郷里の父に孫の写真をみせてあげたくて、デジタルフォトフレームの購入を検討してみた。実家は遠いため、ここ数年はお互い年に1度程度しか行き来できていない状況である。そこで写真のやりとりとなるわけだが、これがついつい億劫になりがちだ。デジタルフォトフレームに画像データの入ったメモリーカードを添付してプレゼントすれば、最初の内は楽しめると思うが、画像データの差し替えが面倒になって、いずれ見飽きた写真ばかりになるのは目に見えている。しかし、最近のフォトフレームには無線LANを内蔵したものがあり、ネットから画像データをダウンロードできるものもあるらしい。幸い実家には無線LANを含めたネットワーク環境も整っている。そこで、これらを生かして、ネットワーク経由で自動で写真を差し替えられるフォトフレームが欲しいと考えた次第だ。
コンセプトはこんな感じ。
・フォトフレーム側は設置したら24時間電源入れっぱなしで触る必要なし
・画像データはウチで用意してサーバーにアップロードする
・フォトフレームは無線LAN経由で自動でサーバーにアクセスして写真を差し替える
つまり、あらかじめ画像保存用に自宅サーバーやレンタルサーバーのアカウントを用意しておいて、ウチでは何かイベントがあったときに画像ファイルをサーバーへアップロード。実家のフォトフレームは定期的にそこにアクセスして差分をダウンロードして表示画像を差し替える、というのが実現できればよい。やりとりするのは家族のプライベートな写真なので、画像ファイルは非公開とし、パスワードで保護できないと困る。また、フォトフレームは完全にメンテナンスフリーとして、電源も入れっぱなしにしたいので夜間消灯する機能は欲しいし、できれば劣化が少ないLEDバックライトが採用されているほうがいい。
そこで、デジタルフォトフレームで無線LANを装備しているものを検索したところ、以下の4つがヒットした。
これのいいところは、まずお値段の安さであり、amazonでは15000円程度だ。また、液晶の大きさが8インチと大きいし、映りも割と評判が良い。ただ、バックライトの種類はメーカー公式を見ても書いておらずLEDなのかどうかは分からなかった。何も書いてないなら冷陰極管だろうか。
画像サーバーはPicasa(公式)(wikipedia)と、flickr(公式)(wikipedia)に対応とのことであるが、ftpには対応していない。
ちなみに、Picasa(ピカサ)だのflickr(フリッカー)といった耳慣れない用語が出てきたが、いずれもネットワークで画像ファイルを共有するサービスらしい。画像ファイルにはプライベートポリシーの設定が可能であり、非公開にしたいものはパスワードロックすることもできるとのことだが、なんと、PF-50WGの公式サイトに「※パスワード保護されているアルバムにはアクセスできません。」と書いてありレビューのサイトにもそのように書かれている。ダメダメである。家族のプライベートな写真を全世界に公開するというのはまったくもってありえない、ということでこの製品は却下。アップデートでftpに対応するか、パスワード保護に対応するまで買わない。あと、バックライトはLEDにしなさい。
ということで次いってみよう。
・SONY VGF-CP1(メーカー公式) レビュー
液晶は7インチで、クオリティも悪くないようだが、デジカメデータが4:3画面なのに対してLCDがワイドスクリーンというのが無駄な気がする。公式サイトではデジタルフォトフレームというよりも、VAIOの周辺機器としての位置づけのようだ。しかし、既に販売は終わっているようで、メーカー直販ですら取り扱いなし。実売価格は3万円程度だったらしい。なかなか高機能で、ニュースや天気予報を自動で取得して写真に重ねて表示したり、WEBブラウザも内蔵していて、ちょっとしたPCみたいなもののようだ。コンセプトはよろしいのだが、現在後継機の発表もなく、ソニーなにやってんの?て感じ。ぐずぐずしているとまたAppleに市場を食われてしまうぞ!画像サーバはpicasaとフォト蔵に対応しているらしいが、マニュアルを読んでもパスワードロックに対応しているかどうかは分からなかった。バックライトについては、スペック表で何も表記されていないから冷陰極管?まぁ、いずれにせよ販売していないのなら購入を検討しようもない、ということで必然的に却下。
気を取り直して、次サムスンの製品。
・SAMSUNG SPF-86V (メーカー公式) レビュー
LCDパネルメーカーの製品であり、バックライトにLEDを採用した点は評価したいが、表面は煌びやかさに欠けるノングレアであり、あまり評判はよくない。実売価格は3万円以上と割高。また、フレームはウッド調のみで、なんとなくシニア向けな感じ。まぁそれは今回問題ないとしてもこの製品、いろいろ難点があるようだ。
ネットワーク機能としては、なんとftp"サーバー"を内蔵しているらしい。リモートでPCからフォトフレームに直接アクセスできるのは一見便利そうだが、実はこれがクセモノ。IDとパスワードが乱数で生成され、毎回本体画面でこれらを確認してからPCでアクセスしろ、という仕組みのようだ。データ差し替えのために、いちいち実家に電話してIDとパスワード(グローバルIPアドレスも)を聞き出すなんてまったくもってナンセンス。こういうのはコッソリやるからいいんじゃないか。また、画像用の内蔵メモリがたったの32MBであり、今時信じられない低容量である。SDカードやUSBメモリも使えるとのことだが、ftp経由でこれらにアクセスできるかどうかはマニュアルにも書いていなかったので多分ダメだろう。
外部サーバーへのアクセスはどうなっているかマニュアルを見たが、少なくともPicasaやflickrがどうとかは書いてなかった。とりあえずパスワード保護したファイルにはアクセスはできなさそうである。よってこの機種も却下。使えないftpサーバー機能なんていらないからftp"クライアント"機能の方を付けてくれよ。
最後にサンヨーの製品。
・SANYO HNV-M70 (メーカー公式) レビュー1 レビュー2
これは、SANYO的にはデジタルフォトフレームではなく「ホームネットワークビューワ」という位置づけらしい。デジタルフォトフレームで検索をかけてもヒットしないので、危うくスルーするところだったが、通販ショップでフォトフレームのカテゴリで販売されていたところを発見した。無線LANだけでなく、携帯電話との赤外線通信機能や、電子メールの送受信機能があったりして、離れた家族のコミュニケーションツールとして使うことが想定されているようだ。そこそこ高機能なだけにお値段も安くはなく、実売3万円弱といったところ。
液晶が7インチワイドというのはちょっと微妙ではあるが、映りに関しては評判は悪くない。バックライトがLEDかどうかは記載されていないが、タイマーによるON/OFF機能と、部屋が暗くなったら自動的に消灯する機能が併用できるため、無駄な消耗は極力避けられるようにはなっている。
気になる画像サーバーとの接続方法だが、Picasaとフォト蔵(公式)に対応しているらしい。Picasaでは相変わらずパスワードロックには非対応でダメダメだが、フォト蔵では非公開扱いのファイルも展開できるらしい。このあたりはマニュアルには明記されていないのだが、上でリンクしたレビューのサイトにそう書いてあるからたぶん大丈夫なんだろう。
公式サイトを見ると、おもいっきり田舎のジジババに孫の写真見せたりすることも想定して作っているようで、これこそまさに自分のやりたいことができるもののようだ。ただ、フォト蔵のサービスが終わってしまうと一気に使えなくなるリスクがあるだけに、やっぱりftpサーバーからのダウンロードには対応して欲しいと思う。
buffaloの製品も結構イイ線いっていたんだが、あと一歩だった。今後のファームウエアアップデートに期待したい。父の日までに改善されたらbuffaloのものに乗り換えるかも知れないが。