イースタイン グランドピアノ 150型

前回に引き続き、イースタイン(東京ピアノ工業)のグランドピアノのまとめ、第3回は150型。奥行き159センチ(ぴあの屋ドットコムによるデータ)のイースタイン最小のグランドピアノである。

EASTEIN 150型 1966製(ピアノ工房カナザワより引用)

おことわり

現物が希少であり、自分で写真を用意できないためネットで集めた画像を引用・転載しています。資料性を鑑みて、オリジナルを改変せず、できるだけ引用元を明らかにしています。現行の著作権法上認められる研究目的の引用と解釈していますが、権利者からの申し立てがあれば削除等対応します。


参考文献「響愁のピアノ」

イースタイン150型については書籍「響愁のピアノ」に「250型に続いて二、三年のうちに設計から製造まで自社で行った350型、150型を相次いで開発した」(p.52)と記述されており、完成は350型より僅かに遅れて1957年頃と推測できる。また、「イースタインのグランドは昭和三十三年(1958)ごろから順調に業績を伸ばし、月産十二台ほどのベースに乗る。特に150型は音色のよさはもちろん、畳二枚分に納まるコンパクトさがうけて、音大生や一般家庭を中心に売れまくる。」(p.53)と書かれており、イースタインのグランドでは最も売れたモデルと思われる。ネットで探してみると、中古ピアノ販売サイトやオーバーホール記録などがヒットした。

EASTEIN 150型 1963製(picgraより引用)

イースタイン150型は「米国のケーブル」がモデルになっている(p.52)とのこと。聞いたことのないブランドだが、WikipediaによるとCable社は1880年にシカゴで創業したメーカーらしい。

Kingsbury Baby Grand Piano(海外のピアノ販売業者より引用)

150型のルーツを求めネットを彷徨うこと数時間、ようやく見つけたのが「Kingsbury Baby Grand Piano」。このピアノがおそらく原型となっていると思われる。Cable社は複数のブランドを展開していたらしく、Kingsburyはその一つ。奥行きは5foot 1inch=155cmで、イースタイン150型と同程度である。

Kingsbury Baby Grand Piano
EASTEIN 150型(工房日記~伊藤ピアノ工房~より引用)

微妙な違いはあるものの、全体的な造りはかなり似ている。下画像の個体は1929年製とのことで時代的にも矛盾はないだろう。設計が古いためか、Kingsburyの方はカポダストロバーが無いように見える。

Kingsbury Baby Grand Piano
EASTEIN 150型 1963製(picgraより引用)

ピン板周りの構造もほぼ同様。何故Cable社のピアノをモデルにしたのかは分からないが、たまたま原型として実測できた小型グランドがこれだったという程度の理由なのかも。


EASTEIN 150型(工房日記~伊藤ピアノ工房~より引用)

150型の外装の特徴としては、側板の左右上部のせり出しが無くストンとしていること、譜面台が大型で長方形であることだが、側板のせり出しがあるものや譜面台の形状が異なるバリエーションもあるようだ。鍵盤蓋が角ばっているのは旧250型以外で共通している。

EASTEIN 150型 1968製(yahoo!オークションより引用)

特徴的な響板裏の半円形の支柱。書籍には「アーチ型の支柱も隠れたセールスポイントだった」(p.53)と書かれている。

EASTEIN 150型(どらの手も借りたいオルガン造りから引用)

150型の仕様は、非アリコート式で倍音共鳴の仕組み(デュープレックス・スケール)なし、次高音域以上にカポダストロバー装備といった具合。350型と比較すると弦は1本張りでなく隣の弦とペアになっていて、カポダストロバーの音域が異なっている。次高音域の鳴り方は350型とは異なると思うが、やはり木質的な澄んだ音が出そう。

こちらの個体の鍵盤蓋のロゴは見慣れないフォントになっている。製造時からこのようなフォントだったのかは分からないが、同じロゴの個体を他にもどこかで見たような気がする…。


余談であるが、ぴあの屋ドットコムで公開されているアップライトU型の比較動画の中に、EASTEINロゴのTの文字だけがなぜか真鍮の象嵌でなくペイントで処理されているものがある(動画2分45秒参照)。

この個体は1976年製で、東京ピアノ工業倒産(1974年)後の「東京ピアノ親睦会」時代のもので、書籍では「創業以来のイースタインの歴史の中でも最も高品質のピアノを生産していたといわれるのはこの時期だ。」(p.192)とされているが、たまたまTの文字だけ在庫切れだったのだろうか? よっぽど急いで納品する必要があったのか。それとも修理でTの文字を埋めて塗りなおしたのか。


EASTEIN 150型 1967製 フレーム(piakoboのブログより引用)

ネットで調べている内に興味深い事実が浮かび上がってきた。この150型のフレームであるが、どうもフクヤマピアノのグランド(初期型)と同じっぽい。

FUKUYAMA&SONS GP155 フレーム (ピアピット より引用)
FUKUYAMA&SONS GP155 支柱 (同上)

特徴的なアーチ状の支柱も同様であるから、同じ設計のピアノと考えて良さそうだ。フクヤマピアノについては、「自社工場はなくあちこちのピアノ工場にてコンセプトが強い個性的なピアノを作っていたのだ。」(出展:ピアピット)とのことで、イースタインが製造した150型にフクヤマブランドをつけて販売していたと考えるのが自然か。

EASTEIN 150型 1962製 フレームロゴ(まごいち音楽教室より引用)

150型のフレームにはイースタインのエンブレムがエンボスされている個体もあるが、省かれているものが多いようだ。ネットで確認できた画像では、1962年製のものにはエンブレムがあり、63年以降のものには無いことから、元々あったエンブレムをわざわざ後から外す必要が生じたと考えられる。1962年頃にフクヤマピアノにOEM供給するためにフレームの鋳型からエンブレムを外したのではないだろうか。


EASTEIN U型 1962製 エンブレム(ピアピットより引用)

余談だがイースタインのエンブレムは複数のバージョンがあり、比較的古い製品に使われているのがこのタイプ。ブランド名が入り、音叉が下を向いている。

EASTEIN U型 1972製(ピアノ調律おじさんのるるる~な毎日より引用)

同じU型でも72年製のエンブレムは音叉が上向きのものに変更されている。周囲が不自然に盛り上がっていて、むりやり改修した感がある。B型にも2種類のエンブレムの個体があり、鋳型の改修があったことが伺える。

EASTEIN 250型(杵淵モデル)1965製 エンブレム

杵淵モデルのグランド250型のエンブレムはブランド名だけでなく社名まで入っているタイプで、多分250型専用のデザインだろうと思う。

なお、エンブレムに必ず入っている葉っぱのデザインであるが、「栃の木」の葉という説がある。真偽は不明だが確かに形状は似ているし、イースタインが栃木県宇都宮にあったことを考えると説得力はある。


話が横にそれてしまったが、150型の中を覗いてみる。

EASTEIN 150型 1967製 ピン板(piakoboのブログより引用)

ピン板は350型のようなくり貫きはなくオーソドックスな造り。こちらのサイト(ピアピット)によると、同一設計と思われるフクヤマGP155は、ピン板の端ギリギリに開けられている穴があり、割れやすいという問題があるようだ。イースタイン150型にも同様の問題があるのかどうかは不明。

EASTEIN 150型 1968製(ヤフオクより引用)

この個体は煤けてフェルトも朽ちているが、弦もアクションもオリジナルの状態と思われる。高音側の構成はヤマハのGシリーズに似ている。

YAMAHA G2B 1990製(ヤフオクより引用)

Gシリーズは、上画像のG2Bのように非アリコート式が基本だったが、末尾に「E」が付いたモデルはなぜかCシリーズ同様のデュープレックス・スケールを取り入れた構成になっている。

YAMAHA G2E 1990製 (ヤフオクより引用)

Gシリーズはやわらかい音、Cシリーズはきらびやかな音と差別化されていたようだが、後者が好まれる時代になりGシリーズは1990年代に廃番。近年のピアノのほとんどはアリコート式のCシリーズのような構成になっている。ヨーロッパではベヒシュタインが近年まで非アリコート式の伝統を守っていたようだが、市場の要求には逆らえなかったのか、2003年からアリコート式を採用している。


石山社長でおなじみのぴあの屋ドットコムでは過去に2回ほど取り扱ったことがあるらしい。動画がないのが残念であるが、掲載ページはコチラ。この個体は側板の上部のせり出しのあるタイプである。

150型 1958製(ぴあの屋ドットコムより引用)

掲載元を見ると、「小さいわりにあまりにも音がいいので、大絶賛でした。担当のベテラン調律師もこれはホントにすごい! と称賛の連絡がありました。」と評価されている。当時のものは響板の素材が良く、経年で馴染んで鳴りも良くなっているのではないかと思う。

ヴァイオリン等弦楽器は弾き込まれるほど良い音になっていくと言われていて、ストラディヴァリウスに代表される300年前のイタリア・クレモナの楽器が現代でも一線で活躍していることを考えると、弦楽器の表板と同様の材で造られたピアノの響板も適切なメンテナンスにより数百年かけて成長するポテンシャルを持っているのではないだろうか。

とかくピアノは消耗品のように扱われることが多いように思う。確かにアクションには数十年単位で交換が必要な部品も多く、オーバーホールしようと思えば中古~新品ピアノ1台が買える程度の費用がかかるため、直すより買い換えたほうがオトクと考えてしまうのは無理もないことだろう。しかし、買い替えはせっかく弾き手と共に成長してきた響板を手放してしまうことになり、大変勿体無いと思う。イースタインのような国産マイナーメーカーのピアノはその知名度の低さから中古買い取り価格は低く(買い取ってもらえないことも)、それゆえ直す価値が無いものと思われがちであるが、おそらく木材は現代の量産ピアノよりも良質だし、キチンと修復すれば豊かな響きが得られる楽器も多くあるのではないか。

お手持ちの古いピアノの買い替えを検討されている方がおられたら、一度工房持ちのピアノ調律師にオーバーホールの相談をされることをお勧めしたい。ただし、期待通りの響きが得られなくても当方は一切責任を取れませんが。

イースタイン グランドピアノ 350型

前回に引き続き、イースタイン(東京ピアノ工業)のグランドピアノのまとめ、第2回は350型。奥行き192センチ(ぴあの屋ドットコムデータによる)のイースタイン最大のモデルである。

イースタイン350型(日本学芸社のImgrumより引用)

おことわり

現物が希少であり、自分で写真を用意できないためネットで集めた画像を引用・転載しています。資料性を鑑みて、オリジナルを改変せず、できるだけ引用元を明らかにしています。現行の著作権法上認められる研究目的の引用と解釈していますが、権利者からの申し立てがあれば削除等対応します。


参考文献「響愁のピアノ」

イースタイン350型については書籍「響愁のピアノ」に旧250型の完成(1954年7月)の後2~3年で開発された(p.52)と記述されており、完成は1956~57年頃と推測できる。1990年の廃業の直前まで製造されていたようなので(p.234)、30年あまりの期間でそれなりの数は生産されたと思われる。ネットで探してみると、国内でも数件の情報がヒットした。

イースタイン350型(Piano Malaysia より引用)

350型はフレーム外周の多角形を組み合わせたくり貫きが特徴的で、書籍「響愁のピアノ」には「ブルツナー」がモデルと書かれている(p.52)。


Bluthner Model.6 1954 (LIVING PIANOS より引用)

おそらく1950年代のブリュートナーModel.6が原型だろう。外周の肉抜き穴の形状がやや異なるものの、鉄骨の構造をはじめ、アグラフ、カポダストロバーの構成も一致する。ダンパーの数も同じで、弦がすべて1本張りであることや、ピン板のフレームをくり貫いて真鍮版を嵌めこんでいる点も共通。ただし、ブリュートナーには高音域側に打弦されない4本目のアリコート弦(共鳴効果を狙ったもの)が張られているが、イースタイン350型にはそれがない。

アリコートシステム (Bluthner 公式より引用)

アリコート張弦についてWikipediaを参照してみると、ユリウス・ブリュートナーによって1873年に考案された仕組みらしい。1950年代になれば特許権は切れてるのではないかと思うが、ブリュートナーのフレームには最近のモデルでも「ALIQUOT- PATENT.」とペイントされていて、他社による模倣を牽制しているように思える。

なお、現在のブリュートナー(上画像)はマイナーチェンジによりカポダストロバーの構成や高音部のベアリングの配列が異なり、独立していたアリコート弦の駒も統合されている。

余談だがイースタインアップライトピアノにもブリュートナーを模倣した「B型」というモデルがあり、鉄骨の形状はオリジナルとほぼ同一らしい。現代では訴訟になりかねない事例と思われるが、当時は情報の伝達が遅く、おおらかな時代であった。


BELTON NO.165(京都ピアノアートより引用)

BELTON(富士楽器)もブリュートナーをモデルにしたと思われるグランドピアノを製造している。このピアノも総1本張りだが、やはりアリコート弦は省かれている。350型とはカポダストロバーの構成が異なっているが、別の時代のブリュートナーを模したものかも知れない。

BELTON (ピアノ調律師のつぶやきより引用)

フレーム外周くり貫きの形状もブリュートナーとほぼ同一で、ブランドロゴが入っている部分がちゃっかりBELTONロゴに差し替えられている。

BELTON (ピアノ調律師:杉本由紀おやじのつぶやきより引用)

フレームには「FINEST ART GRAND PIANO」「MANUFACTURED SINCE 1937」と鋳造されているが、この部分に描かれた図形もブリュートナーそっくり。なお、1937年(昭和12年)は富士楽器の創業年であり、このフレームの製造年を表したものではなさそう。

軽井沢新聞 バックナンバー2017年5月より スクリーンショットにて引用

BELTONは1968年(昭和43年)に廃業したらしく(出展:東洋ピアノブログ)、最も新しい個体でも製造後50年は経過しており、現存数は少ないだろう。特にグランドピアノの希少性は地方紙でニュースになるほどのようだ。


話が少し横にそれてしまったが、本題のイースタイン350型の細部を見てゆく。

350型(Piano Malaysia より引用)

ブリュートナー同様の総1本張りの弦は張るのに手間がかかりそうであるが、特に響きが良くなるというわけではなく、弦が切れたときの影響が小さいとか、調律時に隣の弦に影響しないので音を合わせやすいとか、その程度のメリットらしい。

ピアノハウスジャパン Blogより引用(2012年10月)

ピン板は原型のブリュートナー同様にフレームがくり貫かれて真鍮板が嵌め込まれている。この構造は後の250型(杵淵モデル)でも踏襲された。書籍によると「ワイヤーやピンの振動がフレームに直接伝わらないようになっている」(P38)とのことで、雑音の発生を抑える意図があるものと考えられるが、効果のほどは不明。

350型(Piano Malaysia より引用)

次高音域(主に右手でメロディを奏でる音域)まではアグラフが使われていて、高音部のみがベアリング+カポダストロバーの構成となっている。非アリコート式でフレームのベアリング(土手)は1本に連続しており、スタインウエイ的な意図的に倍音共鳴させる仕組みは備えていない。よって次高音域はパワー不足を感じるかも知れないが、木質的で澄んだ音で鳴りそうである。

なお、こちらの個体はオーバーホール時にピン板の真鍮版をフレームと一緒に塗装してしまったらしく、オリジナルとは色味が異なっている。

350型(Piano Malaysia より引用)

ダンパーは蒲鉾型で、響板のロゴはウチの250型(杵淵モデル1965.12製)と同様にシンプルなタイプ。フレームにエンボスされたエンブレムは音叉が下向きの旧タイプの固体しか確認できなかった。エンブレムの位置は原型となったブリュートナーと同一。

350型 (セイコウトウテイさんのtwitterより引用)

こちらの個体は1965年4月製で、山型のダンパーが使われている。YAMAHAに似たデザインの響板のロゴは1958年には既に使われており、1965年の内に新しいデザインに切り替わったものと推定される。


検索を進める内に、石山社長の動画でおなじみの「ぴあの屋ドットコム」で350型の動画を発見した。掲載元はコチラ

この個体のカラーリングは深いワインレッド(マホガニー)でおそらくウチの250型(杵淵モデル)と同じ。非常に音にパワーがあると評されている。次の動画では弦の一本張りについて紹介されている。

一連の動画では「T型」とされているが、シリアルのT64201の最初の一文字を型番と誤って解釈したものと思われる。先頭アルファベットは製造月で、JanuaryのJから始まり、以後アルファベット順JKLMNOPQRSTV(UはU型との混同を避けるため飛ばす)で1~12月までを意味する。数字は西暦下2桁、日付2桁、シリアル1桁の順。よって、T64201は1964年11月20日製造1番となる。日に10台以上生産したときにシリアルの桁が増えるのかどうかは不明。

この個体は調律後にも動画撮影されており、「元々響板が良いので響きが凄い」「強烈」等と評されている。

別個体M65241(1965年4月24日1番)入荷時の動画もあり。掲載元はコチラ

この個体の現在のオーナーは先ほどのtwitter画像でリンクした方のようだ。イースタインに大変愛着を持っておられるようで、youtubeで動画も公開されている。(ご迷惑でしたらリンク外しますのでご一報ください)


 

イースタイン グランドピアノ 旧250型

EASTEIN(東京ピアノ工業)は戦後の1949年に栃木県宇都宮で創業した、知る人ぞ知るピアノメーカーだ。会社は1973年に一度倒産しているが、自主生産組織として1990年までブランドは存続された。経緯は書籍「響愁のピアノ」に記されている。

参考文献「響愁のピアノ」

今回の記事はこの書籍を参考資料として活用させて頂き、内容を引用した際は掲載ページを(p.xx)と明示するようにした。

戦後復興期はピアノがよく売れた時代だったらしく浜松周辺にマイナーなブランドが数多く存在していたが、現在そのほとんどは廃業している。宇都宮にあったイースタインは日本最北のメーカーであったとされる(p.17)。

イースタインはピアノ造りのノウハウを持たないゼロからスタートしたメーカーであったため、当初のモデルは舶来ピアノを模倣して造られている。アップライトのU型はLITMULER(p.26)、B型はBLUTHNER(p.38)、グランド150型はCable、350型はBLUTHNER(p.52)といった具合。現物を型取りするような完全コピーではなく、フレームを採寸して同一の形状のものを作る手法だったようだ(p.93)。原型となったピアノのメーカーがバラバラだったたこともあり、設計や音色に個性が強いのも特徴の一つ。アクションは自社開発だったそうで、材料の木材については「広葉樹は日光周辺、響板などで使われるエゾ松は北海道産」と記されている(p.23)。手作りのため月産は80~120台程度(p.150)であり、大手メーカー製品に比べて現存数は少なく、「幻のピアノ」と言われたりもしている。アップライトピアノについては多少の情報は出回っているが、グランドは希少のようでネットを探しても断片的な情報しか出てこないため、この場でまとめてみることにした。

当方所有の250型(杵淵モデル)

当方が確認できたモデルとしては、150型、旧250型、杵淵250型、350型の4種類があり、ナンバーが大きいものほど奥行きが大きくなる傾向がある。この他杵淵直知氏設計の「200型」と、200型を縮小し、FUKUYAMA&SONSに提供した「O型」が存在したとされている(p.97)が、詳細は不明。


おことわり

 現物が希少であり、自分で写真を用意できないためネットで集めた画像を引用・転載しています。資料性を鑑みて、オリジナルを改変せず、できるだけ引用元を明らかにしています。現行の著作権法上認められる研究目的の引用と解釈していますが、権利者からの申し立てがあれば削除等対応します。


まとめ記事の第一回は、イースタイン初のグランドピアノ「NO.250」。

郷愁のピアノ p.25より引用

書籍「響愁のピアノ」には杵淵モデルの250型と同じモデルナンバーが与えられた全く別のグランドピアノについての記述がある(p.51)。国内サイトではその存在を確認できなかったが、なんとマレーシアのサイトに画像が掲載されていた。後の杵淵モデルとの区別のため、ここでは旧250型と呼称する。

イースタイン旧250型(Piano Malaysiaより引用)

今回の現物の画像はほぼPiano Malaysiaから引用させて頂いた。記載データによると、奥行きは185センチでヤマハC3(186cm)と同等。


 

参考文献「郷愁のピアノ」p.51より引用

「ピアノを作る以上、グランドも欲しい」と、イースタインはごく自然な動機でグランドピアノの開発を進めていく。最初のグランド250型が完成したのはB型に遅れること二ヶ月、昭和二十九年(1954)7月のことだ。とはいえ、フレームやケースなど、主だった部品はすべて寄せ集めだった。宇都宮の工場で組み立て、イースタインのブランドを付けて出荷するだけだったから、評判もさほど芳しいものではなく、短期間で製造を中止した。


この後2~3年で350型、150型が相次いで開発されたことから製造期間は長くても3年程度と思われ、現存する個体はかなり少ないのではないだろうか。

フレームの造りは杵淵250型とは全くの別物。「寄せ集め」で作ったとのことだが、フレームが普通に売ってるわけはないし、しっかりとモデルナンバーやロゴがエンボスされて鋳造されているように見える。他所のピアノメーカーに委託して製造したのだろうか。350型や杵淵250型に見られるようなピン板のフレームくり貫きはなく、デュープレックス・スケール(高音側の弦を3つに区切って倍音を共鳴させる仕組み)も採用されておらず、当時としてはオーソドックスな造りに見える。中高音域にはカポダストロバーがあり(そうにみえる)、弦の振動を鉄骨に伝えて音量を稼ぐ意図はあると思われる。

この個体はオーバーホール直後と思われ、チューニングピンや弦の状態が非常に良いが、フレームが塗りなおされているためかシリアルナンバーが見当たらない。ダンパーは蒲鉾型ではなく山型。

意図的な倍音共鳴を作らない非アリコート式であることから、木質的な柔らかい音が出そうだが、音楽のジャンルによっては音量不足を感じるかも知れない。響板のEASTEINロゴは3種類のバリエーションを確認しているが、これが最も古いものと思われる。よほど大事なことなのか「TOKYO」と2回も書かれているが、イースタインは栃木のブランドであり、大手メーカーの書式に倣うのであれば「UTSUNOMIYA JAPAN」と書くべきでは。

フレームの特徴としては、よくある外周の丸い肉抜きの穴が無いことくらいだろうか。ありもので済ませたのであれば、どこかのメーカーで同じフレームのピアノを製造していても良さそうなものだが、ネットを探しても発見に至らず。

譜面台の形状は現在のYAMAHAやKAWAIピアノっぽい形で、後の350型も同様だが、150型、杵淵250型では長方形に変更されている。それにしてもこの個体は60年前の製造とは思えないほど外装も磨かれていて古さを感じさせない。

古い個体なので鍵盤がオリジナルのままかどうかは不明だが、黒鍵の艶はベークライト(フェノール樹脂)のように見える。白鍵の素材は画像からは判断できず。鍵盤蓋のEASTEINロゴは数種類のバリエーションがあるが、こちらは最もオーソドックスなタイプ。


twitterでこの旧250型と思われる画像が見つかったのでリンクしてみる。

twitterより引用

大屋根の面取りや丸みのある鍵盤蓋などの特徴から旧250型と推定されるが、外観は多少のバリエーションがあるので断言はできない。設置場所はどこかの公共施設か店舗と思われるが不明。大屋根の上に「幻の名器」と書かれたボードが載っているが、旧250型だとしたらまさに「幻の」ピアノである。「名器」かどうかは判らないが、「調律されてなくてガビガビだった」とのことで残念な感じがする。


現物を所有している方、同じフレームを使った別メーカーのモデルをご存知の方など、何某かの情報をお持ちの方がおられましたらコメントお願いします。

デジタルピアノのペダルが壊れた

最近電子工作系はオサボリ中であるが、昨年から年甲斐もなくピアノのレッスンに通い出してしまい、発表会にも出して貰えるようになったためリソースをそちらに振り当てる毎日であったりなかったり。

我が家には母の形見のようなグランドピアノがあり、それについては旧ブログ記事で書いている。

EASTEIN Model.250

イースタイン 250型(杵淵モデル)

このピアノ、先月オーバーホールして大変良く鳴る楽器に再生されたのだが、それについては別記事で書こうと思う。結構デカい音で鳴るので一応マイルールとして弾くのは20時頃までとしているが、平日だとあまり練習時間が確保できないことも多い。

FP-30

そんなこともあって、昨年デジタルピアノを買い足した。機種はローランドのFP-30で、ステージピアノとかポータブルピアノとか言われるタイプ。夜練用のサブ機なのでなるべく安い価格帯で打鍵感が良いものを選んだらこれになった。

公式サイトはコチラ

https://www.roland.com/jp/products/fp_series/fp-30/

下位機種のFP-10は当時未発売だったが、価格差1万円程度ならFP-30を選ぶような気はする。上位機種のFP-60は鍵盤が同じだが約5万円増し。最上位のFP-90は鍵盤が最上位仕様になるが10万円以上高くなる。

ヤマハやカシオ、KORGで3~4万円程度の機種もあったが、打鍵感が軽すぎたり、ベロシティのバランスが生ピアノとは程遠い感触であったりで自分には合わなかった。

FP-30はスタンド、ペダル、椅子は別売りだが、全部ひっくるめて8万円くらい。PHA-4スタンダード鍵盤は簡易的なアクションであるが、この価格帯にしてはエスケープメントが付いているのが特徴。グランドピアノ同様に鍵盤をゆっくりと押し下げると微妙に抵抗が増すポイントがあり、試弾でタッチに違和感が少ないと感じたのが決め手になった。

鍵盤は「象牙調」とされているが、艶消しプラスチックな質感で、よくよく見ると縦方向に粗めにペーパーがけしたような微細な筋が入っており、僅かにザラついた感触。黒鍵は半艶消しで黒檀の触感に近いかも。個人的にはツルピカのアクリル、フェノール鍵盤よりはこっちの方が好み。

コンソールは実にシンプルで、表示は音量5段階とボタン内蔵のLEDのみ。内蔵メモリに記録できる録音データは1つのみ。詳細な機能選択はボタン+鍵盤の組み合わせで行うため直観的ではないが、Bluetoothでスマホ/タブレットに接続するとタッチパネル式リモコンとして使える上に録音記録デバイスにもなるので問題なし。むしろ本体からそのような機能を除外することでコストダウンに繋がっているのでアリだろう。USBでPCに接続するとMIDI鍵盤として使えたりするあたり、ステージピアノらしいというか、DTMのローランドらしくて好感が持てる。

FP-30にはダンパーペダルDP-2が付属しているが、形状が生ピアノのそれとは程遠いため、本体購入と同時に別売りペダルを購入した。

それが今回の問題のブツ、DP-10である。スタンド固定タイプの3本ペダルも売られているが、自分はウナコルダはたまにしか使わないし、ソステヌートはまず使わないので1本ペダルを選択した。

このペダル、ハーフペダルに対応し、底面から引き出せる大面積のラバーパッドに踵を置くことで演奏中に位置がズレにくいという特徴があり踏み心地も悪くない。ところが、1年使っている内にキコキコと異音を生じるようになった。ヘッドフォンで練習していても聞こえる異音なので放って置けなくなり、調べてみることにした。

よくよく見ると、ペダルがガタついて根元がガワのプラスチックに接触し、そこが鳴いているようである。

ペダルの軸がブレていると思われたのでバラして調べてみた。なんと金属のシャフトに対して軸受けがABS樹脂のガワ一体成型になっていて、肉抜きされていることもあり実に頼りない構造である。小曲を演奏するだけでも百回以上の足踏み負荷がかかるところであり、何千、何万回と踏んでいる内に磨耗するであろうことは容易に想像できる。

ペダルを外して調べてみると亀裂が入っていた。ABS樹脂が負荷に耐え切れずに割れたようである。これがペダルをガタつかせた原因だった。保証期間内であればメーカー修理で延命を図るところであったが、購入後1年を僅かに経過していたし、根本原因が軸受けの構造的問題であることから、仮に新品に交換したとしてもいずれ同じ不具合を生じるだろう。とりあえずエポキシで固めてしまおうかとも思ったが、軸受けがプラのままでは姑息的手段にしかならない。

4x10x4ベアリング

根治療法は軸受けを金属化し、なおかつガワに完全に固定することだろう。ベアリングを組み込んでしまうのが理想的と考え、amazonで調達してみた。ガワ内部の隙間を計測し、軸径4mm、外径10mm、厚さ4mmをチョイス。5個で送料込み787円とお安かったが、中国からの発送で到着まで3週間ほどを要した。

まずはシャフトに挿してみる。そのままでは微妙に挿さらなかったので、シャフトをリューターで少しだけ削った。削りすぎてガタツキが発生しないように注意が必要。

次に、ガワを削ってベアリングを適切な位置まで差し込めるようにするが、隙間が狭いので意外と厄介で、アートナイフ、模型用の薄い彫刻刀、ニッパーを使って加工した。

ベアリングを完全に固定するためにはガワとの隙間を埋める必要があるが、こういうときはABS樹脂との親和性が高いプラリペアが有用。下ごしらえとしてベアリング内部に溶解液が侵入しないようにマスキングゾルを塗布してみた。

ベアリングを入れて隙間にプラリペアを流し込む感じで固めた。あとから取り出せるようにしておかないとペダルを差し込めないので下半分だけ固めるようにした。上にも少し被ってしまっているがナイフで削り取れば問題なし。

一晩寝かせたところ強力に固定されており、取り外すのにちょっと苦労した。ここまで加工すればあとは組み込むだけ。

ペダルのシャフトにベアリングを挿しこみ、ガワに入れてみた。ガタつくことなくキッチリと嵌っている。

残りの部品を戻せば完成。ちなみにこのペダルはデジタルモード、アナログモードの切り替えが可能で、デジタルの場合は画像左のスイッチでOn/Offを検出する。アナログモードは右側金属板に取り付けられているボリウムの値を読んで踏み込んだ角度を検出する仕組みになっているようだ。

実際に使ってみたところ、踏み込んでもペダルはガタつかずスムーズに動き、異音も発生しない。これで何年かは状態維持できると思う。いずれベアリングを固定しているプラが割れるかも知れないが、その時はプラリペアで補修可能。

ちなみに補修作業中に本体付属のDP-2を使用していたが、予想通り使いにくい。軽いのですぐに位置が変わってしまい右足でペダルを探すことになる。せっかくなので中を開けてみたが、なんというか…実にシンプルな構造である。スイッチは汎用品で、詰め込まれたスポンジの存在意義がイマイチ分からないが、バネの力を補う目的なのかも?

軸受け構造を調べてみたら、ご覧の有様。ネジ山が刻んであるビスがそのまんまシャフトになっていて、軸受けはプラスチックのガワにあいている穴。これではあっという間にギリギリ削れて逝きそうである。せめてタミヤの工作シリーズのようにハトメ金具の軸受けを差し込むくらいはして欲しかった。ラジコンやミニ四駆の製作経験がある人だったらこういう設計はしないよなぁ…。

なお、今回のような故障事例が多発しているのではないかとネットを調べてみたが、記事公開時点では1件もヒットしなかった。よほど普及していないのか、自分のペダルの踏み方が雑なのか…。

ちなみにFP-30は鍵盤蓋がないが、オープンのままだと弾きはじめにホコリが指にまとわりついて嫌なのでカバーを自作した。不要になったカフェカーテンの布地をリサイクルし、適当にサイズを合わせてミシンで縫っただけのものだが。

そういえば、可動部で金属とプラ部品が擦れて一方的にプラ側が磨耗して機能不全に陥る事例は過去にもあり、大昔のプレイステーション(初代初期型)のピックアップユニットがそうだった。人類は何度同じ過ちを繰り返すのか。経験に学ぶ愚者ではなく、歴史に学ぶ賢者になれといいたい。

余談ですが賢者を目指す諸兄にオススメの記事がコチラ

失敗百選

お約束ですが、この記事を見て当該機種を修繕・改修を行うのは自己責任でやってください。回復不可能なダメージを与えても当方は責任を負いかねます。メーカーへのお問い合わせもご遠慮ください。

(追記)ヘッドフォンハンガーを増設した

FP-30は夜練用なのでヘッドフォン使用が基本なのだが、ヘッドフォンをひっかけておくハンガーが無いのが不満だった。適当にamazonを眺めてみると、デスクなどに貼り付けて使うようなハンガーが1000円前後で売られていたので、それを参考に自作してみた。

素材は巾15mm、2mm厚のアルミの平棒(以前の工作の端材)。ザックリ計測して図面をテキトーに描き、ベンチバイスで曲げてドリルで穴あけ、断端をヤスって角を取って、熱収縮チューブで被覆した。

本体やスタンドに余計な穴を開けたくないので、スタンド固定のネジと共締めにしている。縦のラインを壁に密着させるするつもりだったのだが、計測をしくって右に1センチずれた。使用には差し支えないので作り直しはしないけど…。

ヘッドフォン(安物)をひっかけてみた。ネジ穴の位置を間違えたせいもあって、ちょっと出っ張りすぎたかも。大きいヘッドフォンに買い換えても問題は無さそう。アルミ素材だが2mm厚なので強度的にはまずまず。

ちなみにネジを締める際、アームが邪魔になって普通のドライバーは差し込めない。昔クルマのテールランプを交換する際に必要になって買ったものだが、こういうセットを持っておくと便利。

 

虎の手リモコン

takedaさんと共同で開発していた虎の手リモコンシリーズの送信機「虎の手3号SS」を間もなく家電のKENちゃんさんでリリースの予定→8月12日に店頭販売開始となった。

家電のKENちゃんさんの当方の出品物販売ページはコチラ。

https://kadenken.com/shopbrand/ct142/

頒布できるのは送信機「虎の手3号SS」の組み込みキットのみであるが、試作機含めて虎の手1号~3号のラインナップを公開。

純正SSコードレスと虎の手リモコン

虎の手リモコンとは、セガサターン純正のコードレスパッドと互換性のある赤外線リモコンシステムで、8方向+10トリガまで、2人同時プレイに対応したもの。送信機には「虎の手モード」と「猫かぶりモード」があり、虎の手モードで純正SSコードレス互換機として動作、猫かぶりモードで猫の手リモコンとして動作する。


・虎の手1号

SSコードレスと同等の性能を持ったセガサターン実機用の受信機。純正品の赤外線信号フォーマットをtakedaさんが解析して製作したもの。私は回路考案とファーム開発を担当した。

虎の手リモコンや純正のコードレスPADで使うことができるが、オリジナルの受信機とは若干の相違点がある。純正は受信機側に連射機能(1段階)があるが、虎の手1号には連射機能なし。その代わり、虎の手リモコンでは送信機側に連射機能(3段階)を持たせている。

受光インジケータLEDは1P/2P信号を受けると赤・緑が点灯する。連射インジケータの役割もあり、虎の手送信機のトリガを連射モードに設定し、トリガ単独で押下することで設定された連射速度で点滅する。受光状態を確認できるこのLEDは地味に便利。

内部の様子。オリジナルはカスタムICで受光プログラムを走らせているようだが、虎の手1号はPICマイコン16F1823と74HC670x2の構成で、プログラムはゼロから機械語で書いている。受光性能はほぼ純正品と同等で、60fps・1フレーム未満の遅延で応答する。

受光ICは純正品と同じU2505Bで、フォトダイオードで捉えた400kHzキャリアの赤外線信号を読み取れる(受光回路はシールド板で囲っているので画像では見えない)。U2505Bは製造中止品のため入手難であり、ケース加工やコネクタ入手の問題もあるため、製品化の予定は無し。


・虎の手2号

猫の手3号cの基板と市販のPSコントローラ-USBアダプタを流用して製作したもの。PS用のノーマルコントローラ相当のジョイスティックを接続可能。「虎の手モード」では1P/2Pモードに切り替えでき、SS用受信機があれば実機でコードレスPADと併用して二人同時プレイも楽しめる。電源投入時にSELECT+STARボタンをホールドしておくことで「猫かぶりモード」に設定することができ、猫の手リモコンの送信機としても使用可能。

猫の手3号cと同じ回路構成だが使用PICが異なる。画像のLED内蔵ボタンは動作インジケータ兼WakeUpトリガ。LEDはスリープで消灯する。電池は単三型Ni-MHx3本で、電池ホルダーは背面に貼り付けてある。こちらの送信機も材料入手の都合で製品化の予定は無し。


・虎の手3号SS

純正SSPADに基板を組み込んで赤外線ワイヤレス送信機に改造したもの。純正SSコードレスと信号互換の「虎の手モード」と猫の手リモコン互換の「猫かぶりモード」に切り替えて使える。純正SSコードレス受信機を持っていればSS実機でゲームをプレイ可能。猫の手1号などの受信機があればMSXやファミコンでゲームをプレイできる。

中央の黒いボタンは、純正コードレスのFUNCキーの役割とスリープ状態からのWakeUpキーを兼ねている。純正と異なり、テレビリモコンの機能はないが、FUNC+START+トリガ押下で3段階(7.5/15/30)の連射機能あり(虎の手モードのみ)。

単4乾電池(またはNi-MH電池)2本で動作する。電池BOXはプレイの邪魔にならない位置で、電池を入れても今時のPADと比べて軽量。虎の手・猫かぶりモードは電池投入時のLRボタンの状態で設定する。Lで虎の手1P、Rで虎の手2P、L+Rで猫かぶりモードに設定される。マイコンは3分間操作無しでスリープ状態に移行し、電池は結構長持ちする

いつものようにサブ基板搭載での改造。コネクタを引っこ抜いてピンヘッダを半田付けして基板を増設するだけでなのでお手軽。ケースの穴あけ加工については位置決めシールを添付したので難しくないと思う。

キット内容
穴あけガイドシール

使用説明書:
http://niga2.sytes.net/upfile/tora3ss.pdf

改造手順書:
http://niga2.sytes.net/upfile/tora3ssk.pdf

ちなみに製品の基板は出荷前に全数チェッカーで動作確認済み。

基板チェッカー

出荷

量産した猫の手シリーズを本日出荷した。

QRコードは説明書PDFのURL。店頭でスマホで読み取ると説明書全文をダウンロードできる仕組み。3号キットは説明書PDF内のリンクから改造手順書もダウンロードできる。リンク先は自宅サーバーなので落ちないようにしなくては。

あと、電子工作マガジンに投稿したデジタルアンプ基板が余っているので、これをフルキットにして委託販売することにした。プログラム書き込み済PIC同梱で面実装のアンプICは基板に実装済みなので製作の敷居は下がったと思う。

全説明書のURLはコチラ。

猫の手1号:niga2.sytes.net/upfile/neko1.pdf
猫の手2号:niga2.sytes.net/upfile/neko2.pdf
猫の手3号共通:http://niga2.sytes.net/upfile/neko3.pdf
猫の手3号b改造手順書:http://niga2.sytes.net/upfile/neko3b.pdf
猫の手3号c改造手順書:http://niga2.sytes.net/upfile/neko3c.pdf
猫の手4号:niga2.sytes.net/upfile/neko4.pdf
電子工作マガジンのアンプ:http://niga2.sytes.net/upfile/IRamp.pdf

実際にお店で応答性能を確認できるように店頭デモ用の受信機や3号完成品も同梱した。週末にはお店に並ぶかも。

 

基板チェッカー

猫の手3号は組み立てキットとしてリリースするため、出荷する基板が良品か否か、組み込み前に調べる必要がある。M.A.D.社からのリリースが滞ってしまった主な理由がコレで、簡単にチェックできる装置の必要性は感じており、今回重い腰上げてチェッカーを作成した。

猫の手3号b用のチェッカーがコチラ。内部の2mmピッチの5pパターンにピンヘッダとピンソケットを継ぎ足してかさ上げし、ケース背面からキット基板を直接挿し込めるようにしてある。

鰐口クリップはWakeUp信号用のもので、Rボタンへ配線してある。電源のピンソケットを差し込むと動作するので一通りの操作をチェックできる。

猫の手3号c用のチェッカーがコチラ。ピンソケットを長めのピンヘッダでかさ上げしてある。基板は赤外LED非実装の状態のためテスト用のLEDが必要で、足にスルーホール用テストピンを半田付けしている。鰐口クリップはR2ボタンに増設したダイオードに接続してある。

テスト対象を挿しこみ、LEDと鰐口クリップと電源を接続すると動作する。これらのチェッカーで製造した基板が全品動作品であることを確認した。

D-SUBコネクタ加工方法

猫の手リモコン受信機で使うDサブコネクタの加工方法について、試行錯誤の末辿りついた我流のやり方ではあるが、備忘録として記録しておく。

Dサブ9pはMSX本体によっては金具の出っ張りが本体に干渉して奥まで刺さらない。15pの方はファミコンの拡張端子と同じ形状であるが、金具だけでなく、中の樹脂部分の出っ張りが邪魔で奥まで刺さらない。

まずは金具のカシメ部分(ネジ穴)を金工用ドリルで皿モミする。ステンレス用のビットを使うのがbetter。

このくらい削っておけば殻割りできる。

Dサブ15pの方も同様に殻割りして中身を取り出す。金具は燃えないゴミに捨てる。

15pの方は一旦ピンを全部引っこ抜き、ベンチバイスに固定して棒ヤスリでゴリゴリ削る。

棒ヤスリで4辺を削ったところ。

角はルーターで削って仕上げる。このルーターはステンドグラス製作で使うガラス用。プラを削るには効率が悪いが仕上がりは綺麗になる。

削り終わったところ。バリはナイフで削ぎ落とす。

15pの方はピンを戻しておく。全ピン使うと着脱が固くなるのでファミコンの1コンに必要なピンだけにした。

プラ部品の接合にはアルミの粘着テープを使う。手前がダクト・水回り補修等で使うアルミテープでホムセンで売っているもの。奥のはガラスファイバー入りで昔ラジコンのポリカボディの加工用に買ったもの。機械的強度が稼げるが厚みが出るのが難点。今回は普通のアルミテープで十分。

短冊に切ったアルミテープを接合部分に巻きつける。

手で軽く馴染ませたらペグという道具でさらになじませる。

ちなみにアルミ短冊のサイズはこのとおり。9p用は7x55mm、15p用は6x60mmに切ると丁度良い。

コネクタの加工はこれで完成。15pは削る工程が面倒くさい。

1個や2個作るくらいなら大した作業量ではないが、1ダース作ろうとすると地味に大変だったりする。

猫の手3号c製品版試作

初代プレステのノーマルコントローラをレトロPC&ファミコン用に赤外線ワイヤレス化する改造基板「猫の手3号c」基板の試作を行った。まずは部品実装状態から。

PSノーマルPADは製造時期・工場によって複数のリビジョンがあるが、基板にHOSIDENとシルクのあるものはコネクタのピンアサインが他と異なるという困った仕様。幸いPICはプログラムでピンの機能を変更できるので、起動時にJP1の状態を読んでモードを切り替えている。今回はホシデン製のコントローラでテストするのでJP1は半田を盛ってショートした。ちなみにJ1から伸びているワイヤーはWakeUpトリガ用。

組み込み後は見えなくなる基板裏側。コントローラ基板のコネクタ位置はリビジョンにより微妙に異なるので、LEDは仮組みして位置を合わせた状態で半田付けする。

ガワにも問題なく組み込めたが、内部の構造もコントローラによって多少異なるため、一通りの検証作業は必要。

WakeUpトリガ用のワイヤーはコチラに接続。R2ボタンのワイヤー(3本のうち左側)を引っこ抜いて基板にダイオードのアノード側を接続し、カソード側に引っこ抜いたワイヤーとJ1に接続されたワイヤーを半田付けする。マイコンは3分間無操作でスリープするが、R2ボタン押下で動作再開する。

以上で今回作成したすべての基板での試作が完了した。初めての基板設計であったが特に大きなミスも無いようなので部品を発注して量産体制に入ろうと思う。

猫の手2号製品版試作

猫の手2号はMSXやメガドライブ用のジョイスティックを外付けしてワイヤレス化するためのデバイス。今回作成した基板での試作と動作チェックを行った。まずは基板に部品を実装した状態がコチラ。部品干渉や穴径など特に問題なし。

単三電池のケースへ組み込むために諸々工夫して部品を配置している。ファームをICSPで書き換える仕組みが無いのでICソケットを使用

単三電池ケースに組み込んだところ。専用基板になったことで製品版っぽくなった。コチラ側にPICを実装したのはケース組み込み後に着脱できるようにしたため。

ケース加工手順は、まずDサブの穴を開けて基板を挿しこんだ状態でネジ穴を開け、ネジでケースに固定した状態でボタン穴を加工する。よってタクトスイッチはケース加工が終わってから実装する必要あり。位置決めは比較的簡単であるが、Dサブ穴を開けるのは結構大変。赤外線LEDは電池ケースのケーブル穴を拡大して挿しこんでいる。

なお、タクトスイッチはMSX仕様のジョイスティック接続時は青がSELECT、赤がSTARTボタンとなる。ファミコン+猫の手4号受信機でのプレイ時や連射等の猫の手コマンド(連射機能設定等)送信で使用する。

Dサブ9pコネクタはケースにネジ止めしていないためコネクタ着脱時のストレスが半田付け部分に集中する。ここを強化しておかないといずれパターンが剥離・断線すると予想されるが、猫の手シリーズではパッドをスルーホール化したフットプリントを作成することで接合強度を確保したつもり(1号、4号も同様)。スルーホールが横方向の応力に対してアンカーの役割を果たすので簡単には剥離しないと思う。

猫の手2号は電源が必要なジョイスティックやメガドライブ仕様のPADにも対応しているが、3V程度の電源で動作するものに限る。ウチで動作確認したところ、メガドライブの純正3B/6Bコントローラは使用可能であった。マイコンソフトのXE-1 ST2(PCモード/SEGAモード)でも安定動作した。海外の安いMD互換PADで動作するかは不明。なお、MSXとメガドラのPADは仕様が異なるが猫の手2号ではPICが起動時に接続されているPADを調べてモードを切り替えている。よってPADの繋ぎ替えは電源OFFで行う必要あり。ジョイスティック側の連射機能の使用は推奨しない。電池の消耗が早くなり、通信が不安定になる恐れがあるため。連射が必要な局面では猫の手受信機(1号・4号)内蔵の連射機能が使える。

運用中は3分間無操作でスリープするので電源スイッチを切り忘れても電池が消耗する心配はほとんどない。スリープ時は赤いタクトスイッチを押下すると動作再開。なお、MDモード時はPADのCボタンがSELECT、STARTがそのままSTARTボタンとなり、タクトスイッチの役割はWakeUp機能のみとなる。