古い扇風機を200円でスマート家電化してみた

最近急に暑くなって北海道でも熱帯夜が観測され、家電量販店では扇風機が品切れになっているらしい。我が家でも扇風機を引っ張り出して使っている。1999年、あの「恐怖の大王」が降りてくるはずだった夏に買ったものだ。この年は「北日本では平年よりも1.5℃も暑く、観測史上3番目に暑い夏」だったらしい(Wikipediaによる)。

F-C311T-H(改造後)

うだるような連日の猛暑に耐え切れず、そうご電器YES(2002年経営破綻)にチャリで買いに行ったのだが、扇風機が売れに売れて廉価モデルは品切れ。当時としては高級なこれを買うしかなかった。

松下家電がPanasonicで統一される前のNationalブランドである。20年目を迎えているがまだ普通に使える。とはいえ、古い扇風機は配線やモーターの劣化による発火事故の事例があるそうなので、非在宅時は使わないほうが良いだろう。

コンソールはマイコン制御の4ボタンで、タクトスイッチが仕込まれている。ガッチャンスイッチの安物よりは近代的であるが、リモコンがないので操作は面倒。新しいものに買い換えれば済む話ではあるが、まだ使そうだし、ネタとして面白いので赤外線リモコン対応に改造してみることにした。


Amazon Echo Show5 とeHome mini

赤外線リモコンは既に枯れた技術であるが、AmazonのEchoシリーズ(アレクサ)と赤外線送受信機(eHome)と連携することで、スマート家電化できるというメリットがある。寝ながら「アレクサ、扇風機消して」が実現可能になるのだ。

電子工作マガジンのアンプ

ちなみに小生が電子工作マガジン2016年冬号で発表したデジタルアンプは赤外線リモコン制御のため、このままeHomeに対応可能。アプリで「テレビ」として登録すると、電源、ミュート、音量、入力切替のすべての機能が音声制御できる。組み立てキットを「家電のケンちゃん」さんで頒布中。


今回扇風機用に用意した制御回路がコチラ。使用マイコンはデジタルアンプと同じPIC 12F629。プログラムもチョチョイと改造して再利用した。仕様としてはこんな具合


  • 送信機はテキトーな家電リモコンを使用(NEC,SONY,家電協フォーマット)
  • リモコン信号を学習して、内部EEPROMに保持
  • OUT0はオルタネイト動作(リモコン操作の度にL/Hレベル切り替え、初期値H)
  • OUT1,2,4,5はモーメンタリ動作(リモコン操作時のみLレベル)で、オープンドレイン出力

オルタネイトx1、モーメンタリx4出力あるので、そこそこ応用が利くと思う。実際に書き込んだプログラムのHEXファイルがコチラ

できた基板はこんな具合。材料原価は200円程度。IRモジュールはガワから顔を出したときに違和感の少ないタイプにした。なお、元の扇風機の制御マイコンのVccレベルが5.7Vであり、PICの定格5.5Vを上回ってしまう問題が発生。そのため電源ラインにダイオード1本挟んで降圧した(順方向電圧降下を利用)。

扇風機の4つのタクトスイッチは押下時に信号がGNDに落ちるタイプで、いずれもモーメンタリ動作なので、PIC出力信号はOUT1,2,4,5の4本を使用しOUT0は不使用とした。なお、各信号は5.7Vに内部プルアップされており、ダイオードで降圧したPICマイコンのVccレベル(実測値5.3V)とは微妙なギャップがある。出力電圧同士がぶつかることはないが、PICのGPIOに微妙に高い電圧がかかってしまうため、気休めに100Ω抵抗を挟んでおいた。また、改造部分はポリイミドテープで保護している。


初回使用前にはリモコンコードの登録が必要となる。家電用リモコンなら大抵のものは使えるが、扇風機用のものが入手できればベスト。コードは下記手順で何度でも再登録でき、EEPROMに保持されるので電源を切っても問題なし。なお、手順3で無反応のリモコンは非対応フォーマットなので他のリモコンを使うべし。

  1. PIC4p(GP3)のジャンパをGND側にして電源投入(初回起動時は不要)
  2. ジャンパをIRモジュール側にする(LEDがチカチカ光る)
  3. OUT0に割り当てたいリモコンのボタンを押す(LED点灯)
  4. OUT1,2,4,5に割り当てたいリモコンのボタンを順に押す(LED点滅)
  5. 登録完了するとLED消灯

組み込んだIRモジュールは感度良好。5m程度離れているところからリモコンを明後日の方向で操作しても問題なく応答した。

あとは、eHomeアプリでリモコン信号を登録し、Amazon Alexaアプリでデバイス登録すればスマート家電化が完了する。2019年8月現在では、eHomeアプリが扇風機のスキルに対応していないため、とりあえず「電球」として登録し、デバイス名を「扇風機」に設定。電源スイッチと風量スイッチのみ音声入力対応にした。これで「アレクサ、扇風機消して」や、「アレクサ、扇風機明るくして」といった音声コマンドが使えるようになった。

この手法で、他にも様々なデバイスが安価にスマート家電化できると思われる。腕に覚えのある方は夏休みの工作にでもチャレンジして欲しい。


お約束ですが、この記事を参考にして家電製品等の改造に着手し、その結果製品の故障や火災等いかなる被害が発生しても当方は責任を取れません。電気に対する正しい知識、および工作スキルを身につけた上で自己責任にて行ってください。また、家電メーカーへのお問い合わせもご遠慮ください。