WEBサイト休業中には木工でこんなものも作っていた。テレビボードのカウンターは大工さんの作りつけだが、その下の空間に合わせて幅2,430mmのテレビボードを製作した。
構造材、および棚の材料はホームセンターの18mm厚シナランバーコア材。ガラス扉の枠材には19mm厚のパイン集成材を採用した。材料の切り出しには精度が要求されるため、札幌の大型ホームセンター(ジョイフルエーケー)のカット職人さんにお願いした。カット料金はかかるがパネルソーを使うため、切断面は平面だし、確実に直角も出る。腕の確かな職人さんのようで誤差は1mm未満に収まっていた。1カット50円の価値は十分にあるだろう。
構造材はダボ+ねじ接合に加えて木工ボンド併用。強度は十分にあり、上から大人一人歩行してもびくともしなかった。構造材は320番の紙やすりで丹念に表面処理した上で水性ステインで着色、ワシンペイントの水性ウレタンニス2回塗りで仕上げている。水性塗料は物理特性が油性ニスに比べて劣るが、乾燥時間がとても早くほとんど無臭であるので、作業効率がよく完成後に臭いで悩まされることもない。しかも塗料の伸びがよいため、刷毛塗りでも刷毛目がほとんど出ない美しい仕上がりが期待でき、日曜大工レベルの工作にはオススメの塗料である。なお、ニスは1回目つやあり、2回目つやなしで塗装しており、仕上がりはしっとりとした落ち着いた印象になった。
扉はパイン集成材を組み合わせて接着して枠材を作った。特にダボやねじは使わず木工ボンドのみでの接合(いわゆるイモ継ぎ)であるが、自作の大型クランプを使って強力に圧着したため強度として問題ないレベルだろう。パネルソーでのカット精度が高いため、接合部には隙間がほとんどなく、形状に歪みもなく組みあがっている。接着後は電動トリマーで角にRが出るように面取りを行った。
320番ペーパーで表面処理を行った後は、構造材と同様に水性ステイン+ニス2回塗り仕上げ。それぞれの塗装の間は6時間程度の乾燥時間を確保し、400番ペーパーをかけている。ちなみにガラスは色つき(ブロンズカラー)のアンティークガラスを採用した。表面に不規則な線が走っているのが特徴で、ステンドグラスでよく使われているガラスである。ネットのガラス専門店から通販で購入した。自分でカットもできるが、直線、直角の精度を出すのは素人には難しいので、カット済みの状態で送ってもらった。
左下の扉の中には手持ちのサブウーファーが収納できるようにした。サランネット(ヤフオクで購入)を10mm×10mm角ヒノキ材で組んだ枠材にステープラーで打ち付けて、扉の内側にトリマーで掘った溝にはめ込んで釘で留めている。
扉のヒンジはホームセンターで普通に売られているものを使ったが、あまり良いものではなかったらしく、調整後に若干狂いが出ている。バネで扉がバタン!と閉まるタイプであり、その際ガラスがビビって精神衛生上よろしくないことがわかったため、後からダンパーを増設した。この手のダンパーはあまり流通しておらず、ネット通販や何件かのホームセンターを探した結果行き着いたのがこのHIGAKIのダンパー(なぜかメーカーサイトに情報無し)。1個500円程度と高価であるが、安物とは別格の硬さと戻りの早さがありこれに勝るものは見つけられなかった。札幌の大型ホームセンター(ホーマック東雁来店)で取り扱っていたが、数が揃わなかったので地元のホーマックで取り寄せてもらった。ホーマックでも大型店舗でしか扱っていないらしく、北海道での取り扱い店舗は5店程度とのことであったからこの手の商品の需要はあまりないのかも知れない(自分としてはガラス扉には必須の装備と思うが)。これを取り付けたおかげで子供が無頓着に扉を閉めても、閉まる手前で減速し、その後音もなくゆっくりと扉が閉まるようになった。
他には200円程度のダンパーを2種類試したのだが、オイル漏れしたり、やわらかすぎで実用にならなかったりとダメダメであった。なお、ガラスはトリマーで掘った溝にはめ込んでホムセンで売ってるヒノキの棒材を釘で留めて固定している。
引き出しは、ネット通販で購入したアトムリビンテックのスライドレールを採用。上段はCDやゲーム機のコントローラを収納できるサイズとし、下段はDVDケースを縦に並べるのに丁度良いサイズで設計した。
テレビボードは市販品もたくさん出回っているが、丁度良い大きさでなかったり、手持ちの機材に合わせた調整が利きにくいデメリットもある。デザイン性では市販の洒落たものには及ばないが、今回の作品は自分の使いたいAV機器の種類や数に合わせたサイズ、棚板の数で設計できたし、大工工事とシンクロして取り付けたので完全に家と一体化しており、個人的には満足している。ちなみに費用は材料だけで8万円くらいかかったが、同様のものを業者によるオーダーメイドで作ると40~50万円ほどかかるようなので費用の点でも合格だろう。このような家具を作るのは初めてであったが、道具やノウハウも一通り揃ったので今後子供の成長に合わせて必要な家具はなるべくDIYしてゆこうと思う。
なお、この作品を制作するにあたり、VIC's DIYというサイトを大いに参考にさせていただいた。自分の検索した限りでは、国内で最も充実した木工指南サイトであり、全てのページにあらゆるノウハウが凝縮されている。通読することでほぼ一通りの知識は得られるので家具のDIYを考えている人には是非オススメしたい。
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