基板チェッカー

猫の手3号は組み立てキットとしてリリースするため、出荷する基板が良品か否か、組み込み前に調べる必要がある。M.A.D.社からのリリースが滞ってしまった主な理由がコレで、簡単にチェックできる装置の必要性は感じており、今回重い腰上げてチェッカーを作成した。

猫の手3号b用のチェッカーがコチラ。内部の2mmピッチの5pパターンにピンヘッダとピンソケットを継ぎ足してかさ上げし、ケース背面からキット基板を直接挿し込めるようにしてある。

鰐口クリップはWakeUp信号用のもので、Rボタンへ配線してある。電源のピンソケットを差し込むと動作するので一通りの操作をチェックできる。

猫の手3号c用のチェッカーがコチラ。ピンソケットを長めのピンヘッダでかさ上げしてある。基板は赤外LED非実装の状態のためテスト用のLEDが必要で、足にスルーホール用テストピンを半田付けしている。鰐口クリップはR2ボタンに増設したダイオードに接続してある。

テスト対象を挿しこみ、LEDと鰐口クリップと電源を接続すると動作する。これらのチェッカーで製造した基板が全品動作品であることを確認した。

D-SUBコネクタ加工方法

猫の手リモコン受信機で使うDサブコネクタの加工方法について、試行錯誤の末辿りついた我流のやり方ではあるが、備忘録として記録しておく。

Dサブ9pはMSX本体によっては金具の出っ張りが本体に干渉して奥まで刺さらない。15pの方はファミコンの拡張端子と同じ形状であるが、金具だけでなく、中の樹脂部分の出っ張りが邪魔で奥まで刺さらない。

まずは金具のカシメ部分(ネジ穴)を金工用ドリルで皿モミする。ステンレス用のビットを使うのがbetter。

このくらい削っておけば殻割りできる。

Dサブ15pの方も同様に殻割りして中身を取り出す。金具は燃えないゴミに捨てる。

15pの方は一旦ピンを全部引っこ抜き、ベンチバイスに固定して棒ヤスリでゴリゴリ削る。

棒ヤスリで4辺を削ったところ。

角はルーターで削って仕上げる。このルーターはステンドグラス製作で使うガラス用。プラを削るには効率が悪いが仕上がりは綺麗になる。

削り終わったところ。バリはナイフで削ぎ落とす。

15pの方はピンを戻しておく。全ピン使うと着脱が固くなるのでファミコンの1コンに必要なピンだけにした。

プラ部品の接合にはアルミの粘着テープを使う。手前がダクト・水回り補修等で使うアルミテープでホムセンで売っているもの。奥のはガラスファイバー入りで昔ラジコンのポリカボディの加工用に買ったもの。機械的強度が稼げるが厚みが出るのが難点。今回は普通のアルミテープで十分。

短冊に切ったアルミテープを接合部分に巻きつける。

手で軽く馴染ませたらペグという道具でさらになじませる。

ちなみにアルミ短冊のサイズはこのとおり。9p用は7x55mm、15p用は6x60mmに切ると丁度良い。

コネクタの加工はこれで完成。15pは削る工程が面倒くさい。

1個や2個作るくらいなら大した作業量ではないが、1ダース作ろうとすると地味に大変だったりする。

猫の手3号c製品版試作

初代プレステのノーマルコントローラをレトロPC&ファミコン用に赤外線ワイヤレス化する改造基板「猫の手3号c」基板の試作を行った。まずは部品実装状態から。

PSノーマルPADは製造時期・工場によって複数のリビジョンがあるが、基板にHOSIDENとシルクのあるものはコネクタのピンアサインが他と異なるという困った仕様。幸いPICはプログラムでピンの機能を変更できるので、起動時にJP1の状態を読んでモードを切り替えている。今回はホシデン製のコントローラでテストするのでJP1は半田を盛ってショートした。ちなみにJ1から伸びているワイヤーはWakeUpトリガ用。

組み込み後は見えなくなる基板裏側。コントローラ基板のコネクタ位置はリビジョンにより微妙に異なるので、LEDは仮組みして位置を合わせた状態で半田付けする。

ガワにも問題なく組み込めたが、内部の構造もコントローラによって多少異なるため、一通りの検証作業は必要。

WakeUpトリガ用のワイヤーはコチラに接続。R2ボタンのワイヤー(3本のうち左側)を引っこ抜いて基板にダイオードのアノード側を接続し、カソード側に引っこ抜いたワイヤーとJ1に接続されたワイヤーを半田付けする。マイコンは3分間無操作でスリープするが、R2ボタン押下で動作再開する。

以上で今回作成したすべての基板での試作が完了した。初めての基板設計であったが特に大きなミスも無いようなので部品を発注して量産体制に入ろうと思う。

猫の手2号製品版試作

猫の手2号はMSXやメガドライブ用のジョイスティックを外付けしてワイヤレス化するためのデバイス。今回作成した基板での試作と動作チェックを行った。まずは基板に部品を実装した状態がコチラ。部品干渉や穴径など特に問題なし。

単三電池のケースへ組み込むために諸々工夫して部品を配置している。ファームをICSPで書き換える仕組みが無いのでICソケットを使用

単三電池ケースに組み込んだところ。専用基板になったことで製品版っぽくなった。コチラ側にPICを実装したのはケース組み込み後に着脱できるようにしたため。

ケース加工手順は、まずDサブの穴を開けて基板を挿しこんだ状態でネジ穴を開け、ネジでケースに固定した状態でボタン穴を加工する。よってタクトスイッチはケース加工が終わってから実装する必要あり。位置決めは比較的簡単であるが、Dサブ穴を開けるのは結構大変。赤外線LEDは電池ケースのケーブル穴を拡大して挿しこんでいる。

なお、タクトスイッチはMSX仕様のジョイスティック接続時は青がSELECT、赤がSTARTボタンとなる。ファミコン+猫の手4号受信機でのプレイ時や連射等の猫の手コマンド(連射機能設定等)送信で使用する。

Dサブ9pコネクタはケースにネジ止めしていないためコネクタ着脱時のストレスが半田付け部分に集中する。ここを強化しておかないといずれパターンが剥離・断線すると予想されるが、猫の手シリーズではパッドをスルーホール化したフットプリントを作成することで接合強度を確保したつもり(1号、4号も同様)。スルーホールが横方向の応力に対してアンカーの役割を果たすので簡単には剥離しないと思う。

猫の手2号は電源が必要なジョイスティックやメガドライブ仕様のPADにも対応しているが、3V程度の電源で動作するものに限る。ウチで動作確認したところ、メガドライブの純正3B/6Bコントローラは使用可能であった。マイコンソフトのXE-1 ST2(PCモード/SEGAモード)でも安定動作した。海外の安いMD互換PADで動作するかは不明。なお、MSXとメガドラのPADは仕様が異なるが猫の手2号ではPICが起動時に接続されているPADを調べてモードを切り替えている。よってPADの繋ぎ替えは電源OFFで行う必要あり。ジョイスティック側の連射機能の使用は推奨しない。電池の消耗が早くなり、通信が不安定になる恐れがあるため。連射が必要な局面では猫の手受信機(1号・4号)内蔵の連射機能が使える。

運用中は3分間無操作でスリープするので電源スイッチを切り忘れても電池が消耗する心配はほとんどない。スリープ時は赤いタクトスイッチを押下すると動作再開。なお、MDモード時はPADのCボタンがSELECT、STARTがそのままSTARTボタンとなり、タクトスイッチの役割はWakeUp機能のみとなる。

猫の手1号&4号製品版試作

猫の手シリーズの基板が全て揃ったところで試作をしてみた。猫の手1号(MSX用受信機)と猫の手4号(FC用受信機の2つ)。なんとなく1号基板はMSXぽく青レジスト、4号はファミコンぽく赤レジストにしてある。

幸い部品の干渉や穴径間違い等の致命的なミスもなく組み立てられた。ちなみにLEDの並びはMSX用とFC用は逆にしてある。FCのコントローラはトリガが左からBAの順で並んでいるが、MSXはABの順になっているものが多いため(例外はあり)。MSX用は右側のポートに挿して使うことを想定しているが、左側のポートでは並びが反対になるし、LEDの色でABを識別できるのであまり気にしなくてもいいのかも。

FC用のコネクタは基板に15pのパターンを用意しているが、ピンが多いと本体に着脱しにくくなるため、物理的or電気的に必要なピンだけ残して実装した。

半田のヤニであまり綺麗ではないが、裏側はこんな感じ。この肉球マークが赤外線信号の互換性を示す目印になるかなと。

ICソケットは不使用としてジャンパーピンヘッダも2㎜ピッチにしたので全体的に高さを抑えられている。ファームウエアはDサブピンとジャンパーピンを使って書き換えが可能になっているので問題なし。

なお、FC用のDサブ15pもどきはコネクタをバラして余分な出っ張りを削らなければならない。今回はステンドグラス製作で使うガラスルーターを使って削ってみたが、それでも固くて削りにくかった。製品として数を用意するのは骨が折れそう。

これら動作チェックも特に問題なし。部品を調達すれば量産体制に入れる。