2010年5月アーカイブ

昨年の夏に実家から引き取ってきた電子ブロックEX-30の修理を行った。これは自分が小学低学年の頃に兄がお年玉を使って近所のおもちゃ屋で購入したものだ。同梱されていた昭和51年のカタログによるとEX-30でも定価5,400円。当時最上位機種とされていた定価13,000円のEX-150はよほどのお金持ちでなければ買えなかった。よって普通の小学生は貯めたお小遣いで買える範囲の下位機種を購入して、お小遣いを貯めながらアップグレードパーツを買い足して"最終形態"EX-150を目指したのであった(初期ラインナップに存在しなかったEX-181のことはこの際考えない)。このような売り方はメーカーや販売店は不良在庫を抱えるリスクがあるものの、子供たちの購買意欲を掻き立てるには上手いやり方だったと思う。

ウチのEX-30は兄がEX-Bパーツ(定価2,800円)、EX-Cパーツ(定価1,500円)を買い足してEX-100相当にした状態で保管されていた。兄が飽きた後はしばらく自分が使っていたのだが、遊びすぎてICアンプが壊れ、ブロックもいくつか機能しなくなっていた。まず、これを修復することから開始した。

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まずはアンプの修理だが、とりあえず電解コンデンサを総入れ替えしてみた(左写真は取替え後のもの)。しかし、これだけではひどいノイズが直らなかったのでICの故障と判断。このICアンプユニットは初期型らしく、後に採用されたLM386ではなく三菱の「M5118L」という石が使われていた。ネットで検索してみると既に製造中止になっているようだ。流通在庫を探せばまだ手に入りそうではあったが、手持ちのLM386でも代用可能なので、これを用いることにした。元の回路とは若干異なるが、復刻版の回路図を参考にIC保護のためのダイオードを電源ピンにかませておいた。

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ブロックもいくつかダメになっていたが、電解コンデンサは中身を取替え、腐食が見られたバネ接点は交換した。交換用接点は数年前に製造元(電子ブロック機器製造株式会社)に頼んで譲ってもらったものだ。半田割れによる導通不良もいくつかあり、半田付けを強化。さらに、磨耗でプリントが見えづらくなっていたブロックはエナメルシルバーを面相筆でスミ入れし、リフレッシュした。

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ボリウムもガリガリになっていて、いつものように可変抵抗の接点にオイルを注して復活を試みたが、これだけではダメ。接点がないはずのバリコンもガリガリになっていた。よくよく観察するといずれも回転軸が接点になっており、これの接触不良が疑われたため、ここに微量のオイルを浸透させたところガリは消えた。なお、これに用いるオイルは鉄道模型用のものがオススメ。プラスチックを侵すCRC-556などは使わないほうがよい。オイルは微量でよく、1滴でも多いくらい。自分は適当な先端工具の先にオイルを付けて、そこから流し込むようにしている。

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次にアップグレードだが、EX-Dパーツ(定価1,500円)は数年前にヤフオクで発見し捕獲していた。残るはEX-Eパーツ(定価2,100円)と、カバーパーツ(定価800円)なのだが、これがなかなかヤフオクで出てこない。たまーに出ても意外に値段が釣りあがって二の足を踏んでいた。ちなみに製造元の方によると、カバーパーツは復刻版とオリジナルとでは形状が異なるそうで、互換性はないとのことであった。古い不良在庫を地道に探すしかないと思っていたが、なんとネットで検索したら今でも売っているおもちゃ屋を発見。タマ数が少ないので敢えてリンクはしないが、レトロなオモチャを扱うお店で、恐るべきことにカバーパーツ、EX-Aパーツ~EX-Eパーツ、シンセパーツ、FMパーツまで全部揃っていた。若干のプレミアが付いていたものの、比較的定価に近い良心的な価格であったので早速注文した。せっかくなのでついでにFMパーツも注文した。

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カバーパーツは新品未開封で、取り付け用のねじとノブが同梱。読むまでもないような説明書が付属。微妙なキズがあったが、もともとキズの付きやすいスチロール樹脂のようなので、ある程度は致し方ないだろう。

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EX-Eパーツはメーターと、ブロックx8、回路集が同梱。これも新品未開封品で、製造後30年以上経過してようやく日の目を見ることになった。保存状態としては、回路集に黄変があったものの、ブロックの接点に腐食はなく動作には支障なし。

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こうして30年以上の時を経て、EX-30が"最終形態"EX-150に進化する時が遂に訪れたのであった。長年の夢を成し遂げた気分でしばらくウットリと眺めてしまった(他人からみたらバカみたいだろうが)。このEX-30改めEX-150は今年のクリスマスにでも小学4年生の甥(元の持ち主の長男)にプレゼントしようと目論んでいる。甥はいまどき珍しい昭和テイストな男なので喜んでくれるかも知れない。

ラジオ直した

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先日話題にした、Aceの8石ラジオの修理を行った。音が割れてマトモに聴けなかったので、電解コンデンサを全て(4個)交換。さらにイヤホンジャックを紛失していたので、これを取り付けた。

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電解コンデンサは手持ちの適当なものを使ったが、同じ規格でもサイズが小型化されてることに時代の流れを感じる。半田面は当時の拙い技術により、かなり酷いことになっていたので、全面的に半田付けをやり直した。

元々イヤホンは2.5mmモノラルプラグのマグネチックイヤホンが付属していたのだが、残念ながら紛失。今時2.5mmのイヤホンはあまり見かけないし、2.5mmイヤホンジャックを扱っている店も少ない。3.5mmに付け替えることも考えたが、たまたま科学教材社の通販で適合しそうなジャックを見つけたので、オリジナルに近い状態で復活できた。

再調整して聴いてみたところ、スーパーヘテロダイン方式なだけあって、放送局の選択度はかなり良くバリコンの調整がシビアすぎるくらい。感度も良好でボリウム絞り気味でも五月蠅いくらい良く鳴る。ただし、スピーカーや箱が安っぽいので、高音がキンキンと耳障りな感じがする。スピーカー出力にコンデンサを取り付けて高音をカットしたほうが聞きやすくなりそうだ。

8tradio02.jpg

ちなみに、科学教材社のCHERRYの8石ラジオの在庫が復活したので、これも入手してしまった。筐体の大きさはAceの8石ラジオとほぼ同じ。中身もほとんど同じだと思う。ついでに、電子工作マガジンに基板が付属していた2石レフレックスラジオやICラジオを作るためにいくつかの部品も注文した。

今やAMラジオは実用的なものでも100円ショップで売られており、部品を集めて作ることに学習以外の意味は無くなっている。そんな時代にラジオのキットの需要なんて僅かなものだろう。それでもエレクトロニクスを学ぼうとする者のためにこれだけのキットを用意しているメーカーや販売店には頭が下がる思いだ。

ちなみに昔作ったHOMERのワイヤレスマイクWL303(参考リンク:ワイヤレスマイク研究室)のような小型のワイヤレスマイクも売られていたので注文しようとしたら残念ながら品切れだった。WL303は中学の頃に作ったのだが、お値段1000円程度と買いやすい値段で、しかも小型高性能で、小さな音もよく拾うし飛距離200mを謳っていた。当時の雑誌広告には「盗聴器に最適」などと書かれていたが、今ではそんなことは書けないだろうな。そもそも電波法だかなんだかでFM帯にこれほどの飛距離を持つ電波を出す装置はもう売れないだろうし。回路図があれば再現してみたいが、残念ながら見つけられなかった。

なお、今回入手したCHERRYの8石ラジオは子供が大きくなってから一緒に作ろうと思い、しばらく寝かせておくことにした。買えるうちに買っておかないといつ入手できなくなるか分からないから。

BBSのSPAM対策

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ここ1ヶ月ほど「にが up BBS」へエロサイトの広告SPAMが毎日1件程度投稿されていた。エロ画像を添付してくるものもあったので、画像を認証しないと表示できないようにしたり、一時的に親スレを管理者のみの投稿にしてみたりしたが、一向に止む気配がない。

NGワードを設定して同じ投稿は二度と出来ないようにも対策はしていたが、NGワードに半角スペースを入れてきたり、似た文字に入れ替えたり、URLをキャラクターコード表記で書いてきたりと、敵も巧妙に網をすり抜けてくる。

たとえば「エロが」NGだとすると「エ□」に換えたり、URL項目で「niga」がNGワードなら「%6eiga」換えたり。URLはキャラクターコード表記でも半角文字と同じ扱いになるから、閲覧者がクリックすればまんまと敵のエロサイトに飛ばされてしまう。

これがロボットSPAMの仕業だとすると、キチンとエラーメッセージを読解してエラーを回避するプログラムが組み込まれているということになる。なかなかインテリジェントなやつだ。

投稿の頻度もなかなか考えられている。1日に大量に書き込まれるようなことになれば、管理人がBBSが閉鎖したり、他のcgiに変更したりという対策を取るであろうが、1日1回であれば、面倒くさくても削除の追いつく程度であり、積極的なSPAM対策をしない管理人も少なくないだろう。

ウチではしばらくの間いちいち削除&NGワード設定をしていたのだが、いい加減面倒くさくなってきたので本腰を入れることにした。まずUPP-BOARDがバージョンアップしていないか調べてみたが、残念ながらこのcgiは2002年以降更新されていない。SPAM対策のしっかりした他のcgiに乗り換えることも考えたが、過去ログをどうするかという問題もあるし、UPP-BOARDの使い勝手は気に入っているのでなるべく変えたくない。そこでUPP-BOARDのcgiを改造してCAPTCHA認証機能を付けることにした。投稿者には若干の面倒を強いることになるがエロSPAMを放置しておくわけにもいかないので致し方ないだろう。

CAPTCHA認証については、ここのサイトのプログラムを利用させていただいた。下に書いたようにUPP-BOARDのcgiに合わせてカスタマイズが必要。導入後数日経過を見ているが、広告SPAMはピタリと止んでいる。人力SPAMであれば突破してくるはずなので、やはりロボットSPAMの仕業だったようだ。

以下覚え書き。ウチと同じようにUPP-BOARDを使っているWEBマスターがいれば参考になると思う。

1.ダウンロードしたconkey.*の内容をBBSと同じ場所コピーして属性変更

image_gen.cgiとkeyinit.plは属性755として実行可能にする。
bg_gen.cgiは背景画像"bg.gif"を作製する時だけ使用するので、デフォルトのbg.gifでよい場合はコピー不要。

2.keyinit.plの編集

1)暗号化キーはデフォルトのままだと突破される恐れがあるので任意に書き換え

$crypt_key = 'xxxxxxxx';

2)フォントのパスはサーバーに合わせて変更(ウチの「vine Linux」では下記)

$font = '/usr/X11R6/lib/X11/fonts/TTF/luxirb.ttf';

3)確認キーチェックのサブルーチンの「&error」文字列をupb.cgiの仕様に合わせて「&er_」に書き換える
  尚、私はデフォルトで設定されている「キーワード」をBBS上で表記されている「確認キー」に変更した

sub key_chk {
#(確認キー,暗号キー)
    my($chk, $key) = @_;
    my($plaintext,$old_time);
    if (!$chk){&er_("確認キーを入力してください");}
    # エンコード
    ($plaintext,$old_time) = &de_key($key);

    # キー一致
    if ($chk eq $plaintext) {
        # 制限時間オーバー
        if(time - $old_time >$ef_time*60){&er_("制限時間をオーバしています"); }
        # 制限時間OK
        else{ return 1; }
    # キー不一致
    }else{&er_("確認キーが誤っています"); }

4)確認キーの文字数、背景イメージ、フォント色、 フォントサイズのカスタマイズ

$len = '4';
$bgfile = 'bg.gif';
$font_color = '#e0e0e0';
$font_size = '18';

3.upb.cgiの編集

1)冒頭に require './keyinit.pl'; を挿入。

require './jcode.pl';
require './keyinit.pl';

2)スレコメントの削除キー入力の下に以下挿入。

/削除キー/<input type=password name="delkey" size=4 value="$c_key"$ff><br>
</td></tr>
<tr><td align=right>確認キー/<img src="./image_gen.cgi?$ciphertext" alt="確認キー">
<input type=text name="chk" size=8 value="" maxlength=8></td></tr>
<input type=hidden name=ciphertext value="$ciphertext">

<tr><td align=right>
<input type=submit value=" レス "$fm>
<input type=reset value="リセット"$fm>

3)ログ書き込みサブルーチンの冒頭に下記挿入

sub wri_ {
&key_chk($chk,$ciphertext);

4)フォームなどのデコードの項目に下記追加。

$mo =$FORM{"mo"};
$hr =$FORM{"hr"};
$chk =$FORM{"chk"};
$ciphertext=$FORM{"ciphertext"};

5)フォームサブルーチンの冒頭に下記追加。

sub form {
$ciphertext = &en_key;

6)フォームの「送信する」ボタンの直前に下記挿入。

print <<"_KEY_";
</td></tr>
<tr><td bgcolor=$ttb>確認キー</td><td colspan=3>/<font color="red">右の$len文字($charset[$chr])を入力してください。</font> (キーは<font color="red">$ef_time分有効</font>)
<img src="./image_gen.cgi?$ciphertext" alt="確認キー">
<input type=text name="chk" size=8 value="" maxlength=8></td></tr>
<input type=hidden name=ciphertext value="$ciphertext">

<tr><td align=right colspan=4><input type=submit value="送信する"$fm>

とあるblogで科学教材社ヤフーショッピングサイトが採り上げられており、8石スーパーラジオキットを購入したとの記述があったため、懐かしくなって子供の頃に作ったAceの8石スーパーラジオを引っ張り出してみた。

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これは、自分が小4の頃に小学校の近くの文具店で購入したものだ。確か、誕生日のプレゼントとして親にねだって買って貰ったものだったと思う。その文具店は昔はよくあったホビー関係の商品も扱う店で、放課後に友達と入り浸ってはプラモや工作キットなどを品定めしていたものだ。ここで買ったプラモも数多く、思い入れのある店であったが、残念ながら既に閉店、現在は更地になっている。

あの頃は、エース電気(Ace)、 HOMERといったメーカーがラジオなどのキットを何種類か出しており、こちらのサイトにいくつか画像付きで解説されている。ラジオのデザインはAceの方が格好良く見え、兄が先行してAceの1石ラジオ、4石ラジオを作っていた。HOMERの製品は自分がゲルマラジオ、兄が1石ラジオを作った。ゲルマラジオはバリコン同調、1石ラジオはコイル同調で単三電池で動作するものだったが、いずれも一番近い地方局の放送がイヤホンでかすかに聞こえる程度の性能だった。

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キットはプリント基板に部品を半田付けするだけのものであったが、さすがに小学生の自分には荷が重かったので、中学生だった兄に作ってもらった。しかし、完成したはずのラジオはスイッチを入れても「プーーー!!」と騒々しい発振音が聞こえるのみ。「8石ブザー」などと馬鹿にされ大変悔しい思いをしたのだが、その後自分で半田スキルを身につけ、不良な箇所を発見し、修復したのだった。原因はありがちな「半田付け不良」であった。

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購入当時、既にトランジスタは樹脂モールドされたシリコントランジスタが流通していたが、このキットに付いていたのは金属パッケージのゲルマニウムトランジスタ。この手の商品は小学生対象の文具店ではあまり売れないようで、しばらく店頭に置かれていたのだろう。紙箱のパッケージもなんとなく古くさかった。

電源は006P電池で、取り付けてスイッチを入れたところ、一応鳴るようではあった。しかし音が割れた感じがする。さすがに25年以上経過しているので、電解コンデンサが劣化しているのかも知れない。ついでに、イヤホンジャックがなくなっているので、これもいつか治してやりたい。

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さて、科学教材社といえば、東京神田にある電子工作教材の老舗である。既に休刊となった「初歩のラジオ」、「ラジオの製作」といった雑誌に数々のオリジナルキットの広告が掲載されており、子供の頃に一度だけ母と行ったことがある。そこで買ったのが、この電子ビックリ箱と、ベビー蛍光灯キットだった。電子ビックリ箱は006P電池の9Vを昇圧させ、高電圧を人体に流してビリビリさせるもので、学校に持っていって5人くらいで手を繋いで輪になり、みんなで一斉にビリビリさせたりして遊んだ覚えがある。

して、このビックリ箱、実は2007年に兄に神田の店舗で買ってきて貰ったものだ。当時の製品は、自分がバカやって壊してしまい(ネオン管をAC100Vに差し込んで粉々にした)、既に失われていたのだがマニュアルだけは保管していて、これを新たに買った物と比較してみたら、まったく同一だった。、当時の在庫がまだあるのか、それとも今でも新しくキットを用意しているのかは判らないが、恐るべきタイムカプセルぶりである。他にもいくつかのキットが昭和時代のまま売られているらしい。

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キットは森永のHi-CROWNチョコレートの箱に最適化されており、この箱を調達できるのか心配であったが、なんと今でもほぼ同じデザインで100円ショップで売っていた。当時の物と比べてなんとなく箱が小さくなったような気もしないではないが、基板や電池が問題なく収納できるのでOKだろう。ビリビリの接点には、昔アルミフォイルを糊で貼り付けたような記憶があるが、今回は雨樋修復などで使うアルミの粘着テープを使った。ネジもなるべく出っ張らないように低頭ネジを採用。

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中では何故かネオン管が光るようになっており、高電圧が生成されていることが分かる。中学生の頃「高電圧で光るんなら、AC100Vに差し込んでも光るんじゃね?」等とバカなことを考えて、実行に移したことが悔やまれる。

「初歩のラジオ」や「ラジオの製作」はもうないが、ラ製の電波新聞社が「電子工作マガジン」を4ヶ月に1号のペースで刊行中だ。紙面の構成が当時のままで、眺めるだけでとても懐かしい感じがする。昔ながらのラジオの製作記事もあるが、マイコンやPCを使った現在の事情に即した記事もあり、いつか作ってみたいと思い2号から講読中。

ちなみに「初歩のラジオ」は苫小牧の青少年科学館のアマチュア無線コーナーにかなりの巻数が保管されている。

にがHP(母屋)

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