することで容量不足には対応可能だろう。PS3のパフォーマンスを生かした素早い操作性は、家電レコーダーには真似ができないレベルと思われる。

ちなみに現在amazonでブルーレイ記録メディアを買うと、50GBディスク10枚で5000円弱。即ち1TBあたり1万円弱のコストがかかる。同じ1TBの外付けHDDも1万円弱で買える。リムーバブルメディアは必ずしも容量一杯に使うわけではないので容量当たりの単価はむしろHDDの方が安価とも考えられる。HDDはクラッシュの危険性はあるが、大事なデータはバックアップしておけば良いわけだし、光学メディアのディスクの入れ替えの煩わしさを考えるとHDD単独での運用で充分なんじゃないのかと思える。そう割り切ると、ブルーレイレコーダーより安価で操作性に優れるPS3+torneのほうが俄然魅力的に見えてくるのだ。

PSX.jpgPSX(参考画像)

torneが売れればBS/CSにも対応可能なものや、チューナーを内蔵したかつてのPSXのような一体型も発売されそうだ。PSXはあまり売れなかったらしく商業的には失敗だったかも知れないが、操作性はとても良いそうでユーザーからは好評なんだそうだ。

かつてPS2の普及期にはPS2をDVDプレーヤーとして購入した人がかなり居たと聴いている。ソニーはBDプレーヤーとしてPS3を普及させることには失敗したが、ここにきて地デジレコーダーとしての需要を利用してPS3を普及させようと目論んでいるのだろう。今後torneが進化してBSデジタルにも対応し、HDDを3.5インチ化してテラバイト級に大容量化された一体型が発売されたらたぶん買っちゃうと思う。ここはソニーにもう一頑張りしてもらいたいものだ。

にがHP(母屋)

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