cocopar 13.3インチ LCDの改造

昨今のテレビはコンポーネントやS端子といった高画質アナログ系の入力端子が削除され、レトロ系デバイスを直に接続できるのがコンポジットビデオ信号くらいになってしまった。コンポジのボケボケ画面で我慢できるのは初代ファミコンくらいのもので、MSXでは文字の判読も困難である。

一部のPC用LCDでは正式に対応を謳っていなくても水平同期15kHzのアナログRGBを4:3表示できるものがあり、CenturyのLCD-8000Vや、cocoparの13.3インチIPS液晶が密かに15kHzに対応しているらしい。手に入る内に買っておこうとcocoparのものを2020年2月に楽天で入手した。残念ながら2020年6月現在はどこも品切れのようだ。

この製品、MENU長押しでファームウエアのバージョンを確認できる。ネットでは「Para V007」でないと縦横比が変更できないという情報があるが、入手した個体のファームはPara V007に該当。他のバージョンがあるかどうかは不明。

PC-6601SRに適当に繫いで表示テストしてみたところ、確かに15kHzの信号に対応しており、画面比4:3に設定可能のようだが、入力端子がいわゆるVGAコネクタ(3列Dsub15p)で、水平・垂直同期信号(HSYNC、VSYNC)にしか対応していないのがMSXユーザーとしては不満である。正攻法で行くなら外付けアダプタを作成し、ビデオシンクセパレータLM1881で同期分離することになるが、MSXのRGB端子にはLM1881をドライブできる電源出力がないので、別途ACアダプタが必要になってしまう。できればシンプルに直結したい…ということで、cocopar内部にLM1881を増設し、直接MSXの復号同期信号(CSYNC)を流し込めるように改造することにした。


この記事の情報を元に改造した結果、LCDモニタを壊してしまったり、身体や財産に不利益を及ぼしたとしても当方は責任を負えないので十分な知識とスキルを身に付けた上で自己責任にて行ってください。改造するとメーカー保証期間内であってもアフターサービスは受けられなくなります。記事の内容についてメーカーその他に問い合わせるのはご遠慮ください。


LM1881は、2pにコンポジットビデオ信号を入力し、1pにCSYNC、3pにVSYNCを出力するように設計されているが、経験的に2pにCSYNCを入力しても問題ない。1pから出力されるのはCSYNCであって、HSYNCではない点に注意。6pのコンデンサと抵抗は定数になっているので何も考えずにこのまま接続する。

手始めにブレッドボード上でLM1881のコンポジビデオ入力にMSXのCSYNCを入れ、1pと3pをcocoparのHSYNC、VSYNCに接続したところバッチリ映った。試しにVSYNCを外してみたところまったく問題なく同期した。実はこのモニタ、HSYNCにCSYNCを流し込めばVSYNCに信号を入れなくても映るっぽい。しかし、MSXのCSYNCを直にHSYNCに接続しても表示されない。問題は信号レベルで、通常CSYNCは0.3~1.0Vppであるのに対し、HSYNCはTTLレベル(4~5Vpp)である。CSYNCもTTLレベルが要求されるということのようだ。

MSX RGB出力端子のCSYNC出力(2V/DIV)

確認のためMSX(FS-A1FX)のCSYNCをオシロで測定したところ、1Vppになっていた。このままcocoparのHSYNCに接続すると振幅が足りないが、LM1881を通すことでTTLレベルに変換される(過去記事でも似たようなトラブルを経験をしている)。cocoparを改造するならば、HSYNCに入った信号を強制的にTTLレベルに変換してしまえばOKだろう。ここで、LM1881のデータシートを紐解くと、絶対定格として下記のように書かれている。

LM1881はVccが5Vの場合、入力信号は3Vppまでしか許容されないが、Vccを8V以上にすれば6Vppまで可。入力端子には0.3~5Vppの信号を接続することが想定されるので、3Vppしか許容できないのはマズイ。よって、LM1881は12Vでドライブすることにした。その時出力されるCSYNCのレベルをオシロで測定したところ、約10Vppになっていた。ちなみにVcc=5VだとTTLレベルの出力である。Vccが大きくなると出力信号の振幅も大きくなる点には注意が必要だろう。

LM1881 Vcc12VでのCSYNC出力(5V/DIV)

このレベルのままcocoparに突っ込むのは問題がありそうなので、LM1881で上げたレベルを再度落とすことになる。当初ツェナーダイオードで5Vに整形しようとしたがエッジが鈍って表示が横にズレたのでNG。シンプルに抵抗で分圧したところ良好な結果が得られた。諸々検証して書き上げた回路図がコチラ。

R93とR98が元からcocoparの制御基板に載っている抵抗。R93の手前で切り離し、スイッチでLM1881を経由できるようにした。CSYNC出力は手持ちの2.2kΩと4.7kΩを組み合わせて分圧したが、GND側並列の合成抵抗は1.5kなので1本に置き換えてしまっても構わない。これによりHSYNCの信号レベルは約4Vppになる。

制御ICにSYNC信号を流し込むポイントがコチラ。R93の100Ωチップ抵抗を取り外してパッドにジュンフロン線を接続した。R98は温存。パターンカットは不要。

外したR93は細かすぎて紛失したので(笑)裏面にリードタイプ100Ωをハックルーで貼り付けた。その他回路図通りに実装。なお、部品増設面の上にLCDパネルが載ることになるので、十分な隙間があるか確認しておいたほうが良い。極端に隙間が少ないとパネルにストレスが掛かった際に割れる危険性がある

MSXを直結できるケーブルも作成した。市販のVGAケーブルをぶった切ってDIN8pコネクタを取り付けただけである。DINの4p(CSYNC)はDsubコネクタの13p(HSYNC)に接続する。Dsubの14p(VSYNC)はNC。RGBとGNDはそのまま配線。

LM1881を経由した状態で実際に動作させてみたところ、CSYNC 1VppのMSXでもHSYNC 5VppのPC-6601SRでもPCのVGA信号でも問題なく同期した。VGA信号はダメかなと思っていたが、意外とLM1881は高解像度の信号にも追従する模様。信号スルー用のスイッチは無くても良かったのかも。

なお、今回はナショナルセミコンダクタ社のLM1881Nを使ったが、想定外の使い方をしているので互換チップではうまく行かないかも知れない。中華製互換ICのAT1881で試してみたが、発振してダメだった。同様の改造をする際は、実装前にブレッドボードなどで実験しておくことをお勧めする。


外部音声入力端子の増設

 

cocoparはスピーカー内蔵だが、音が出るのはHDMI接続時に限られる。ステレオ対応なのにスピーカーが縦に配列されていたり、薄いプラ筐体がスリットでスカスカなこともあって音質はよろしくないが、RGB接続時に使えないのは面白くない。ということで外部音声入力端子を増設する。

制御基板に搭載されているのはデジタルアンプIC「PAM8003」である(データシートはコチラ)。7pと10pが入力端子になっていて、cocoparでは制御ICからコンデンサ(C6,C7)と1kΩ(R12,R13)を介して接続されている。PAMの内部ではオペアンプに接続されているようなので、ここに0.47uFと1kΩを介して並列に外部入力を繫いだらミキシングされて音声が出せるかも、と思って試してみた。

データシートの図に追記するとこんな具合。PAM8003のINLとINRにカップリングコンデンサと入力抵抗を介して外部音声入力端子EXL,EXRを接続する。

1kΩのチップ抵抗をR12とR13の根元に付け足して、適当なチップコンを経由してワイヤーを接続した。画像だと大きく見えるが実際は結構細かい。GNDの黒ワイヤーは右下のコンデンサに接続。ワイヤーを引っ張ると部品がもげるのでハックルーで固定した。

片ChにMSXの音声出力を接続したところ、RGB表示時にスピーカーから音声が出るようになった。cocoparの操作ボタンで音量コントロールも可能。RGBケーブルを引っこ抜くと表示が消えると共に音声もミュートされたので、非表示時はアンプもシャットダウンモードに制御されているようだ。

HSYNCスルースイッチと音声入力端子はサイドのプレートに固定した。なお、HDMI接続時はこれまで通り発音されるが、同時に外部入力に信号を入れると音声がミキシングされて出てくる。HDMI側のスピーカー出力はヘッドフォン接続でミュートされるが、外部入力側はミュートされず、ヘッドフォンからも音声は出なかった。このあたりは割り切って使うしかないだろう。

ちなみにこのモニタ、一応VESAマウント対応らしいが筐体の成型が悪く、ネジ穴が樹脂で埋まっていた。一応中にネジは埋まっていたので適当に掘り起こして引っ掛け用の金具をネジ止めした。これで邪魔にならずに運用できそう。

ゲームトレジャー2に出展してみた

9月1日に札幌で開催された「ゲームトレジャー2」に行って来きた。第1回目は昨年12月に1回目が開催されていたそうで(知らなかった)、今回が2回目。北海道でこのジャンルのイベントが開催されるのは珍しく、猫の手リモコンなど自前の同人ハードの手応えを得る良い機会だったので出展を申し込んだ次第。

ウチの頒布品は猫の手リモコンシリーズのうち、1号(レトロPC受信機)、3号b(SFC改造PAD)、虎の手3号(SS改造PAD)、4号(FC受信機)と、電子工作マガジン掲載のデジタルアンプ基板、新作の猫の手モータードライバ基板。

前日にテーブルの大きさを想定して予行演習していたので、当日は無難に設営完了。画像では見えないが、MSXはカシオMX-10をモニターの裏側に設置している。MSXには猫の手1号を2本挿しにして沙羅曼蛇の1P+2Pのシンクロプレイを体験できるようにした。

猫の手リモコンは実機で応答性能を体験して頂くのが重要と考えていたので、少しでも興味のありそうな方にはお試しプレイをお勧めした。操作感覚は概ね好評で、ゲームでの遅延や通信途絶が起こらないことをご理解頂けたと思う。PADの電源に単4電池を使うことのメリット(交換が容易で長持ち)も重要なアピールポイントだった。

改造済みPADは家電のケンちゃんさんでは委託販売できない(商標権の問題を懸念)ため、今回のイベントで初めて完成品を頒布。ジャンク箱をイメージしたダンボール箱から好きなPADを選び、実際にボタンの反応などの動作チェックしてからお買い上げいただくスタイル。SFC型とSS型と同数用意したが、やはりというかサタパの方が人気。ゲームイベントだったので受信機の方はFC版の方が若干売れ行きが良かった。

ついでに頒布したデジタルアンプ基板も数名の方にお買い上げ頂いた。うっかり作りすぎた基板(のみ)は無料配布。一応アフターフォローとして、簡易説明書とPICマイコンのファームウエアを貼っておく。電源はアップル純正充電器をオススメ。

ちなみに、隣の隣のブースのM.K Workshopさんは以前にウチのサイトでドリキャスのスピンドルモーターを共同購入された方と判明。PC-8001シリーズのPCG互換ボードを作っていたり、QD(クィックディスク)システムを弄り倒していたりとハイレベルで、会場内の数少ない同人ハードウエア系の出展者として仲間意識が芽生えたり(笑。

反対側の隣の隣のブースはゲームショップ1983さんで、店長はMSXサークルSYNTAX代表のいまむら氏。奇しくも会場はかつてSYNTAX主催のMSXユーザーの集いが開催されていた場所と同じ(建物はリニューアルされているが)で感慨深いものが。店長さんとスタッフさんには猫の手リモコンをお買い上げいただいた(ありがとうございました)。

一般参加のお客さんにも昔ウチのサイトを見ていた方がおられたり、これまでの活動も無駄ではなかったと思った次第。お客さんには代わる代わる猫の手リモコンの体験プレイをして頂き、充実した4時間であった。もっとハードウエア系の出展が増えればいいなと思いつつ、機会があったらまた出展するかも。

古い扇風機を200円でスマート家電化してみた

最近急に暑くなって北海道でも熱帯夜が観測され、家電量販店では扇風機が品切れになっているらしい。我が家でも扇風機を引っ張り出して使っている。1999年、あの「恐怖の大王」が降りてくるはずだった夏に買ったものだ。この年は「北日本では平年よりも1.5℃も暑く、観測史上3番目に暑い夏」だったらしい(Wikipediaによる)。

F-C311T-H(改造後)

うだるような連日の猛暑に耐え切れず、そうご電器YES(2002年経営破綻)にチャリで買いに行ったのだが、扇風機が売れに売れて廉価モデルは品切れ。当時としては高級なこれを買うしかなかった。

松下家電がPanasonicで統一される前のNationalブランドである。20年目を迎えているがまだ普通に使える。とはいえ、古い扇風機は配線やモーターの劣化による発火事故の事例があるそうなので、非在宅時は使わないほうが良いだろう。

コンソールはマイコン制御の4ボタンで、タクトスイッチが仕込まれている。ガッチャンスイッチの安物よりは近代的であるが、リモコンがないので操作は面倒。新しいものに買い換えれば済む話ではあるが、まだ使そうだし、ネタとして面白いので赤外線リモコン対応に改造してみることにした。


Amazon Echo Show5 とeHome mini

赤外線リモコンは既に枯れた技術であるが、AmazonのEchoシリーズ(アレクサ)と赤外線送受信機(eHome)と連携することで、スマート家電化できるというメリットがある。寝ながら「アレクサ、扇風機消して」が実現可能になるのだ。

電子工作マガジンのアンプ

ちなみに小生が電子工作マガジン2016年冬号で発表したデジタルアンプは赤外線リモコン制御のため、このままeHomeに対応可能。アプリで「テレビ」として登録すると、電源、ミュート、音量、入力切替のすべての機能が音声制御できる。組み立てキットを「家電のケンちゃん」さんで頒布中。


今回扇風機用に用意した制御回路がコチラ。使用マイコンはデジタルアンプと同じPIC 12F629。プログラムもチョチョイと改造して再利用した。仕様としてはこんな具合


  • 送信機はテキトーな家電リモコンを使用(NEC,SONY,家電協フォーマット)
  • リモコン信号を学習して、内部EEPROMに保持
  • OUT0はオルタネイト動作(リモコン操作の度にL/Hレベル切り替え、初期値H)
  • OUT1,2,4,5はモーメンタリ動作(リモコン操作時のみLレベル)で、オープンドレイン出力

オルタネイトx1、モーメンタリx4出力あるので、そこそこ応用が利くと思う。実際に書き込んだプログラムのHEXファイルがコチラ

できた基板はこんな具合。材料原価は200円程度。IRモジュールはガワから顔を出したときに違和感の少ないタイプにした。なお、元の扇風機の制御マイコンのVccレベルが5.7Vであり、PICの定格5.5Vを上回ってしまう問題が発生。そのため電源ラインにダイオード1本挟んで降圧した(順方向電圧降下を利用)。

扇風機の4つのタクトスイッチは押下時に信号がGNDに落ちるタイプで、いずれもモーメンタリ動作なので、PIC出力信号はOUT1,2,4,5の4本を使用しOUT0は不使用とした。なお、各信号は5.7Vに内部プルアップされており、ダイオードで降圧したPICマイコンのVccレベル(実測値5.3V)とは微妙なギャップがある。出力電圧同士がぶつかることはないが、PICのGPIOに微妙に高い電圧がかかってしまうため、気休めに100Ω抵抗を挟んでおいた。また、改造部分はポリイミドテープで保護している。


初回使用前にはリモコンコードの登録が必要となる。家電用リモコンなら大抵のものは使えるが、扇風機用のものが入手できればベスト。コードは下記手順で何度でも再登録でき、EEPROMに保持されるので電源を切っても問題なし。なお、手順3で無反応のリモコンは非対応フォーマットなので他のリモコンを使うべし。

  1. PIC4p(GP3)のジャンパをGND側にして電源投入(初回起動時は不要)
  2. ジャンパをIRモジュール側にする(LEDがチカチカ光る)
  3. OUT0に割り当てたいリモコンのボタンを押す(LED点灯)
  4. OUT1,2,4,5に割り当てたいリモコンのボタンを順に押す(LED点滅)
  5. 登録完了するとLED消灯

組み込んだIRモジュールは感度良好。5m程度離れているところからリモコンを明後日の方向で操作しても問題なく応答した。

あとは、eHomeアプリでリモコン信号を登録し、Amazon Alexaアプリでデバイス登録すればスマート家電化が完了する。2019年8月現在では、eHomeアプリが扇風機のスキルに対応していないため、とりあえず「電球」として登録し、デバイス名を「扇風機」に設定。電源スイッチと風量スイッチのみ音声入力対応にした。これで「アレクサ、扇風機消して」や、「アレクサ、扇風機明るくして」といった音声コマンドが使えるようになった。

この手法で、他にも様々なデバイスが安価にスマート家電化できると思われる。腕に覚えのある方は夏休みの工作にでもチャレンジして欲しい。


お約束ですが、この記事を参考にして家電製品等の改造に着手し、その結果製品の故障や火災等いかなる被害が発生しても当方は責任を取れません。電気に対する正しい知識、および工作スキルを身につけた上で自己責任にて行ってください。また、家電メーカーへのお問い合わせもご遠慮ください。

虎の手リモコン

takedaさんと共同で開発していた虎の手リモコンシリーズの送信機「虎の手3号SS」を間もなく家電のKENちゃんさんでリリースの予定→8月12日に店頭販売開始となった。

家電のKENちゃんさんの当方の出品物販売ページはコチラ。

https://kadenken.com/shopbrand/ct142/

頒布できるのは送信機「虎の手3号SS」の組み込みキットのみであるが、試作機含めて虎の手1号~3号のラインナップを公開。

純正SSコードレスと虎の手リモコン

虎の手リモコンとは、セガサターン純正のコードレスパッドと互換性のある赤外線リモコンシステムで、8方向+10トリガまで、2人同時プレイに対応したもの。送信機には「虎の手モード」と「猫かぶりモード」があり、虎の手モードで純正SSコードレス互換機として動作、猫かぶりモードで猫の手リモコンとして動作する。


・虎の手1号

SSコードレスと同等の性能を持ったセガサターン実機用の受信機。純正品の赤外線信号フォーマットをtakedaさんが解析して製作したもの。私は回路考案とファーム開発を担当した。

虎の手リモコンや純正のコードレスPADで使うことができるが、オリジナルの受信機とは若干の相違点がある。純正は受信機側に連射機能(1段階)があるが、虎の手1号には連射機能なし。その代わり、虎の手リモコンでは送信機側に連射機能(3段階)を持たせている。

受光インジケータLEDは1P/2P信号を受けると赤・緑が点灯する。連射インジケータの役割もあり、虎の手送信機のトリガを連射モードに設定し、トリガ単独で押下することで設定された連射速度で点滅する。受光状態を確認できるこのLEDは地味に便利。

内部の様子。オリジナルはカスタムICで受光プログラムを走らせているようだが、虎の手1号はPICマイコン16F1823と74HC670x2の構成で、プログラムはゼロから機械語で書いている。受光性能はほぼ純正品と同等で、60fps・1フレーム未満の遅延で応答する。

受光ICは純正品と同じU2505Bで、フォトダイオードで捉えた400kHzキャリアの赤外線信号を読み取れる(受光回路はシールド板で囲っているので画像では見えない)。U2505Bは製造中止品のため入手難であり、ケース加工やコネクタ入手の問題もあるため、製品化の予定は無し。


・虎の手2号

猫の手3号cの基板と市販のPSコントローラ-USBアダプタを流用して製作したもの。PS用のノーマルコントローラ相当のジョイスティックを接続可能。「虎の手モード」では1P/2Pモードに切り替えでき、SS用受信機があれば実機でコードレスPADと併用して二人同時プレイも楽しめる。電源投入時にSELECT+STARボタンをホールドしておくことで「猫かぶりモード」に設定することができ、猫の手リモコンの送信機としても使用可能。

猫の手3号cと同じ回路構成だが使用PICが異なる。画像のLED内蔵ボタンは動作インジケータ兼WakeUpトリガ。LEDはスリープで消灯する。電池は単三型Ni-MHx3本で、電池ホルダーは背面に貼り付けてある。こちらの送信機も材料入手の都合で製品化の予定は無し。


・虎の手3号SS

純正SSPADに基板を組み込んで赤外線ワイヤレス送信機に改造したもの。純正SSコードレスと信号互換の「虎の手モード」と猫の手リモコン互換の「猫かぶりモード」に切り替えて使える。純正SSコードレス受信機を持っていればSS実機でゲームをプレイ可能。猫の手1号などの受信機があればMSXやファミコンでゲームをプレイできる。

中央の黒いボタンは、純正コードレスのFUNCキーの役割とスリープ状態からのWakeUpキーを兼ねている。純正と異なり、テレビリモコンの機能はないが、FUNC+START+トリガ押下で3段階(7.5/15/30)の連射機能あり(虎の手モードのみ)。

単4乾電池(またはNi-MH電池)2本で動作する。電池BOXはプレイの邪魔にならない位置で、電池を入れても今時のPADと比べて軽量。虎の手・猫かぶりモードは電池投入時のLRボタンの状態で設定する。Lで虎の手1P、Rで虎の手2P、L+Rで猫かぶりモードに設定される。マイコンは3分間操作無しでスリープ状態に移行し、電池は結構長持ちする

いつものようにサブ基板搭載での改造。コネクタを引っこ抜いてピンヘッダを半田付けして基板を増設するだけでなのでお手軽。ケースの穴あけ加工については位置決めシールを添付したので難しくないと思う。

キット内容
穴あけガイドシール

使用説明書:
http://niga2.sytes.net/upfile/tora3ss.pdf

改造手順書:
http://niga2.sytes.net/upfile/tora3ssk.pdf

ちなみに製品の基板は出荷前に全数チェッカーで動作確認済み。

基板チェッカー

出荷

量産した猫の手シリーズを本日出荷した。

QRコードは説明書PDFのURL。店頭でスマホで読み取ると説明書全文をダウンロードできる仕組み。3号キットは説明書PDF内のリンクから改造手順書もダウンロードできる。リンク先は自宅サーバーなので落ちないようにしなくては。

あと、電子工作マガジンに投稿したデジタルアンプ基板が余っているので、これをフルキットにして委託販売することにした。プログラム書き込み済PIC同梱で面実装のアンプICは基板に実装済みなので製作の敷居は下がったと思う。

全説明書のURLはコチラ。

猫の手1号:niga2.sytes.net/upfile/neko1.pdf
猫の手2号:niga2.sytes.net/upfile/neko2.pdf
猫の手3号共通:http://niga2.sytes.net/upfile/neko3.pdf
猫の手3号b改造手順書:http://niga2.sytes.net/upfile/neko3b.pdf
猫の手3号c改造手順書:http://niga2.sytes.net/upfile/neko3c.pdf
猫の手4号:niga2.sytes.net/upfile/neko4.pdf
電子工作マガジンのアンプ:http://niga2.sytes.net/upfile/IRamp.pdf

実際にお店で応答性能を確認できるように店頭デモ用の受信機や3号完成品も同梱した。週末にはお店に並ぶかも。

 

基板チェッカー

猫の手3号は組み立てキットとしてリリースするため、出荷する基板が良品か否か、組み込み前に調べる必要がある。M.A.D.社からのリリースが滞ってしまった主な理由がコレで、簡単にチェックできる装置の必要性は感じており、今回重い腰上げてチェッカーを作成した。

猫の手3号b用のチェッカーがコチラ。内部の2mmピッチの5pパターンにピンヘッダとピンソケットを継ぎ足してかさ上げし、ケース背面からキット基板を直接挿し込めるようにしてある。

鰐口クリップはWakeUp信号用のもので、Rボタンへ配線してある。電源のピンソケットを差し込むと動作するので一通りの操作をチェックできる。

猫の手3号c用のチェッカーがコチラ。ピンソケットを長めのピンヘッダでかさ上げしてある。基板は赤外LED非実装の状態のためテスト用のLEDが必要で、足にスルーホール用テストピンを半田付けしている。鰐口クリップはR2ボタンに増設したダイオードに接続してある。

テスト対象を挿しこみ、LEDと鰐口クリップと電源を接続すると動作する。これらのチェッカーで製造した基板が全品動作品であることを確認した。

D-SUBコネクタ加工方法

猫の手リモコン受信機で使うDサブコネクタの加工方法について、試行錯誤の末辿りついた我流のやり方ではあるが、備忘録として記録しておく。

Dサブ9pはMSX本体によっては金具の出っ張りが本体に干渉して奥まで刺さらない。15pの方はファミコンの拡張端子と同じ形状であるが、金具だけでなく、中の樹脂部分の出っ張りが邪魔で奥まで刺さらない。

まずは金具のカシメ部分(ネジ穴)を金工用ドリルで皿モミする。ステンレス用のビットを使うのがbetter。

このくらい削っておけば殻割りできる。

Dサブ15pの方も同様に殻割りして中身を取り出す。金具は燃えないゴミに捨てる。

15pの方は一旦ピンを全部引っこ抜き、ベンチバイスに固定して棒ヤスリでゴリゴリ削る。

棒ヤスリで4辺を削ったところ。

角はルーターで削って仕上げる。このルーターはステンドグラス製作で使うガラス用。プラを削るには効率が悪いが仕上がりは綺麗になる。

削り終わったところ。バリはナイフで削ぎ落とす。

15pの方はピンを戻しておく。全ピン使うと着脱が固くなるのでファミコンの1コンに必要なピンだけにした。

プラ部品の接合にはアルミの粘着テープを使う。手前がダクト・水回り補修等で使うアルミテープでホムセンで売っているもの。奥のはガラスファイバー入りで昔ラジコンのポリカボディの加工用に買ったもの。機械的強度が稼げるが厚みが出るのが難点。今回は普通のアルミテープで十分。

短冊に切ったアルミテープを接合部分に巻きつける。

手で軽く馴染ませたらペグという道具でさらになじませる。

ちなみにアルミ短冊のサイズはこのとおり。9p用は7x55mm、15p用は6x60mmに切ると丁度良い。

コネクタの加工はこれで完成。15pは削る工程が面倒くさい。

1個や2個作るくらいなら大した作業量ではないが、1ダース作ろうとすると地味に大変だったりする。

猫の手3号c製品版試作

初代プレステのノーマルコントローラをレトロPC&ファミコン用に赤外線ワイヤレス化する改造基板「猫の手3号c」基板の試作を行った。まずは部品実装状態から。

PSノーマルPADは製造時期・工場によって複数のリビジョンがあるが、基板にHOSIDENとシルクのあるものはコネクタのピンアサインが他と異なるという困った仕様。幸いPICはプログラムでピンの機能を変更できるので、起動時にJP1の状態を読んでモードを切り替えている。今回はホシデン製のコントローラでテストするのでJP1は半田を盛ってショートした。ちなみにJ1から伸びているワイヤーはWakeUpトリガ用。

組み込み後は見えなくなる基板裏側。コントローラ基板のコネクタ位置はリビジョンにより微妙に異なるので、LEDは仮組みして位置を合わせた状態で半田付けする。

ガワにも問題なく組み込めたが、内部の構造もコントローラによって多少異なるため、一通りの検証作業は必要。

WakeUpトリガ用のワイヤーはコチラに接続。R2ボタンのワイヤー(3本のうち左側)を引っこ抜いて基板にダイオードのアノード側を接続し、カソード側に引っこ抜いたワイヤーとJ1に接続されたワイヤーを半田付けする。マイコンは3分間無操作でスリープするが、R2ボタン押下で動作再開する。

以上で今回作成したすべての基板での試作が完了した。初めての基板設計であったが特に大きなミスも無いようなので部品を発注して量産体制に入ろうと思う。

猫の手2号製品版試作

猫の手2号はMSXやメガドライブ用のジョイスティックを外付けしてワイヤレス化するためのデバイス。今回作成した基板での試作と動作チェックを行った。まずは基板に部品を実装した状態がコチラ。部品干渉や穴径など特に問題なし。

単三電池のケースへ組み込むために諸々工夫して部品を配置している。ファームをICSPで書き換える仕組みが無いのでICソケットを使用

単三電池ケースに組み込んだところ。専用基板になったことで製品版っぽくなった。コチラ側にPICを実装したのはケース組み込み後に着脱できるようにしたため。

ケース加工手順は、まずDサブの穴を開けて基板を挿しこんだ状態でネジ穴を開け、ネジでケースに固定した状態でボタン穴を加工する。よってタクトスイッチはケース加工が終わってから実装する必要あり。位置決めは比較的簡単であるが、Dサブ穴を開けるのは結構大変。赤外線LEDは電池ケースのケーブル穴を拡大して挿しこんでいる。

なお、タクトスイッチはMSX仕様のジョイスティック接続時は青がSELECT、赤がSTARTボタンとなる。ファミコン+猫の手4号受信機でのプレイ時や連射等の猫の手コマンド(連射機能設定等)送信で使用する。

Dサブ9pコネクタはケースにネジ止めしていないためコネクタ着脱時のストレスが半田付け部分に集中する。ここを強化しておかないといずれパターンが剥離・断線すると予想されるが、猫の手シリーズではパッドをスルーホール化したフットプリントを作成することで接合強度を確保したつもり(1号、4号も同様)。スルーホールが横方向の応力に対してアンカーの役割を果たすので簡単には剥離しないと思う。

猫の手2号は電源が必要なジョイスティックやメガドライブ仕様のPADにも対応しているが、3V程度の電源で動作するものに限る。ウチで動作確認したところ、メガドライブの純正3B/6Bコントローラは使用可能であった。マイコンソフトのXE-1 ST2(PCモード/SEGAモード)でも安定動作した。海外の安いMD互換PADで動作するかは不明。なお、MSXとメガドラのPADは仕様が異なるが猫の手2号ではPICが起動時に接続されているPADを調べてモードを切り替えている。よってPADの繋ぎ替えは電源OFFで行う必要あり。ジョイスティック側の連射機能の使用は推奨しない。電池の消耗が早くなり、通信が不安定になる恐れがあるため。連射が必要な局面では猫の手受信機(1号・4号)内蔵の連射機能が使える。

運用中は3分間無操作でスリープするので電源スイッチを切り忘れても電池が消耗する心配はほとんどない。スリープ時は赤いタクトスイッチを押下すると動作再開。なお、MDモード時はPADのCボタンがSELECT、STARTがそのままSTARTボタンとなり、タクトスイッチの役割はWakeUp機能のみとなる。

猫の手1号&4号製品版試作

猫の手シリーズの基板が全て揃ったところで試作をしてみた。猫の手1号(MSX用受信機)と猫の手4号(FC用受信機の2つ)。なんとなく1号基板はMSXぽく青レジスト、4号はファミコンぽく赤レジストにしてある。

幸い部品の干渉や穴径間違い等の致命的なミスもなく組み立てられた。ちなみにLEDの並びはMSX用とFC用は逆にしてある。FCのコントローラはトリガが左からBAの順で並んでいるが、MSXはABの順になっているものが多いため(例外はあり)。MSX用は右側のポートに挿して使うことを想定しているが、左側のポートでは並びが反対になるし、LEDの色でABを識別できるのであまり気にしなくてもいいのかも。

FC用のコネクタは基板に15pのパターンを用意しているが、ピンが多いと本体に着脱しにくくなるため、物理的or電気的に必要なピンだけ残して実装した。

半田のヤニであまり綺麗ではないが、裏側はこんな感じ。この肉球マークが赤外線信号の互換性を示す目印になるかなと。

ICソケットは不使用としてジャンパーピンヘッダも2㎜ピッチにしたので全体的に高さを抑えられている。ファームウエアはDサブピンとジャンパーピンを使って書き換えが可能になっているので問題なし。

なお、FC用のDサブ15pもどきはコネクタをバラして余分な出っ張りを削らなければならない。今回はステンドグラス製作で使うガラスルーターを使って削ってみたが、それでも固くて削りにくかった。製品として数を用意するのは骨が折れそう。

これら動作チェックも特に問題なし。部品を調達すれば量産体制に入れる。